2008年3月11日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その34


フルーチェを食わず飲みこむ伊豆の踊り子、略してフルリコさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)芭蕉のパクリですが、字余りです。



Q: ボクにとって2007年ベストアルバムは詩人某の「詩人の刻印」というアルバムなのですが、大吾さんのベストアルバムはなんでしたか?アルバムじゃなくてもいいです。あ、いや、音楽じゃなくてもいいです。



「詩人の刻印」が年間のベストというのは、スゴいですね。どうもありがとう!生きているといろんなことがあるものだなあ。

質問ですが、するとこれは森羅万象まるごとひっくるめた「2007年のベスト」ということでよいでしょうか。こんな大まかな話もないとおもうけど、切り口としてはかなり意外だしおもしろいのでいくつか並べてみましょう。

1. ×××の肉
2. キンコンではなくコンキンと鳴る振り子時計
3. J-WAVE
4. 富士山と月食
5. Jerline & Friends "Best Of Friends"
6. 灯台守の話
7. 落下するトイレの照明(危険)
8. とあるメジャーアーティストのオフィシャルウェブサイト

思い出しながら書き上げてみたけれど、だいたい順位どおりです。アルバムも1枚入ってますね。では8位からちょっとずつ解説していきましょう。8位ってまた中途半端だな。

(8)は、僕がトップページを手がけたwebデザインのお仕事です。とある事情からフラインスピンの面々や古川Pにさえそのアーティスト名を明かしていない極秘ミッションであります。べつに戒厳令が敷かれているのではなくて、単に僕が話したがらないだけなんだけど、何しろフリーとはいえ野外ライブに2万人を動員したそうだから、その名を明かさないほうがよっぽどもったいないくらい有名な人です、おそらく。この先こんなお仕事は二度とないんじゃないかという気がします。忘れたいような、忘れてしまうのは惜しいような。でも言えない。

(7)は、トイレの天井が雨漏りで腐って照明が配線ごと落ちてきた、というだけの話です。直すとなると改修に近い大工事になるらしいので、今もぶら下がっています。どう考えても危険なんだけど、もう慣れました。

(6)は、待ちに待ったジャネット・ウィンターソンの新刊ですね。訳者の岸本佐知子さんも、僕にとってはその名があるだけで信頼できる翻訳家のひとりです。

(5)は、あ、これアルバムですね。そっか、じゃこれベストアルバムになるんだろうか。でもリイシューというか、お蔵入りになっていた音源の復刻なんですよね。シカゴの大物プロデューサー、Clarence Johnson(大好き)と長きにわたって手を組んでいたJerline Shelton というソングライターが70年代後半に手がけた唯一のリーダー作です。

去年発売されたアルバムでよく聴いていたのは、Ledisi の "Lost And Found" です。あとPercee P の "Perseverance" もよかった…けどそういえばそういう話、聞かないな。

(4)、富士登山はフラインスピンレコーズ無茶部による部活動のひとつです。富士山の中腹で見た月食の一部始終は、人生観を変えかねない衝撃的なビジュアル体験でした。もう二度とこんなシチュエーションで見ることはないかもしれないと思うと、なおさらです。

(3)のJ-WAVEは…言わずもがなですね。

(2)は、去年もっとも大笑いした事件です。あれほど笑った記憶って近年ほとんどありません。どのみちその可笑しさを文章でなんて再現できないのであきらめますが、シチュエーションからタイミング、そしてその結末まで、すべてが完璧に揃った奇跡的な事件でした。現実世界で頭に金だらいが落ちてくるのと同じくらいのインパクトです。この思い出は、大事にしたい。ウチの時計の話ではありません。

問題は(1)ですが、これはとある水生ほ乳類の肉です。文字にすると「キャー!」というかんじになるのであえて表記を避けました。茨城の港で切り身としてふつうに並んでいた事実がまず信じがたい。市場のおじさんに調理法を教わってわりとおいしくいただいたけれど、これもこの先、一生口にすることはないでしょう。クジラのほうがおいしいし、それ以上にどうもチリチリとした疑念が未だにぬぐえません。分厚い体皮を記念にとってありますが、すっかりひからびてプラスチックみたいになりました。良し悪しではなく、これはもう100%、衝撃度に限った話です。


というわけで2007年のベストは



A: ×××の肉です。



核心にふれてないことばかりで何だかすみません。そもそも聞きたかったのはそんなことではないとお叱りもうけそうですが、いつものことと言えばいつものことなのであんまり気にしないでください。

そんなフルリコさんが選んでくれた1曲は、「腐草為蛍」です。どうもありがとう!まさかここにきて1票が入るとおもいませんでした。うれしいです、すごく。

ボート 7
蝸牛 7
バミューダ 6
話咲く 5
紙屑 3
ユリイカ 3
アンジェリカ 2
腐草為蛍 2


 *


質問もそろそろ尽きるので、質問以外でいただいたメールにぽちぽちと返信していこうとおもっています。なかなかお返事できなくてごめんなさい。ぜんぶ大事にとってあります、もちろん。


dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その35につづく!

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