2010年10月10日日曜日

消えかけていた火がまた燻りはじめる話



僕は基本的に科学をかなりつよく支持するほうなのだけど、くだんの「2位じゃだめなんでしょうか」発言以降の科学者の態度にはホトホト呆れ返っているのです。

「2位じゃだめなんでしょうか」というのは「2位でもいいじゃない」という意味ではなくて、「みんなのお金をつかうのだから、なぜ1位でなければならないのかを感情論抜きできちんと説明してください」というじつにまっとうな要請であり、夢なら夢でせめて誰もが唸って支持したくなるくらいの熱烈なプレゼンをすべきだということであり、だいたい子供じゃないんだからフニャフニャした曖昧な理由で億単位の金を使おうとすんなよ!他人の金でロマンを語るな!という意味です。そんなの財布のひもをにぎる会計係なら至極当然の疑問だし、僕だってその立場に立ったらそこを聞きたい。

科学のことを何も知らないとか、プンスカ腹を立てている時点で見当違いもいいとこだと僕はおもう。じぶんたちが何のために何を追求しているのか、正面から向き合った上でわたしたちにそれを伝えてくださいという話をしているのに、アンタらブーブー言うばっかりでけっきょく何も説明してくれてないじゃないか!それとも学者にそんな義務はないっていうのか?

ノーベル賞受賞者だろうと誰だろうと、そんな態度は不誠実です。成熟した大人の態度でもありません。「わからないならわからなくてもいいから、金だけよこせ」と言っているように聞こえる。科学のことを何も知らない僕らにもわかるように、きちんと説明してくれた人はどれだけいただろう?事業仕分けはその正当性を目いっぱいアピールできる、絶好の機会だったというのに!それをふいにしたのも結局じぶんたちじゃないか?準備不足を悔やむならともかく、納得のいく反論や滾る熱意をアピールできなかったから逆ギレするなんてどうかしている。

口下手なのはいい。言葉が足りないのもしかたない。でもその責任を相手に転嫁するのは控えめにみてもいただけません。うまく伝えることが苦手ならなおのこと、ひたすら愚直に言葉を尽くすべきだと僕はおもう。10分文句をたれるなら、おなじ時間をプレゼンに使ってほしい。科学者の舌は愚痴るためにあるわけではないのです。


そして科学が話題にのぼるたびにいちいちこの発言を引っぱりだしてあげつらうメディアにも困ります。報道とゴシップをいっしょくたにするのはおよしなさいったら!忘れかけてたのに、また頭に来ちゃったじゃないか!

5 件のコメント:

f.k さんのコメント...

初めて書き込みます。
ちょろい大人が規範をちょろまかしてちょろちょろと100m走を催している様はいつも僕らを不快にさせますね。
僕らが賞のために国にお金を預けているのは、教授が偉いからではありません。科学者が凄いからです。
事業仕分けは理解を得る最高の場だった、大吾さんの仰るとおりだとおもいます。
ただその時すでに「わからないならわからなくてもいい」という気持ちでいたんだろう。不愉快窮まりない。
少しでも僕らに迫ろうと夜なべをして特装版の包装をがんばってらした詩人の大吾さんには、甚だ許しがたい態度でしょう。僕も許容できえません。
消費者は対象物が肉であれCDであれ、件の賞金であれ、ありがとうと感じるものにガマ口をひらくのです。
大吾さん、いつもありがとう。チャリン

ぽいこ さんのコメント...

今やっと、あの発言の不快さがわかって、目から鱗がコーンフレーク的にパラパラと落下中です。

さまざまな感情や違和感を的確に把握する力も詩人には必要なのですね。

燻った火もいつか言葉に置き換えられて、私たちの耳に心地よく届くのだろうと思うと、じりじりしている大吾さんもまた良いもんだと思ってしまいます。

詩人の息継ぎを直に聴いてみたいものだ、と現在、切に願っております。

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以下、前回のコメント返し


ダイゴさんと呼ばせて頂きたいなぁと思いつつ、「ダイゴ」という字面が別のBGMを以て私に迫ってくるので、つい。

そのBGMとは「THE GALAXY EXPRESS 999」、ゴダイゴって訳で。
感覚重視な生き方ですみません。
これからは大吾さんと呼ばせて頂きます。

70年前の新聞からサンプリング…。さすが経年品の愛好家ですね。謎が解けて嬉しいです。お返事ありがとうございました。

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科学 さんのコメント...

はじめまして。
大吾ファンの科学者というか研究者というか。
そのあたりの線引きががあいまいなものです。

ふにゃふにゃした理由で
他人のお金を使うなというのは
激しく同意なのですが。

者の付く職業につくものとしては
10分文句をたれる時間があったら、
1分の体のいい説明で必要なお金を確保して
残りの9分は研究をしたいというのが本音です。

ワンちゃん さんのコメント...

私は、子供っぽくプンスカしているえらい科学者、という絵面をおもしろがっていましたが、おもしろがってる場合じゃないですね。

>うまく伝えることが苦手ならなおのこと、ひたすら愚直に言葉を尽くすべきだと僕はおもう。

なるほど。その通りだと思います。

ピス田助手 さんのコメント...

> f.k さん
こんばんは。そうですね、彼らもまさか開き直っているわけではないとおもうけど、でもやっぱりあれはないよな、と今でもおもいます。許しがたいというか、その態度は支持できない、というかんじです。僕も未知を切り拓く科学には憧れを抱く者だから。こちらこそどうもありがとう。

> ぽいこさん
僕も人とコミュニケーションがあまりうまくとれるほうではないし、もっとうまいこと言えたらよかったのにと悔やむことがままあります。それはもうしょっちゅうです。でもそんなの誰だってそうだし、だからこそ自戒が意味をもつのだと僕はおもいます。あとゴダイゴ、僕も大好きです。

> 科学さん
現場からの貴重な本音をどうもありがとう!そうですよね、僕も研究者の立場ならきっとそう言うとおもいます。でも時には、「言葉を尽くしてわかってもらう」のも研究と同じくらいだいじだし、きもちだけでも後ろ盾があると、ずいぶんちがうものですよ。未来をよろしくおねがいします!

> ワンちゃん
僕もさいしょはおもしろがってたはずなんですけれど…これだけ時間がたってもまだ同じうすっぺらいやりとりを繰り返すとなったら、さすがに笑えない気がしてきますよね、やはり。ホントにもう!