2014年1月4日土曜日

2014年も変わらず、ぬるめの燗くらいの塩梅で




あけましておめでとうございます。

ぎりぎりまでどたばたとあれこれやっつけておいたおかげで大晦日はゾウガメのようにのっしりむっくりおだやかに過ごすことができ、そんならここはひとつブログも締めのご挨拶といきますか、と腕まくりをしたはいいものの、なまじリリースのお知らせなんかをぽろっとこぼしていたばかりに却っていつもどおりののらくらした調子が出ず、どうもこう鯱張ったというか肩に力の入ったようで2時間たっても一向らちがあきません。ふだんなら格別、1年の締めとなったらやっぱりいちばん鮮度の高いお話、というのはつまりアルバムのことですが、それにふれないわけにはいかないだろうし、と言ったって世に掃いて捨てるほどあるCDが1枚ふえるだけのことをそう大げさに書き立てるわけにもいかないしでにっちもさっちもいかなくなり、けっきょくぜんぶうっちゃって公園に日向ぼっこでもしにいくことに決めたのです。英断だったとおもう。


日向ぼっこをしていたらどこからともなくやってきて


トートバッグを座布団代わりにごろりと寝転がり


ノートをしっぽでめくってなぜか自らはさみこむ猫


それでまああとは棍棒で後頭部をぶん殴られたような具合で時間があっという間に飛び去り、気がつけば1月も早4日です。お天気もくずれると言いながらなんとか持ちこたえて晴れ晴れときもちのよい年明け、みなさまいかがおすごしですか。有楽町の一角でおきた火事がまさか日本列島をぷるぷると揺らすような騒ぎになるとは思いもよりませんでしたな。

僕は実家の押し入れから20年ぶりに発見された若かりしころの芸術作品に、何とも形容のしがたいショックを受けておりました。大事にしまってあったのでは全然なく、なぜか奥の壁に画鋲で留めたまま20年放置されていたのです。25センチ四方くらいの大きさで、どうも蟹をあらわしているらしい。


どちらかというとスクラップにされた重機みたいな印象ですね。

こんなの別に必要でもなんでもないから、しかたがねえ、また画鋲で留めておこう、と押し入れに戻そうとしたら、物好きな妹が新居に飾るといってお持ち帰りになりました。さすがにそれはちょっと考え直したほうがいいんじゃないのと忠告はしたのだけれど、「この兄にしてこの妹あり」みたいな血の濃さって、つまりこういうことなのかもしれません。


ともあれ改めて、「手書きなんですね…」と毎回地味に驚かれるいつもの年賀状キャンペーン、年越しも目前に押し迫った慌ただしいアナウンスにもかかわらず1万通()に届こうかとおもわれる多くのご応募をいただき…

※数字は景気よく誇張されています

…ありがとうございました。いただいた温かいおきもちは、丁寧に煮て一晩寝かせた大根のように、ほくほくとやわらかく身にしみております。ほんらい全員にお贈りすべきところをそうもできない至らなさ、面目ないことに今回も抽選になってしまいましたが、毎年ご応募くださる方ほどその低倍率を実感しておられるはずなので、次回があればそのときはどうかまた気軽にお付き合いくださいませ。ホントにどうもありがとう!

何といっても僕がたのしみにしているのは、おたよりに少しく書き添えられたみなさまの近況です。はじめましての人も、すっかりおなじみの人も、うれしい話、せつない話、引っ越したり、転職したり、恋がうまくいったり、いかなかったり、結婚のご報告も数通(!)あって月日の流れにしみじみ感じ入ることもしばしばでした。身の上話に耳をかたむけるの、大好きなんだよね!用事なんてべつになくていいから、もっとちょいちょいおたよりくれたらいいのに!とさえおもいます。年賀状にははずれても全員にきちんとお返事しているので、実際のところメールでのお返事のほうが時間をかけているくらいです。ささやかでもみなさまとこんなやりとりがつづけられていることのよろこびを胸にいざ足を踏み入れる2014年も、どうかこれまでと変わらずほそぼそとお付き合いくださいますように!

アルバムについては……そうですね、えーと、先にも書いたように日常の延長線で思い出したようにぽつんと咲いたちいさな花みたいな話だし、そう気負うものでもありません。古川さんやフラインスピンをおもえばあんまり消極的でもよくないとおもうけど、でもモノがモノだし、他とちがって僕が僕ですからな。

今年も変わらず例年どおり、ぬるめの燗くらいの塩梅でよろしくおねがいします。