【TRINCH】にTシャツほか4点を追加しています。
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「それでね、博士」
「うわっ何だやぶからぼうに!どこから生えてきた」
「人を草みたいに言わないでください」
「草のほうがよっぽど無害だ」
「僕は人畜無害の見本市みたいな男ですよ」
「Wipe your dirty hands!」
「何ですか?」
「お前の汚れた手を拭きなさいと言ったんだ」
「これはどうもご親切にすみません」
「気にするな。独り言だ」
「それにしては命令口調でしたけど」
「英会話のレッスンだ。邪魔をするな」
「英会話?」
「It is rumoured that Diago is dead.」
「いまデッドって言いました?」
「邪魔をするなと言ったろうが!」
「話を聞いてくださいよ」
「いつからいた?」
「ずっといましたよ」
「まあいい。用件はなんだ。あ、ちょっと待て」
バシッ
「痛い!」
「よし、気は済んだ。話せ」
「英会話のテキストを投げつけるなんて!」
「これくらいで済んだだけありがたいとおもえ」
「言われてみればありがたいような……」
「用件はなんだ」
「あ、そうそう、あのですね」
「それは気の毒だった」
「まだ話してないですよ」
「もう聞き終わったような気がする」
「まだ見せてないですよ」
「もう見たような気がする」
「これなんです」
「めげないやつだ」
「それがどうした」
「市役所から届いたんですけど」
「見ればわかる」
「博士の差し金ですか」
「何でもかんでも人のせいにするな!」
「だって略奪のお知らせですよ!」
「略奪になんか興味はない」
「でも……」
「その気になれば何でも手に入る」
「どうやって?」
「手を伸ばせば向こうから飛びこんでくる」
「限りなく略奪に近くないですか」
「まあよかったじゃないか」
「?何がですか?」
「まちがえた、気の毒だったな」
「定型句で適当にあしらわないでください」
「あしらう以外にどうしろと言うんだ」
「横暴すぎるとおもうんです」
「何がだ。むしろ親切じゃないか」
「いきなりこんな、根こそぎ持ってくなんて言われても……」
「だから事前に知らせてるんだろうが」
「法に反してませんか」
「法に基づいて執行するんだろ」
「ぜんぜん釈然としない」
「カカオの原産地はどこか知ってるか?」
「え?原産地?何の?」
「カカオだ」
「カカオ?ってチョコの?」
「何度も言わせるな」
「南米ですよね?何の話ですか?」
「じゃ最大の産出国はどこか知ってるか?」
「南米じゃないんですか?」
「ちがう。アフリカだ」
「アフリカ?なんで?」
「中南米は病害が多くて話にならんのだ」
「こっちも今まさに話になってないですけど」
「チョコLOVEなヨーロッパはアフリカにカカオ農園をつくった」
「はあ」
「いま世界中どこへ行っても当たり前のようにチョコが買えるのはアフリカがヨーロッパの植民地だったからなんだぞ」
「それがどうかしたんですか?」
「ここまで言ってもまだわからんのかこのヘドロ脳め」
「謂われのない中傷を受けてる気がする」
「その略奪がいずれ世界に恩恵をもたらすかもしれんということだ」
「世界に!?」
「世界にだ」
「恩恵を?」
「恩恵をだ」
「でもそんなこと言われても僕には関係ないですよ」
「冷静なやつだ」
「困ったなあ」
「だいたいそんなにイヤならなぜ引っ越さないんだ」
「Σ(゚Д゚)」
「対象地域の外に移れば……なんだその不愉快な顔は」
「(*´∀`*)」
「Would you please get out of my face?」
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