2021年4月16日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その321



セーラー服とみかんジュースさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 「具マヨメンタイ高菜」というものがあります。大吾さんがデザインしたのかな?と見紛うほどのパッケージなのですが、大吾さんには暖簾分けした弟子などがいるのですか?


閑古鳥がせっせと繁殖して今やフン害が大きな問題となっている印象がなくもないパンドラ的質問箱に珍しく直接お便りいただいたので、お答えしましょう。

「具マヨメンタイ高菜」、僕は初めて知りましたが吟味するまでもなくおいしいとわかりきってるやつですね。そしてデザインも、うむなるほどと頷かざるを得ない瓜二つぶりです。画像を引っぱってくるのが面倒なので気になる人はググってみてください。なんならそのまま購入してその感想ついでに現物を僕宛に送ってくれてもかまいません。たぶんうちの人のためにこしらえたお昼のおむすびの具としておいしくいただくことになるとおもいます。なぜここでうちの人の弁当が出てくるかと言えば僕は基本、昼食をとらない男だからです。

それはさておき、そうですね、答えるまでもないような気もしますが、暖簾分けした弟子などこの広大な宇宙のどこにもおりません。僕は今も昔も、そしておそらくこれからも、浜辺に打ち上げられた異国のビンのようにぽつんと独りです。道ばたに乳児が落とした片方の靴下のように独りであり、なぜか枝に一枚だけ散り損ねてぶら下がる枯れ葉のように独りです。年を重ねればそれなりに何かこう、時代の寵児みたいなフォロワーが現れて

「影響を受けた人は小林大吾さんです」
「それは誰ですか」

みたいなことになったりするかしらとわれながら気の毒すぎて肩にポンと手を置いてやりたくなるような期待を抱いていた時代もありましたが、そんな気配は今も一向にありません。ありがちであんまりおもしろくないなとか言われないだけ、仮にめちゃめちゃ方々で言われてるとしても耳に入らないだけ、ずいぶんマシじゃないかと宥めるようにじぶんを慰める今日この頃です。モテなんかと同様、もうどうでもいいやとナチュラルに思えてぜんぜん気にならないくらいには僕も年をとりました。

僕がグッときたのはむしろ、いただいた質問から察するにセーラー服とみかんジュースさんがかなりの高確率で「小数点花手鑑」をお持ちである、という事実のほうです。サブスクも解禁したし、「そういやCDなんてものもあったなあ、プレイヤーないから聴けないけど」がデフォルトの昨今なので、胸にしみ入るよろこびもひとしおです。どうもありがとう!「具マヨメンタイ高菜」がなかったらこんなよろこびに浸ることもなかったわけだし、やっぱり一度は購入しておいしくいただくべきではないかという気すらしてきます。

そして勇み足でよろこんどいて何ですけど、CDお持ちでなかったらすみません。かさばるし硬いし四角いし投げつけられて角が直撃すれば血も出るCDにくらべたら、誰もケガしないサブスクこそ至上と僕もおもいます。

わざわざ戻すほどではない話に戻ると、「もしやこれはダイゴさんのデザインでは」とお訊ねになるときはほぼ例外なく僕ではありません。ごく稀にそうだったりすることもないではないと言い切れなくもないきらいがなきにしもあらずですが、九割九分とあと五厘くらいは僕ではないと断言しておいてよいでしょう。こう書いていてだんだんやさぐれていく自分を今まさに肌で感じていますが、このままダークサイドに堕ちて帝国の逆襲に突入してしまわないためにも、たまにはドでかい仕事をひとつふたつドカンと依頼してみてもバチは当たらないんではないかなとその当人である僕なんかはおもいます。


A. 今も昔もこれからも、僕はここでぽつんと独りです。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その322につづく! 

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