2018年12月11日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その291


ふくらはぎだるおさんからの質問です。(ペンネームはご自身でつけられています)


Q: 大吾さんのアルバムを年代順に聴いてると確実に表現力が増していっているのを僭越ながら実感します。新しい「処方箋」などは本当に素晴らしいと思います。そこで質問ですが、朗読の練習は日常的に行なっているのですか?行なっているとすれば詩を朗読する上でなにか気をつけていることなどあるのでしょうか、よろしければパンドラ的質問箱で扱っていただけると嬉しいです。

あと僕はコーヒーが好きなのですが、夜に飲むと眠れなくなります。でも夜のコーヒーはチルな感じで大好きなんです。どうすればいいですか


僕はたしかに今も細々と活動をつづけていますが、しかしその細々ぶりたるや、場末のさびれた商店街の片隅にぽつんと残っているちいさな煙草屋でうたた寝しながら店番をしているおじいちゃんみたいなものなので、過分な賛辞をいただくとビクッとしてうろたえてしまうところがあります。

おまけに最後にリリースしたアルバムがすでに4年かそれ以上前ときているので、これは本当に最近の質問なのか、数年前のものを引っぱり出してきたのではないのか、なんならぜんぶ自作自演ではないのかとじぶんでじぶんを疑う始末です。

ちがいます。これは本当につい最近いただいた質問です。その証拠に新しい処方箋について触れてくれています。そうなると残る可能性は自作自演ですが、そんな攻めの姿勢があるのならとっくの昔にそうしているし、そうであったためしなどかつて一度もないことは火を見るより明らかです。

なのでここは、もはや失われつつあるある種の尊厳を取り戻してくれたハートウォーミングな一通であると結論づけて先に進みましょう。ふくらはぎだるおさん、どうもありがとう!

朗読の練習を日常的に行っているか、ということですが、結論から言うとまったく行っていません。まったくというのは文字通りまったくであって、すこしとかときどきを四捨五入してゼロにしているのではなく、始めからゼロです。

もちろん、だからといって何も考えていないというわけではありません。どうしても考えざるを得ない状況というのがときどきあって、そういうときは本当に寝食を忘れて向き合います。そうした状況のひとつが、ライブアクトです。

どうしたら最後まで飽きずに楽しんでもらえるだろうとか、リーディングに何ができるだろうとか、要するにそういうことですね。とりわけ2年つづけた独演会「オントローロ」では、何度来ても楽しんでもらえるようにということをつねに考えていたとおもいます。

そのうえで改めて気をつけたいと今もつくづく思い知らされるのは、「朗読には聴き手がいる」ということです。当たり前と言えば当たり前だし、もっと言えば朗読に限ったことでもないですが、これを意識するのとしないのとでは天と地ほどの差があります。そして誤解をおそれずに言うなら、それがすべてです。

言葉の選び方とか、滑舌とか、声色とか、個別の要素はいくらでもありますが、そのどれもが「聴き手がいる」ということのためであって、すべてそこに含まれてきます。もっと上手く読めるようになりたいとおもうし、実際そう言ってもいるけれど、それも結局「聴いた甲斐があったとおもってもらいたい」というきもちの裏返しです。というか、そうでないならわざわざ人に聴かせる意味も、人前に立つ意味もない。ですよね?

また、その「聴き手」には自分自身も含まれます。じぶんが客としてじぶんのパフォーマンスを観たり作品を聴いたりしたときに楽しめるかどうか、ということですね。正直たのしめたことはまだないけど、その視点があるのとないのとではやっぱり違ってくるんじゃないかなとおもいます。

と、あまり積極的に活動しない僕が言うこと自体、ちゃんちゃらおかしい気もしますけど、だからこそなおのこと、やることが昔と寸分違わず同じなら今も人前に立つ資格はないとじぶんを追い詰めているようなところがあります。そりゃ消極的にもなるわいと逆ギレする所以です。

もうひとつ、夜のコーヒーについてですが、僕はもうかれこれ数十年飲みつづけているせいか、就寝前にゴクゴク飲んでも直後にスヤスヤ寝ています。逆に言うと僕の場合、眠気覚ましにカフェインは微塵も効きません。

なので、体への影響を気にせずにせっせと飲みつづけていれば、夜に飲んでも平気で眠れるようになります。実際のところ効いてしかるべきカフェインが効かないのは肉体的に決して好ましい話ではないとおもいますが、それはまた別の話なのでまた別の機会に考えましょう。


A. 自分自身を含む、聴き手の存在を意識するように心がけています。コーヒーは飲みつづけるとカフェインが効かなくなるので、夜のんでもスヤスヤ眠れます。




質問は10年たった今でも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その292につづく!

2018年12月8日土曜日

真っ暗な電車と新しい棘、ぶりしゃぶ、丹下健三、切り込み接ぎとミカンの神様、その他もろもろについて考えるネロ少年の事後報告


そんなわけで先週末は、とこうしてのんびり振り返ることができるのも多くのミュージシャンとちがって普段はほとんどそういうことをしようともしないただのおっさんだからこそですが、御大タケウチカズタケの相伴で松山と宇和島、そして大阪を回ってまいりました。


出発当日、カズタケさんと合流するまさにその途中で電車が止まり、フッと照明が切れ、しばらく異様な静けさに包まれたときは多難な前途を暗示するようで言い知れぬ不安におののいたものです。何がこわいって、そうそうあることじゃないのに乗客の様子が微塵も変わらないことがこわい。



僕はこれまでずっと、そしてよほどのアクシデントでもないかぎりこれからもずっと、ライブを積極的に避けていくであろう性分なわけですけれども、それでもタケウチカズタケという百戦錬磨の凄腕プレイヤーといっしょにステージに立てることのありがたさとその類稀な幸運は身にしみてよくわかっています。耳を傾けてもらえるリーディングのありかたについて今も考えていられるのは、ひとえに彼がすぐそばで変わらずに支持してくれているおかげです。



とりわけこの3日間はほぼすべての時間と行動を共にしていたこともあって、僕がいま発揮できる力を余すところなく引き出してもらえたんじゃないかとおもいます。そんなひとときを一緒にすごしてくださった皆々さま、本当にありがとう!見てもらえてよかったと心からおもえる3日間でした。



松山では数年ぶりにDJ TOKNOWと再会してカレー食って丹下健三のちょっとした話なんかも聞けた(!)し、宇和島ではぶりしゃぶというディープインパクトな美味もご馳走になったし、大阪では気づいたらもう3度目になるグッシン(THE GOOD THING)のみなさまにそれはそれは温かく迎えてもらえたしでまったく、何度でも言いますが思い残すことは塵ひとつありません。



セットリスト的には数年ぶりに書いた新しい一遍なんかもありましたが、それよりもやはり、ビート抜きでカズタケさんのピアノと合わせた「棘/tweezers」に感慨深いものがありました。手漕ぎボート(Mother Tereco ver.)や処方箋(THE 3 ver.)につづく、今度はかれこれ15年越しのアップデートです。

こんなことができる日がくるなんて想像もしてなかったし、イメージ通りにきちんと披露できたことも胸に迫るものがあります。聞いてくれてありがとう。

コパルさんかっこいい写真をありがとう!

さすがに今年はちょっと意図せず人前に出すぎた感があるので、今はただただ、ルーベンスの絵の前でパトラッシュを抱き寄せるネロ少年のように穏やかな心持ちでおります。


2018年11月10日土曜日

シンギュラリティという概念からわたしたちの未来、もしくはタイルがどうあるべきか改めて考えさせられる話


やぶからぼうに何ですが、創元社やさしく知りたい先端科学シリーズのカバーデザインとイラストを昨年から担当させてもらっているのです。

なぜそんな大事なことをこれまでここで触れてこなかったかといえばもちろん、うっかりしていたからとかそういうさもありなんな理由ではなく、いえそういう側面が絶対にないとはたしかに自信を持って言い切れない、というかだいたいいつもそうじゃないかと言われればまったくもってそのとおりで返す言葉もないですが、ともあれそのシリーズ3作目となる「シンギュラリティ」がこのたび11月14日にめでたく上梓の運びと相成りました。


「シンギュラリティ(技術的特異点)」とは、人工知能の驚異的な発達によって人類がその手綱を捌けなくなり、文明の発展を担う主体が人類から人工知能に取って代わられる、そのタイミングのことを言います。具体的には2045年ごろがひとつの境目になると考えられているようです。

本書では世界がシンギュラリティに至るまでの道筋と、その結果もたらされると考えられる未来の在り方についてとてもわかりやすく解きほぐしてくれています。そしてまた、全世界に数百億もの熱狂的なファンを持つ、あるいはそうだったらいいなと夢見ている安田タイル工業の専務と主任が、音もなくひっそりと全国流通デビューを果たしています。



箸でつままれた餃子らしき物体も含めて、ここにあるのはかつてたしかに描かれ、今も根気よく探せばみつかるものばかりですが、言ってみればなくても大勢に影響はない刺身のつまみたいなものであり、多くを語ることでもありません。なんといってもこれはシンギュラリティという高度な概念からわたしたちヒューマンビーイングがこの先どうあるべきかを改めて考えさせられる人類必携にして必読の一冊であって、安田がどうとかタイルがどうとか、そんなちまちまとした些細なことはきれいさっぱり脇にうっちゃり、ご一読をおすすめする次第です。

さらに世界への理解を深めてくれるシリーズ1作目「ベイズ統計学」、2作目「ディープラーニング」もよろしくおねがいします。


2018年10月25日木曜日

タケウチカズタケと小林大吾で行く四国と大阪ぶらりくつろぎの旅3日間●小粋なライブ付き●


どういうわけかこのところ、ぽつりぽつりと「お仕事を依頼してもよいのですか」というありがたいお問い合わせをいただいて、言われてみれば日ごろから「お仕事のご依頼はこちら」的なことをあまりアピールしていない、あるいはどこかでしたかもしれないけど本人が覚えてないくらいには少なかったと、十数年ぜいぜいと喘ぐようにやってきて今ごろ気づいたのです。

お仕事はもちろん、町内のドブ掃除から両親を安心させるために連れていく婚約者のフリまで、できそうなことはだいたい何でも24時間承っております。婚約者のフリをするにはやや薹が立ちすぎてむしろご両親を困惑させるかもしれませんが、愛があればそんなことは問題ではありません。

そこそこ得意な分野という気がしていた「言葉とそれにまつわる諸々」についてはそういえばあまりお仕事をいただいたことがないので、ひょっとしたら生き方を根本からまちがえていたのではないかと近ごろは反省しきりですが、そのあたりも今までずっとそうしてきたように概ねハッタリでどうにかなるとおもいますので、なんなりとお気軽にご相談くださいませ。

dr.moule*gmail.com(*を@に)


さて、それじゃ本題にと向き合いかけてふと Solo Solo Solo TOUR 2018 最後の3日間をまったく振り返らないまま2ヶ月が経過していることに気づきましたが、それはまあそれとして、最近のKBDGはほぼこの人のおかげで成り立っていると申してもまったく過言ではない御大タケウチカズタケとお話していたら、何の話をしていたのだったか、とにかくこう、ポロリと切り出すのです。

「宇和島行かへん?」
「なんでですか?」

カズタケさんからこう話を振られた時点でなんでもへったくれもないと言えばないのですが、それでもなぜと問い返さずにはいられないあたりに僕の、それがライブであるかぎり迷うことなく二の足を踏む徹底した姿勢がよく表れています。

そこに理由はありません。いや、ちゃんとした理由があったような気もするけれど、あろうとなかろうと同じことです。やるとなったら雨が降ろうと槍が降ろうと、火の粉が降ろうとコーヒーフロート、それはもう否が応でも真っ正面から向き合わなくてはならないのです。一般的なミュージシャンが一ヶ月にこなすライブ数が数年分に相当する僕としては、こないだのツアーで残りの寿命を使い果たした気でいたし実際そうなので、今回は完全に死後の話ということになります。

おまけにカズタケさんと2人ということは、いつになく自分の出番が長いということです。僕がそれを望むかどうかはこの際脇に置くとして、仮に望んでもなかなか得られないひとときであることはまちがいないので、お近くのみなさまはどうかどうか、足をお運びくださいませ。


そうだ、宇和島いこう「タケウチカズタケと小林大吾」の3日間

HIPHOP/HOUSE界隈で活躍するキーボーディスト/音楽プロデューサー、タケウチカズタケ。トラックメイクからグラフィックデザインまでも自ら手掛けるHIPHOP以降の吟遊詩人、小林大吾。両者それぞれのソロパフォーマンスや、2人が共に生み出した楽曲披露、よもやま話までをひっくるめてお届けします!

11/30(金) 松山 Caezar
ADV. 3,000円 DOOR 3,500 ※それぞれ1drink付
20:00~24:00
089-932-7644

12/1(土) 宇和島 booby
ADV. 3,000(1D別) DOOR 3,500(1D別)
OPEN 19:00 LIVE START 20:00
0895-49-2352

12/2(日) 大阪南船場 the good thing
ADV. 3,000 DOOR 3,500 ※それぞれ1drink付
OPEN 18:00 LIVE START 19:30
06-4704-8708

※より詳細な、最新の情報はこちら!



2018年8月12日日曜日

リアルタイムというのはある種の呪縛であること


新聞を読んでいると、あれ?とおもうことがあります。

そこに書かれている話題を、すでに知っているのです。

ことによるともうだいぶ前から知っていて、そういやそんなことあったなあ、としまいかけた記憶を引っぱり出すくらい遠ざかってしまっている場合もあります。遅いなとおもう。まあ、そういう時代です。スピードだけならネットで流しそうめんのように流れてくる一口サイズの情報をすくいあげるほうがよっぽど早い。

それでも僕が新聞を読んでいるのは、自分にとって守備範囲外の情報を雑多に取りこむことができるからです。ネットが流しそうめんなら、新聞は幕の内弁当みたいなものですね。べつに好きなおかずでもなかったけど食べてみたら意外と美味かった、みたいなことが往々にしてあるし、その経験がまた別の知識に結びつくこともあります。この「べつに気にしてなかったおかず」的な情報は言ってみればノイズみたいなものなんだけど、経験上、ノイズは多ければ多いほど自分のなかにあって気づかずにいた点と点が線になりやすいのです。線は交わっていずれ網となり、より多くのものが引っかかるようになります。

だからまあスピード感はそんなに重要ではないとおもうんだけど、考えてみればこんなエクスキューズみたいな物言い自体、スピードに一定の重きを置いていることの裏返しではないのかという気もします。

ひょっとしたらじぶんで考えているよりも情報のスピードに囚われているのではないのか?そりゃ早いにこしたことはないとおもうけど、早いからなんだというのか?世間に遅れずにすむだけじゃないのか?遅れたらなんだっていうんだ?遅れたことで後ろ指をさされるというのなら、これまでの人生だってずっとそうだったじゃないか?

リアルタイムの呪縛です。そうでないからといって困ることなど何ひとつないのに、そうあるにこしたことはないと考えてしまうのなら、それが呪縛でなくて何でしょう。ここは声を大にして言わなくてはなりますまい。実体のない空虚な呪縛など、むき終えたバナナの皮といっしょに捨ててしまうがいい、と。

とまあそんな次第でリアルタイムとかそんなものはまるっと蹴り飛ばし、ちょうどぴったり30日前の話を昨日あったことのようにしますけれども、椎名純平、タケウチカズタケご両人のご相伴に与り、平生めったに人前に出ようとしないKBDGがどういうわけか短期間で数年分のライブをこなす驚異(当社比)のSolo Solo Solo TOUR 2018、5日目となるPOWERS2@元住吉はたいへんな盛況のうちに幕を閉じました。おいでくださった多くのみなさま、どうもありがとう!



当日はあまりの熱気で頭がまっ白になっていたのか、それとも今この時点で単純に1ヶ月すぎているせいなのか、あんまりよく思い出せませんがとにかくわーっとなってドカンとくる失神不可避のハッピーな惨事だったことだけはたしかです。僕は僕で案の定やらかす安定のポンコツぶり、ツアー限定のアルバム「3」にいたってはなぜか来場者数よりも多くの枚数が売れるという、そう聞いて思わず聞き返してしまったささやかな奇跡もありつつ、ツアーの折り返しとしてじつに申し分のない、むしろ身に余るすてきな夜であったと申せましょう。そんなこと言ってホントにおぼえてんのかよとか、そんな野暮を言ってはいけない。


POWERS2にはこれまでにも何度か足を運んでいて、雰囲気が良いばかりかゴハンがめちゃめちゃ美味い、もう1回言いますけどゴハンがめちゃめちゃ美味い、なのでイヤでもみんな好きにならずにいられないあの空間で自分がステージに立つ日がくるなんて、しみじみ感無量です。あの場所で観てもらえて本当によかった。ありがとうありがとう!

とまあ、そんな話を今ごろになってしているのは、ともすると当人たちもうっすら忘れかけているSolo Solo Solo TOUR 2018 のクライマックスが、2週間後に迫っているからです。

ツアー最後の3日間は豊橋、名古屋、敦賀の計3箇所を巡ります。


8/24(金)@豊橋 輪 -RiN-
LIVE: 椎名純平、タケウチカズタケ、小林大吾
Opening Act:  cheat Jam Direction
Open19:30 LIVE Strat20:00
2,500円+1d500円
ご予約、お問合先:FreeStyle BAR? 輪-RiN-
〒441-8012 愛知県 豊橋市愛知県豊橋市羽田町86
080-8264-4558

8/25(土)@名古屋 千種 喫茶モノコト
Open18:30 LIVE Strat19:30
ADV. 3,000+1Dオーダー(¥500)/ DOOR 3,500+1Dオーダー(¥500)
ご予約、お問合先:喫茶モノコト 070-6411-7531
名古屋市千種区内山3-28-1ちくさ正文館2F
monokotoakichi@gmail.com

8/26(日)@敦賀 tree cafe
Open18:00 LIVE Strat19:30
Charge 3,000
ご予約、お問合先:tree cafe 0770-21-3033
〒914-0056 福井県敦賀市津内町1丁目3−5


日ごろ穴ぐらで息をひそめている僕としては永遠にも感じられた8日間も、これが最後です。ふだんは帽子なので気づかれませんが、すでに前半の5日間で「うわっなんだこの白髪!」とおもわず声を上げてしまったほど、髪が白くなっています。

したがってこの次がある保証は、といってもそんなものがあったためしはかつて一度もないのですが、まったくありません。冥土の土産においでませ!

2018年7月11日水曜日

Solo Solo Solo TOUR 2018 を終わってないのに振り返る話


言語に絶する未曾有の雨をおもえば西への旅を無邪気に振り返るのもいささかためらわれるものがあるのだけれど、それでも夢を見ていたようなあの4日間を忘れることはできないし、いただいた多くのきもちに心からの感謝をこめて少しばかり記しておこうとおもいます。

椎名純平、タケウチカズタケご両人のご相伴に与り、平生めったに人前に出ようとしないKBDGがどういうわけか短期間で数年分のライブをこなす驚異(当社比)のSolo Solo Solo TOUR 2018、6月末から7月頭にかけての4日間はその前編として神戸三宮、大阪南船場、広島福山、兵庫加古川に行ってまいりました。おいでくださった多くのみなさま、どうもありがとう!



初日となる金曜の夜、三宮Chelsea de Rumbaはサイズ感といい雰囲気といい、とにかくラブリーな空間だったことと、お客さんがすごく楽しんでくれたことだけは鮮烈に覚えているのだけれど、なにしろ初日でいきなりHPを使い果たしてしまったこともあって記憶に霞がかかっています。写真もリハのときしか撮ってませんでした。でもたくさんお話できてよかった!そしてTRINCHTシャツを着てくれてると一目で味方とわかるのでとても助かります。ありがとう!

あとお店の隅で売られていた雑多なレコードのなかに寺尾聡の "Reflections" をみつけて、買って帰るか迷いました。



2日目は大阪、去年もお世話になった南船場のTHE GOOD THING、通称グッシンです。ここもホントに大好きで、去年もお見かけしたお顔とまた再会できたりするとさすがに僕でも帰ってきたようなきもちになりました。今回もっとも多くの土地から集まってくれたのがこの日です。北は秋田から、富山、金沢、長野、三重、翌日広島なのになぜか愛媛、大分の人も来てくれて感無量というほかありません。あと、興味ないだろうとおもって誘いもしなかった古い友人がしれっと来ていて呆気にとられました。いいやつだ。


ちなみにこの日もらった最高の感想は、小学生男子が僕をみて発したらしい「これは国語や!」という一言です。




3日目の広島、とりわけ個人的に印象深かったのが福山SO-S DINERです。具体的にどうというのはちょっと言葉にしづらいのだけれど、多くの人にというよりは本当に必要とする人が手にしてくれたらいいと昔も今もおもっていて、それがたしかに届いたことを心から実感したのがこの夜だったのかもしれません。初めての土地ということもあるにせよ、行ってよかったとしみじみおもいます。声をかけてくれてありがとう。

マンションの最上階に引っ越してきたミュージシャンの図


SO-S DINERも夜景が映える秘密基地みたいな雰囲気で最高だったし、ライブ中はボルテージもえらいことになってうっかり火を点けたら全焼しそうでした。


純平さんとカズタケさんがホテルに戻ったのは翌朝7時だったそうですが、そそくさと解放してもらっていた僕はとっとと起床してホテルの朝食をひとりモグモグ食ってました。



そして最終日の加古川、花茶茶花は以前からカズタケさんに絶対好きだからと言われていて、いざ降り立ってみたら案に違わぬ極上の空間で、どこを切り取っても絵になるもんだから、帰って確認したら花茶茶花の写真だけで十数枚ありました。例によって肝心なときの写真は皆無ですが、せめてそのキュートすぎる雰囲気をお楽しみください。





特筆すべきことがあるとすれば、出番が終わったらぜったいにマイクのスイッチを切るようにと固く言いつけられていたにもかかわらずすっかり忘れて引っ込んでしまい、カズタケさんのライブ中にハウりまくって渾身のパフォーマンスを台無しにするという、いま思い出しても申し訳なさで胃がキリキリと痛むちょっと大きめの失態がありましたが、それをのぞけばこの日も本当に素敵な夜でした。

さらにはこんな途方もないサプライズまで……!美しすぎる!



加えてこの日はワールドカップにおける運命の一戦だったため、言うまでもなくお二人はお酒を手に朝まで鑑賞コースです。いいかげんぶっ倒れる寸前でまっすぐカプセルホテルにインした僕をのぞく全日本人が固唾をのんだ試合の驚くべき顛末を知ったのは翌日の夕方でした。


とまあこんな次第でとにもかくにも希有な数日間、何度も重ねてしまうようだけれど、本当に本当にありがとう!

まだ半分のこっているかとおもうと気を失いそうになりますが、5日目となる次回は今週13日の金曜、@元住吉POWERS2です。すでに満員御礼が確定している(!)というたいへんありがたい知らせを受け取りつつ、まだ若干名はいけるとかいけないとかな感じなので、よろしければおいでませ!


2018年7月6日金曜日

椎名純平+タケウチカズタケ+小林大吾= The 3 によるオリジナル曲2編(歌詞)



track 03. 36th stratagem


脳裏をよぎる
走馬灯のよう
どうもこうもない
脇目もふらずに
Let's go……

包囲網の
向こうに行こう
もう二度とない
たぶん空前絶後

寄り添うように歩みをそろえて
日々はめぐりやがて立ち返る
誰が気にするだろう?
今ここにあるより前の季節を

包囲網をスルーする走為上
不条理の向こうに行こう
Let's go……

寄り添うように歩みをそろえて
日々はめぐりやがて立ち返る
誰が気にするだろう?
今ここにあるより前の季節を

脳裏をよぎる
走馬灯のよう
どうもこうもない
脇目もふらずに
Let's go……

包囲網の
向こうに行こう
もう二度とない
たぶん空前絶後


包囲網をスルーする走為上
不条理の向こうに行こう
Let's go……



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track 05. 時巫女ノ森/the woods


夜よりも黒い森
人さらいの巣食う深い闇
足下でひそひそとまたたく
こなごなにくだけた光

かけらをひとつ拾い上げる
手からこぼれる(try again)
忘れられたいつかの祈り
あるいは星くず
(whichever you like)

I'll find you time after time……

タン、タタンと刻むように
乾いた音で踵を鳴らす
時の踊り子、この森の巫女
余韻に揺れるささめきの向こう

誰も待たずに
何も追わずに
ひらひらとゆらめいてここで
タン、タタンと
今も昔も、これからも

I'll find you time after time……

知らぬ間に塗られた色に
倣う理由なんてないのに
今はいとおしい、そんなアイロニー
ゆっくりと顔を上げて前を見る

夜よりも黒い森……

足下でひそひそとまたたく
かけらをひとつ拾い上げる
手からこぼれる(try again)
忘れられたいつかの祈り
あるいは星くず
(whichever you like)

I'll find you time after time……

知らぬ間に塗られた色に
倣う理由なんてないのに
今はいとおしい、そんなアイロニー
ゆっくりと顔を上げて前を見る

知らぬ間に塗られた色に
倣う理由なんてないのに
今はいとおしい、そんなアイロニー
ゆっくりと顔を上げて前を見る

タン、タタンと刻むように
乾いた音で踵を鳴らす
時の踊り子、この森の巫女
余韻に揺れるささめきの向こう

誰も待たずに
何も追わずに
ひらひらとゆらめいてここで
タン、タタンと
今も昔も、これからも

I'll find you time after time……



2018年6月11日月曜日

TRINCHセール夏だよTシャツ編2018のお知らせ



例によって例のごとく、といつもなら冷や汗とともに始めるところですがさにあらず、実際こんなに首尾よく告知できたことが果たして今まであったかどうか、今年はたまたま前夜に気づいたので胸を張って堂々と鼻息も荒くお知らせです。

KBDGグラフィックの総本山、TRINCHのTシャツが明日から月曜までの7日間、全品1,000円OFFになります。キャッホー!


TRINCH

対象期間:6月12日(火)12:00 〜 6月18日(月)18:00
割引額:Tシャツ1点につき1,000円OFF

そんなわけでそれでなくとも30種類ちかくあるTシャツをさらに5点、追加しています。個人的なイチオシは「2人暮らし専用マンション『パートナーズ』の間取り図」です。ワニの頭をした小娘もかわいい。





しかしTRINCHって何だっけ?と眉間にしわをお寄せになるのもムリはありません。小林大吾は周囲に人が見当たらないというたいへん切実な理由からグラフィックまで手がけざるを得なくなった詩人ですが、このグラフィックの側面のみをまるごと切り抜いて独立させたのがつまり、TRINCHです。基本的にはKBDGのことなどご存じなくとも楽しめるように配慮しつつ、アルバムをお持ちの方ならそのスピンオフとしてより一層お楽しみいただけます。せっかくなのでとりあえずズッキュン(商品画像の右上にあるハートマーク)だけでも100回くらい押しておいてください。

※前回同様、セール時のテキストをまるっとサンプリングしています


2018年6月8日金曜日

ツアー限定アルバム「the 3」のこと、ならびにツアーってなんだよ先に言え的なSolo Solo Solo TOUR 2018のお知らせ


こまめに発信していれば3つか4つに分けられたのに、例によって忘れていた分を全部まとめたためテキストがちょっとやそっとではとても読み切れない嫌がらせレベルの膨大な量にふくらんでいることを先にお詫びいたします。


イベント会場で手に取るグッズというのは、何であれ心浮き立つ特別なものです。

かく言う僕も先日、中野ブロードウェイで開催されていた「マカロニほうれん荘」の原画展にいそいそと足を運んだ際、これたぶんじぶんでもつくれるなとか身もふたもないことを考えていたにもかかわらず、「うるさい!今いるここで買うから意味があるんじゃ!」と脳内でひそひそささやく理性陣を蹴り飛ばしつつ、かろうじて残っていたマグネットとか缶バッジなんかをわりといい値段でばしばし買ってきたものです。


だいたい後日秋田書店のホームページでも通販されるとわかっていてこのありさまなのだから、ましてや会場限定のグッズともなれば何をかいわんやと申せましょう。その特別感は何物にも代え難い。

それでおもいだしましたが、ここ数年アートワークを手がけさせてもらっている椎名純平さんの、これまたライブ会場限定となるアルバムが今年も先月の後半あたりから、純平さんの出没するそこかしこでお目見えしています。


これはまだ現物が手元にないため、数日前TBSラジオ「アフターシックスジャンクション」通称アトロクのスタジオライブに純平さんが出演された際、数少ないコネクションを乱用して撮ってもらった回りくどい1枚ですが、それはさておきこの「Life I Live」は前2作とはまたすこし趣が異なる極上の作品に仕上がっているのでぜひライブ会場で髪をひっつかんだり足をふんづけたりしながら他のお客さんたちと奪い合ってください。

それでまあ話を戻すと、というか戻るも何もまだ話を始めてすらいない気もしますが、そんなこんなで今月末からカズタケさんと純平さんにご一緒させてもらう Solo Solo Solo TOUR (注1)でもせっかくだから何かこう、ちょっとしたものを用意したらどうだろうという話になったのです。

注1:そういえば告知していなかったことにここで気づきました

ちょっとしたものというのはたとえばライブ音源であるとか、既発曲の別テイクであるとか、あるいは未発表曲であるとか、そんなようなことですが、カズタケさんや純平さんとちがって僕にはそんな気の利いたものは一切手元にないし、何ができますかねえ、とあれこれ相談しながらこつこつかき集めてみたところ、おもっていたよりも良いものになりそうな気配が漂いだし、こうなるとCD-Rではなくきちんとプレスしたほうがいいような気がし始め、待ってくださいプレスするならパッケージもきちんとデザインしたほうがよくないですかと僕が言い出し、とはいえ時間もないのでサクッとばりばり仕上げた結果、こうなりました。


01 the 3's intro
02 注射器とカセットテープと公魚釣り (Kaztake RMX)
03 36 stratagems
04 真珠貝亭の潜水夫たち (rebuilt)
05 時巫女ノ森/the woods
06 Hot Water Pressure Washer (the 3 version)
07 処方箋 (rebuilt)
08 the 3's outro

ここは声を大にして言わなくてはなりますまい。純平さん、カズタケさんのファンは言うに及ばず、全国に30人くらいはまだいてくれてるはずのKBDGファンにとってもこれは、問答無用で必携の1枚です。

理由その1:
カズタケさんのビート、KBDGのリーディング、純平さんのコーラスという構成で去年のツアー時に披露され、タイトルも決まっていなかった新曲が「時巫女ノ森/the woods」と新たにタイトルを冠して収録されています。イメージがくるくるとループする、かなりステキな一編です。

理由その2:
KBDGが書いた詩(日本語)を純平さんが歌う、という初めての試みが今年の新曲として収録されています。3曲目の「36 stratagems」がそれです。カズタケさん渾身のビートだけでも相当カッコいいのに、純平さんの歌が入ったことで「めちゃ化けた」、まちがいなく本盤のハイライトです。

個人的には聞き流すと外国語のようにも聴こえる、というか歌うとあまり日本語に聴こえないような音ばかり集めて構成した詩にも注目していただきたい。

理由その3:
リリースから8年たった今、新たに録り直したことで最終到達点とも言うべきバージョンに仕上がった「処方箋/sounds like a love song」が収められています。当時このクオリティで読むことができていればあんな恥ずかしい思いをしないで済んだのに!と地団駄を踏まずにはいられない完成度です。ふつうに読んでいるようでかっちりとリズムに絡み合うリーディング+音楽の神髄がここにあります。これに関してはもう、断言していいはずです。

さらに素敵なビートと詩のギャップが大きすぎてもったいないからこれやめたほうがよくないですかと撤回を促さずにはおれなかった「注射器とカセットテープと公魚釣り(Kaztake RMX)」があり、これも去年ツアーで披露して「処方箋」と同じく録り直した「真珠貝亭の潜水夫たち/pearl divers」の酔いどれバージョンありと、見方によってはほぼKBDG祭りと言えなくもないことになっています。


こんな形で現在のKBDGをお届けできることになるなんて、ツアーが決定した数ヶ月前には想像もしておりませなんだ。どうかどうかどうか、この希有な一枚のためにもみなさま、Solo Solo Solo TOURに足をお運びくださいますように……!!


そして改めて、何から何まで話の順序がしっちゃかめっちゃかなことに我ながら驚かざるを得ませんが、今月末からツアーにまいります。5箇所が決定したあとに「やっぱり名古屋もやらへん?」というカズタケさんの一言からさらに3箇所が追加され、計8箇所です。

8箇所……。

カズタケさんや純平さんはともかく、僕に関してはこれまでのライブ密度からしてこれが見納めになる可能性も否定できません。ぜんぶ終わったら衰弱して死ぬんじゃないかとおもう。

刮目あそばせ!


椎名純平+タケウチカズタケ+小林大吾
SoloSoloSolo TOUR 2018 summer

椎名純平(Dezille Brothers)とタケウチカズタケ(A Hundred Birds/ SUIKA)、キーボードその他諸々を駆使した、SOUL/HIPHOPを飲み込んだそれぞれ独特のソロパフォーマンスに、唯一無二の詩人・トラックメーカーの小林大吾が加わる「Solo Solo Solo TOUR」が再び開催!椎名純平の歌声、タケウチカズタケの唸りを上げる鍵盤、加えて、小林大吾の詩の世界、トークも含めて、たっぷりお楽しみ頂けます!

6/29金 神戸三宮Chelsea de Rumba
6/30土 大阪南船場 THE GOOD THING
7/1日曜 広島福山 SO-S DINER
7/2月 加古川 花茶茶花
7/13金 元住吉POWERS2
8/24金@豊橋 輪 -RiN-
8/25土@名古屋千種喫茶モノコト
8/26日曜@敦賀tree cafe

チケットの予約、お問い合わせ等、すべての情報が集約されたページはこちら! →http://www.kaztake.com/7433/

このへんまでくるとさすがに読み飛ばされそうなので二度記しますが、チケットの予約、お問い合わせ等、すべての情報が集約されたページはこちら! →http://www.kaztake.com/7433/


お い で ま せ !