2008年6月30日月曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その60
日曜日はなぜかぶったおれて1日眠っておりました。最初に起きたのが午前9時。次に起きたのが午後3時。次に起きたのが午後8時です。この時点で1日がほぼ終わっています。どれくらい寝すぎると病気と認定されるのか、さいきんはそのボーダーラインを知っておきたいとおもうようになりました。うまく言えないけど、僕の場合は知っておいたほうがいいような気がする。
あと正体はわからないんだけれどなんだかひどく恐ろしいものに追いかけられる、こわい夢をみました。でもいい年こいて「こわい夢みた」と人に話すのもどうかと思うので、ひっそりと胸に秘めておくつもりです。
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禁じられたナスビさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。どうもありがとう!
Q: 前々から気になってはいたんですけど、僕が知らないだけなのかもしませんが、前から向かってくる人がいて、自分は前に歩いていて、ぶつかりそうになった瞬間、右に避けようとしたら、向こうが左に避けようとして。またその逆をやって、っていう一連の動作あるじゃないですか?
あの一連の動作って日本語にまだなってないんですか?
大人になるまでのあいだに誰もが一度は経験する、あの忌々しい瞬間のことですね。ぜったいにわかってもらえるはずだから、なんとかしてその状況を簡潔かつ的確に伝えたいんだけれど、いざ伝えるとなるとたしかにまどろっこしいです。どうせみんなわかってるなら、むしろ話さなくてもいいじゃないかという気もしてきますけど。
しかし、うーん。順当に考えるなら、これは「あいこ」でいいんじゃないかと僕はおもいます。同じ手をくりだす、という意味では「千日手(将棋の禁じ手)」という言葉も使えそうだけれど、これはわかりづらいし、どこか専門用語っぽくてインテリ臭が鼻につきます。言われても「ふーん」というかんじで同意もしづらい。
その点、「あいこ」はちびっこにもわかってもらえそうだし、語感にも親しみやすさがあってなかなか良い気がします。(「出会い頭」と「あいこ」をかけて「であいこ」という造語も思いついんたんだけど、あまりに野暮ったいうえに恥ずかしいので、くしゃくしゃに丸めて投げ捨てました)
あるいは…こんなふうにも考えられませんか?
あなたは道を歩いている。あなたのルートをふさぐようにして、前方からひとりこちらに向かってくる。あなたは彼を避けようとして、ルートをほんの少し右に逸らす。すると相手も同じことを考えて、自分のルートを左に逸らそうとする。ふたりがとった行動は互いに真逆で、ある意味正しい。あなたは右に逸れ、彼は左に逸れたのだから。しかし残念ながら、互いに真逆の行動をとったまさにそのことによって、ふたりのルートはばっちり交差してしまう。互いが互いの道を完全にふさぐ格好になるわけだ。当然、あなたはそれを反射的に回避しようとする。とっさに右から左へと舵をきる。しかしそれは相手も同じであって、避けたつもりが結局また道をふさぐ羽目になる。右へ動けば相手もそちらへ。左へ動けば、相手もそちらへ。まるで鏡だ。やれやれ、まいったな、というふうにこちらが笑えば、相手も笑うんじゃないだろうか?だとすれば、ひょっとしてこちらが右手を上げれば、向こうも左手を上げるかもしれない。その場でくるりとターンをすれば、相手もターンをするかもしれない。なるほど、となるとこれはやっぱり鏡だ。あなたはいつの間にか鏡の前に立っている。いつの間に?それはわからない。たしかにさっきまで道を歩いていたはずなのだけれど、気がつくとバスルームで鏡の前に立ち尽くしている。鏡に映っているのはあなた自身であり、あなたはそれがまるで自分ではないかのように、さまざまなポーズをとりながら本人確認をくり返している。しかしなぜ鏡の前に立たなければならないのか?そこに文字があるからだ。ふつうは鏡に文字なんて書かない。だからこそあなたはそれに目をとめて、読もうとしていたのだ。鏡の表面、よく見える位置に口紅で書いたと思われる深紅の文字が4つ。…「サ・ヨ・ナ・ラ」。
なんてこった、こりゃ「ルージュの伝言」じゃないか!
A: しかってもらうわ、ダーリン!(荒井由実)
あれ?何かがどこかですり替わってますね。おかしいな。どこで道を踏みはずしたんだろう?
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dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その61につづく!
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