リトル豆移動さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 三角バミューダとより良い転落の為のロールモデルの共通点として「足のサイズ」がありますが大吾さんにとってこの言葉にはどんな意味が込められていますか?
これまたいい質問です。
2004年の「1/8,000,000」から2020年の「化野/ADASHINO of the dead」までの全作品を通じて、僕は主題とまったく関係のない共通のモチーフを詞の中にちょいちょいねじ込み、一見するとつながっていないように見える点と点を結んで作品世界を網のように広げていくところがあります。三つ足の猫やカッコいい靴なんかがそうですね。
足のサイズもそのひとつです。それ自体が何かを具体的に表しているとまでは言いませんが、「すごく大事な情報として扱われるどうでもいいもの」という意味ではかなり意識的にねじ込まれています。
ではなぜそんな、具体的に何かを象徴しているわけではないどうでもいいものがねじ込まれているのかというと、これはモンティ・パイソンへのオマージュだからです。
モンティ・パイソンは1960年代のイギリスに颯爽と現れ、世界中の好事家たちにビートルズ級の影響を及ぼし、今も語り継がれる伝説のコント集団ですが(テリー・ギリアムもメンバーの一人です)、そのスケッチ(コントのことです)のひとつに足の、というか靴のサイズがほんの一瞬だけ、出てきます。
たしか主婦が助けを求めて消防署か何かに電話をして、つながらなかったり一方的に切られたりして要領を得ないやりとりをくり返しながら、現状把握のための聞き取り調査みたいな流れで「靴のサイズ?3ですけど?」的なセリフに行き着くのです。そしてこのやりとりは電話を別の人に代わっても、そのあと切り替わったぜんぜん別のコントに出てくるぜんぜん別の電話でも、同じようにくり返されます。どう考えても必要ないというかどうでもいいことこの上ない靴のサイズが、緊迫した状況における必要不可欠な情報として扱われているわけですね。
言ってみればそれだけのことです。それだけのことですが、無意味におもえるものに込められたちょっとした意図のよろこびを知る僕としては、感無量というほかありません。気に留めてもらえてよかった!ひょっとするとむしろ期待に添えなくて謝るところなのかもしれないですけど。
なので全然、意味はありません。
A. モンティ・パイソンへのオマージュです。
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その360につづく!