信長の野暮さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 何か買おうとしてどれを買うか悩んだ場合、どうやって最終的な決断をしますか?腰痛に良いマットレスを先日買ったのですが、通販サイト・検索サイトでオススメや順位が全然違い、非常に迷いました。(最終的には同一価格帯のもので通常より安く売られてるっぽいものを選びましたが迷いは残ります)
一般的にはやっぱり予算内で最高の効果が期待できそうなコストパフォーマンスじゃないかしら、と誰でも考えそうなことを考えつつ、せっかくなので僕も腰痛にやさしいマットレスが必要であると仮定して鼻歌まじりでググってみたところ、数分で「あ、これはむりだ」と匙を投げる羽目になりました。どうにかこうにか選んでもまだ迷いが残るというそのお気持ち、今なら僕もすごくよくわかります。ググらなかったら知り得なかった深淵すぎるマットレスの世界で、たったひとつの正解をつかみ取ることなど、とてもできそうにありません。
何しろ価格や性能どころかマットレスの構造からしてバリエーションが豊富すぎるのです。コイルなのかウレタンなのかポリエチレン樹脂なのか、ウレタンを選べば今度は低反発なのか高反発なのかで分岐があるし、これらの素材や構造が体にどう作用するのかもそれぞれ違うときています。いろいろと細かく親切に教えてもらえるのはもちろんありがたいんだけれども、「自然な姿勢で眠りたい人にオススメ」とか言われても、不自然な姿勢で眠りたい人がいるのかよ!とやはりディスプレイ目がけて全力で匙を投げつけざるを得ません。
ひと昔前と違ってランキングや性能の比較がいくらでもできる時代の、そのいくらでもできることが完全に裏目に出たケースと言ってよいでしょう。正直なところ、いま僕は「もういい、おれ床で寝る」と全部うっちゃってしまいたい気持ちでいっぱいです。
ひとつに半年くらいかけて数十種類を検証しつづければそれなりの方向性とか機能のあり方なんかも見えてくると思うけど、一生かけてそんなことをしている人が現実には一人も存在しません。また仮に存在したとしても検証している間にもどんどん新製品が湧いて出てきます。賽の河原で石を積むのと大差ないじゃないですか?
これはもはや、何かを買うときの決め手の問題ではありません。無限に増殖してこちらを翻弄しまくるマットレス族の問題であり、彼らとの戦いです。群雄割拠すぎる彼らをまとめるには国際マットレス標準会議といった機関を設立し、構造と仕様と寝心地と腰へのやさしさなんかをUSB-Cのように全世界で統一するほかありません。そしてそれが望めないのならば、あくまでほどほどの基準で決めてしまっていい、というかそれしかなくない?というのが僕の結論です。
もっといいのがあるかもしれない、と思うから迷ってしまうわけですが、はっきりと申し上げて、もっといいのは確実にあります。しかしそれよりももっといいのもまた、同じくらい確実に存在します。そしてそれを延々と繰り返した結果、辿り着くマットレスはおそらく最初に目にしたマットレスです。
したがって、「同一価格帯のもので通常より安く売られてるっぽいもの」こそが実は僕らの追い求めた決め手の中の決め手であり、言うなれば青い鳥だったのだと僕はおもいます。
A. 同一価格帯のもので通常より安く売られてるっぽいものを選びます。
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その379につづく!
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