カストリ先輩の身長は160センチです。家から駅までは300メートルの距離があって、歩くと3分半ちょいかかります。時速30キロの原付でぶーんと走れば36秒です。
さて、ここでカストリ先輩がうっかり何かをやらかしてしまい、身長が1/10に縮んだとしましょう。当然歩幅も1/10になるので、単純に考えると家から駅に着くまでの時間はそれまでの10倍、すなわち36分ほどかかることになります。
しかしラッキーなことに原付も同じ1/10に縮んだため、これから駅までは原付で通うことにしました。大きさが1/10になっても原付のパワーは変わりません。いつも通り運転すればいつも通りのスピードが出ます。時速30キロで走れば、駅までの所要時間は36秒です。
あれ?とここで僕はおもうのです。
160センチのカストリ先輩にとって、原付の速さは徒歩の6倍です。しかし16センチに縮んだカストリ先輩にとって、原付の速さは徒歩の60倍になります。
気になるのはここでの「体感速度」です。これは身長が160センチあって時速5キロで歩く通常のカストリ先輩にとって、時速300キロというF1並みのスピードで爆走するのと同じ感覚なんだろうか?それとも、時速30キロの感覚はやっぱり時速30キロのままなんだろうか?
徒歩のテンポや原付の速度は同じなのだから、端的に言ってこれは「時間」の問題です。でも全く同じルートで所要時間が大幅に圧縮されたとき、僕らはそれを「時間が短くなった」と感じるだろうか?むしろ「速度が上がった」ように感じるんじゃないだろうか?
しかしそれにしても体感とはいえ時速300キロというのはいくらなんでも速すぎる気もするのです。その理屈でいくと法定速度でのんびり走る原付でもF1並みのドライビングスキルを必要とすることになります。後方からサイレンを鳴らしながら追いかけてくる白バイなんか感覚的には時速600キロくらいのスピードになる計算です。
時速600キロと言ったら日本のリニア新幹線か、ジェットエンジンを積んだ弩級のモンスタートラック "Shockwave" の最高速度と肩を並べるレベルですよ!
いや、そんなはずはないな。そんなはずはない。"Shockwave" でさえ走り出したらパラシュートを使わないと止まれないのに、時速600キロで走る白バイが落ち着いた調子で「はい、じゃそこの路肩に寄って」とか言いながらふつうにブレーキでキュッと止まるのはさすがに平仄が合いません。
だとするとこれはやっぱり錯覚なんだろうか?でもふだん歩いて30分以上かかるところを、数十秒で到達したら「うおお!めちゃ速い!」と運転しながら叫びたくなりそうなもんじゃないか?いや、もちろん時速で言ったら30キロの超安全運転……
……安全?
そもそも身長16センチの人間にとって時速30キロは安全な速度なのか?F1並みの体感スピードを安全と言っていいのか?よく考えたら家から駅に行くだけなのに、そのたびに極限のデッド・オア・アライブを繰り返してたら体がもちそうにありません。体のサイズに合った適切な体感速度で走るとしたら、えーと、1/10だと時速3キロでいいのかな。時速3キロというとたしかジュゴンの泳ぐ速度がそれくらいだったとおもうけど、それだとまたずいぶんのったりした印象です。果たして時速3キロの原付に乗る意味はあるのか?
とまあ、そんなようなことを暇と暇の間に悶々と考えつづけて答えが出ないまま、気づいたらかれこれ2週間ちかくがすぎようとしているのです。
3 件のコメント:
体が十分の1になったということは、体感距離が10倍になるわけですから、家から駅までの3kmを約36秒で移動すると考えると凄い速さですね。体感速度はやはり300kmぐらいですね〜。ちなみにミニ四駆って平均時速は30kmぐらいだそうですよ。こういう事を考え続けるのは、私は好きですね〜^ ^
原付のホイールサイズが1/10で速度が30km/hのままだとパワー(回転数)は10倍のはずなので、モンスターマシンを操縦している感じなのだと思います。
そう考えると、体のサイズのわりに結構な速度で飛んでいる虫たちってすごいですね。ぶつかっても平気なのかしらって思います。
> チムチムチェリーさん
なるほど、ミニ四駆と考えると
F1並みのスピード感もしっくりきますね。
ていうかミニ四駆ってそんなに速かったんだ……
> 匿名さん
回転数、たしかにそうですね!
とするとミニ四駆はやっぱりモンスターマシンになるのか……
虫はまあホラ、重さで言ったらふわっとしてますから。
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