2013年4月29日月曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その146、もしくはゴルゴン化粧品の拡販戦略




※ゴルゴン姉妹についてはここを参照してください。

※あと画像は本文と一切関係ありません。猫がのびのびしてるだけです。


「姉さん姉さん!」
「どうしたの」
「知ってた?」
「知らないわよ。何のこと?」
「ゴールデンウィーク!」
「ああ、そういえばそんな時期だわね」
「知ってた?」
「ゴールデンウィークでしょ」
「黄金のように光り輝く一週間なんですって!」
「そう。じゃ黄金のように光り輝く空気でも吸ってなさい」
「スーハー」
「おいしい?」
「いつもよりリッチな気がする!」
「アンタのそういうところが好きよ、あたしは」
「あっまたタバコ吸って!」
「なんだっていうの」
「けむいけむい!」
「すいませんね。せっかくリッチな空気吸ってたのに」
「体によくないって言ってるのに」
「体にいいことだけしてろってわけ?」
「それにこしたことはないでしょ」
「ファックユー」
「ひどい!」
「何なの一体?何の用?」
「え?そうそう、ゴールデンウィークがね」
「…手に持ってるの何?」
「あ、これ?
「のぼり?何でまた?」
「店先に掲げようとおもって!」
「なんか書いてある…」
「ゴールデンウィークにちなんで!」
「『ゴールゴンウィーク?』」
「すてきでしょ!」
「ちょ…」
「超?超すてき?」
「ちょっと待って。いったい何の話をしてるの」
「だからゴールゴンウィークだってば」
「…語呂おかしくない?」
「そこはご愛嬌」
「それが何なの?」
「これを店先に…」
「それはわかった」
「キャンペーンをするんです」
「たとえば?」
「試供品を配ったりするのはどう?」
「試供品て…」
「『きよ姫』とか」
一応あれ劇薬なんだけど
「ちょっとだけ!ちょっとだけ!」
「それを不特定多数の人に配るわけ?」
「この機を逃す手はないとおもうの。ひと口くらいなら良くない?」
「毒薬を?」
「イエス!」
「それ、無差別テロって言うんじゃないの?」
差別しないだけいいじゃない
「みんなが納得するならね」
「広告宣伝は必要だとおもう」
「急にまっとうなことを言わないでちょうだい」
「でも、そうでしょ」
「売ればいいってものじゃないのよ」
「何言ってるの。売ればいいってものでしょう!
「必要な人に届けばそれでいいの」
「大もうけしたい!」
「アンタは正直すぎるのが玉にキズ」
ゴールデンになりたいの!
「それはよくわからないけど…いいじゃない、ゴールゴンならそれで」
「ホントはまんざらでもないんでしょ」
「いや、あたしはゴルゴンかゴルゴーンで」
「なんでよ!せっかくゴールゴンウィークなのに!」
「黄金のように光り輝く空気でも吸ってなさい」
「スーハー」
「おいしいでしょ」
「なんかリッチになった気がする!」
「アンタのそういうところが好きよ、あたしは」




八十日間世界一蹴さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)旅になんて出てたまるか、という強い内向きの意志が伝わってきますね。


Q: このところ、朝が寒すぎて布団から出るのが臆劫でしかたがありません。気持ちよくエイヤッと起きられるコツがあればお教え願います。


そんなこんなでまたひとつ、冬が去っていきました。今や目にも派手な花々と新緑の季節です。

しかし冬はまたすぐにやってきます。何しろ去年も来たくらいです。今年もきっと来るでしょう。たまには休暇でもとって楽しんでくりゃいいのに、どうもそのへん頭が固いというか、昔気質で困ります。そのうえ春とか秋のぶんまで出しゃばろうとするから手に負えません。愛を交わす時間が長くなりすぎて、布団と僕との間にハーフが生まれたらどうしてくれるんだ?冬将軍に養育を請け負う器量はあるのか?

それにしたって夏も近づく今ごろ何だ、とおもわれるかもしれませんがそれはちがいます。季節はずれだとか手遅れだとか、そんな批判はあたらないばかりか、了見違いというものです。来たるべき日々に向けて策を講じているのだから、むしろ先取りであると語気を強めてわたしは言いたい。

まどろっこしい御託はさておき、本題に入りましょう。布団ときっぱり袂を分かつ方法ですが、これにはかつて僕自身が体を張ってためしてみたひとつの具体例があります。端的に言うと、ダウンジャケットを着て寝たのです。上着にかぎらず、頭のてっぺんからつま先まで、極地でも凍死に打ち勝つような厚着で意気揚々と就寝に臨みました。負ける気がしない、と真顔で言えたのは僕の生涯でこのときくらいです。

結果は言うまでもありません。なぜこのうえ布団をかぶらなければならないのかわからなくなり、前夜まで燃え上がっていた布団への愛は急速に冷めました。起床時のえも言われぬ倦怠感とはげしい喉の渇きについてはまだ改善の余地があるかもしれませんが、布団との関係についてのみ言えば這々の体で逃げ出したくなること請け合いです。またこのときの開放感には生への実感が伴っていたと言ってよいでしょう。きもちの良さを問われればこれも「うん、まあ、脱げばね」と認めるにやぶさかではありません。実験は成功したのです。


A: 関節が固定されるくらいの厚着をしましょう。


問題があるとすればそれっきり二度と試していないということくらいです。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その147につづく!

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