2014年7月30日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その179


きまぐれオレンジ労働さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q: コンクリートの研究をしています。大吾さんは、今後好きなだけ何かの研究ができるとしたら、何の研究をしますか?


僕の話なんかよりコンクリートのお話を伺うほうがよほど有益で興味深いしはるかにおもしろいとおもうんだけど、残念ながらいただいたお便りにはこれ以上のことが記されていなかったので、すべては謎のままです。残念ですね。コンクリートの研究、超気になります。

そんなに気になるならいっそこちらからメールであれこれお尋ねしたら良さそうなものだけれど、いかんせんこの質問、いただいたのが2012年です。ひょっとしたらもうこのブログをお読みでないかもしれないし、仮にお読みであってもそれはそれでなんとなくためらわれるものがあります。かえすがえすも残念ですね。なにが残念といってまず第一に僕のていたらくが残念です。

セメントに砂利と水を混ぜ合わせてゲル化したものをある種の反応によって固めるのがコンクリートだとすると、小麦粉に卵と牛乳を混ぜ合わせてゲル化したものをある種の反応によって固めるパンケーキも、あるいはその友達とか従姉妹あたりに位置づけられたりするんだろうか?

パンケーキとクレープの境目を決定づける水分の割合についてとか、パンケーキがスイーツに格上げされるには最低限どれほどの装飾を必要とするのか、といった問題なら僕もつねづね悩まされています。本来は手軽にしてフレンドリーなおやつにすぎないパンケーキでさえこうなのだから、コンクリ研究となればなおのこと、取り組み甲斐とその充実ぶりが伺えましょう。歯ぎしりするほどうらやましい。

パンケーキ原理主義における研究成果のひとつ




このごろようやく下火になってきた感のあるパンケーキの動向については思うところがないでもないのですが、いずれにしてもあまり真剣に向き合いすぎるとおいしく平らげることができなくなってしまうし、研究対象としてはひとまず脇に置いておきましょう。書いてしまったことについて今さらくよくよしてもしかたがありません。忘れてください。

ひとつ挙げられそうなのは、コップです。僕は昔からコップをみるとなんだか慕わしいきもちに囚われてそわそわする傾向があります。グラスでもガラスでも、タンブラーでもカップでもなく、あくまで「コップ」です。どうも「ガラスでできたあの形状」に僕の気を引く強烈な何かがあるらしい。サイズとか重さ、手のひらへの馴染みやすさ、ガラスの色味や厚み、底面に対する飲み口の直径の割合とか、ガラスそれ自体の質もそうですね、バカラみたいなクリスタル系にはそれほどそそられないので、コップをコップたらしめる光の屈折率とか酸化鉛の含有率、またそれらがもたらす心理的な影響なんかについても、一度じっくり考えてみたいです。



A: コップですね。




金線サイダーとは、明治末期に横浜で生まれた炭酸飲料の元祖です。三ツ矢サイダーの兄貴分にあたります。この時代のコップはガラスの質が高くないせいか、妙にたよりないところがあって親しみをおぼえるのですよね…。



質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その180につづく!


2014年7月25日金曜日

鰻、穴子に次ぐ第3の選択肢を再発見する話



来週、7月29日の火曜は土用の丑の日です。

と書けばアルバムを出したばかりなので何かの告知におもわれますがもちろんさにあらず、来週火曜は土用の丑の日だよというだけの話です。よその人気者ならいざ知らず、リリース直後だからといって種々のアナウンスが次から次へと波のように押し寄せたりはしないので、というかまあこのブログは基本どんなときであっても大体こんな温度感なので、いつもどおり何の役にも立たないお話でもするほか場の保ちようがないのです。

なぜ土用の丑の日なんぞを持ち出すのかといえば、この時期スーパーのチラシがウナギの蒲焼きで埋め尽くされているからです。とにかくウナギを食わせようとあの手この手で食欲を刺激してきます。蒲焼きはもちろん、長焼き、白焼き、肝串ときて、しまいには「蒲焼きのたれで豚丼をつくろう」というウナギ不在のレシピまで掲載する始末です。

でも海で生まれて川に暮らすこの奇妙な淡水魚、今年はとうとう絶滅危惧IB類としてIUCNのレッドリストに載ったんですよね。IBというのは近い将来における絶滅の危険性が高い種を指しており、その上位カテゴリであるIA類(超ヤバい)ほどではないけれども、それにしたって相当ヤバいということを示しています。

にもかかわらずスーパーのチラシでは意にも介さずどーんと「いいからウナギ食おうぜ!」みたいなことになっているので、このぶんだとまずまちがいなくきれいさっぱりいなくなるでしょう。いなくなってから「えらいことになった!」と右往左往するようすが今から目に映るようです。人はじぶん以外の存在をただ純粋に思いやるきわめて高度な博愛精神を持っているけれど、既得権益をあっさり手放すほどには博愛でもないので、そういう事態が往々にして起こります。

問題はウナギ去りしあとのことです。ウナギに取って代わるものがあるとしたら、それはやっぱりアナゴなんだろうか?アナゴはウナギとくらべてかなり身分が低いように受け止められているふしもあるけれど、ルパン三世における山田康雄/栗田貫一みたいな美しい世代交代劇は望めるだろうか?

農林水産省のホームページには両者のちがいについてこう書いてあります。

…食品としてみた場合の違いは、アナゴの脂質含有量はウナギの半分程度であることです。

意訳:ほぼ同じです。

それはまあそれとして、アナゴ以外にも別にもうひとつ、僕には心当たりがあります。本日のお話の主旨はここです。多くの音楽ファンがフジロックフジロックと盛り上がるなか、アルバムをリリースしたばかりの男がひとりウナギの今後に思いを馳せていることについてはまたあらためて自分と話し合う席を設けなくてはいけない気がしなくもないけれど、それはまあそれとして、蒲焼きフィーバーともいうべきスーパーのチラシを見るともなく眺めながらふと、井伏鱒二の随筆にこんなことが書かれていたのを思い出したのです。

戦争後、末さんはいったん閉じていた店を荻窪駅北口のところに出した。やはりおかめという名前だが、戦争中に鰻の蒲焼と言って売っていたのは、雷魚の蒲焼であったと言った。雷魚なら水郷地帯に行けば都合がつく。(中略)私は末さんのところの蒲焼が、雷魚であったと思ったことは一度もなかった。お土産として買って来ても、家の者は誰も気がつかなかった。(井伏鱒二「荻窪」)




養殖事業に乗り出すなら今だという気がする。

2014年7月22日火曜日

どうも夢らしくおもわれる朧なインストア繁盛記


それはもちろん、僕だって格好がつくくらいにはお集りいただけますようにと祈ってはおりました。じぶんたちでこしらえた場ならともかく、いろいろな人にお膳立てをしてもらっている以上、どうしたって面目というものがあります。閑古鳥なんてへっちゃらだいとひとりで開き直るわけにもいきません。

それでなくとも沙汰のない男です。こんなときだけひとけのないすちゃらかブログから笑顔でぶんぶん手を振ったところでいったい誰の目に留まろうか、と数少ないお知らせにすらドシンと二の足を踏むていたらくだし、とにかくお世話になった方々へ顔が立つことばかりをお星さまに願っていざその日を迎えてみましたら

客演ふくめてこれまでにも幾度かインストアは経験しているけれど、あれほど多くの人で溢れているタワレコのフロアを目にしたことはかつてありません。あまりのひしめきぶりにぶったまげ、本気で卒倒しそうになりました。ステージの上から見て、端がどこにあるのか目をこらしたくらいです。降ったり降らなかったりと煮え切らない空の下、ご来場くださったみなさまには何とお礼申し上げればその御心に見合いましょうか。ありがとう、ありがとう、ありがとう…!


これね……これだけでも十分な入りなのに、全体からするとこれで半分くらいなんですよ…!(4年前はすこしでも多く見えるようにと小癪な角度を探してました)


まるでじぶんがものすごい人気者になったかのようなハッピーな錯覚を味わえるとは思いませなんだ。


また、この日は僕もお手伝いしたヴィレッジブックスの新刊「そして、きみが教えてくれたこと」も15冊、特設コーナーに置かせてもらっていたのだけれど、これだって売れ残ったらぜんぶ買い取って帰るくらいのきもちでいたのです。15冊……どうかな……10人くらいには興味を持ってもらえるかしら……だってここCDショップだし……とハラハラしていたら、ライブ直後の時点できれいさっぱり跡形もなくなっていたとあとで聞きました。瞬殺だ!助かった……!(←正直な感想)

とはいえこれは前回も申し上げたように、まちがいなくおススメする価値のある小説です。海外小説に抵抗がなければ、手に取って損することは絶対に絶対に、絶対にありません。すでにちらほらといただいている反応はどれも「止まらなくなって一気に読み終えてしまった」というものばかりです。ね!ホントだったでしょ!雰囲気ひとつで敬遠するのは馬鹿げてる、と言い切れるハンパない磁力をもった物語、まだお読みでない方はぜひとも今すぐ体感あそばせ!


とまあ、あだしことはさておきつ、悔いがあるとすれば、サイン会(サイン会です…)にお並びいただいたみなさまとお話しする時間がほとんどとれなかったことです。有名人でもあるまいし、こんな機会めったに、というかもう金輪際なさそうなのだから、できたらやっぱりもうちょっとあの、お話ししたかったですよね。あっ、なんか呆気ないな、とおもわれてもしかたがないし、お詫びのしようもありません。本当にごめんなさい!

だってさあ、と五体を床にごろんと投げ出してじたばた申しますけども、サイン会ってちょっと大丈夫なのコレ、いやサインくらいいくらだって書くけど「会」とまで銘打つのはさすがにアレなんじゃないの、身の丈に合ってないんじゃないの、といい年こいてくちびるを「3」の字にしながら直前までブースカ異議を唱えていたのに、ふたを開けたら85人ものみなさまにお並びいただいたと後で聞き、目玉が前にポンと飛び出ました。書いても書いても終わらないとおもったらそんなことになっていたのか……

ということはつまり、それだけ長い時間、お待ちくださったということでもあります。ありがとう、ありがとう、ありがとう!はたしてそのおきもちにきちんとお応えできたのかどうか、甚だ心許なくはあるのですが、どうかすこしでもたのしい余韻をお持ち帰りいただけていますように…!

数日たった今こうして思い返してみても、とても現実だったとはおもわれない繁盛ぶり、他人事みたいになってしまうけど、やっぱりちょっとすごかったですよね…。よい冥土の土産ができました。みなさまのおかげです、ホントに。終わってしーんと澄み渡る、この身の静けさといったら!

2014年7月18日金曜日

「そして、きみが教えてくれたこと」のこと


さて、ここにひとくさりの物語がございます。

小説です。しいてジャンルで括るとするならば、徹頭徹尾ザ・アメリカンなラブ・ストーリーです。ここでアメリカンというのはつまり、気のある相手に「ベイビー」と呼びかけたり、アクティブな女子がちょっとイケてる男子を横目に見ながら「イイ男……(ごくり)」とのどを鳴らすような、たいへん偏ったイメージですが、しかしまあまあ、当たらずとも遠からずと言ってしまってよいでしょう。ゆえに訴求対象はヤングアダルト、そして主に女子です。ぴちぴちと若さの跳ねる音が響きわたる世界に、僕みたいな場末のおっさんが出る幕はありません。


そして、きみが教えてくれたこと
コリーン・フーヴァー著 鹿田昌美訳
ヴィレッジブックス [文庫]
2014年7月19日(土)発売

にもかかわらずこの一冊をここに持ち出したのは、これが詩と詩の朗読パフォーマンス、いわゆる「ポエトリー・スラム」をモチーフにした小説だからです(原題は「SLAMMED」)。

…とまあそんな建前はこの際早々にベリッとひっぺがしますけれども、作中で読まれる詩の翻訳監修、それから巻末の解説を僕が請け負っているからです。なんだ宣伝じゃねえかとおもわれる向きもありましょう。まったくもってそのとおりです。まあお待ちなさい。そう早合点するものでもありません。宣伝はまあ宣伝として、それ以上にここで筆を割く理由がこの作品にはあるのです。

僕も最初にこのお話をいただいたときは、「詩を題材にした女子高生のラブ&ライフ」的なざっくりした説明をうけたようにおもいます。もちろん今はまったくちがう印象を抱いているし、端的に要約すればどうしたってそうなることもよくわかってるんだけれど、でも率直に言ってですね、「詩を題材にした女子高生のラブ&ライフ」と聞いて間髪入れずに「むむ、そいつは聞き捨てなりませんな!」と前のめりなリアクションをとることのできる場末の中年男性がどれだけいるだろうか?いやそりゃこの青くて丸い土の球には70億もの人がひしめいているのだからきっと数えきれないくらいにはおりましょうが、でもさあ!というのがすくなくともこの時点における僕の印象です。まがりなりにも詩人を標榜するこの僕にしてこれなのだから、いわんや一般中年男性をや、と言わねばなりますまい。

といってもちろん読まないわけにもいきません。このときの僕は折しもアルバム作業の佳境も佳境、まだジャケットすら手をつけていなかったのですが、ひとまずその合間の気分転換にすこしずつ読み進めようとおもって、ほとんど何ごともなく通り過ぎてきてしまった在りし日のロマンス街道をとぼとぼと後戻りするような心持ちで読み始めたらこれがあなた…

よろしい、結論から先に言いましょう。すこしずつ、とおもってページをめくり始めたその手は結局最後まで止まることなく、その日のうちにはきれいに読み終わり、あまつさえ僕ときたら目も真っ赤にしくしく泣いていたのです。

いえ、誤解召されるな各々がた、泣けると申したいわけではありません。ちがいます。ちがくもないけど大事なのはそこではない。これは単純に僕の使い古した涙腺にいいかげんガタがきているというだけのことであり、うっちゃっておいて一向に差し支えありません。日ごろから新聞の投書ひとつで嗚咽をもらす男のリアクションを真に受けてはいけない。

僕が言いたいのは、とにかくこれがネガティブな第一印象をかるく吹き飛ばすくらいパワフルな物語だった、ということです。良い物語とはジャンルを問わずただそれだけで単純におもしろいものだ、というごくごく基本的な、それでいてどうもこう、忘れがちなことをあらためて思い知らせてくれます。シンプルにして外連味のない、しなやかな力強さが、ここにはある。ていうかこれ、マジでむちゃくちゃおもしろい。

ラブストーリーなのはたしかです。ただ、どちらかというと焦点はロマンスよりも「心の成長」に置かれているので、厳密には「色恋で濃いめの味付けをしたドラマ」と言ったほうがちかいかもしれません。そもそも後ろに遠く離れゆく青年期を振り返るより老境が視界に入る中年のおっさんとしては、主人公とそのお相手によるラブ展開なんかどうだっていいようなところもあるのですが、それを差し引いてもまわりの登場人物たちがじつに魅力的です。主人公の母親しかり、弟しかり、親友しかりと、ラブとは関係のないところでひとりひとりが語られるべき物語を持っています。言ってしまえば日常的な風景のつらなりでしかないのに、テンポが良くてぜんぜん飽きない。作中で読まれるいくつかの詩も痛快で、詩にこんな形があると若いころに教わっていたら僕なんか今とはだいぶ向き合いかたがちがっていたんじゃないかとおもう。

とりわけ個人的なハイライトとして挙げたいのは、主人公の弟がハロウィンのコンテストで「あるもの」に仮装するための準備を母親が手伝うシーンです。何に仮装するかというその発想自体ぶっ飛んでいて最高なのですが(最高です)、これを母親がためらいなく手伝うことにものすごく大きな意味があって、胸打たれずにはいられません。こう言っては鉄面皮な気もするけれど、僕がいつも詩の形で描き出したいと願うところのものは、まさしくこういう一コマにあります。ひょっとしたら著者が実際にピントを合わせていたのは、この母親なんじゃないだろうか?


重ねて申し上げましょう。もしこの本のあらすじを読み、「ふーん」というかんじでちっとも気を引かれなかったとしたら、それは僕もまったく同じです。そういう人こそ手に取って、同じようにびっくりしてほしい。いつぞやの「アスパンの恋文」につづいて、僕はこれも夏休みの課題図書につよくおすすめします。こういうのを若者にさらっと差し出せる大人でありたい。

また、スラムというカルチャーにより興味を持たれた向きには詩人ソウル・ウィリアムズ(Saul Williams)が主演した1998年の映画「SLAM」も入門にうってつけなのでぜひご覧あそばせ。しびれます。


ちなみに「そして、きみが…」の原著は、米アマゾンで2000以上(!)のレビューがついていて、かつ評価が☆4.5です。むべなるかなというかんじだけど、それにしたって圧倒的すぎるよ!



それからもうひとつ、この本、装丁が鈴木成一デザイン室です。ザ・リヴィングレジェンド!


2014年7月15日火曜日

4年ぶりの土曜日と毒毒毒毒毒毒毒毒について


かなり前からたのしみにしていたサンシャイン水族館の「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」が始まったのでさっそくいそいそと足を運んだら、これがもう高速で胸をズキュンと射抜かれて、気づけば寝てもさめても想うのはコンゴウフグのことばかり、頬杖とやるせないため息ですっかり恋する乙女と化しているのです。


単純明快、かつインパクト絶大の企画からして魅力的なのは言うまでもないけれど、それを最大限に活かしきる見せかたもまたじつにお見事と言うほかありません。タイトルが最高ならコピーもいいし、とにかく気をそそるフックに満ち満ちています。

こうなるとむしろ展示との落差にハラハラしてしまうけれど、そんな心配はいりません。キュッとまとめられたコンパクトな空間はユーモアあふれる演出と興味津々のトピックでいっぱいです。優雅なハナギンチャクがいればクールなエイもいるし、ポケットに入れて帰りたくなるほど愛らしいハコフグもいます。何より眺めるだけでうっとりと目を奪われる美しさ!それでいてその傍らにはもれなく「猛毒レベル」が図示されているのです。虜にならないわけがないでしょうが!

水族館の企画なのでもちろん水生生物を中心に構成されています。でもこの展示で見逃せないのは、それ以外の毒をもつ生き物にも少なからぬスポットを当てている点です。何しろ爬虫類、植物、節足動物、果てはサルまでいるのです。サル!?水族館企画にサル!?ていうか、毒を持つサル!?

人の形をしていて引っこ抜くとギャーと叫び声をあげる呪いの魔法植物マンドラゴラが展示されていたことにも目が飛び出たけれど、とりわけ驚いたのはこの季節、あちこちで咲いて僕らにもなじみ深いあの花が、花、葉、枝、果実(つまり全部)ばかりか、それを燃やした煙も、植わっている土壌も、さらに腐葉土にしてもまだ残るという、完全に毒まみれの植物だったことです。まじか!だってそのへんにちょいちょい咲いてるじゃないか!

ひとつもの申したいことがあるとすれば、そのおもしろさに反して規模がちいさすぎる点です。生きもののサイズもサイズだし、30種くらいのものなので、鼻歌まじりに見ていくとたぶん15分もかからずに観終わってしまいます。よーし食うぞーとおもってお腹を空かせていったらふた口くらいで食べ終わってしまったような呆気なさは否めません。僕はそれでも去りがたくてけっきょく1時間半くらいうろうろうろうろしていたけれど、入場料3倍払うから展示の規模も3倍にしてほしい!と強烈な飢餓感をおぼえました。あと展示の内容と演出をそっくり詰め込んだ図録もつくってほしい!というかもう、このまま本にしてほしい!もっとこう、企画の高いポテンシャルに見合うアウトプットであってもいいはずだ!ありていに言うと 良 す ぎ て 逆 に も の 足 り な い ! 続編!続編をおねがいします!

とまあ、こんな具合でたいへんにエキサイティングな展示でございました。体が5センチくらいまでちぢんだら、黄色いコンゴウフグに乗って水中を漂いたい。



【今日の教訓】アナゴの血には毒があるので、生で食べてはいけません。必ず焼きましょう。




というのが前置きで、ここからが本題ですけれども、先週の土曜日は例のアレでリハもあるからと早めにTBSラジオ第6スタジオに向かったら

誰もいませんでした。


いや…


目をこらすと…





お邪魔するたびに緊張と重圧で髪が白くなる恐怖のスタジオライブ@タマフルを大らかにお受け止めくださったタフにして情け深いリスナーのみなさま、人間的にビッグかつ眩しすぎていつ見上げても拝顔かなわぬミスター・キングオブステージ、そして真心たっぷりにおもてなしくださったスタッフの皆々さま、ありがとうございました!



画像には映っていませんが、ブースの中は全体的に「ゴゴゴゴゴ…」というジョジョ的なプレッシャー音がはちきれんばかりに満ち満ちています。



そんなドッキドキのスタジオライブの模様は、現在ポッドキャストでまるごと配信されている模様です。この先おそらく二度とない希有な機会をドリフ並みのアクションで台無しにするプロデューサーのやんちゃぶりと、ここでしか聴けない「あの曲のタマフルバージョン」あたりが聴きどころ、慰みにどうぞお聴きあそばせ。

聴き直してみて、しかし変わったことやってんな…とおもいました、自分のことを。つくづく。

でもぶじ終えることができてよかったです。これ以上の冥土の土産はありません。本当にありがとう!


おまけ:打って変わってメチャたのしそうな直後のカレー特集タイム




2014年7月10日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その178



どう見ても剪定が事態を悪化させている気がする


好意的に受け止められているのかいないのか、ひょっとしたら方々で踏んだり蹴ったり叩き割られたりしているのではないか、そのへんの動きが当の本人にはいまいちよくわからない小数点花手鑑の発売から一週間がたち、猫の手も借りたいほど忙しくてんてこまいな日々を送っております。というかまあ、建前上そういうことにしておいたほうがいろいろと都合もよいので、そういうことにしています。未使用の手帳は目に見えない文字で書かれたスケジュールでびっしりと埋め尽くされて、フェルマーみたいな思わせぶりなメモを書きこむ余地もありません。ああ忙しい忙しい!

そんなたいへん目まぐるしい日々の合間にふと、今このときにしておかないでどうすると思われる重大な発信を忘れていることに気づいたのです。毎週土曜日22:00から絶賛放送中の新感覚"土曜の夜系"エンターテインメント・プログラム「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」@TBSラジオで今週末12日に15分ばかり披露する予定のスタジオライブのことではありません。いえ、もちろんそれも欠くべからざる超重要案件なのですが、ここで言いたいのはちがいます。来週7月19日の土曜日21:00から予定されているささやかなインストアライブ@タワーレコード新宿店7F(観覧フリー)のことでもありません。いえ、もちろんこれもすごくだいじなことなのですが、ここで言いたいのはそれとはべつのことです。

この4年間、それだけは胸に秘めて決して口にしてはいけませんというオーラを全力で放出しつづけてきた、このブログにおけるある種の絶対的禁忌、というのはつまり…




バック・トゥ・ザ・お茶さん、バック・トゥ・ザ・お茶 PART 2さん、バック・トゥ・ザ・お茶 PART 3さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)

Q: 次のアルバムはいつ頃出すんですか?
Q: 新作はいつ頃のご予定でしょう?
Q: そろそろニューアルバムの話題などをでっち上げてください。


A: 出ました。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その179につづく!

2014年7月2日水曜日

他人のふんどしでひとり相撲をとる7月のはじまり



アルバムの発売を目前に控えていながらブログの最新エントリがそれとは1ミリも関係のないティファール問題というのも思えばうかつなことであった。

ということでぶじ「小数点花手鑑」の発売日を迎えた本日7月2日は、レーベルオーナー、プロデューサーとともに渋谷、新宿、池袋、秋葉原のタワレコをねりねり渡り歩いてまいりました。

詳しくは一日の大部分をTwitterに費やしてくれていたプロデューサー、古川耕のツイート(@2dawn)をご覧ください。


……。



というのも横着で後生がわるかろうとおもうのでどうにかこうにか僕が撮った写真を…えーと…


(がさごそ)


(ない)


それはさておき、タワレコ渋谷店さんはたいへんマーベラスなツイートをしてくださいました。オシャレなシティーボーイも聴くといいよ!



TSUTAYA渋谷店!

タワレコ新宿店!





タワレコ池袋店!





タワレコ秋葉原店!





TSUTAYA渋谷店さん、タワーレコード渋谷店さん、新宿店さん、池袋店さん、秋葉原店さん、身に余る、というか在庫的にも余りそうな格別のお引き立てに言葉もありません。ありがとうありがとう。どうかショップのみなさまにもその甲斐あったとおもえるアルバムでありますように…!

そしてもちろん、お求めいただいたみなさまの耳をくすぐり日々を彩る一枚とならんことを願って!


よく晴れ渡って風そよぐ、最高の一日でした。ほんとうに。


おまけ:今日のおみやげ