2021年10月15日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その347


世界でいちばん熱い風呂さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 来年4月から東京で働くことになりました。東京でおすすめの飲食店はありますか?


ここで言う来年というのは2022年のことではありません。質問をいただいた2019年の翌年なので、つまり去年ですね。気がつけば1年半たっていますが、東京での暮らしには慣れましたでしょうか。何ならもう東京にはおられないかもしれませんが、例によってそのへんのあれこれはあまり気にせずお答えしましょう。

しかし東京は広い。

何しろ東京の最南端はおよそ1800㎞南にある「沖ノ鳥島」です。東京から沖縄までの距離がだいたい1600㎞なので、それよりもはるか南ということになります。ついでに言うと最西端も沖ノ鳥島です。どれくらい西かというと、大阪くらい西ですね。

沖ノ鳥島

最東端は南鳥島です。東京から直線距離で1900㎞弱あります。上海に行くほうが近くて早い。

南鳥島

沖ノ鳥島も南鳥島も飲食店どころか人もいない絶海の孤島なので、範囲に入れなくてもいいと言えばいいようなものですが、いつ誰がそこに蕎麦屋を開くかわからないし、いかに東京が広いかの目安にはなりましょう。

本州で言うと東端に流れる江戸川から西の奥多摩までだいたい80㎞くらいですが、東京に住んでいるからといって奥多摩に出向くことはまずほとんどありません。東京と言ってもほぼ山梨であり、仮にこのあたりにおすすめのお店があったとしてもそれなら埼玉や神奈川や千葉のほうがよほど近いし、少なくとも僕なら最寄り駅から電車1本で10分もあれば県境を越える埼玉に行きます。

「飲食店」という括りもまた大雑把です。はっきり言って東京は食に関しては完全にアミューズメントであり、日本全国はもちろん世界中のありとあらゆる食が網羅されている分、東京ならではと言えそうなものがそれほど目立ちません。ここでしか食べられないというより、ここに来れば何でも食える土地であって、むしろどんな希望にも無数の答えがある、と受け止めたほうがよいでしょう。考えようによっては楽園だし、また考えようによってはこれほど気が遠くなる話もありません。特にこだわりがなければ評判の店行っときゃまずだいたい美味いというのが、東京においては真理です。基本が自炊で外食することがあまりない僕が言うのもなんですけど。

とまあ、さんざん御託を並べてきたところで、わざわざそのために足を伸ばす甲斐がある、安田タイル工業の専務と主任イチオシのお店を紹介しておきましょう。

ひとつは銀糸町にある「亀戸餃子」です。メニューは餃子しかありません。たしか一皿300円くらいで、最低でもひとり2皿以上注文しなくてはいけなかったはずですが、とにかく味も雰囲気も体験としてここでしか味わえないものであることは間違いないので、一度行ってみてください。よほど慣れていないかぎり、カップルで行くことはオススメしません。ただ黙々と餃子を食って、食ったら出る店です。店のペースに飲まれると次から次へとわんこそばみたいに餃子がひたすら出てきます。ひとりで行くのがいちばん楽しめるんじゃないかとおもう。

もうひとつは駒沢大学にある「かっぱ」です。ここもメニューは煮込みとごはんしかありません。選べるのはごはんの量だけです。亀戸餃子と同じくここも主導権は完全に店側にありますが、雰囲気はよりシビアなので、やはりただ黙々と煮込みとごはんをかきこんで、食ったら出る店です。まちがってもデートで行くような店ではありません。

どちらも、よし、今日こそは行ってみるぞと鼻息荒く出かけて満喫したりしょんぼりしたりする甲斐はあります。すごく美味しいし、何なら安田タイル工業とは何かということについても、ちょっと理解が深まるかもしれません。


A. 「亀戸餃子」と「かっぱ」がオススメです。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その348につづく! 

0 件のコメント: