2015年5月12日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その210

警察署の真正面がこんなんなってたら何があったとおもうよね、それは


ジャン・リュック・権田原さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q: もうすぐ20歳だというのに、未だにガキが好きそうな映画ばかり観ています。好きな食べ物はオムライスとグミです。お洒落な大人になるにはどうすればいいですか?


高校生のころの話ですが、べつに恋仲でも何でもない女子(たしか年長の彼氏がいたはず)と「ベティ・ブルー」というフランスの恋愛映画を観に行ってたいへん気まずい思いをしたことがあります。ググってもらえればわかるとおもうけど、すこぶる退廃的で愛欲に爛れたヘビー級の作品です。ラブというにはあまりにハードだし、人生の苦みを知ったいっぱしの大人ならともかく、溌剌としたティーンがポップコーン片手に鑑賞するような映画ではまずありません。いったいどんな経緯で恋仲でもない同級生とそんなものを観ることになったのか、ぜんぜん思い出せない。おぼえているのは観終わったあとの言葉にならない戸惑いだけです。

また同じころ、仲の良かった男子と連れ立って「紅の豚」の封切に足を運んでいます。僕も観たかったし、じっさい観てよかったし、今もジブリのなかでは好きな作品なのだけれど、エンドロール後にふと隣の友人を見やるとスクリーンを見つめたまま帰ろうとする気配がなく、しかたがないのでシートに身をうずめていたらそのまま次の上映に突入してしまい、こっちはこっちで「なぜ帰らないんだ」と言い出せず、けっきょくフルで2回観ることになった、これもまた忘れられない映画のひとつです。彼がジブリを好きなのは知っていたけれど、まさか連続で2回観るのがデフォルトだとは夢にもおもわなかった。

この対照的なふたつの映画体験と現在の僕とを照らし合わせてみて言えるのは、鑑賞する映画の種類とお洒落な大人との間には当然、まったく、些かも関連性がない、ということです。もし何らかの因果関係があるなら、今ごろ僕は酸いも甘いも噛み分けたシルブプレな大人か、でなければブタになっていなくてはなりません。

オムライスやグミにしたって好きなものは好きなんだから堂々としていればよろしい。問題があるとすればむしろ抱える必要のない引け目を抱えることのほうだと僕はおもいます。「ベイマックス」だって大人向けでは決してないとおもうけど、最高だったじゃないですか?

では肝心の、お洒落な大人になるにはどうすればいいかですが、それはお洒落な大人に訊いてください。ただ仮に首尾よくいったところでその先に待つのが「ちょいワルおやじ」「やんちゃジジイ」なのだとしたら、果たして本当にその甲斐があるのかどうかをもうすこしよく検討してみてからでもおそくないですよ。


A: お洒落な大人などくそくらえです。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その211につづく!


2 件のコメント:

しろふわこ さんのコメント...

ベイマックス。あれは最高でしたね!私が夢と冒険の大切さに気づいたのは35を過ぎてからです。
オントローロ楽しみにしております〜。

ピス田助手 さんのコメント...

> しろふわこ

大人になってからのほうが
冒険の甲斐も大きいですよね。
僕もお会いできるのをたのしみにしています。
いつもありがとう!