2015年12月20日日曜日

フォースがなくても折れるSW的折り紙の世界

多くの人が数十年間待ちに待った挙げ句待ちくたびれて地球規模のふて寝を決めこんでいたスター的なウォーズの新章がとうとう紐解かれ、フォースに目覚めたりダークサイドに堕ちたりライトセーバーで器物を損壊したりと各地でたいへん賑やかな様子です。

僕もフォースは持っていませんが、フォースがなくても折れる折り紙の本を持っています。


主要なキャラクターが折り紙で表現できる、すごい1冊です。これさえあればスターウォーズのすべてを机上に再現できると言っても過言ではありません。さっそくハン・ソロを折ってみよう!

ハン・ソロ

ハン・ソロってこんなモノリスみたいな人だっけ……?どこかで折りまちがえたかな……とページを確認してみると


正しく折れています。

とおもったらこれはハン・ソロが「エピソード5:帝国の逆襲」でカーボンフリーズ(炭素冷凍)された名シーンの再現だったようです。たしかにハン・ソロではある。




一見するとただの箱のように見えますが、言われてみればどことなくハリソンフォードっぽい面影が感じられます。

ハン・ソロときたら次はレイア姫を折らないわけにはいきません。

レイア姫

これは何だ……?顔か……?


顔だ!よかった!そっくり!


しかしあっさりした見た目に反してやたらと手順が多く、これひとつで30分くらいかかっています。せっせと折っているときの期待値と完成後の満足度に若干の温度差を感じなくもないですが、まああまり気にしないでおきましょう。

(さらに30分経過)

(くそ、ちまちまと折りづらい)


R2-D2

R2-D2!上の2つのあとでは、ものすごくリアルです。今にも動き出しそうな臨場感と迫力にあふれています。




ボバ・フェット

ではここで、m.c.A・Tの名曲 "Bomb A Head" を "ボバ・フェット" に置き換えてお楽しみください。




ジャンゴ・フェット


ダース・ベイダー

つまんで立体感を出したり、折り目がカーブを描いたり、線のために折ったりひらいたりを十数回繰り返してからやっと本格的に折り始めたり、これまたあっさりした見た目に反してたいへん高度な技術が駆使されています。紙に線ばかりが増えて実質まだ何ひとつ折り進んでいないと気づいたときの徒労感と言ったらありません。ふと時計に目をやるとさらに1時間が経過していて目を疑います。

24の段階でまだ全部ひらいた正方形のまま


<さらに1時間経過>



ヨーダ

ヨーダです。うおお、これは完全にヨーダだ!と拳を突き上げてから、カメムシに似ていることに気づきました。



しかし1時間以上もかけて折らなくても、厚紙を切り貼りしたほうがキレイで早いのではないか……?とつまらぬ了見が一瞬脳裏をかすめます。

ここにきてさすがに埒が明かないと判断し、ミス・スパンコールに助けを求めました。せめてあとC-3POとチューバッカは折りたい。この際「どちらも紙が2枚必要で手順が50以上ある」ことなど気にしてはいられません。険しい顔つきで一心不乱に折り始めます。

C-3PO

チューバッカ


せっかくなので豆知識でも見ながら折り終わるまでしばらくお待ちください。

fold = 「折る」という意味です。
mountain fold = 山折りのことです。
valley fold = 谷折りのことです。
reverse fold = ひっくり返します。
petal fold = ツルを折るときにつかうやつです。
squash fold = ツルを折るときにつかうやつです。
sink fold = 内側に引っこませます。


<1時間経過>


「終わる気がしないぞ」
「終わる気がしないね」


<さらに30分経過>


「C-3POできた!」
「チューバッカもできた!」
「よし、見せ合おう」
「せーの!」

チューバッカとC-3PO

「チューバッカをつくれと言ったじゃないか!」
「これチューバッカだよ」
「どう見ても茶色いC-3POだろうが!」
「あっそっちこそ黄色いチューバッカ折ってんじゃん!」
「これはC-3POだ!」

そんなバカな話があるか!ちょっと貸したまえと本を奪い取って確かめたところ




51工程中47まで同じです。のこり4つの工程も腕の向きがちがうだけなので、これを差異と見るべきかどうかは賛否の分かれるところでしょう。くらりと目眩がしたせいか、どちらもスターウォーズのキャラクターというより魚屋のおじさんに見えてきます。あんなにたいへんな思いをしたのに、まさか黄色でチューバッカを折ったらC-3POになってしまうなんて……

たいへんな思いをした部分

チュー3PO

ここで、これ以上は精神的にも負担が大きすぎるとドクターストップがかかります。何しろもうかれこれトータル6時間ちかくが経過しているのです。人生において何の実りもない不毛な時間を費やすことにかけては僕も人後に落ちないとかねてから自負していますが、それにしたって限度があります。ルークはどうしたとか、ジャバザハットはどうしたとか、そんな単語はもう聴きたくありません。

成果はこちら!


こうしてみるとダースベイダーがいちばんかっこよく折れた気がする。


さて、そろそろお別れの時間です。こんなことに6時間も使うならなぜその間に映画を観てこなかったんだと悔やまれなくもないですが、それはまあそれとしてここはひとつ、例の名セリフで締めるといたしましょう。


May the Folds be with you!
(折り紙とともにあらんことを!)

1 件のコメント:

たんすのかど さんのコメント...

この話、今年一番笑いました。6時間は無駄ではないです。