<現在の状況>
・曲順が決まりました。
・マスタリングがおわりました。
ふつうはここまでくるとほぼ完成みたいなものですが、ご存知のように僕の場合はここからが地獄なのでいまだにぜんぜん見通しが立ちません。ふーむ!
いま言えるのは、これまでアルバムにほとんど興味を示したことのないミス・スパンコールがたいへんおもしろがっているということ、それから無人島に持っていきたいCDやレコードのなかにじぶんのアルバムを入れたいとおもったのはこれが初めて、ということです。それが良いニュースなのか悪いニュースなのかは、何を求めているかによって判断がはっきりわかれるところだとおもいますが、しかしそれはまあ、致し方ありますまい。
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そんなことはまあさておくとして、去年の年末から僕の住まいは大規模な修繕工事の真っ最中なのです。建物全体に足場ががっちり組まれ、防護幕を張り巡らされ、窓から空のひとかけらも眺めることができません。詩を書いたりビートをこしらえたりしながら、終わるのは来年の3月か…先は長いな…とため息をついていたのに、気づけばもう2月も終わりなんだから月日が慌ただしいのか、それとも僕がのろいだけなのか、考えさせられます。僕の1秒は本当に他の人と同じ1秒なのか?
工事にともない、住まいの入り口にはホワイトボードが設置されました。進捗状況や大事なお知らせなんかがそこに貼り出されて、「ああ今日は洗濯物を干してはいけないんだな」とかそういうことがわかるようになっているわけですね。
といってもホワイトボードすべてが文字やら書類やらで埋め尽くされているわけではありません。多い日もあれば、少ない日もあります。というのはつまり、そこにはいつもある程度の余白がのこされている、ということです。
余白があって、そこにペンがあるなら、することはひとつしかありません。このとき僕の心にポワンと現れた天使と悪魔の短いやりとりをここに再現してみましょう。
天使「いたずらしちゃダメ!」
悪魔「いっしょに描こうぜ」
天使「え、いいの?」
そういうわけである日ホワイトボードの隅に、国民的ネコ型ロボットが描かれました。僕だって余白がいっぱいあるからといって、それをすべて絵に置き換えてしまうほど節度がないわけではありません。いつだってそれはささやかな出来心の範囲内でしかないのです。
やりたいことをやりおおせてさっぱりと気が済んだ翌日、ホワイトボードを見てみると
何者かの手によってさりげなく国民的な幼稚園児に描き換えられています。
国民的なネコを追加
すると翌日……
何者かの手によって国民的な毛虫が追加
しかたがないので
パーヤンを追加
すると翌日……
何者かの手によってミッフィーらしきものが追加
しかたがないので
負けじとクマっぽいものを追加
にぎわい始めるホワイトボード
アンパンマンは僕です
うすうす感づいてはいたけれど、明らかにひとり絵心のある人がいます
雪だるまが僕です
オバQが僕です
ここにきてタマフル放送作家にしてOKB48総合プロデューサー、古川耕が参戦(アンパンマン)
オバQに対する的確な返答(ドロンパ)
鬼太郎も登場
ちびっ子が参戦した模様(そして三たびアンパンマン)
OKAERINASAI!
……とまあこれが今にいたるまでずっとつづいており、とてもそのすべてを列挙するわけにはいかないのだけれど(ムーミンのあとにはミーが描かれてました)、こうして紡がれていくやりとりの何が最高といって、誰がいつどれを描いているのか誰にもわからないままつづいている、という点です。ですよね?しかも最初は僕ともうひとりくらいだったのに、どう見ても途中から参戦する人が増えています。
このちょっとした出来心による、無言にしてささやかなリレーを最高と言わずに何と言いましょう。うむ、世の中捨てたもんじゃないな、としみじみ思わせてくれるじゃないですか?ハートウォーミングきわまりない!
ちなみにこれが最新
どの部屋の誰だかちっともわからないけれど、少なくともここには話のわかる住人がいる、それがわかっただけでも十分に意義のある修繕工事だったとおもうのです。