2025年6月20日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その456


いきなりステッキさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 「こんなに頑張ったのに報われない」と思った時に投げ出さず正気を保つ方法を教えて下さい。


たしかに僕らの日々は、費やした労力に対して報われないことのほうが多いですよね。え、そんなことないよ以前はわたしもそう思ってたけど諦めなければ必ず報われるから!と言う人は初めから恵まれたあちら側にいることに無自覚なので、何をしようと一向に報われない僕らの徒労など知るよしもないでしょう。

しかしがんばれば報われるという期待がそもそも人間特有の感覚であって、多くの生物にとってはそうではありません。

百獣の王たるライオンを例にとってみましょう。

王とて腹は減るので日々狩りに勤しんでいるわけですが、毎回必ず獲物にありつけるわけではありません。本気を出して、全力で向き合って、なんなら普段よりはるかに粘ったにもかかわらず、収穫がゼロの日もあります。王であるにも関わらずです。なぜ王なのに空腹をこらえているのか、王であるならなおのこと、腑に落ちないものがあるでしょう。

しかしライオンにとっては、どうあれいつでも、捕食できるかできないかです。がんばりは関係ありません。こんなにがんばったんだからガゼルの1頭くらい食えたっていいじゃないか、と僕らなら愚痴りそうですが、愚痴る甲斐もないことを、ヒト以外の生物はよく知っています。それで腹が満たされるわけではないからです。

ヒト以外の生物にとって、行動と対価は結ばれていません。望んだ結果になるか、ならないかしかない。ではなぜヒトだけが行動に対価を求めるのかといえば、それは僕らが資本主義にどっぷりと浸かりきっているから、と言うほかありません。報われないという考えかたはまさにその弊害もしくは副作用と言えるでしょう。

もちろん、報われる日もあります。それはヒト以外の生物も同じです。しかしそれはがんばったからではありません。必要からくる行動にはいつだって全力でがんばっているのだから、がんばりは理由にならない。なんだかよくわからないがとにかく上手くいった、というだけです。

なので報われると期待することを、まずやめてみましょう。徹頭徹尾、僕らは報われません。報われる人もいるけれど、それは報われる星に生まれついた人であって、僕らではない。人生は不平等と不公平のオンパレードです。もし報われたと感じたなら、がんばったんだから妥当なことだと考えるのではなく、宝くじに当たったようなものとして全身全霊で喜びを表現しましょう。僕らが報われることなど今も昔も、そしてこの先もほとんどないのです。

言うまでもなくここには、悲しみがあります。しかしその悲しみを噛みしめれば噛みしめるほど、人生には味が出るものです。よろしくやってる恵まれた連中には中指を突き立てておけばよろしい。


A. そもそも僕らは報われる星に生まれついてはいないのです。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その457につづく!

 

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