関ヶ原のララバイさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. かっこいい大人になる秘訣はなんでしょうか?
なんてことないように見えて、その実、切っ先を喉元に突きつけられるような質問です。平然と答えてしまえばかっこいい大人であると自ら喧伝する恥ずかしいことになり、回答を拒否したらしたでこれまたかっこいい大人ではないと自ら喧伝する恥ずかしいことになります。
その昔ヨーロッパで魔女を疑われた人が火あぶりにされたのは、その結果によって魔女であるか否かを判別できるとされたからですが、いずれにしても待つのは死のみである以上、これとほぼほぼ同じと言っても過言ではありません。どのみち死ぬんなら何をしても同じじゃないか、殺すなら殺せ、ひと思いにバッサリやるがいい、さあ!どうした、早くやれ!と道ばたに大の字で寝転んで力のかぎり叫びたいきもちでいっぱいです。
なんならそこに「それがわかりゃ苦労しねえんだよ」というハルマゲドン的な一言を付け加えてもいいところですが、さすがにそれは赤裸々すぎるのでここでは自重しておきましょう。前途ある有望な若者のきらめく未来を木っ端微塵に打ち砕いてさらさらの粉にして初夏のそよ風に攫われるがままにするなどということは、人生の下り坂を今まさに猛スピードで転がり落ちようとしている僕としても本意ではありません。
図らずもかっこいい大人ではないことをずるりと露呈してしまったので開き直ってお話しすると、かっこいい大人になるための秘訣、というか手っ取り早い方法のひとつは、自分以外の人類をこの地球からひとり残らず駆逐することです。比較する他の誰も地上に存在しない以上、かっこいいも悪いもすべては自身の認識次第という全能感あふれる立ち位置を手にする、もしくは足にすることになります。最後のひとりというだけでもう十分にかっこいいし、そればかりか容姿、人格、財産、社会的地位といったありとあらゆる要素においても、ひとりなので文字通り独壇場です。否定しようにもその否定する人がどこにもいないのだから、100%かっこいいと言うほかありません。
僕自身はもう年も年なので今さら人類を駆逐する気力も甲斐もないですが、若いうちならノリでいけてしまうケースもままあります。がんばってください。
A. 人類をひとり残らず駆逐することです。
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その324につづく!