2008年6月18日水曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その57
ipodが電話になった今でも僕はポータブルCDプレイヤーを愛用しているのだけれど、今日それがこわれました。くるくる回りもせずに「No Disc」と表示されるのです。そのやる気のなさは何ごとだ。寝言はくるくる回ってから言え!
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靴下がぜんぶ片方しかない…さんからふたつめの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)いったい何だってこんなペンネームをつけたんだ、博士は?
Q: 私は今年浪人してるんですが、あんまり勉強に必死になれません。どうしたら良いですか?
「どうにかしなくちゃとは思ってるんだけど、なかなかできない」という状況はもちろん僕にもよくわかります。ツラいですよね。うっかり人に相談しても、「まあ、でもやるしかないよな」と通り一遍のことを言われるくらいが関の山です。そんなこたぁこっちだって百も承知なんだよ!
…なんてとても言えない。「そうですよね。やるしかないですよね」と力ない笑顔をいったいこれまでにどれだけ返してきたことだろう?なんだか逆に僕が相談してるみたいになってきたな。
こういうことを人はあんまり言ってくれないけれど、「放棄」という、どんな選択にも必ず存在する究極の選択肢もあります。それを選ばないためにはどうしたらいいかと考えるのが人としてごく自然な流れであるならば、選択肢としてまず絶対にあるんだから、あえてそれに手を伸ばすのだって同じように自然な行為です。少なくともこれまでにあったいくつかの局面で、僕は「放棄」を選択しています。当然それは褒められたものでは全然ないし、大抵の場合は後悔の種にしかなりません。へたをすると自虐が芽を出して絶望の花さえ咲きかねない、100パーセント負の遺産です。
しかしまあそれでもこうして、どうにかこうにか生き存えているから、なるようにはなるみたいです、どうやら。僕がふだんから「後悔をしない」ことよりも「後悔を手なずける」ほうに比重を置いているのはたぶん、そのためだとおもいます。それがいいことなのかどうかはまた別の話ですけど。
だからあんまり気にしないで、いざとなったら全部捨て去ってオホーツクへ行こう、とかそういう話ではもちろんありません。「必死になったほうがいいのではないか?」という不安をうまいこと言いくるめて取り除こうとしているのです。必死になれば結果が出るというものでもないしね。なるようにしかならないし、ならなかったらならなかったでどうにかなります。受験なんて、今後の人生において立ちはだかる壁の厚さにくらべたら、ベニヤ板みたいなものですよ。
さて、不安の種を半ば強引に取り除いたところで、今度は勉強に対してなるべく前向きに取り組む方法を考えてみましょう。
勉強を実験の一環としてとらえる、というのが僕の提案です。たとえば綾小路きみまろを聴きながら勉強する場合と、牛スジを大鍋でぐつぐつ煮込みながらそのそばで参考書をめくる場合、あるいは1日パンツをはかずにせっせと問題を解く場合とでは、はかどり具合にどれくらいの差があるものなのか、その日ごとにこまかくノートに記録していくのです。ある程度まとまってきたら折れ線グラフにするのもいいですね。ジャグリングしながら暗記した日の数値が異常に跳ね上がってるとか、ハムスターを丸めながら計算式にとりくんでもあまり効果がないとか、結果に意外な差が出てくるとよりモチベーションアップにつながります。また反対に、結果にそれほど差が出ないのであれば、それまでの行為をさらにエスカレートさせてみればよいのです。数メートルあるフライパンでギネス級のパエリヤをつくるとか、全裸になるとか、そのへんのさじ加減はどうにでもなります。
荒唐無稽なことを言うようだけれど、記憶というのは何か別のものと結びついたときにこそ、より強く印象づけられます。数年後にどこかで牛スジのにおいを嗅いだら、ふとあのとき読んでいた参考書の何ページ目がフラッシュバックするとかね。そういう経験って、だれでもひとつは持っているはずです。なんとなく、「なるほどなあ」という気になってきたでしょう?
A: みずからモルモットになって実験をかさねる
栄光は目の前です。がんばってください。
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そういえばベニヤ板のベニヤってなんだ?
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その58につづく!
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2 件のコメント:
ベニヤは木材の単板の事を指すみたいです。
http://www.enjyuku.com/d2/he_007.html
分かった様な、分からない様な
でも、丸はぎベニヤという単語はステキだと思います。
たしかに、わかったようなわからないような気がしますね。どうもありがとう!
丸はぎベニヤという単語は僕もすごく素敵だとおもいます。ふつうの人にはそういう話をしてもたぶん理解してもらえなさそうですけれど。通ですね、jさん。
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