2025年3月7日金曜日

大慌てでひざつき製菓にZINEをお送りすることになった話


これはまあ、やはりどうあっても書き残しておかなくてはなりますまい。去年から僕もふくめてせっせとひざつき製菓のせんべい群(主に「雷光 旨塩味」)を折にふれては周囲に布教してきたうちの人が満を持して先週、同業である古書店主たちを集めて「ひざつき製菓せんべい試食会」を大々的に開催したのです。

※ここまでの経緯は以下の投稿をご覧ください。


その入念な準備といったら仕事のように抜かりなく、10種類以上のせんべいを段ボールに詰め込み、紙皿やお手拭き、お持ち帰り用のジップ付き保存袋まできっちり用意した上で、プレゼンのリハーサルまでする念の入れようです。実際にはピラニアに肉を放るような有様でプレゼンする暇なんかなかったらしいですけど。



それもこれも、主力商品である「城壁」や、うちの激推しである「雷光」が今もなかなか実店舗で手に入りづらいからに他なりません。百聞は一口にしかずです。食べてさえもらえれば絶対にわかってもらえるし、気に入ってもらえれば今後は目撃情報も得られやすくなります。

またこの試食会では、ひざつき製菓についてのZINE、略して「ひざつきZINE」が配布されています。試食会に参加するみなさまにひざつき製菓を知ってもらうための、要はプレゼン資料です。当然というかなんというか、これはうちの人のラフイメージをもとに、僕が試食会の前日にむりやり作っています。よく間に合ったものだとおもう。

ラフイメージ

完成版

ラフイメージ

完成版

そんなこんなで当日うちの人を送り出し、僕は僕でぽつねんと店番をしていたわけですが、某所で試食会が催されているその日その時間、まさにそのタイミングで1人のお客さまが来店し、慎ましやかにこうおっしゃるのです。

「ひざつき製菓と申します」


正直、僕は人生でこれほどひっくり返ったことはありません。

「坊つちやん」について語っていたら夏目漱石が来たようなものだし、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が好きだ好きだと喧伝していたらジョージ・A・ロメロが来たようなものです。こういうときっていったい何からお話ししたらいいんだろう?じつは正月に御社の工場を参拝で、あっいや今ちょうど、あのうちの人が試食会をあの神保町で、あっZINE、ZINEを作りまして、そうだ全部持ってっちゃったんだしまったー!といい歳ぶっこいた大人にあるまじき狼狽ぶりです。

聞けばうちの人の試食会のこともご存知で、SNSで店の存在を知り、出張の合間を縫ってわざわざお訪ねくださったとの由、インフルエンサーでもなんでもない単なる小市民には身に余ることで本当に言葉もありません。

本家本元のみなさまにお見せできるようなものではありませんがこれも何かの思し召し、必ずZINEをお送りしますとお約束し、試食会から凱旋したうちの人が丁寧な手紙をしたためてその日のうちにZINEを発送したという、これがこの日の顛末です。

僕は今でも「雷光 旨塩味」が1番目、「城壁 白銀の京味」が2番目に愛おしいという揺るぎない気持ちを抱いていますが、一方でセブンやファミマといったPB製品におけるひざつき製菓のアプローチがめちゃ独創的でまちがいなく推す甲斐あると本気で思っています。

インディペンデント精神に溢れ、大手には望むべくもない謙虚な姿勢、他にない大胆なアプローチを躊躇わない闊達ぶり、これがクリエイティブでなくてなんだろう。それでいていちばん美味いのがクラシックな城壁と雷光なんだから、何をか況やです。個人的にも学ぶところがすごく大きい。

せんべいの話をしているとお思いでしょうが、というか実際せんべいの話ですが、違います。せんべいに限らず愛をこめた創造性とはどういうことか、そのヒントがここにはあると、究極的には言いたいのです。

ささやかではあるけれど、まじで人生おもしろすぎる。そんなことを考えて、しみじみと感じ入る2025年です。(パリパリ)

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