2015年9月28日月曜日

雑誌とは色とりどりの未知に通じる扉の集合体である

そうそう、"必ずしも旅をしない旅行誌" というたいへん愉快なコンセプトで先ごろ創刊された「MOUTAKUSANDA!!! magazine」のissue 0 にて本を一冊、紹介しているのです。


企画の趣旨としては、精神的な旅の入り口としてトリップできる言葉主体の一冊を、とのことだったので、無限の宇宙をいやというほど実感できる、それでいていかにも僕が取り上げそうな、とっておきの一冊をピックアップしています。これを言葉とみなしてよいかどうかは意見の分かれそうなところですが、「音読できて、かつビジュアル要素が皆無」ということで大目に見てもらいました。徹頭徹尾、クレイジーな一冊です。すくなくとも僕はこれほど壮大にして不毛な書物を手にしたことはかつてありません。いったいどんな本を紹介しているのか、誌面でとくとおたしかめあそばせ。

ちなみにShing02さんのチョイスは辞書で、うむ、さすがだとおもいました。しかしこれにしても僕のにしても、一度しか通用しない奥の手中の奥の手という感じがいたしますわね。


ともあれ全体にスタイリッシュなビジュアルとユーモアにあふれた、それでいてどこか郷愁にかられる素敵な雑誌です。どこかで見かけたらぜひ手に取ってみてください。ウェブマガジンから紙媒体へと移行する、鮭の遡上みたいな攻めの心意気に目頭が熱くなります。

WEBからもお求めいただけるようです→ store.moutakusanda.com


2015年9月25日金曜日

TBSの地下駐車場に戻れなくなる話


特番のナレーションをとお声がけいただいたので、去年のタマフルからおよそ1年ぶりに赤坂のTBSラジオを訪ねたのです。

ブースに入り、ディレクターさんの指示を受けつつ、「いいよいいよー」「きもち上目遣いで!」「グッとくるねー」「肩の力抜いてー」「はいそこでため息!」「はふん」「マーベラス!」(※)とまるでじぶんがグラビアモデルになったかのような錯覚をおぼえながらたのしくもあっという間に収録を終えたのですが

※若干誇張されています。

その帰り、原付を停めた地下駐車場までエレベーターで向かう途中ふと、「いちおう用を足してから行くか」とおもって1Fで降り、お借りした来訪者用のICパスを使ってピッと正面ゲートを通り抜けたのです。ゲートのそばにはパスを受け取る警備員さんが待機しています。パスをお渡ししてから、「あの、お手洗いをお借りしたいんですけど、そのあと地下駐車場へはどこから降りたらいいですか?」と警備員さんに尋ねたところ

「こちらから……ではムリですね」
「あれっ!」
「お手数ですが受付で申請いただいて……」
「ガーン」
「あ、お手洗いはあちらです

し く じ っ た !

そこまで切羽詰まっていたわけでもない、というかじつはスタジオを訪ねた早々に済ませたばかりだったので、こんなことなら別にトイレなんか寄らなくてもよかったと悔やんでも後の祭りです。今さらトイレをキャンセルしたところでどのみち地下には行けません。そんならまあ、もう出る気しないけど行っとくか……と名状しがたい心持ちでとぼとぼと向かい、戻ってから受付にあらためて事情を説明します。

「じつはかくかくしかじかで……」
「はい、お名前を伺ってもよろしいですか」
「こばやしです」
「番組名はおわかりになりますでしょうか」
「えーと……たしか音フェチ女子会……」
「おとふぇちじょしかい……ですね……」

そう言って受付の人はこの日予定されている来訪者リストらしきノートをぺらぺらと繰り始めます。ところがしばらく探してみてもそれらしき記載は見当たりません。考えてみれば僕は地下から入ったので、1Fの名簿に名前がないのも道理です。ここにきてじぶんがどちらかというと不審な人物であることに気づき、「あの、特番です」「スタジオは9Fで……」「あ、ラジオです。ラジオのほう!」と必死に潔白をアピールし始めるわたくし。そしてとうとう、受付の人がおもむろに電話をかけ始めます。何かマズいことをやらかして学校に通報される生徒のようなばつの悪さです。

そわそわしながら立ち尽くしていると、地下駐車場に確認をとってくださったらしく受付の人が受話器を置きながら「今、地下からお迎えに上がりますので……」と仰います。面目ないやら情けないやらで1/3くらいにちぢこまり待つこと数分、新たに現れた警備員さんに連れられて再度ゲートをしょんぼり通り抜ける様子といったら、さながら連行のうえ収監される囚人のごとしです。お手数をおかけしてしまったみなさまにはとにかく平謝りで、どうにかこうにか駐車場にたどり着くことができました。なんかもうホント、いろいろすみません。まさか1Fから地下におりるのに10分以上かかることになるとは……。

【今日の教訓】そうちょいちょいトイレに行くものではない。


9月27日(日)23:00~23:55
TBSラジオ ラジオワールド特番「『音フェチ』女子会」

ちかごろ巷でひそひそと話題の「ASMR」。このASMRをテーマに、音フェチな淑女たちが真夜中の「音のガールズトーク」を繰り広げます。どうか愛用のヘッドフォンをお忘れなく!

2015年9月22日火曜日

ムール貝博士が世界自然保護基金に駆け込む話


気がつくとムール貝博士の助手であるピス田さんがうちでお茶を飲んでいるのです。

「あれ、なんかガサガサぽりぽり音がするとおもったら」
「やあダイゴくんお邪魔してます」
「お招きしてましたっけ?」
「お招きはされてないよ」
「ピス田さんの不法侵入スキルもだいぶ熟れてきましたね」
「照れるなあ」
「褒めてないですよ」
「たまには羽を伸ばさないとね」
「博士は?」
「おや、ダイゴくんが博士を気にするなんて!」
「なんか不穏な感じがするじゃないですか」
「そんなに心配なら結婚すればいいのに」
「僕が心配してるのは僕の身の安全だけです」
「博士のそばほど安全な場所はないよ」
「ていうかいま結婚て言いました?」
「ああ、そうだねまずはお付き合いからだった」
「あとはきもちの問題みたいに言わないでください」
「冗談だよ、博士は今いないんだ」
「どこかに行ってるんですか?」
「気になる?」
「いたずらっぽい含み笑いはやめてください」
「恥ずかしがらなくてもいいんだよ」
「言い忘れてたけど、そのおさつプリッツ僕のですから」
「おさつプリッツ?」
「ピス田さんがぽりぽり食べてるそのプリッツです」
「あ、お気遣いなく」
「食べながら言うせりふじゃないですよ」
「じゃ食べ終わってから言うよ」
「どこに行ってるんですか?」
「プリッツ?胃だとおもうけど」
「プリッツはもういいです、博士のほうですよ」
「ああ!」
「ほんとに忘れてた顔してる」
「近所のスーパーにね、世界征服を企む母子がいたんだって」
「世界征服を企む母子がスーパーに?」
「オウムみたいに繰り返さなくてもいいよ」
「聞き間違いかとおもって復唱してみたんです」
「合ってるよ、それで」
「はあ……で、その母子の手伝いに行ったと」
「博士は征服なんかしないよ」
「したって言われても驚かないですけど」
「しないしない、だって人に興味ないもの
「じゃ何しに行ったんですか」
「虎を守りに行ったんだ」
「虎?虎ってあの、黄色と黒のしましまの?」
「もちろんそうだよ」
トラバターと関係あります?」
「トラバター?」
「あ、ちがうんだ」
「何の話?」
「ていうか整理させてください」
「何を?」
「事実をです」

事実1:近所のスーパーに世界征服を企む母子がいた。
事実2:ムール貝博士は虎を守りに行った。

「どこに関連性があるんですか?」
「そのお母さんが立派な人らしくてね」
「世界征服を企むお母さんが立派?」
「尻込みする子どもに帝王学を説いてたんだって」
「世界征服を企むお母さんがスーパーで帝王学?」
「博士はお母さんの一言が聞き捨てならなかったらしい」
「どんな一言だったんですか」
『虎穴に入らずんば虎子を得ず』
「はあ……」
「リスクなくして成功はないってことだよ」
「それくらい知ってますよ!」
「あれっ」
「意外そうな顔をしないでください」
「ポジティブなことわざでしょ」
「まあ、そうですね、世界征服をのぞけばですけど」
「でも博士はそこでキレたわけ」
「お母さんに?」
「いや、そのことわざに」
「なんで?」
盗っ人の論理だから
「盗っ人……」
虎から子を略奪することが果たしてポジティブな行為だろうか?
「でも世界征服を企む母子なんですよね」
「世界征服はこのさい問題じゃないんだ」
「いや大問題ですよ」
「征服しない人もこのことわざは使うでしょ」
「それはそうですけど」
「生き抜くためならともかく、功名のために子を掠め取るわけだよ」
「言われてみればそうですね」
「でもこのことわざを使う人は誰もそれを罪だとはおもってない」
「まあ、定型句ですから」
「そんなんじゃ虎もやりきれまいと」
「博士がそう言ったんですか!?」
「で、野生動物の保護活動に熱心なWWFに駆け込んだわけ」
「虐げられた虎を守るために?」
「うん、というか、発破をかけにね」
「ああ、爆破の第一人者ですもんね……」

2015年9月19日土曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その226

ゲーム画面みたいに現実感のうすい公園


歴史の転換点にさしかかろうと、ここの唯一にして最大の理念ともいうべき「キープレフト」にしたがって、いつもと変わらずいつもと同じような話をお送りします。

フリューゲル保温さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)


Q: 物事を長く続けるコツってなんですか。


そうですね、われわれも渋々とはいえ気づけばいいかんじにこう大人になってきたことですし、ここはひとつオフレコということで、露出狂のようにガバリと胸襟をひらくといたしましょう。長くつづけるコツを知りたいとのお尋ねですが、そんなものはありません。あるのはただ、つづくか、つづかないか、その2つだけです。あれ、読みまちがいかな、とおもわれたらいけないので念には念を入れてもう一度、断固たる口調ではっきりと申し上げましょう。ないったらないのです。

さぞかしガッカリされていることでしょう。かく言う僕も数十年に渡りさんざんガッカリさせられてきたので、そのへんは心得ています。いやまったく、じつにガッカリです。そう肩を落とさずに一杯おやりなさい。

たしかにシュリーマンはそれまで神話と考えられていたトロイアの痕跡を発見しました。しかしだからと言ってこの広い世界のどこかにアトランティスが埋もれているということにはなりません。ないとは言わないけれども、どこにあるかは誰にもわからない。もっと信憑性の高そうな邪馬台国でさえそうなのだし、だとしたら物事を長くつづけるコツも同じです。あるかもしれないし、ないかもしれない。あまり思いつめても身体に毒です。

あるいはシュリーマンの顰みに倣って、世界中を探し回るのもよいでしょう。いつかどこかで物事を長くつづけるコツが、もしくはその欠片が、土の中からひょいと顔を出して歴史を塗り替える可能性もないとは言えません。そのためには、あきらめずに根気づよく、つづけることが肝心です。長くつづけるために必要なものが長くつづけないと見つからない、とはまた蛇がしっぽをくわえたウロボロスみたいな話ですが、あれこれ考えこんでもしかたがありません。ころころと転がるようにして前進あるのみです。

愉快な詭弁はさておき、たとえば僕は毎度こんな長ったらしいテキストをつづっておきながら、日記をつけることができません。今までに何度となくトライしてきましたが、ことごとく失敗に終わっています。長く書くとくたびれるし億劫にもなるから、1日1行だけにする、というルールを適用してさえ難儀です。毎日だから負担になるのかもしれないとおもって書けるときだけ書くことにしたら、案の定ゆるやかな下降線を描いてきれいにフェイドアウトしていきました。気づいたときには「そういえばそんなこともあったなあ」となつかしい思い出になっていたくらいです。

ハードルを下げるどころか取っ払ってもこうなのだから、コツもへったくれもありません。世界中のありとあらゆるコツがかき集められたとしても、片っ端からぜんぶ打ち砕く自信があります。この繊細なガラスの靴を履けるシンデレラがどこにいるんだ、いるなら出せと拡声器で言いたい。

とはいえもちろん、何もかもがつづかないというわけではありません。ガラスの靴をぶんぶん振り回す僕にも、それなりにつづいているものがあります。リーディングなんかもそうですね。ではなぜそれらはつづいているのかあらためて考えてみたところ、ある共通点に気がつきました。それは「そもそもつづけようとして始めていない」ということです。それでつづくようならつづくし、つづかないものは知らぬ間に消えます。そしておそらく、これがすべてです。

したがって、しいてここから結論を導き出すなら、こういうことになります。


A: つづけようとおもわないことです。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その227につづく!

2015年9月16日水曜日

早朝、いるはずのない門番に出迎えられて凍りついた話

おかげさまでオントローロ04はひとまず完売と相成りました。どうもありがとう!ひとまずと書いたのはもちろん、どこかでぽろりとキャンセルの出る確率がこれまでのところ100%だからです。よかったらときどきチラ見してやってください。

→「03」はこちら
→「04」はこちら

それにしてもなんというかこう、サーッと降り出してワーとかキャーとか言い出す前にピタッとやむ通り雨みたいな塩梅で、2、3日もすると本当に降ったのかどうかも覚束ない、寝起きにも似た心地でおります。みんなもっと、えーと何だろう、「オントローロを観たら肌がツヤぷりになりました」とか「オントローロに来たら生き別れの妹に会えました」とか「オントローロのおかげで20歳になりました」とか「宝くじが当たりました」「仮免受かりました」「マスターズの出場権を獲得しました」「ぶじ釈放されました」「髪を切りました」「バスが時間どおりに来てうれしかったです」とか盛大にバズってくれていいのよ……!


さて、日曜のオントローロ04受付開始からさかのぼること数時間前、前夜はファット&ドープな音楽と極上の日本酒と至高の鳥刺しがまろやかに溶け合う UNDER THE WILLOW kitchen@三軒茶屋Umebachee という名のそれこそ夢のような酒池肉林(ここで言う肉はもちろん新鮮な鶏肉のことです)(タケウチカズタケは芹のおひたしに悶絶していたようですが、僕は一見シンプルな唐揚げの未だかつて食ったことないディープインパクトな美味さに昏倒しました)(何あれ)

だったのですが

なごやかなふれあい

そんなこんなで夜通したいへん愉しい時間をすごし、朝方ふらふらと帰宅してマンションの裏口から入ろうと扉を開けたところ、いるはずのない門番に出迎えられて心臓が止まりそうになりました。




※朝7時前です

人がまだすやすやと寝入る日曜の朝っぱらからこんなところでなぜガメラに出くわさなくてはならないのか、しかし見つけて拾い上げても何しろ朝だし、日曜だしで僕としてもどうにもしようがありません。そのうち飼い主なり誰かなりが起き出してきて気づくだろうということで、とりあえずガメラを扉前から隅っこに誘導するわたくし。


それでまあ、狐につままれたというか亀につままれたような面持ちのまま、部屋に帰って風呂に入って昼を迎えてオントローロの受付も済み、夕方ちょっと家を空けるとき通りがかるとすでに姿は見えなかったのでどうやらぶじ保護されたらしいと安堵していたらその翌日……


2015年9月13日日曜日

「オントローロ 04」受付開始のお知らせ


オントローロ 03&04 @渋谷 Flying Books
03:2015/10/11(日) SOLD OUT
04:2015/10/25(日) 
open: 19:00 start: 19:30
fee: ¥2,500(1ドリンク付) 各40名


※「03」と「04」の内容は100パーセント同じです。

※仮に完売となっても、何らかの事情で撤回される場合があります。その際はPeatixの表示が「販売終了」から「チケットを申し込む」に戻りますので、ときどきチェックしてみてください。

※ちょっと保留にしたい人はログインして「ウォッチリストに追加」がオススメ!


「オントローロ」とは「よむ(読/詠)」ことに主眼を置いた僕個人の、そしてほぼ個人的なことに終始するライブプロジェクトです(もうちょっと補足した説明はこちら)。古今東西の書物に囲まれながら、何なら一杯きこしめしつつ、まろやかなひとときをお楽しみください。すこしでも多くのみなさまとここでお目にかかれることを願って。

2015年9月11日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その225

何が出てくるかわからない自販機


くるみ割り人情さんからつい先日届いたばかりの質問です。ちょっと感慨深いものがあったのでお答えしましょう。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)


Q: イゴールは山羊ですか?


いただいたメールには「美味しい目玉焼きの作り方(※1)を調べていたらいつの間にかムール貝博士の言行録に迷い込み、昨日詩人の刻印(※2)を購入するに至りました。」とあって、いやまったく、人生いつどこで何にぶち当たるかわからないものですね。

しかし考えてみれば以前にも「土木関係の仕事で万年塀(※3)を検索した結果オーディオビジュアル(※4)を買うことになった」というたいへんアクロバティックな邂逅を果たしてくれた方がいらしたくらいなので、驚くにはあたらないのかもしれません。僕としても自身の活動そっちのけで万年塀の話をしたりフライパンに卵を落としたりしてきた甲斐がありました。出会ってくれてありがとう!そしてようこそ、色とりどりの雑草が元気にはびこるウェブの孤島へ!ごちそうできるものと言ったらそれこそ目玉焼きくらいしかありませんが、どうぞゆっくりしていってください。

※1:ぶっちぎりのアクセスをほこり、このブログの存在意義を根底から塗り替えてしまった目玉焼きについてのエントリはこちら
※2:2枚目のアルバムです。
※3:万年塀についてふれたエントリはこちら
※4:3枚目のアルバムです。

さてイゴールとはもちろん、詩人の刻印に収録されている「アンジェリカ」のキャラクターです。当ブログの閑古鳥コンテンツピス田助手の手記でも重要な役回りを演じています。

彼が山羊であるかどうかについてですが、目があって鼻があって耳があって口から声が出る四本足のほ乳類という点ではたしかにそっくりです。一方、サイズや骨格はおろかそもそもDNAからまるっきりちがうので、どこが似てるんだと言われればどこにも似ているところはありません。かつて彼が働いていた浦安に果たして山羊が生息しているかどうか、そのあたりもひとつの判断基準になってくるでしょう。

ただ、幸いなことにお持ちの「詩人の刻印」には脚注も含めてその正体がかなり明確に記されています。せっかくなのでこの機会にぜひブックレットから裏ジャケットのちょっとしたイタズラまで、目を皿にして読んでみてください。いろんな発見があるとおもいます。いえ、本当に。


A: 見ようによっては山羊のようなものと言えなくもありません。


しかしなぜ山羊なんだ?


質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その226につづく!

2015年9月9日水曜日

「オントローロ 03」受付開始のお知らせ

降り止まぬ天水をかきわけながら、ざんぶりざんぶりと小舟でお迎えにあがりました。


オントローロ 03&04 @渋谷 Flying Books
03:2015/10/11(日)
04:2015/10/25(日) (9/13より受付)
open: 19:00 start: 19:30
fee: ¥2,500(1ドリンク付) 各40名


※「04」の受付は9月13日(日)からになります。

※「03」と「04」の内容は100パーセント同じです。

※仮に完売となっても、何らかの事情で撤回される場合があります。その際はPeatixの表示が「販売終了」から「チケットを申し込む」に戻りますので、ときどきチェックしてみてください。

※ちょっと保留にしたい人はログインして「ウォッチリストに追加」がオススメ!


「オントローロ」とは「よむ(読/詠)」ことに主眼を置いた僕個人の、そしてほぼ個人的なことに終始するライブプロジェクトです(もうちょっと補足した説明はこちら)。古今東西の書物に囲まれながら、何なら一杯きこしめしつつ、まろやかなひとときをお楽しみください。すこしでも多くのみなさまとここでお目にかかれることを願って。

2015年9月7日月曜日

ふたたび極上の鳥刺しについて話そうの巻

さてみなさま、今週末9月12日(土)の深夜三軒茶屋にて、「おいしい鳥刺し feat. ニワトリもびっくりの濃厚ライブ&トーク&DJ」な鶏LOVEイベント、UNDER THE WILLOW chicken、もといkitchenがございます。お知らせがないことを悟られまいとして日々そっちに気を取られつづけた結果、肝心のお知らせを忘れていたわけではもちろんありません。


2015. 9. 12 土曜深夜
深夜のUNDER THE WILLOW kitchen
@三軒茶屋 Umebachee
OPEN 23:00
MUSIC CHARGE 1,500
LIVE: タケウチカズタケALI-KICK
DJs: ALI-KICK小林大吾Killy Gackley

前回も熱弁をふるった記憶がありますが、いまいち伝わりきらなかった気もするのでここはひとつまったく同じことをまるで今日初めて言うかのように申し上げましょう。

(フェードイン)……というので僕もご相伴にあずかったところ、想像をはるかに上回る衝撃の美味さだったため、急遽「むしろ鳥刺しがメインでいいんじゃないの」ということになりました。ふだん口にしている鶏肉が近所の遊び友だちなら、ここで出会えるさまざまな種類の鳥刺しは高貴な気品を身にまとい、舌の上にレッドカーペットが敷かれるような正真正銘のセレブリティです。とにかくこの鳥刺しを多くの人に味わってほしい。そしてその味わいをより豊かにしてくれるようなライブまである。最高じゃないですか?




大まかに言うと、座敷で鳥刺しに舌鼓を打つ合間にライブをしたりレコードを回したり気の向くままに喋ったりしながら鳥刺しに舌鼓を打つ、そんなイベントです。僕も鳥刺しをつつきながら好きなレコードを回したり回さなかったりする係を担当しています。


そして今回はとくに、カズタケさんがいて、ALIくんもいるわけだから必然的に、「タマフルの一番長い日」から生まれたあのアンセムが聴けるかも!


2015年9月4日金曜日

KBDGプレゼンツ「オントローロ 03 & 04」のお知らせ

そうは言っても涙なしには語れない先日の大団円(当社比)から2週間足らずだし、夏は終わらず秋も来ずで、なんやかや言いつつもまだしばらくは寝そべって鼻をほじっていてもバチは当たるまいと高を括っていたら豈図らんや、次回の受付が数日後と聞かされて寝耳に水をバケツで食らう与太郎ぶり、しかし考えてみれば後手も唐突も専売特許でむしろ熟れてベテランの風格、手遅れにかけては右に出(ようとす)る者がないほどだから今さら慌てふためくには及ばない、と落ち着き払って濡れた犬よろしく頭をふりふり申し上げますと、ついこないだ締め切りのように過ぎ去ったばかりの泡沫独演会、オントローロが何食わぬ顔でしれっと舞い戻って参りました。

※そもオントローロとはなんぞやな御仁はこちらのエントリをご覧ください。


オントローロ 03 & 04
@渋谷 Flying Books

03 2015/10/11(日)

04 2015/10/25(日)
以下、両日とも同じ
open:19:00 start:19:30
料金:2,500円(1ドリンク付) 各40名

受付開始は「03」 9月9日(水)の正午から、「04」 9月13日(日)の正午からです(諸事情あってすこし前倒しになります)。最新のエントリに専用のリンクを貼りますので、今日のところはひとまず日程と「へー、あるんだ」ということだけ心に留め置いてもらえればとおもいます。

ともするとパタパタやってきそうな閑古鳥を箒で叱々と追い払いつつ、僕も床を掃いたり、椅子を拭いたり、知らぬ間に打ちこまれていた藁人形を地面に叩きつけたり、「来る」と「来ない」を花びらで占ったり、服のしわを伸ばしたり、どうせすぐ伸びるヒゲを今から剃ったり、髪をポマードで固めてみたり、固めるほど長くないと洗い流したり、てるてる坊主をこしらえたり、バナナはおやつに入るかどうか相談したり、いしきりさんへのお百度参りを検討したり、お客さんの数を十進法ではなく二進法で数えたらすごいいっぱいに見えることに気づいて膝を叩いたりしながら、おおむね神頼みで臨む予定です。

しんしんと深まる秋の夜長に、どうかご一緒できますように。

2015年9月3日木曜日

東京五輪のエンブレムをこしらえてみた

もろもろの現状を考え合わせた結果、不死鳥のごとく甦る意味でも、また仕切り直しという意味でも、東京五輪のキーワードは再生だなという結論に至りました。


しかし「再生ボタンです」「前回は録音ボタンでしたよね!」とおもったことをそのまま口にするとうまくいくものもいかなくなるので、プレゼンの際は熱く拳をかざしながら「未来に進むイメージです!」「朝焼けに浮かぶ富士山を白のシルエットで表しています!」と言い張るのがよいとおもいます。


図解

2015年9月1日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その224


ダルマさんが胡乱ださんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)


Q: 当方理系の大学院の研究室に所属していますが、イメージ通り女性が少ないのです。そのコミュニティの中では先輩後輩同期からギャグで研究室のアイドル、姫として扱われているのですが、自分がそんな扱いを受けるほどに顔面が優れていないことは自覚しています。モテるって一体何なんですかね?とりあえずまだこの状況を楽しんでていいんでしょうか?


これがもし男性からの質問だったら、雪見だいふくをしこたま投げつけてふて寝するところですが、女性ということでいくらか客観的に考えられそうな気もするのでお答えしましょう。

まず先に「この状況を楽しんでいてよいのか」について言うと、「もちろん大いに楽しんでください、このすっとこどっこい」がファイナルアンサーになります。はっきり申し上げておきますけれども、どんな理由であれ周囲からちやほやされる環境はどんぐりみたいにそこら中ころころ転がっているようなものではありません。世の中には舞踏会に行けずじまいのシンデレラ的日々を送る人だってすごく多いことを、ここは胸に留めておくべきです。

また、これはあくまで個人的な印象ですがこのモテには、女性が少ないことを踏まえたうえで自らその道を進むと決めたことへの敬意と感謝が含まれているような気もします。「砂漠に潤いをもたらしてくれてありがとう」というようなことですね。女性はどうか知りませんが、一般的な男性にとって女性とはやはり花であり、オアシスであり、下手をすると神です。ただそこにいるだけで、ご自身がおもうよりもはるかに多くのものを彼らに与えている、と考えてまずまちがいありません。したがってそもそもこれは、姫のほうから遠慮するような話ではないのです。

一方でひとつ考えたいのは、「なぜ優れた顔面を持ち出さねばならんのか」という点です。なるべく忘れるよう日ごろからせっせと努めていたのに、そんなこと言われたら僕だってイヤでもじぶんの優れていない残念な顔面を思い出してしまうじゃないですか?思い出したら思い出したでくよくよするし、すごろくで振り出しに戻されたような気になります。もはやサイコロを振る気にもなれません。

優れた顔面はそれほどモテに必須な要素なんだろうか?

そんなことはありません。なんとなれば、僕でさえライブ後にちやほやされてびっくりしたことがあるからです。過去形なのが事例の少なさを如実に表して切ない気もしますが、それはさておき彼らは僕の顔面を観にきたわけではない。ですよね?でも複数の好意を受け取ることがモテだとすれば、明らかにこのケースもその一例です。

誰か別の人にまちがわれていたのかもしれませんが、それだと僕も立つ瀬がないので、ここでは仮に「声だけならイケメンなのにね」とある種の含みを持ってよく言われる地声のためだったとしましょう。いずれにしてもここには優れた顔面と同じく、モテを考える上で見逃せないポイントがひとつあります。それはモテの対象となる部分が、文字どおりその人の「部分」にすぎない、ということです。当たり前と言えば当たり前だけど、すべてを知り尽くしたうえで受け入れてもらっているわけではまったくない。もてはやす人にとって重要なのはあくまでその部分であり、全体ではありません。そればかりかその部分は、女子力高いとかステータスとか、計算や受け取る人の解釈によって生み出されたものの可能性さえあるのです。極論するなら、その人がその人であることすら、モテにとってはあまり関係がないということになります。

ゆえにこう結論づけることができましょう。モテとは、人が思い描く虚像への好意を「代わりに受け取る」ことである、と。受け取れるときは受け取ったらいいし、受け取れないからといって嘆くようなことでもない。街頭で配られるポケットティッシュと同じです。

すくなくとも僕はこの理屈によって、「あ、それならそんなになくてもいいや。ふー」くらいにはきもちを落ち着かせられるようになりました。何と言ってもそうおもえることが重要なので、理屈が正しいかどうかはこの際問題ではありません。

そしてお断りしておかなくてはいけないとおもいますが、もちろん僕はダルマさんが胡乱ださんがシンプルに人から愛されるチャーミングな女性であることを疑いません。にもかかわらずこうした着地になっているのは、ここがパンドラ的質問箱だからです。僕に訊いたのが運の尽きとおもってあきらめてください。


A: 街頭でティッシュを人よりも多くもらうようなことです。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その225につづく!