2009年3月26日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その87


カピバラまくらさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)ふかふかしてきもちよさそうですね。



Q: ダイゴさんは、知人の鼻から鼻毛がでていたらどうしますか?何とか相手に恥をかかせずに、伝えてあげたかったんですけど。。。何か、うまい方法はありませんか?



鼻毛のふるまいによってボーナスの査定が変わるわけでもないだろうし、禍根としてのこるような話でもないから、そっとしておいてもいいような気がするけれど、社会の荒波をせっせと漕いですすむためにはそういうわけにもいかないんでしょうね。


あらためて考えてみるに、ここで気になるのは鼻毛の出ている相手(仮にH氏としておきましょう)が、どこに恥ずかしさを覚えるかという点です。

1. 鼻毛が出ているという事実そのもの
2. 人にそれを見られること
3. 知人にそれを指摘されること

H氏がその事実に気づかないかぎり、基本的に世界はとても静かです。鼻毛が出ているからといって声を上げて笑うバカもいないだろうし、それを見たからといっていつまでも覚えている人もたぶんいません。このさき生きていくうえで明らかに不利な条件を突如として背負ってしまったわけでもないし、何というかまあ「出ちゃった」というだけのことです。

また仮にH氏が家に帰って部屋の鏡をみたときに気づいたとしても、それほど羞恥心に打ちのめされるとはおもえません。「やっちゃった!」とはおもうかもしれませんが、打つ手としてはハサミを持ち出してチョキンとやるだけだし、たぶんそれで事は済むはずです。誰かに見られたかもしれないけれど、見られてないかもしれない。その不確定性がH氏の羞恥心をカルピスのようにうすめ、ごくごくと飲み干し、忘れることを可能にしてくれるのです。

しかしそれを知人に指摘された場合、その不確定性は一瞬にして消え去ります。先の例で言えばカルピスを原液で飲むことになるのです。何ごともなかったように飲み干すことなんてとてもできたものではありません。

言い換えるならば、H氏の羞恥心はあなたが鼻毛をみとめてしまった時点からコチコチと動き出す時限爆弾へと変貌するのです。どうにかして羞恥の種を取り除いてあげたいとおもうきもちそれ自体がスイッチになるとはまたなんたる皮肉でありましょう。思いがけず話が大事になって書いてる僕も泣きそうです。

いっぽうで、あなたがそれを目撃してしまった事実も消し去ることはできません。近しい関係である以上、それを見てみぬふりで済ますのも冥利がわるい。

ではいかにすべきか?

じつに不本意ではあるけれど、ここで思い出してほしいのはあの悪名高きブッシュ・ドクトリンです。やられる前にやれ(ネガティブ)、あるいはもらう前にふるまえ(ポジティブ)という、大国限定の超法規的論理ですね。それがどれだけ物議を醸したかはいまだ記憶にあたらしいところですが、すくなくとも対鼻毛戦略においてはかなりの効力を発揮するにちがいないし、実際それを対鼻毛に適用するとこうなります↓



A: 気づかれる前に抜け



ちなみに僕もともだちの鼻毛が出ていたら「出てる」とストレートに伝えます。恥なんて怒りといっしょでそう長持ちするものでもないしね。ともだちとまではいかない知人レベルなら、そもそも鼻毛に目をとめたりしないです。

そういえば僕自身もこないだの日曜日、御大さいとういんこに「チャックがあいてる」とみんなの前で大々的に指摘されています。いくらなんでもデリカシーがなさすぎるとはおもうけどそれはまあいつものことだし、わりと平気なもんですよ。年齢的なものもあるかもしれないし、鼻毛とチャックで恥じらいの度合いが近いかどうかは僕にもちょっとわからないですけど。


ただまあ、気づかれる前に抜くことができるならこれ以上の大団円はないですよね、やっぱり。がんばってください。



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dr.moule*gmail.com(*を@に替えてね)


その88につづく!

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