2022年1月21日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その358


びっくり鈍器さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. SDGsの最後の小文字sって必要な存在なんでしょうか?


いい質問です。と同時にこれはおそらく、ある意味とても日本らしい質問でもあります。

もうだいぶ以前のことになりますが、ある会社のウェブサイト立ち上げに社員でもなんでもない単なる一個人である僕がなぜかお手伝いとして加わり、会議というかシステム要件定義の場にしれっと同席していたことがあります。3つ4つの会社がそれぞれ3、4人ずつ集まっていたので、話し合いが進むにつれて誰がどこの誰だかさっぱりわからなくなったものです。もちろんその中でいちばん不可解な存在だったのは僕だったとおもいますけど。

そうした場のあれこれで今も忘れられないのは、誰かが「グーグルマップの…」と言うたび、それに呼応するようにシステムを担当する側の偉い人が「グーグルマップは…」と答えていたことです。

何しろ日本では「Googleマップ」と表記されているし、グーグルマップスと入力しても予測変換で「グーグルマップ」と「す」に分かれるくらいなので、かなり多くの日本人が知らずにいるのではないかとおもわれますが、正式名称は「Google Maps」です。

なぜ複数形なのかをここで論じるつもりはもちろんありません。僕がここで言いたいのは、どういうわけか日本では複数形というものに対して言語的に大らかであるという点です。たとえば「子供」がそもそも「子」の複数形だったはずなのにそれを忘れて「子供たち」とさらに重ねてしまうあたりからもその雑っぷりがうかがえます。なんとなくここには言語学的な認識の違いみたいなものがある気もするんだけど、そこにも今は立ち入らないでおきましょう。

日本語の観点からするとSDGsも同じ印象があります。複数であることをわざわざ念押ししなくたってSDGで分かりそうなもんじゃないのと首をかしげる気持ちはよくわかるけれども、英語ではそうはいきません。英語圏におけるちっこいsの権力はロスチャイルド家のように強大であり、あるのとないのとでは玉ねぎ1個と玉ねぎ3個くらいの歴然たる違いが出てくるのです。

またSDGsというのはよく知られているように「すてきなダイゴさん」の略称なわけですが、最後のsを取り除くとそれは「すてきなダイゴ」に成り果ててしまいます。もちろんどっちでもすてきなのは変わりません。変わりませんが、違うと言えばぜんぜん違います。何がと言われても困るけど、兎にも角にもなくてはならないし、あってこそある種の平和が保たれる、それがちっこいsというものです。ゆるがせにすることはできません。


A. 必要にして不可欠な存在です。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その359につづく!  

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