2012年1月30日月曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その98



リゾ・ラバさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)昭和から平成にかけて急増したリゾット愛好家の略称ですね。


Q: 「火焔鳥451」にて、男はエロ本を燃やしますが大吾さんは泣く泣く何かを捨てた(もしくは手放した)事はありますか?


もうずいぶん昔の話になりますが、武州のはずれで木こりを生業に暮らしていたことがあります。食い扶持をたもつのが精一杯でかつかつの、という点では今とまあ、だいたい同じです。かくべつ良い思い出もありません。

寝起きする小屋はひどく粗末で、沼のほとりにありました。窪地の水たまりが引かずに広がったような、ちいさな沼です。沼には小屋から突き出すようにして桟橋を組み、その先で釣り糸を垂らしながらうとうとしたことを今でもよく思い出します。

水たまりのなれの果てとはいうものの、泳ぐ魚はちらほらありました。よくよく考えるとおかしなことで、川とは何の連絡もなかったはずだから、ひょっとすると地下水をつたって居着いたのかもしれません。そのへんはよくわからない。桟橋には釣り竿がないとさみしいように考えただけで、魚のあるなしはどうでもよかったのです。1度や2度はうっかり釣り上げたこともあって、そういうときはせっかくだから食いました。でもあまりうまくなかった気がする。

そんなある日のことです。桟橋の先でいつものように昼寝をしていて、うっかり沼に無精髭を落としました。他にろくろく目印をもたない僕にとっては、斧なんかよりはるかにかけがえのないアイデンティティです。これがないと、鏡をみても誰が誰だかじぶんでも見分けがつきません。第一、斧とちがって町で買うこともできないのです。また先にも書いたように、沼には魚がいます。藻とまちがえてパクつかれたらおしまいです。これはたいへんなことになったと真っ青になりました。

打つ手もないままおろおろと桟橋の先から沼をのぞきこむと、何やら底のほうがぼんやりと明るく感じられます。もちろん底は真っ暗なはずですが、明かりはだんだんと大きくなり、こちらに向かってゆっくり浮かび上がってくるようです。こうなると落としたヒゲのことをいっとき忘れて目を奪われるのもムリはありません。明かりはもう、手の届きそうな深さにまで近づいています。にわかに水面が泡立って、気がつくとそこにはぴかぴか光る白い女が立っていました。そしてこうたずねるのです。

「おまえが落としたのはこの金の無精髭ですか。それともこの銀の無精髭ですか」

何が何だかさっぱりわからずに事態を持て余していたところへ、思ってもみなかった申し出です。しかし金の髭などあってどうなりましょう。銀は待てば自然とそうなります。僕は答えました。

「いえ、どちらでもありません。わたしが落としたのはうす汚れたみじめな無精髭です」

ぴかぴか光る白い女が一瞬眉間に深いしわを寄せて舌打ちをしたように感じられましたが、あるいは光の加減でそう見えただけなのか、すぐにやわらかな笑みを浮かべてこう返しました。

「正直でよろしい。ではこのうす汚れたみじめな無精髭は返しましょう…代わりにあなたの男らしさをもらいます

よもやの交換条件に僕はうろたえました。それでなくとも僕は男らしさに欠ける男です。かろうじて残るゴマ粒みたいな男らしさまで取り上げられては、この先どうにも立ち行きません。それは困りますとあわてて取り消し、それなら金…いえ銀の髭をいただくほうがいくらかマシですと訴えましたが、ぴかぴか光る白い女はあろうことか金の髭に3万ドル、銀の髭に5000ドルの値を提示してきたのです。

僕はまったく途方に暮れてしまいました。木こりの身代にその条件はいくら何でも法外です。かといって相手はどうも人外らしいし、一方的に交渉を打ち切ればどんな祟りがあるか知れません。ダメ元で60回の分割払いをお願いしてみましたが、けんもほろろの態度です。義理もなければ人情もない。こうなれば泣く泣く男らしさを手放すほかありませんでした。

小林大吾にいつも無精髭があり、いっぽうで草食系の印象がつよいのはつまり、こういう謂れだったのです。またこのときの僕はコンタクトをしていて、眼鏡はあまり出番がなかったこともついでにお断りしておかなくてはなりますまい。


A: 男らしさを泣く泣く手放したことがあります。


そういえば20代前半に引っ越しのタイミングでAVをドサドサ捨てた日のこともおぼえています。当時その町はビデオテープも燃えるゴミ扱いだったので、どちらかというと感傷よりも、生ゴミのとなりにAVがあることのむせ返るような生活感に気が遠くなりました。少なくとも、火焔鳥が羽ばたくほどうつくしいサヨナラでなかったことだけはたしかです。

今となってはビデオテープというメディア自体がなつかしく思われます。いろんな人の手を渡ってきた裏ビデオ(この言葉も…)は画像が劣化しまくってて、再生しても画面全体がモザイクじゃねえか!とその無意味さに憤慨したりしましたな。

そうだ、あと生まれて初めて買ったCDラジカセも同じタイミングで処分しました。いろいろリセットしたかったから、金槌を持って夜の公園に行き、粉々になるまで泣く泣く叩き壊したものです。(しみじみ)


教訓:モノを処分したくらいで日々はリセットなんかさせてくれません。





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その99につづく!



2012年1月27日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その97


ずわい蟹さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q: (1月24日に入籍するのですが)夫婦円満の秘訣を知っている限り伝授してください!


やァそれはそれは!数日遅れてしまったけれど、おめでとうございます。

永遠とも言うべき命題のひとつですね。

円満というのは片方だけがそう思っている場合も往々にしてあるので(あるんです)、僕もあまり迂闊なことは言えませんが、少なくともその秘訣がおふくろの味と同じように家庭の数だけあるとだけはひとまず言うことができましょう。

「こうすべき」とか「これはNG」とか言うのは簡単です。でも僕はそれによって「円満になりましたー(パッパラ~)」と成功のファンファーレが鳴った例を寡聞にして知りません。仮にあったとしてもずいぶんシンプルな話だなオイとおもうし、大抵の場合は「ウチもそうできたらいいけれど」と肩をすくめることになります。建設的なアドバイスに見えてその実うまくいった部分だけつまんだ話なのだから、そりゃどうしたってうらやましさが募るばかりです。秘訣とは結局のところよその成功例にすぎないし、聞けば聞くほど比べることが増えてうなだれるのは目に見えています。耳を貸さなくてよろしい。

恋は盲目かもしれませんが、その先は否が応でも目をこじ開けられることになります。それまでが盲目であればあるほど、目を開いたときの衝撃は計り知れません。すべてはそこで目にしたものをどう受け止めるかにかかっていると言っても良いでしょう。孫悟空だとおもって目を開けたら猿蟹合戦のサルだった、というような事態にはたして目を背けずにいられるだろうか?と書いたそばから思わず考えこまずにはいられないし、おまけにそれは自分ひとりの問題ではありません…やれやれ!めおとってたいへんだなあ!

というようなことを延々と並べ立てても始まらないので、個人的におもうところをいくつか挙げてみましょう。必ずしもそれでうまくいっているという意味ではなく、なるべくそう心がけているというだけのことです。まちがっても当てにしてはいけません。


1. 相手の弱点をお互いにカバーし合うこと。
2. 外で愚痴る前に必ずふたりで話を尽くすこと。
3. 円満でありたいといつも願いつづけること。
4. ときどき茶碗蒸しをつくること。


1から3は、主語が「I」ではなくて「We」です。僕ひとりがそう考えていてもどうにもならないので、実際どうにもなっていない可能性があります。それでもなお「We」にするのは、そう肝に銘じておかないと大体ぜんぶが水掛け論になってしまうからです。

4 はべつにハンバーグでも筑前煮でもイモリの黒焼きでもかまいませんが、要はここぞというときの最終兵器として相手の好物をこしらえる、という意味です。経験上断言しても良いけれど、心をこめてつくる一品くらい破壊力の大きなものは他にないし、おいしいというきもちは、(こう言って良ければ)他のすべてを台無しにしてくれます。「まあいいや、いろいろ」とおもえてくればしめたものです。じぶんにとっても。相手にとっても。

しかしまあ、参考にはなりますまい。じっさいにこれを履行できているのか、僕も書いていて冷や汗が出てきます。どこまでいっても、ふたりの布はふたりで紡いでいくしかないのです。

あとはこの鳥を飼うことでしょうね。



それはともかく、こうして奇しくも結ばれることになったふたりが世界にたった一つしかない組み合わせであることに変わりはありません。難題ばかりでうんざりすることもあるかもしれないですが、落としどころはきっとあります。どうか大事にしてあげてください。

ホントにおめでとう。末永くしあわせでありますように!



 A: 円満でいられる相手を選ぶことです(考え直した)




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その98につづく!

2012年1月24日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その96



お気に召すパパさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)お気に召すママの旦那さんでしょうね、おそらく。


Q: もっと先だと思っていた出番がいきなり訪れてしまいました。どう振舞ったらいいでしょうか?もしいい案があればぜひ。


ある種の人々にとって「出番」とは、やはり背筋の凍る2文字であると言わねばなりません。株を上げる絶好の機会でありながら、一方では無慈悲な赤紙そのものであり、できればうやむやにしたいし、先送りにしたいし、誰かに格安で譲れるならそれにこしたことはないもののひとつです。なんならおまけに肩たたき券、お付けしますけど…的なそのきもち、僕もよくわかります。あるいはどのみち背筋の凍るものなら、いっそキンキンに冷やしてシャーベット状にするのも良いでしょう。何しろ、コタツで食べるアイスは格別です。あれもこれもぜんぶ忘れて、そのままウトウトまどろんでしまいたい。

実際のところ、人生におけるじぶんの出番(ここでは「自分がそれを為すべきとき」というような意味合いですが)は、そう多くありません。事なかれ主義に身を委ねてまどろむ僕らとしては、むしろ出番なんて全然なくたってかまわないのです。たとえばもっと控えめに、ひっそりとやってきてそそくさと終わり、それでいてそれなりの結果がもたらされるというのであれば手厚くもてなしてやっても良いけれど、どうもそうよしなにはしてもらえないらしいし、そんなら謹んで辞退を申し出たい。誰もが脚光を浴びたがっているとおもったらそれは大きなまちがいです。

しかしそうそう顔を背けてばかりもいられません。人が人から生まれ、別の人とつながり、また人を生む以上は、必ずお鉢が回ってきます。例外はありません。順番なのかランダムなのかそれはわかりませんが、出番は僕らの首根っこをつかんで舞台にズルズルとひきずっていきます。馬の骨だろうが鹿の肉だろうが無縁ではあり得ないと昔から相場が決まっているのです。そういうものだとおもってあきらめるほかない。

おまけにそれは便意のごとく、いつでもいきなりやってきます。おわかりかとおもいますが、「戻れ」と命令したところで聞き入れられる可能性はほぼ皆無です。来るとなったらそれこそこちらの都合おかまいなしであり、場合によっては勝手にドアを開けてひょっこり顔を出そうとさえします。まったく、不躾にもほどがある。

こうなると肝心なのは、こちらの狼狽をいかに気取られずに済ますかです。付け入る隙を与えてはいけない。何でもないような顔で平常をよそおい、張れるだけの虚勢を張り、かませるだけのハッタリをかまし、100年も前から支度をしていた体で半ば呆れ気味に歓迎の意を表すことが求められます。

大丈夫、途方に暮れなくてもよろしい。たしかに僕らは演技にかけては毛も生えていないようなずぶの素人です。千両役者でもなければ、手練の詐欺師でもありません。そのギャップといったら気が遠くなるほどです。しかしそれでもなおそのギャップをどうにかして埋めなくてはならないのだとしたら、打てる手は自ずと限られてきます。要は表情や挙動をぜんぶ隠してしまえば良いのです。

求められているのはあくまで「出番に応える」ことであり、着飾れという指示はどこにもありません。然るべきときにそこにいることが大事なのだから、どんな格好をしていようとお咎めを受ける筋合いはないはずです。うろたえて青ざめる顔を隠し、汗ばむ手のひらを隠し、ふるえる足を隠せるとしたら、けたたましい動悸もいくらかは落ち着くような気がしてきませんか?したがって答えは


A: とりあえず着ぐるみに入ってください。


あるいは包み込まれているという安心感が却って自信を与え、望外の輝きを放つことだってあるかもしれません。願ったり叶ったりです。





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その97につづく!


2012年1月21日土曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その95



先日「今からパンドラ的質問箱ぜんぶを読み通すのはムリ」とあきらめ気味に書いたところ、「それ以来パンドラ的質問箱を1から全部読んでいたのですが、今日ついにリターンズを含め全94回を読み終わりました(*^^*)」といううれしいおたよりが届きました。さすがにそれはちょっとしたことですね。どうもありがとう!

その上で、サンチョぽん太さん(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)がベストに挙げてくれたのは、その30:淡々とした日々にはどんな刺激を与えるのが良いか?の回です。われながら思いもよらない結論に流れ着いています。とりあえず何も考えずに書き出したせいだと思いますが(たぶん)、何しろ4年くらい前の話なのでちっともおぼえてない。

同時にいただいた質問も、たしかに承りました。忘れたころにポロリとお答えしますので、どうか気長にお待ちくださいませ。

またときどきこんなふうにして、どなたか票を投じてくれますように!




とうふ百貨店さんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。


Q: 安田タイル工業は株式一部上場企業ですか?だったらスゴイですね!


結論から言うと、安田タイル工業は東証一部上場企業ではありません。その規模はせいぜいポッケに入るくらいのものであり、運転資金もすべてガマ口で事足りています。したがってそもそも、株式を必要としていないのです。また、「宵越しの金は持たない」というたいへん気っぷのいい一条が社の定款に明記されているため、仮に株を発行してもその翌日に素寒貧ときてはあまり意味がありません。同じカブなら千枚漬けを選ぶ、それが安田タイル工業です。

100歩ゆずって、株式会社だったとしてみましょう。上場というのは社会から一定の信用を得ることに大きな意味があるとおもいますが、安田タイル工業は成り立ちからして信用というものが全然ありません。極端な話、存在するかどうかということさえ容易に信じてもらえないありさまです。その価値もペーパーカンパニーのほうがよほど大きいと思われているふしがあるし、ぶっちゃけ僕もそうおもいます。しかも言うなればまさにそのいかがわしさにこそ安田タイル工業の意義があるという、非常にパラドキシカルな問題を抱えているため、どうにもならないというか、どうにもならないのです。

もちろん、信用がないならなおのこと、ポッケに入っているものをぜんぶ出して上場すべきなのかもしれません。至極もっともなことであって、それもよくわかります。しかしかつてH. G. ウェルズ原作のラジオドラマ「宇宙戦争」が社会的なパニックを引き起こしたことを鑑みれば、安田タイル工業に信用を与えることの重大さもわかろうというものです。誰も顧みない組織だからこそ却ってみな心穏やかでいられるという、これはまことに希有な一例といえましょう。

それはそうと「一部上場だったらスゴイ」という物の見方には、いくらか危うさが潜んでいるようです。固定観念は自転車における補助輪くらいの役割しか果たしてくれません。補助輪が取れると、体が軽くなりますよ!


A: 気分だけならだいたいいつも上々です。




とうふ百貨店さんからはもうひとつ、追伸をいただいています。


PS: あと私事ですが自分は受験生なので、宜しければ全世界の受験生にエールをお願いします!


よろしい。ここはひとつ、彼にひと声鳴いてもらいましょう。

いずれにせよ多くの大人たちが言うように、その後の人生がバラ色になるかどうかは、ぶら下げたペンキ缶ではなくそれを塗る自分の腕次第です。僕はいまだに「初めからバラ色のペンキ」を探しつづけているので参考にならないとおもいますが、がんばってください。と、センター試験が終わってからのたまうのんびりしたわたくし。




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その96につづく!

2012年1月18日水曜日

それはそれとして結局、言葉の先には何があったのか?


1月15日オンエアのHAPPY SAD "グッド・フレンズ"、物議をかもした(わけではないと思いたい)問題のポッドキャストはこちら

トークのみですが、あの日のこのコーナーから体裁を保つのに欠かせない音楽を取り除くと、あとには何が残るのか?

実際のところ、ほとんど何も残ってません。食い終わった鍋の底にだってもうちょっと何か残っているというのに、いやまったく、じつに不可解です。卑下する余地もありゃしない。

言葉の先に何があったのかは、最後まで聴くとわかります。ただしその答えは、「銀河ヒッチハイクガイド」における「人生と宇宙、その他もろもろについての究極の答え」と同じくらい、何の役にも立ちません。


2012年1月16日月曜日

広げた風呂敷を強引にしばって帰る押し売りの話



びっくりするほど埒のない始まりで周囲の不安をあおるばかりか、けっきょくどこにも着地しないままとっちらかった話を強引にしばって去るという、押し売りみたいな狼藉で苦微笑ましく(※注)幕を閉じた 高橋芳朗 HAPPY SAD、じつに5ヶ月ぶりの混入に寛大な心でお付き合いいただき、ありがとうございました。


※注:苦微笑ましい(にがほほえましい)→あきらめ混じりの微笑のこと


おまけに時間をムダ遣いしまくって「進行が遅れています」と最初から最後まで途切れることなく警告されつづけたため、スタッフのみなさまに多大なご心労をおかけしました。まことに面目ありません。裏で脈打つ異様な緊張感が伝わってしまったとすれば、それはすべてわたくしの不調法によるものです。

それぞれジャンルの異なる良い曲をかけたことが、せめてもの救いではありましょう。いやまったく、音楽は偉大です。この先お声がかからなくなるとしても、そこはどうかお察しください。

しかしそれを補って余りあるヨシアキさんの、足下で爆発する地雷をものともせずにドシンドシンと歩みを進める強靭なオープニングトークはいつわりなく最高でした。この番組のハイライトはなぜかいつもここにあるような気がする。トロンボーン特集もよかったー。


兄弟


数回出てみて気がつきましたが、川瀬さんはお菓子フリークです。放送終了後、ちょっと見ていただけでも1分間に5回くらい何かを口にほうりこんでました。(モーションが速すぎて捉えきれない)



赤坂の夜は明るいなあ…(遠い目)


2012年1月12日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その94


書き忘れてました。今週末14日(土)は20時からタワーレコード新宿店7Fにて、タケウチカズタケ& ALI-KICKプレゼンツ、タワレコ店内のCDを使ってビートメイクでライブにトークするfeel like making & liveなイベント、UNDER THE WILLOW -kitchen- です。観覧フリー。

ゲストが選ぶ「女の子の部屋にあったら、キュンとするCD」をテーマにリアルタイムでビートメイク!

ゲストは椎名純平さんです。タワレコ新宿7Fに雪崩れこめ!

純平さんといえば、ついでに8Fのレジ前エスカレーターそばにある TBSラジオ 高橋芳朗 HAPPY SADの特設ラック、甘酸ジュークボックスもお忘れなく。フライヤーも根こそぎ奪ってプロパガンダにつとめましょう。



また、翌日15日(日)は HAPPY SAD です。こちらもお聞き逃しなく!





郵便配達は二度ベルを鳴らして留守みたいだから帰るさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)留守だというなら、それはしかたがありません。


Q: 寒い地方と暖かい地方はどちらがお好きですか?


ご承知置きいただきたいのは僕の体を成す主要構成物質が基本、骨と皮の2種類のみである、という事実です。とかくさむさに弱いというか、きびしい冷気から身を守ってくれるものが生八ツ橋よりも薄いピラピラした皮1枚というのは、さすがに心もとないものがあります。そのせいなのかどうか、おまけにひどい冷え性です。ちょっと気温が下がるだけで指という指がことごとくストライキに突入し、かじかむどころか手が手のかたちをしたただの肉に成り下がります。慈悲もへったくれもありません。不憫です。こんな具合だから、深い雪の山中に僕とふたりで道を失ったと想像してごらんなさい。「ねむったら死ぬぞ!」と互いに励まし合って生き延びようとするころには、そそくさと天寿を全うしているとおもう。生存率を大きく左右する一蓮托生の相手に骨と皮を選んではいけない。

暑さはぜんぜん平気です。ここ数年、クーラーの電源を入れた記憶はほとんどありません。暑さを感じないわけではなくて、みんなと同じようにそれはもう暑くてしかたないんだけれど、「どうしても耐えられなくなったらクーラーをつけよう」と毎日のように腹をくくりながら、気がつくと木々の色づく秋がしれっと訪れているのです。暑さはとりあえず水がありさえすれば、飲んだり体をぬらしたりしてどうにか渡り合うことができます。正直、冬将軍には勝ち目がない。洗濯してキレイにたたんでおいた白旗を、やり合う前にサッと差し出す用意も万端です。

しかしいっぽうで、僕は寒さを好む生きものでもあります。なんとなれば、ピンとはりつめた空気に頭が冴えわたるからです。ただ必ずしも脳細胞が活発化するわけではなくて、ハッカを口にふくんだときのように「鼻がスースーする!」という程度のことでしかないから、よく考えればお気の毒と言うほかないのだけれど、それでもじぶんがバカだと決定づけられてしまうよりは、IQが高くなったような幻想を湯たんぽのように抱いているほうがどう考えたって断然よろしい。何より、はるかに幸せというものです。

手をかざしてあたる石油ストーブの、おだやかにゆらめく火も忘れてはいけません。これほどまでに眺めて心しずまる灯りが他のどこにありましょう?くたびれ果てた胸のうちを体とともに芯から温めるなら、凡百の言葉より1台の石油ストーブです。愛する人に「わたしとストーブ、どっちをとるの」と詰られてストーブを選ぶほどバカではないけれど、すくなくとも一瞬ためらうくらいの魅力は十分にある。胸をはって俯くことなく、「どっちもだよ!」と答えたい。冬はそういう季節です。

これらの考察をふまえた上でどちらかひとつを選べと言われたら、答えは当然こうなります。


A: そうは言ってもやっぱり暖かいほうがいいよね。




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 その95につづく!


2012年1月9日月曜日

テデロス05号機と操縦席にいるピンクの熊


質問箱かと思いきや突拍子もない話を切り出してたいへん恐縮ですが、そんなつもりはなかったのです。いえ、殺意を否認する容疑者の話ではありません。

心の整理をつけるために順を追ってきちんとお話しすると、僕はそもそもこうしたものを積極的に求める気質をほとんど持ち合わせていません。おもしろがることは大いにあるとしても、連れて帰ることはまずないし、じっさいうちにはほとんど置いていないのです。だからこのときいったいじぶんの脳内でいかなる接触不良がおきたのか、今もってさっぱりわからない。

よくできてるなァ…と感心したのはたしかです。それははっきりとおぼえている。でもその良し悪しを判断できるほど日ごろ親しんでいるわけでもないのだから、当てにはなりません。何をもってそう感じたのかはやっぱり霧に包まれています。じっさい、どこがよくできてるんだろうという気もする。「だって、見てよこれ!」とむきになって反論したいきもちも依然としてあるから、一人二役でちっともおさまりがつかない。

変わったものがあるな…と目がとまり、手に取って、さんざんためつすがめつしたのち、元の場所に置き、立ち去ろうとしてからふとまた戻り、また手に取って、性懲りもなくためつすがめつを繰り返したのち、また元の場所に置いたにもかかわらず、言いようのないきもちに囚われて三たび手に取り…挙げ句いそいそと連れ帰ることになるなんて、誰より僕が首をかしげているのです。


テデロス05号機(ソフビ)



「20世紀未来」…

未来という概念を根底から覆す新鮮なフレーズです。そういえば20世紀を未来だとおもったことはかつてなかった。


箱絵

拡大

クマ



顔…かなァ…


あるいは魔が差した、と言うべきなのかもしれません。でもそれにしては時間がたてばたつほど「これは良いものだ」という思いが強くなるばかりです。どういうわけなのか、じぶんのことなのにぜんぜん解せない。





【お知らせ】毎週日曜午後6時からTBSラジオでお送りしている 高橋芳朗 HAPPY SAD 、次回15日のゲストは久しぶり、小林大吾ですよ!

2012年1月6日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その93


いくら何でもこんな手前からお知らせしなくても良いのではないか、と思われる場所に設置された商業施設の看板。


日本でいちばん気の早い看板は、何キロ手前にあるのか知りたい。




不思議な肉のおすそわけが届きましたと、ちらほらご報告をいただいています。あれが何の肉であるかは言うまでもないとして、「フレッシュ」が "fresh" と "flesh" 、ふたつの意味にかけてあったことに気づいてもらえたかどうかはさすがに自信がありません。アルファベットでなくカタカナだったことにも、いちおう理由があったのです。

ともあれ、よろこんでもらえたのなら、何よりです。全員にお届けできないのは本当に心苦しいのだけれど、何ぶん夜中にひとりでコツコツとこしらえているような具合ですから、どうか大目に見てやってください。

そういえば以前とくらべてケータイでの応募が多く、フームと考えさせられました。iPhoneに限ったことでもないし、フリーメールとくらべても断然多いから、時勢なんでしょうね。ケータイで読むにはこのブログ、文字量が多くてつらくないですか?




また、ありがたいことに質問もストックがたっぷりできて胸を撫で下ろしています。みんなで考えたくなる楽しいものから、ほとんどイジメに近いものまで、じつにバラエティ豊かなラインナップです。

そのいくつかは過去に「パンドラ的質問箱」でお答えしたものと重複しています。じっさい最後の更新から15ヶ月(!)も過ぎ去った今となっては、ご存知でない方もおられましょう。あるいはそもそも、そのすべてに目を通された方などどこにもいないのかもしれません。何しろ僕もひさしぶりに読み返してみて、答えた記憶のないものにぶちあたったくらいです。おそらくその可能性のほうが高い。年もあらたまったことだし、ここで今いちど説明せねばなりますまい。

「ムール貝博士のパンドラ的質問箱」は、ものぐさという名のやんごとなき事情から更新がポイとうっちゃられるまでじつに87回、いちど復活したリターンズ5回分を含めると92回を数え、質問の数にいたってはゆうに120(!)を超える、当ブログきっての長命にして優良穴埋め企画です。

これだけ数があったら投票を募ってどの回答に支持が集まるのか知りたい気もするんだけど、実際に楽しんでもらえていたかどうかはともかく、今からぜんぶに目を通すのはさすがに至難の業なので、あきらめるほかありません。残念ですね。

僕が言われてすぐに思い浮かぶのは「ハムスター丸め職人」の回です。あれからもう3年になるのか…


印象にのこっている回はありますか?




ではさっそくひとつ、質問にお答えしてから退場するとしましょう。リターンズ分の5回を足して、93回目から!


ウシの家計簿さんからの単刀直入な質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。



Q: 僕のことは好きですか?


A: もちろん!好物です。



バリボリ

ムシャムシャ

ゴクン





質問はいまも24時間受け付けています。

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 その94につづく!

2012年1月3日火曜日

正月は何か料理をつくってくるように




2012年です。

年末は(すこし年始もかかっていますが)、ムール貝博士が狩ってきた不思議な肉へのご応募とともに、多くのあたたかいお便りをいただきました。その大半が初めて目にするお名前で、ろくろく沙汰のない身からするとこれほど冥利に尽きることはありません。今も気長にお付き合いくださる馴染みの方の心得たお気遣いもうれしく、年明け早々目頭を熱くしておりました。ホントにどうもありがとう!

博士の獲物は抽選となってしまいましたが(もうしわけないです…)、応募時にいただいた質問は例によって「ムール貝博士のパンドラ的質問箱」でひとつひとつお答えしていく予定です。



ちなみに僕にとって1年でいちばん大切な日である大晦日は、実家から「正月は何か料理をつくってくるように」と思いもかけない指示が下されたため、やむなくその大半が身内のための料理に費やされました。ガッデム。里帰りっておふくろの味を食わせてくれる行事じゃなかったのか?

また、「1月はアフリカの大地溝帯に行く」と宣言していた今年古稀になる豪儀な伯母は何だか良くわからない紆余曲折をへて、年明け早々2日からコソボに向かったようです。どういう思考回路をしてるんだあの人は?


物思いに耽る肉塊の図




こんな調子で相済みませんが今年もどうかひとつ気長にお付き合いくださいますよう、よろしくおねがいします。