実験用スコープ付シリンダーヘッドさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がなんとなくつけています)
Q: 初対面の方からぶつけられる、「日本語はわかりますか?」という質問に対する華麗な返答を教えてください
一瞬何を言っているのか考えこんでしまいましたが、これはつまり、平均的な日本人と比べてエキゾチックな顔立ちをしておられるということですね。
折にふれて同じことを言われる鬱陶しさは、僕もすごくよくわかります。なんとなれば僕も会うたび人に「やせた?」と訊かれるからです。じっさいのところ僕の体重は十代のころから500グラムと変わっていないのですが、いちいち否定するのも飽きてきたので最近では「そうなの!イヤだわ、ストレスかしら?」となるべく相手に合わせるようにしています。ただ若いころにやせて見えることと、年老いてやせたように見えることとでは印象に含まれる意味合いがかなり変わってくるので、最終的にはおそらく性転換でもして見た目のインパクトをずらすことになるでしょう。
しかしいただいたご質問のケースは単なる印象の話でしかない僕とは異なり、ある種の気遣いである点が難儀です。無用な混乱を避けるために通った道がたまたま地雷原だっただけであり、完全に裏目に出て最悪なことをのぞけば、お話するにやぶさかでないという明らかな意思表示でもあるので、無碍にもできません。
無碍にしてよいのであれば、「わ、日本語お上手ですね」と答えるのもひとつの手ではありましょう。ぎょっとされるかもしれませんが、そもそもが場合によっては不愉快になり得る危うい切り出しかたなのだから、お互いさまといえばお互いさまです。
とはいえこれではどうも後生がよくない。ここで求められているのは不意に飛んできたクリームパイを首のうごきひとつでエレガントに躱すような、スマートにして後腐れのない大人の対応です。コミュニケーションにいささかの妨げもないことをパーフェクトに示しつつ、できれば結果としてまるで意味がないずさんな気配りにもきちんと敬意を表したい。
となればこうお返しするほかないのではありますまいか。
A: 「お気遣い、痛み入ります」
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その242につづく!
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