2014年6月25日水曜日
T-fal と KAT-TUN は同じ引き出しに入るか問題
人はどこから来てどこへいくのか、宇宙の果てには何があるのか、そしてモテ期は本当に存在するのか、といった深遠かつぼんやりな問いと並んで日ごろ僕の頭を悩ませる謎のひとつに、「なぜT-falはティファールと読むのか」という通称ティファール問題があります。
言うまでもなくT-falとは、フライパンとか電気ケトルでおなじみのあのT-falですが、しかしどう考えても、初めてこれを読めと言われたらまず誰だって「ティーファル」と読むに決まっている、と断固たる口調で申し上げねばなりません。何しろ僕はわかっていてもついそう読んでしまうし、そうしてそのたびに「ちがうちがう」といちいち脳内で変換しているのです。ここで「もういいや、ティーファルで」とあきらめてしまうと、ただでさえ最近とみに感じる老化がさらに加速しそうなのでなんとか必死に食らいついてはいるものの、その努力もそろそろ限界に来ようとしています。耳元で気のいい悪魔が「いいじゃねえかティーファルで。大概みんな察してくれるって!」とささやくのも聞こえます。よくよく考えたら「fal」を「ファール」と読むのもなんだか釈然としないような気がしないでもありません。
困惑の理由は、これと同じルールを他の語群に当てはめてみれば一目瞭然です。
T-shirts → ティシャーツ
T-back → ティバーック
T-BOLAN → ティボーラン
T-REX → ティレーックス
T-Boz (TLC) → ティボーズ
T-point → ティポーイント
T字路 → ティジーロ
不適切な例がまぎれこんでいるとおもわれるかもしれませんが、それはこの際重要ではありません。アヒルの子がずらずら並べば時には1羽くらい白鳥も混ざろうというものです。強調したいのはあくまでこの問題の根底に横たわる奇妙なダブルスタンダード(二重基準)であって、なんでT字路が入ってるんだとかそういうことではないのです。すくなくともこれらの例を挙げるだけで、惑わされることこの上ない、というわたくしのきもちを斟酌いただけるのではありますまいか。
つまり、先頭にTの字が独立していて、あまつさえそこにハイフンがつくなら、それはもう迷いなくまっすぐに「ティー」と読むはずだし、読むべきだし、読みたいのです。「ティ」でつんのめってごろごろ転がるより、「ティー」と出だしから優雅にすべりたいのです。「ティシャーツ」とか「ティバーック」なんか、語感からして身につけるどころか風に吹かれてどこかへ飛んでいってしまいそうな気配がぷんぷんするじゃないですか?
とはいえ、もちろん僕はT-falに牙を剥く者ではありません。T-falはキッチン用品界において疑いなく頭ひとつ飛び抜けたすばらしいブランドです。僕がやいのやいの言っているのは実際のところ読む側にかかる問題であり、ひいてはそれを読みまちがえる僕個人の問題であり、したがってここから導き出されるのは「年はとりたくないもんだ」という単純にしてほろ苦い一言のみです。
年はとりたくないもんだ。(結論)
※ちなみに上に述べたのと同じような理由から、僕のなかでは「KAT-TUN」も「T-fal」と同じ引き出しに入っています。
2014年6月23日月曜日
たそがれ/dusk of the jurassic period
くさった鳥の
なきがらひとつ
鐘突堂で坊主が笑うの
野にちる枯れ葉と
ビニール袋
煽るこがらし
ごはんの時間
家庭婦人の
みくだり半
だれかがよぶから
ふりむくの
だれもいなくて
なきがらひとつ
さむくてあかるい夜がくる
プテラノドンが
物干し竿に
止まって冬の
においをかぐの
「サプライズ!」と鳴く
ふらちな生きもの
日の出に唾を
吐くつもりなの
2014年6月18日水曜日
六日の菖蒲、十日の菊、今日の特装版
予定ではひと月くらいかけてゆっくりと、何なら売り切れるまで何年でもずるずると、ここで特装版についてのセルフボーストをねちっこく繰り広げるつもりだったのです。しかしいったい何が起きたのか、たいへんありがたいことにそのセコい目論みは花と散りました。500部すべてが出払ってしまった以上、いつまでもそれに拘泥しているわけにもまいりません。ラーメン屋がその日の美味さを閉店後にアピールして何の意味がありましょう。思いを馳せるべきは明日のことです。それは他の誰より僕自身がいちばん身にしみてよくわかっています。何しろついうっかり忘れてしまっていたけれど、アルバムの発売日はまだ2週間も先なのです。
だから特装版についてふれるのはこれを最後にいたしましょう。ホントはもう、コンテンツのひとつひとつについていろいろ書きたいこともあったのだけれど、やむをえますまい。今日ここで思いの丈をぜんぶ吐き出して、明日になったらキレイさっぱり忘れて前を向き……なんか失恋した夜みたいな話になってるな。なぜだ?
*
ともあれこれが「小数点花手鑑<特装版>」(だったもの)だ!
1. 化粧箱
タイトル+ちょっとした意匠を箔押しにした、スレンダーで美しい化粧箱です。古きをたずねて新しきを知る職人さんが丹精こめて仕上げてくださっています。「裁ち分け」と言って、フタと内箱の高さがぴったり揃っているのがポイント。箔押しと言っても実際には箔を乗せない「空押し」なので、繊細な部分も驚くほどくっきりと浮かび上がっています。紙の種類も3色のアソートです。
2. 取扱説明書
A5版で8ページをみっちりと文字(と何だかよくわからないもろもろ)で埋め尽くした、アルバムのアタッチメント小冊子です。全曲解説というよりはアルバムに関する、もしくはぜんぜん関係ないようなことが渾然と大雑把につめこまれています。
最後のページに収録されている「佐原ぷりあのB味礼賛」はもちろん、ブリア・サヴァラン著「美味礼賛」のオマージュです。気づいてもらえているかわからないですけども。
3. ポストカード2種
なんとなく、今までさんざんやってきたようなつもりでいたけれど、それはフライヤーであって、じつはこれが生まれて初めてのポストカードです。時世を鑑みて有り体に言うと、裏がハガキの体裁になったカードです。羊は「100匹数えろ」、青いほうは「リップマン大災害」をモチーフにしています。
4. パン屋の1ダース/Baker's Dozen
思うところあって最後までお見せしないまま終わってしまったのがこれです。"baker's dozen" は「13」という数字を意味する慣用句。アルバム本体と同じクオリティで作製された16ページのブックレットが付いています。特装版にこめた本来の意味を考えると、これはもう二度とできないコンテンツですね……。
許可なく複製したり、賃貸業に使用したり、茹でたり、くんくんしたり、ぱりぽりかじったり、その他いろいろのことを禁じます……
*
アルバム本体を除いてこれですよ!叶うなら500部と言わず全部この仕様にしたかったくらいです。よくやった。じつによくやった。
しかしこれで気は済みました。心残りはありません。ぜんぶリセットして明日からはまだ何も始まっていなかった態でしれっと前に進むといたしましょう。お求めいただいたみなさま、本当にありがとう。よろしければ明日からも今日に引きつづきよろしくお付き合いくださいますよう。
2014年6月16日月曜日
そしてふたたび忘れがたい夜のことなど
どう考えても一週で事足りるはずなのになぜか二週つづけておこなわれた日曜の先行リリースイベント@渋谷Flying Booksは、めでたく大団円をむかえることができました。大団円だったのはもっぱら僕の脳内で、実際のところはすってんころりん的な体たらくだったかもわかりませんが、さておきご来場くださったみなさまには心からまっすぐにドスンとお礼を申し上げねばなりません。ありがとうありがとうありがとう。
うれしく思い返されるのは、イベント終了後にひとりひとりとすこしずつお話できたことです。順番になるからどうしてもすごく時間がかかってしまうのだけれど、気長に並んでくれたこと。写真を撮るのに次に並ぶ人が快く撮影係を請け負ってくれる流れが自然にできたこと。わけてもみんなで譲り合って、遠方からわざわざ足をお運びくださったかたを優先してくれたこと。まるで全員が古くからの知己であるかのような心得ぶりじゃありませんか。とくに昨夜は北海道、群馬、静岡、愛知、京都、大阪、広島、福岡とにわかには信じられないほど広範囲からお集まりいただいていたのです。手のひらサイズのささやかなイベントに。
さても豊かなお志を頂戴しては、いかに人前に出るのが不得手といっても、忘れがたいよろこびなしにお帰りいただくなど断じてあってはなりません。心の底からなみなみと満たされて、その甲斐あったとほころぶ顔でなくてはなりません。はたしてそう願うとおりの時間にできたかどうか甚だ心許なくはあるけれども、でもこの機会があって本当によかったとしみじみおもいます。現実にあるとはおもわれない、という本来の意味での有り難さ、今このときこう言わずに何と言いましょう。どうかこれに匹敵するよろこびを、お持ち帰りいただいていますように。
*
さて一方、特装版がお手元に届いたとのご報告をこの週末からちらほらといただいております。けっきょく最後まで判然としなかったコンテンツについても、おおむね好意的に受け止めてもらえているのではありますまいか。今週中には500部すべてが行き渡るはずなので、ワーとかキャーとかポロリとか思い思いの反応をどうせならゲレンデが溶けるほど熱烈に示していただきたい。
これまでずっと言えずにいた特装版についてのもろもろについては、もう何を憚ることもないので後日あらためてそのひとつひとつをここにずらずら並べるつもりでおりますが、ここではとりあえずひとつだけ特装版の秘密を貼り付けておきましょう。
じつはこの化粧箱、紙の質がそれぞれ異なる3色に分かれているのです。
500部限定ですが、まったく同じセットを持っているのはそのさらに1/3、167人のみということになります。
何だよこっちの色が良かったなどとつまらないことを申してはなりません。わーすごい特別感!というのが正しいリアクションです。
すごい特別感!すごい特別感!
(あらんかぎりの大声でその他の声をかき消しています)
2014年6月11日水曜日
ご報告とそのお礼、そして幾許かの釈明を
さて、どちらから先にしたものかとすこし悩んだのですが、やはりより多くの人に関係する特装版のお話からいたしましょう。
「小数点花手鑑<特装版>」、思いもよらないことに予約開始からちょうど2週間目となる日曜日で500部すべてが完売と相成りました。どう考えても、どんなにちいさく見積もっても、身に余ることです。ありがとうありがとうありがとう。コンテンツについての基本的な情報すらオープンでないばかりか、アルバム云々というにはさすがに気の引ける体裁だけに、ゆっくりでも必要な人に届けばいいと鷹揚に構えていたのが、なぜこんなことになっているのか僕もふしぎでなりません。まさか予約の段階で、しかもオーダーフォームをこしらえる前に売り切れてしまうとは夢にも思わなんだ。
というのも前回は予約開始からひと月の時点で、まだ半数がのこっていたのです。そこですこしでも注文しやすいようにとオーダーフォームを取り付けてみたわけですが、完売までにはさらにひと月かかっています。モノがモノだけにそれでも早いとびっくりしていたのだから、何をか言わんやです。こうなると逆にものすごく心配になってきます。みんな何かたいへんな誤解をしてるんじゃないだろうか…?DAIGOとか小林大悟選手の生写真が入ってるわけじゃないんだぞ!
でももし、本当に特装版の何であるかをご承知のうえで、お求めいただいたのだとしたら、きっと隅々まで(文字通り、隅々まで)たのしめるプロダクトに仕上がっているはずです。500部すべてのセッティングも完了したので、来週にはお手元に届きます。今しばらくお待ちくださいませ。
期待はずれで地面に叩き付けられるのではないかと思うだに胃がキリキリ痛みます。
*
そして同じ日にあったもうひとつのだいじなことを。
おかげさまで小数点花手鑑先行リリースイベント@Flying Books 第一弾は、ピューッと来てピューッと飛び去っていきました。足下のわるいなか、ご来場くださったみなさまどうもありがとう。何しろ2年ぶりのライブパフォーマンスなのでまったくどうなることかとおもいましたが、結局どうなったのかいまいちよく思い出せないまま、でもなんかすごいいいかんじだったということで強引に心理的幕引きをはかる水曜日です。ごきげんいかがですか。
大盛況
そもそもリリースイベントを同じ場所で2回に分けて行いますとあらかじめアナウンスすること自体、相当な身のほど知らずと言わねばなりませんが、それでもどうにかこうにか席が埋まり、レーベルとしてもホッと胸を撫で下ろしております。おそらくライブがどうということよりも、「パンダ、渋谷に来るってよ!」みたいな意味合いも多分に含まれているのではありますまいか。「あっ、動いた!」「笑った!」「トチッた!」とか、平たく言うとそういうことですね。僕ではなくなぜか傍観者であるタカツキ目当てで来ていた人もいて、そのために特装版というのはさすがに投資の仕方が根本からまちがっているような気もするけれど、しかしまあ人にはそれぞれいろんな事情があるものです。彼がいることで僕が得をするのなら、それはもちろん両手を広げて歓迎したい。
ともあれ本当にありがとう。この日の思い出がすこしでも明るくたのしいものになっていますように。
そして今週末は、その第二弾です。プロデューサー・古川耕の手慣れたトークもたっぷりお楽しみいただけます。タカツキは今回も来てくれるそうですので、安心してご来場くださいませ。
2014年6月7日土曜日
そろそろ32Pブックレットのことなど
あれこれともたついてスミマセンスミマセンとぺこぺこしていた4年前のオーディオビジュアルリリース時がむしろ順風満帆だったようにおもえるほど何もかもが後手に回っている今回はもはや、気にしても仕方がないよな、という悟りの境地に達しております。
なかでも何が最大の後手と言って、特装版用のオーダーフォームをこしらえようとおもったらすでに残数が1割もなくてほとんど意味がなくなってしまったことではありますまいか。
前回は「考えうるかぎり最悪のタイミング」でオーダーフォームを公開したことに忸怩たる思いを抱いていたのだけれど、今回は良し悪しどころかタイミング自体を失ってしまい、忸怩もへったくれもありません。いやはやまったく、下には下があるものです。
しかしまあ気にしたって時間が戻ってくれるわけでもないので、ここはやはり気にせずにまいりましょう。
上にもありますが、すったもんだの悪戦苦闘の末、ホームページが刷新されました。え?ホームページなんてあったっけ?とお思いかもしれませんが、じつは10年以上前からあるんです。ひとまず1曲だけ試聴ができるようになっているのと、プロデューサー・古川耕によるアルバムの全曲コメントが公開されています。ヤッホー!
しかも今回はスマホ仕様です。…になっているはずです。デザインだけでなく、FLASH非対応のモバイルでも再生可能なプレイヤーを設置していることに感心していただきたい。
それから、画像を用意したまますっかりおろそかにしていた肝心のアルバム本体、「小数点花手鑑」の半身とも言うべき32ページブックレットについてもそろそろお話しせねばなりますまい。CDがスリーブ仕様なので、ブックレットの表紙が本体のジャケットになっています。それがこちら。
あらためて久しぶりに見るとすごいなこのボリューム…。
そして裏表紙がこうです。
なぜここに鼻があるのか、「しょうすうてんはなのてかがみ」の「はな」がちがうのではないか等々の疑問は是非アルバムを手に取ってご解消くださいませ。また、特装版にはこの鼻がいったい誰の鼻なのかという点についての記述もございます。
目次のちょっとした意匠もお見逃しなく!
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