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アポロ11個さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がなんとなくつけています)人類史上初めて月面に転がったチョコレートとその数のことですね。
Q: 前から気になってたんですけど、おじさんのくしゃみはどうして大音量なんですか?
たしかにこれも不可解に見える現象のひとつです。地球上には赤ん坊からお年寄りまで、よりどりみどりの年齢層が生息しているというのに、なぜおじさんのくしゃみばかりが大音量なのか?「よりどりみどり」の使いかたがおかしい気もしますが、まあそっとしておきましょう。
ひと昔前は僕にとっても単なるやかましいくしゃみにすぎませんでしたが、どこから見ても一分の隙なくおっさんになってしまった今、それは以前とちがって聞こえます。ちょうど、音の羅列にしか聞こえなかった外国語がある日突然すとんと理解できるようになるかんじです。音数のわりに情報量が多いのでどうしても要約になってしまいますが、翻訳できそうな例を挙げるとこうなります。
「エックシ!」(訳:おれの人生はこんなもんじゃなかったはずだ!)
「ヒッキシュイ!」(訳:ちがう、これでいいんだ!バカを言うな!)
「ヌイイッキシッ!」(訳:おれは今だって全力で走ってる!)
「フィッ……フェ……」(訳:なあ……)
「ブィエッキシャイ!」(訳:この道でまちがってないよな?)
「イイイイッキシュ!」(訳:たのむから誰か返事をしてくれ!)
おわかりかとおもいますが、これはブルースです。世のおっさんはすべからく、この手の悲哀を胸に秘めています。それは決して平坦ではない茨の道をかき分けながら泥まみれで進む魂の、言葉にならない咆哮であり、雄叫びであり、また鼓舞でもあると言えましょう。現実を噛みしめ、みずからを奮い立たせるためには、それに見合った音量が必要なのです。
A: 高度に圧縮された魂の叫びだからです。
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その253につづく!
2 件のコメント:
そんな思いが込められていたとは!これからは街中でやかましいくしゃみを耳にしても、うるさく思わずむしろ涙をこぼしてしまいそうです。
それと、年始にご報告できずにいたんですが、蟹江ウエスト商會の猿股ありがとうございました!老舗ブランドから届いたみたいなリアルさというか身近さがあってほくほくしました……!
> アポロ11個さん
そうなんです。
僕もこの年になるまで露ほども知らずにおりました。
耳にしたときはどうかそっとしてあげてください。
年賀状も手にしてくださったんですね。
こちらこそいつもありがとう!
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