となりのトンポーローさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)ジブリは関係ないですが、いったんこれで歌ってしまうとその先ずっとトンポーローから抜けられなくなるので気をつけてください。
Q: 植木鉢が余っているのですが何を植えたらよいでしょうか?
植木鉢って余るものなんですね。何となくそれは「スイッチがひとつ余ってるんだけど何につなげようかな」みたいなかんじでちょっと新鮮に聞こえます。そんなことないですか。
僕自身は植木鉢を活用したことってほとんどありません。いつだったかふと、苔でも育てようという気になって取り組んでみたことがそういえばあるけれど、何しろ「たまには布団でも干すか」くらいの軽いモチベーションだったから、案の定うまくいきませんでした。未必の故意によるネグレクトと非難されてもしかたがないとおもう。
花といえばある若い奥さんが「植えてもすぐ枯らしちゃうんですよね」と首をかしげるのでよくよく聞いたら花に水をやっていなかった、というギョッとするような話をどこでだか読んだことがあります。「お花ってお水をあげるものなんですか!」と逆に驚かれたそうだけど、ちょっと時をさかのぼれば「最近は米を洗剤で洗おうとする人がいる」と嘆かれた時代もあったくらいだし、そういうものなのかなという気もする。そのへんのことをつつき出したら、僕だって塩漬けのわかめをカットせずにそのまま味噌汁にぶちこんでえらい目にあった若かりし頃をおもいださずにはいられません。経験値の不足はときとして命にかかわることもあるという、あどけない一例です。それにしてもとりとめのない話ばかりしているな。
植木鉢に何を植えたらよいかとのことですが、余っているということは最低でも2つ以上を所有しているわけですよね。植えること前提でお考えの点からして、わりと日ごろから草花に親しんでおられるものとお見受けします。となれば植木鉢が2つで全部ということもなさそうです。窓辺やベランダにはきっと四季折々の彩りがほころんでいることでしょう。あるいはもっと実用的に、ちいさな菜園をこしらえているかもしれません。すくなくともすでにある程度の経験値をお持ちであるとは申して差し支えありますまい。
僕が言いたいのはひょっとしたらこれが、大抵の草花あるいは野菜をあらかた植え尽くしてしまった上での質問なのかもしれないということです。そうじゃない可能性だってもちろんたっぷりあるけれど、仮にもしそうだとしたらあんまり適当に答えることもできません。「それ植えたことあります」とばっさりやられたら次からはもう相手にしてもらえなくなるかもしれないのです。
といって、「マンドラゴラなんかどうですか」と実在するかどうかも定かではない怪奇の植物をドヤ顔でおすすめするのも、逃げを打つようで後生がわるい。だいたい、引っこ抜いたら「ギャー」と叫ぶようなきもちわるい人型の植物を植えても、心の安らぎを保証できないという点でいささか疑問がのこります。
一般的にはあまり縁がなくて、どちらかといえば忌避されているけれど、その有用性たるやじつは驚くべきものがある、ということで挙げるなら、大麻です。大麻というのはもちろんあの大麻だし、有用性と言っても幻覚成分のことではもちろんありません。
しかし日本で大麻といったら古来その繊維は衣服ばかりか下駄の鼻緒や蚊帳などにも使われて、生活に欠くことのできなかった愛すべき植物のひとつです。最近では大麻の種子から搾った油でつくるマヨネーズが高く評価されているそうだし(→コレ)、その魅力(というか実力)は巷に流布する負のイメージを補ってもメチャ余ると断言できましょう。インド麻とちがって日本由来のそれはそもそも麻薬成分をほとんど含まない、というちょっと意外な事実も忘れてはいけません。
もっとフィジカルで健康的な使い道もあります。麻は1日に3センチと生長が異様に早いので、種をまいてその上を毎日ぴょんぴょんと飛び越えていれば、4ヶ月後には4メートルもひらりの超人的な跳躍力が自然と身につくのです。むかし読んだ忍者入門の本に書いてあったからまちがいありません。
こうしてみると、余った植木鉢の活用法としてこれほどうってつけの植物は他にないような気がしてきます。服が着れて、下駄がはけて、蚊帳が吊れて、マヨネーズが食べられて、あまつさえジャンプ力まで身につくとしたら、この他に何を望みましょう。これをオールマイティと呼ばずに何をそう呼ぶのか?
A: 大麻です。
しかしこれ、「不良だとおもっていたのに、じつはオシャレで、手先が器用で、気が利いて、料理もできて、スポーツ万能だった」みたいな話に置き換えたら途端に共感しづらくなりますね。すごいモテそうで忌々しい。
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質問はいまも24時間無責任に受け付けています。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その131につづく!
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