2016年9月3日土曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その254


八十日間世界一蹴さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がなんとなくつけています)


Q: ディズニーランドに行こうと誘われた時、どうやったら罪悪感を持たずに爽やかにNOと断る事が出来ますか?いつも曖昧な返事をして、相手には「あ、行きたくないんだ」と空気を読んでもらう形になってしまうので申し訳ないです。


僕は生まれてこのかた「ディズニーランドに行こう」と誘われたことが一度もないのでよくわかりませんが、なるほど、そういうこともあるんですね。僕としては「行ってくりゃいいじゃねえか」とかろやかに匙を投げてしまいたいところです。取って食われるわけでなし、たまには口笛を吹きながら蒸気船の舵をくるくる回す日があってもよさそうなもんじゃないですか?



とこう僕が言うのは何も誘ってくれる友だちがいてうらやましいからではなく、いえどちらかといえばうらやましいですけれどもそうではなく、何であれ拒絶よりも許容のほうが確実にプラスになると考えているからです。それまで避けてきた世界に飛び込むことで視野が広がるのはまちがいないし、さらに言えば心の底から楽しめる可能性も十分にある。

とはいえもちろん、人には得手不得手というものがあります。受け入れようと努めてもムリなもんはムリだし、「誰が何と言おうとあのぷりぷりした尻の動きは許し難い」というようなこともあるでしょう。僕らにはじぶんにしかわからない理由でNOを突きつける自由がある。世界を多様たらしめているのはいつだってこの「NO」です。

にもかかわらずついつい曖昧に口を濁してしまうのは、せっかく誘ってくれた相手をしょんぼりさせたくないというだけでなく、相手の好きなものを拒否することでその人自身を否定することになる、もしくはそう受け止められてしまうのではないかという心配が二の足を踏ませるからです。ですよね?

しかしだとすれば話はそれほど難しくありません。NOと言うことで相手の心がしぼんでしまうかもしれないのであれば、その分を予めふくらませておけばよいのです。ファックなのは奴らであって友人ではないこと、今ここにある友情は不変であって奴らごときに1ミリも損なわれないこと、それらもろもろの思惑をひっくるめてざっくり「あなたのことが大好きである」とこの機会に改めて表明しましょう。

実際のところそれとこれとは別であってディズニーランドに行くこととはぜんぜん関係ないような気もしますが、誰であれ好きと言われてわるい気はしないし、また嘘でもありません。そのきもちをオブラート代わりにして苦みをうまく包んであげたら、案外簡単にごくりと飲みこんでもらえるんじゃないかと僕なんかはおもいます。


A: あなたのことは大好きだけど、ディズニーはそうでもないの。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その255につづく!

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