2023年11月10日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その406


先日ふと気づいて戦慄したのだけれど、今を去ること4年前、2019年はこのブログを10回しか更新していません。10回というと、ひと月に一度もなかったことになります。

思い返してみればこの年はうちの人が店をオープンした年であり、またその当人が一時的とはいえ車椅子生活に突入したこともあってわりとしっちゃかめっちゃかではありました。しかしそれを差し引いても何かしらの表現活動をしている人の更新頻度ではない。いちばん驚いたのはよりによってツアーの開催が事後報告だったことです。そんなことある…?

それでなくとも活動体温の異常に低い僕にとって考えうるかぎり最大のニュースがこんな体たらくなので、質問箱に至ってはなんと1回しか更新されていない有様です。前年末には例のキャンペーンできっちり質問を徴収していたので、つまりこの年にあった質問はほとんど手付かずである、ということになります。

とうに愛想を尽かしてすでにここには来られないみなさまも多くおられるとおもいますが、せっかくなので在りし日を偲ぶようにしんみりと、あのころいただいた質問にもお答えしていきたいとおもいます。ほんとすみません。


おしゃれドロンボーさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. ダイゴさんは、幼い頃の不思議な記憶はございませんか?自分は自我が芽生えた瞬間?を覚えています。PCのブルースクリーンの様な背景に親兄弟含むいろんな人の静止画がブラクラの様に流れ、一瞬のブラックアウトのあと、自宅に飾っていたクリスマスツリーを目にしたのを覚えています。その瞬間に自分が自分であると認識しました。同じ様な経験の人がいないか友人に聞いてみましたがゼロでした。


そういえば以前にも前世と思しき記憶のある方から質問をいただいたことがありましたけれども、そんなのも含めた「不思議な記憶」シリーズはいいですね。説明できない不可解な記憶を持っている人、じつは意外といるんじゃないだろうか。機会があれば人に尋ねてみたいことのリストにこれも加えておきましょう。

おしゃれドロンボーさんの「自我が芽生えた記憶」も相当ユニークというか、どちらかというとシェアしづらいイメージでありながら妙にリアルな質感があって、確かにこれは自我の芽生えとしか言いようがなさそうです。タグを閉じ忘れてそのまま表示されてしまったHTMLみたいなエラー感あります。こういう記憶は僕もないです。

不思議な記憶はあります。いちばん古いのは、以前にも書いたような気がしますが虹の上を滑り落ちる魔女を見た記憶です。6歳とか7歳くらいのことだったと思う。夢でのイメージが強烈に残っていたとかそういうかんじではなく、雨上がりの夕暮れに自宅の玄関を出たら大きな虹がかかっていて、その上をスイーッと魔女が滑り落ちていくのをはっきりと見た、そういう記憶です。びっくりしすぎて腰が抜けたのを今でもよく覚えています。

いくらなんでもファンシーすぎるから魔女なんかではもちろんなかったろうし、何か黒っぽいもの、たとえばカラスがちょうど虹の弧に沿って移動した可能性なんかの方がよっぽど高い。ただ当時の僕はそれを完全に魔女と認識してしまったので、どうあれ今も記憶は鮮やかに魔女のままです。そして実際のところ、魔女ではないにしろ虹を滑り落ちたやつがいた可能性を今も捨てていません。なんとなればたとえ錯覚であってもそれを証明することは誰にもできないからです。不思議、と言える所以ですね。

同じように、すごく大きな宇宙船のような楕円形の光を見た記憶もあります。これも雲と光の按配で一蹴できそうな話ですが、僕の記憶ではそうなっていません。一面に薄く敷き詰められていた雲の裏で巨大な光が鯨のようにゆっくりと移動していました。知識もへったくれもないころなので、待てよ、あれまじでなんだったんだ、と首を傾げたのはもうすこし後、物心がついてからになります。

あとこれは一人暮らしを始めたあとなのでかなり大人になってからですが、それゆえに却って上記の二つよりもはるかに不可解だと今でも考えているのは、その時間その場にいるはずのない妹の姿を見かけて追いかけた記憶です。いわゆるドッペルゲンガーですね。説明すればするほど見間違いであっさり片付けられるので詳細は省きますが、正直あれほど鮮明に、ないはずのものを見た記憶は人生でほかにありません。とにかく今に至るまでありとあらゆる確信に満ちて揺るがないので、気味が悪いとしか言いようがない。妹の身に何か起きるのではないかと長いこと心配していましたが、今では立派な3児の母です。何事もないにも程がある。本人には今も話していません。

とはいえいずれにしても心的な体験という感じではないから、厳密には記憶のレイヤーがちょっと違うかもしれません。不思議にもいろいろあるものだ。

そういえばうちの父は子どものころ、病気で死にかけたときに奇妙な川(流れているのは銀色の何かで水ではなかったらしい)を渡りかけて引き返したことがあるそうですが、そもそもオカルト的なものを1ミリも相手にしない人なので、これなんかは同じレイヤーに属する記憶と言えそうですよね。ちょっとうらやましい。


A. あるっちゃあるけど厳密にはなさそうです。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その407につづく!

 

6 件のコメント:

アジ さんのコメント...

子供のころ、生まれる前にお腹の中で泳いでた記憶はあったみたいです。
もう覚えてませんが

ピス田助手 さんのコメント...

> アジさん

いいですねえ!

胎内(とそれ以前)の記憶は成長に伴って薄れていく、と聞いたことがあります。
根掘り葉掘り聞きたいけど幼児なので要領を得ないのがもどかしいところです。

黄色い花 さんのコメント...

ふふふ。確かに皆様のそんな話聞いてみたいです。
そして‘本当に魔女が虹を滑り落ちた’を断固支持します。

来週のアグロー案内東京公演参加いたします♪
またお二人のパフォーマンスを観られるなんて、楽しみすぎて今からそわそわしています。

ピス田助手 さんのコメント...

> 黄色い花さん

いい記憶だな、とわれながらしみじみ思います。

アグローと夜ではお目にかかれましたでしょうか…!
お顔とお名前がいまだに一致していないので
心許ないのですが、お話できていますように!

ありがとうー!

黄色い花 さんのコメント...

はい!お話頂きました^^
お優しいご対応に心がフワンと温かくなりました。

本当に素敵なライブでした。
これからもお元気でご活躍なされますよう、心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございます!

ピス田助手 さんのコメント...

> 黄色い花さん

こちらこそです!
次にお目にかかる際はぜひお名乗りくださいませ!