何の変哲もない接着剤の注意書き。
値段の高いものは化学的にくっつかないらしい。
*
掃いても掃いても翌朝にはまた山と降り積もる秋の落ち葉のようなお色気スパムなんかに、いちいちかまってられるかとはもちろんおもいます。じぶんの庭にだけならともかく、電脳世界に郵便受けを設置すればどのみちもれなくセットでついてくるのだし、受けとる人の貴賤を区別しないその分け隔てなさといったらまるで聖母のごとしです。平等にもほどがある。
奇妙な差出人やあざとい件名の揚げ足をとっていたらそれこそキリがありません。相手にするほどヒマじゃないと言い切るほど忙しくもないけれど、どいつもこいつも同じ目に遭っていることをおもえば、ギャースカ騒ぎ立てるのも詮無いことです。口にすればその時点で杯を受けたことにもなる。知らんぷりがよろしい。誰だってそうしています。その木がいかに立派に見えようと、また「エロミク申請」ということばの甘い語感に灰色の脳細胞(@ポアロ)を刺激されようと、落ち葉はただ黙ってもくもくと掃きつづける他ないのです。
にもかかわらず、中にはもうかれこれずいぶん長いこと同じ名前で、未だに毎日必ず1通は届くものがあったりするから、こういうのはだんだん健気に思えてきて困ります。情が移るというか、「おっ今日も来たな。コイツめ」という感じで何となく憎めないようなきもちになってくる。届いたメールを開きさえしなければそうそう害もなかろうし、そうなると却って無碍にもしづらい。1週間くらい間が空いた日には、「アラやだ経子ちゃんたらご無沙汰もいいとこじゃないの!」という具合にうっかり歓迎して座敷へ招き入れかねない勢いです。バカバカしいと心得つつも払い除けきれないのだから、そんな心の弱さには申し開きもままなりません。不甲斐ないとおもう。
いったい彼女はどこからやって来て、どこへ去り行くのか?10年後には世界から完全に姿を消しているだろうか?あるいはだだっ広い電脳世界のどこかでいつまでもぷかぷかと漂いつづけるんだろうか?またなぜ差出人にその名が選ばれたのか?(偽りに満ちたスパムのこういう恣意的な部分にこそ、偽りなき心理の一片がポロリと紛れこんでいたりするのです)
あっ
(「キリがない」とじぶんで釘を刺しておきながら、その釘をみずからスポンと抜いてしまったことに顔を赤らめています)
お色気スパムのキョウコさんは軽い世間話のつもりで本題はもっと別のところにあったのに、もうバカバカバカ!
という見慣れた反省ポーズも今やちょっとした一芸の域に達しつつある今日このごろです。そばで万事OK(という名の閑古鳥)が翼でお腹を抱えるようにして笑い転げています。ええい、口おしい。
3 件のコメント:
昨夜、ダイゴくんと地元の旧ジャスコで鉢合わせをする夢をみました。
私は、あめ細工のアンティーク品のfairが行なわれていることを知っていて、そちらの出し物の前をダイゴくんが通ったらば、我が物顔で「どうです、よいでしょう」と声をおかけするつもりだった記憶があります。
「あなたとジャスコで邂逅する夢をみました」なんてスパムが無差別に世に回る日には、親しみ易さを論及したおじ様方の姿が目に浮かんでくるかもしれません。
たしかにその手のメールに使われるには珍しいタイプの名前ですね。気になる。
ちなみに幽霊は、条件を満たしてる人だけ幽霊になったり、幽霊にも寿命があったりで帳尻があってるんじゃなかろうかと個人的には思ってます。
ていうか霊感あるんですか?
> f.k さん
良い夢!
何もそんな色気もへったくれもない夢みなくてもいいのにという思いがないではないですが、それはそれとしてやっぱり良い夢です。「地元の旧ジャスコ」というロケーションもばっちりです。あとよくよく考えたら「あめ細工のアンティーク」も変ですね。あめって、飴ですよね…?アンティーク…?
> 匿名さん
前世であれ現世であれ来世であれ、ものごとの帳尻はだいじです。尻さえ合ってりゃまあいいやとさえおもいます。「幽霊の条件」も考えてみたい問題のひとつですね。
霊感はありません。あるはずのないものを見たり、イヤなものを感じるときはあるけれど、でもそれだけです。
コメントを投稿