2009年12月31日木曜日
サンボ印の高級トラバター生産終了、ならびに少量追加のお知らせ
お客さま各位
平素は格別のお引き立てをたまわり、厚くお礼申し上げます。
ご好評をいただいております弊社謹製「サンボ印の高級トラバター」ですが、あと1時間で今年もおわりだというのに予想をはるかに上回るスピーディな反響をいただき、あっという間にまさかの品切れとなってしまいましたことをここにお詫び申し上げます。まことにもうしわけございません。
香り高くもコクのあるなめらかな舌ざわりがホットケーキにぴったりと、創業から今年で110年をむかえる今なお絶賛の声を数多く頂戴します弊社トラバターも、世界各地における野生トラ(とりわけアムールトラ)の激減とその保護に伴い、近年はごく少量の生産とさせていただいております。お客さまにはたいへんご迷惑をおかけしてもうしわけございませんが、そのへんのアレな事情をご斟酌いただければ幸いです。
また弊社では今回、告知どころかろくろく近況報告さえしないこのていたらくにもかかわらず、お客さまの変わらぬご愛顧への感謝のしるしといたしまして、人気の「サンボ印の高級トラバター」を、わずか数点ばかりではございますが特例として追加でご用意させていただきました。
ご応募の際には
1. 住所
2. 氏名
にできたらラブコールのひとつでもお書き添えのうえ、指定のアドレス dr.moule*gmail.com(*を@に置き換えてください)までメールをお送りください。受付は1月3日くらいまで有効です。
数に限りがございますので、今回の追加分に関しましてはすべて抽選となりますが、「それでもオラかまわね」という鷹揚な心をお持ちのお客さまには、この機会にぜひふるってご応募くださいますよう心よりお願い申し上げます。
ていうかみんなレスポンス早いよ!どうもありがとう!そして本当にごめんなさい。抽選、あなたに当たりますように!
そして今度こそよいお年を!
西池袋バター工場の黄昏
真夜中の山手通り沿い、仄暗い街灯の真下にバナナが1本落ちているのです。
ある時期まで道に落ちたバナナというのはマンガにしか出てこないシチュエーションだとおもっていたのだけれど、よくよく注意しながら歩いてみると案外あちこちにポツンと落ちているので、10年くらい前から見つけると立ち止まってなんとなく観察するようにしています。皮だけならともかく、1本まるまる落ちている場合もわりによくある。
バナナを1本だけ落としていく状況というのはいくら考えてもいまいち腑に落ちません。だいいち皮がちゃんとついているのだから拾ったってよさそうなものじゃないかとおもうんだけど、そのへんの事情をたずねたところでバナナは甘く熟れて沈黙を守るばかりです。あと経験からいうと、房ごと落ちているのを見たことはありません。落ちているのはいつだって1本だけです。それもおかしい。
突き詰めていくと(突き詰めなくたっていいんだけど)、1本のバナナが路上に横たわるまでのアクションがどうしても推し量れないのです。なんとなくわかるようで、大事な部分がどうもモヤッとしている気がする。どういうわけかバナナを食べ歩いている人は見かけたことがないし、僕自身てくてく歩きながら「あ、そうだバナナ食べよう」とかそんなの思ったことないから、どうすればカバンの中から南国の黄色い果実が1本だけニュッと出てくることになるのかいくら考えても全然想像できない。あまつさえそこに「落として拾わない」という正反対のベクトルをもったアクションが加わるのだから何をか言わんやです。儀式でもないかぎりこんなのってありえない気がする。どうなってるんだいったい?
*
と
いうようなわけでたいへん忙しない12月だったのです。あとなぜか銀座の超高級老舗デパートの社員食堂でゴハンを食べたりしていた。
(しかもスーツ着用)
(まちがっても就職活動ではない)
あれこれ雑事にとらわれて、気がついたら大晦日です。こんなに慌ただしい年の瀬はなかった。
*
何度だって言うけれど、1年でもっとも好きな夜です。はじまりではなく、おわりでもない、あの永遠にも似たフェイドアウトには今もどきどきする壮大なスケール感がある。鳴りわたる鐘の音はどこまでその余韻を伸ばすんだろう?
*
なのにまだ年賀状を書いていない。大きな心残りがあるとすればコレです。ほんとうはまた年賀状キャンペーンをしてみたかったんだけれど、今年はぜんぜんムリでした(さすがにこれだけブログをほったらかして今さらこの指止まれもないだろうというわりに現実的な判断含む)。去年のブログを読み返してみたら12月の初めには募集を開始していて、その周到さにビックリしたくらいです。それでもたいへんだった記憶があるのに…。
だからもういっそ今年は年賀状をやめようかともおもったんだけれど、ここ数年こつこつつづけてきたことだし、やっぱりつくろうと思い直したのが3日くらい前で、刷り上がったのが昨日……やれやれ!除夜の鐘を聴きながら宛名書きだ。
そんな苦心の末にできあがった最高傑作が、サンボ印の高級トラバターです。(意味がわからない人は誰かにきいてください)↓
やったぞダイゴくん!
*
さてじつはここからが本題(!)なのですが
苦節3日、わが社が自信をもって送り出すこの最高品質のバター(的年賀状)を、こんな瀬戸際でもブログを見てくれるあなたに差し上げます。(書いてるそばから冷や汗がたれてくるな)
1. 住所
2. 氏名
を明記して、dr.moule*gmail.com(*を@に換えてね)宛にメールしてください。
どう考えても大晦日に言うようなことではないし、数もないので、先着で10人くらいが限度なのですが、でもあの、たぶんほとんど見てる人いないので、大丈夫です。年賀状の暗黙ルールを無視して年明け3日くらいまでお待ちしています。もし何かのまちがいで定員をこえてしまったらすみません。でも大丈夫です、たぶん。
そして来年は2008年にいただいた山のような質問をちょっとずつでもさばいていきたい……半数以上がもうこんなブログ読んでないとしても!ごめんなさい!
*
それでもこりることなく見守ってくれて本当にありがとう。来年は3枚目のアルバムについて、ここからいっぱい発信していくことになりましょう。ちょっと意外なアルバムタイトル含め、以前とはまた趣のちがった1枚になるはずだし、話したいこともいっぱいあるのです。
ありがとう!そしてよいお年を!
長いな、しかし!
2009年12月9日水曜日
新・黒いパンサー 最終話「長いお別れ」
<前回までのあらすじ>
わりと硬派な忘年会のカラオケでうっかり名曲「見知らぬ国のトリッパー」を歌って組織のひんしゅくを買い、命を狙われることとなった「黒いパンサー」こと愛作平三(あいさく・へいぞう)。持ち前のタフネスとひねりのきいたトンチで数々の難局を切り抜けてきた彼だったが、アルプス山麓でヨーデルの練習中、ヤギ3頭と引き換えに裏切った牧童ペーテルの密告によってとうとう組織にその身を引き渡されてしまう。絶体絶命の危機に陥った平三に打つ手はあるのか!?二転三転する予測不能の展開に1秒たりとも目を離せないハードボイルド巨編、ついに完結!哀しみのヨーデルに心がふるえる…
テーマソング
*
「さて、お祈りの時間だ」
「祈る相手なんかありゃしないよ」
「かつての仲間に銃を突きつけられる気分はどうだ?」
「あんまりいいものじゃないね」
「まだひっくり返せる気でいるのか?」
「何をだ」
「この状況をさ」
「いや…さすがにあきらめた」
「らしくないじゃないか」
「らしくあってほしいのか?」
「遠慮しておくよ、お前のこわさはよく知ってる」
「だろうな」
「何か言い残すことはあるか?」
「そうだな…」
「なければこれでさよならだ」
「あるといえば…ある」
「言ってみろ」
「ヨハネスブルグに妹がいるんだ」
「そうだったな。アフリカ作戦のときに会ったよ」
「きれいだったろう?」
「ああ、美しい女だった」
「おれが消えたら天涯孤独の身になる」
「気の毒なことだ」
「彼女の世話をたのみたい」
「なんだと?」
「彼女の面倒をみてやってほしいんだ」
「笑えない冗談だな」
「冗談でもなんでもないさ」
「相手を見てものを言え」
「だから言ってるんだよ」
「仮に約束したとして、それをおれが守るとおもってるのか?」
「おもってるとも」
「救いようのない馬鹿だな」
「だからこうしてつかまってるんじゃないか」
「無様なもんだ」
「たのんだぞ」
「託すのは勝手だが、おれの知ったことじゃない」
「そう言うだろうとおもったよ」
「もういいだろう。おれにも立場ってものがある」
「それから…」
「呆れたやつだな、まだあるのか」
「あいつに伝えてほしいんだ」
「何だ」
「今週…12月12日の土曜にある<スイカだけ夜話>を忘れるなと」
「なんかの暗号か?」
「そのまんまだよ。場所は青山 月見ル君想フだ」
「よくわからんが伝えておこう。気は済んだか?」
「そうだな。もういい」
「さらばだ、黒いパンサー」
ガシャン
「だれだ!」
「おいおい、そいつはおれの獲物だぜ」
「む、おまえは…!」
*
今さら言うことは何もありません。みんな元気かなあ…
2009年12月8日火曜日
すべてを水に流す重要な業務連絡
ジャー
ゴボゴボゴボ
(何かを水に流しています)
ピンポンパンポン
業務連絡!業務連絡!
あたらしいアルバムにおさめられるべき詩のすべてが出揃いました。
ミックス、マスタリング、デザインその他もろもろはこれからだし、なんだまだそんなところにいるのかよとそっぽを向かれることもよくわかっていますが、それでもだいじなことなのでくりかえします。
あたらしいアルバムにおさめられるべき詩のすべてが出揃いました。
「もういいよ、いつまでたっても出る気配ないし」と愛想を尽かして出て行っちゃった人は至急帰ってきてください。
くりかえします。
お願い!帰ってきて!
ほんとに出るし、古川さんもよろこんでくれてるから!
ほとんどテーマパークのようだった前作とはまたちがう趣きをまとった今回は、あっ時間が
わ、忘れかけてたSUIKAの告知もしないといけないのに、そ
ピンポンパンポン
2009年10月18日日曜日
あとの祭りか、祭りのあとか
ささやかな伝説がひとつ、幕をとじました。
(手元にあるなかでいちばん大入り感の伝わる1枚)
トータル5時間を超えるクレイジーな長丁場に最後までお付き合いいただいたみなさま、本当にありがとうございました。500人がぎゅうぎゅうとすし詰めになっているところに、はじまりから終わりまでろくろく休憩もはさまずに次から次へとメインディッシュのみが運ばれてきくるのだから、その胸やけと胃もたれ具合は察するに余りあります。だってステルスとロマンクルーと降神とサイプレス上野とロベルト吉野とイルリメですよ!トイレに駆けこむ暇もない。
でも、まちがいなくその甲斐はあったと、言い切ってしまいたい。いや、ちょっとホントあれ、すごかったですよね。みんな一体となってポジティブな暴徒と化していたし、会場は熱気でほとんどオーブンみたいになっていたし、帰り道ちょっと焦げてた人とかいたんじゃないだろうか?
でもぶじに終えることができて本当によかった。ありがとう。ありがとう。馬車馬も肩の荷がおりました。
このたった一夜のために、いったい何十時間のリハをかさねてきたのか、SUIKAのサイボーグぶりには呆れて言葉もありません。やろうとおもってできるようなことじゃないんだから!一度でもみたことのある人なら実感してもらえるとおもうけど、彼らの本領はライブにこそあるとつくづくおもいます。ですよね?そしてヒップホップと銘打ちながらあれだけまろやかな空間を演出できるのも彼らだけだと僕はおもう。
考えてみれば、スイカ夜話というのはいつもそんなかんじです。その楽しさはいつだって昨夜に引けを取りません。そんな彼らが全身全霊をこめてお送りする次の夜話は「スイカだけ夜話」と題したワンマン(!)、12月12日の土曜日です。
猫も杓子も誘い合わせて、ぜひ足をおはこびくださいませ。
2009年10月16日金曜日
お祭り限定缶バッジ一覧
前夜のこんなおそくに更新したって誰もみないような気がしなくもないのですけども、夜話祭り限定で販売される缶バッジがあったことをついさっき思い出したので是非ともそのラインナップをご紹介しておきたい、というのがこの悪あがきの主旨であります。
基本ぜんぶボツになった図案なんですよね。気の毒だから夜話祭り当日に販売してあげようというSUIKAの粋なはからいによって復活を果たした、いじらしい子たちです。日の目をみてよかったね!
僕としてもこんな図案があったことさえ忘れていたのでとても新鮮です。いったい何ヶ月前につくったんだろう。
そういうわけなので当日会場でみつけたら、可愛がってやってください。夜話祭りと書いてあるのでホントにこの日しか手に入りません。そしてさっき確認したところ、そんなに数をつくるわけでもなさそうなので早い者勝ちです。でもかわいいですよね。ふつうに。
ご来場を心よりお待ちしています。
ちなみに僕は前夜だというのにこつこつひとりでアルバム作業をすすめてました。地味なことだなあ。
2009年10月13日火曜日
おそすぎた
気がつけば今週末には例のお祭り騒ぎです。主催者であるSUIKAのハードワークぶりがいやもうとにかく半端なくて、どちらかといえばそちらのほうが心配になります。彼らはいったいいつ寝てるんだろう?
それにしても、出演するゲスト全員と個別に新曲をセッションで、というあまりにクレイジーな企画はたぶん二度と実現できません。本当にスゴいことになっているらしい。僕は何かフライヤーとかバッジとかCDRのジャケットとか裏方の役回りなのでほとんど他人事みたいに「ふあー」と感嘆のため息をついています。
いちおう出演する立場でもある僕はセッションを1曲ともうひとつ、新曲ではなくて、totoさんとリーディングをしようと目論んでいます。ものすごく近しい間柄にあって、ふたりとも担当がポエトリーなのに、いっしょにやるのは意外にもこれが2回目です。前回はtotoさんに罵詈雑言とかスラングとか普段言わなそうな言葉をむりやり言わせる非常にサディスティックな企画だったのだけど、あれはいったい何年前のことだったか…。ヒップホップ濃度のめちゃくちゃ高い空間でのリーディングなんて、どう考えてもここでしかできないのでたのしみ!
2009年10月17日(土)
SUIKA presents
「スイカ夜話祭り」
@下北沢 garden
open17:00 / start18:00
HOST:SUIKA
GUEST:降神、Romancrew、STERUSS、
サイプレス上野とロベルト吉野、
イルリメ、小林大吾
【追加】オープニングアクト:
タケウチカズタケソロ
ちなみに以前、降神とロマンクルーをゲストに招いたスイカ夜話の第9夜では入場制限がかかり、当日のお客さんが入れないというたいへん申し訳ない事態になりました。今回は彼らばかりかさらに、サ上とロ吉、ステルス、イルリメというとんでもない布陣が加わるのだから、どう考えても前売りチケットが必須です。なんなら僕の席をゆずってあげてもよろしい。
とおもっていたらウェブでの前売りは今日の午後3時でしめきられていたらしく、完全に手遅れだったもようです。
しくじった。
きちんと毎日更新しておけばよかった!もうこの際ブログなんて「今日たべたゴハン」とか、ラブプラスのいちゃいちゃシチュエーションをこまめに報告するとかでお茶をにごしてしまえばよいのだ。
でもそのためにはまずDSを買わなくてはいけないし…
あ、ここであたらしい情報がはいりました。いえラブプラスではなくて前売りのことですが、渋谷Flying Books店頭では「ギリギリまで」というかなり大まかな期限設定でチケットが購入可能だそうです。ギリギリまで…ってどれくらいギリギリまでなんだろうか…と小癪な計算をしてはいけません。お店まで足をはこべる距離で、まだチケットを手にしていない人は可及的速やかにFlying Booksへ行こう!
ということをもっと早く言わなくちゃいけなかったんだよな…
*
あと、それとは別にまたフライヤーをたのまれてつくったんだけど
自粛したほうがよさそうなのでとてもちいさく
*
とりとめのない告知だなわれながら
2009年10月8日木曜日
不二家のアイドルとその知られざる一面
コメント欄がにぎわっているばかりか、ちょっとした交流まであって微笑ましいかぎりです。ダイゴくんのすちゃらかブログもたまには役に立つじゃないか。
しかし「またライブでお会いしましょう」って…そんな機会あんまりないのに…。織姫と彦星のようだ。
と
書いたのがじつは9月のおわりで、気がついたら10月です。1日放置すると2日目に思い出す確率がガクンと低くなり、2日放置すると3日目に思い出す確率がさらに…という悪循環で毎回こんなことになっています。タマフルでの騒ぎがもう遠い昔のようです。あれだけ先の話だとおもっていたスイカ夜話祭りがもう来週末なんだから、何をか言わんやです。宣伝をしなくてはいけない。
でもその前にどうしても不二家のポコちゃんのことを書いておかねばならぬのです。
ペコちゃんを知ってはいても、そのボーイフレンドであるポコちゃんをご存じないという人もいるかもしれないので、公式サイトにあったプロフィール画像を勝手に貼りつけておきましょう。わざわざ「舌は出していない」と明記せざるを得ないあたり、ペコちゃんの人気とその浸透ぶりがうかがえます。そりゃひとこと断っておきたくもなるというものです。僕だってふだん舌を出して歩いたりなんかしないもの。イメージ戦略はだいじです。
名前の由来も気になるんだけど(何が西洋風にアレンジだ)、そうではないんです。書きたかったのはそのことではない。こんなに清潔感あふれて爽やかにみえる彼にもじつは
こんな一面が
ペコちゃんはこのことを知ってるんだろうか?
人にはいろいろ事情というものがあるから詮索するつもりはないけど、それにしてもこれは…。
2009年9月29日火曜日
タケ(略)タケ祭り、その舞台裏に迫る
ちょっとだけ生えている人もふくめば瞬間最高坊主率がほぼ100%に達するという驚異の記録を打ち立てた26日土曜日のTBSラジオ ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル、ここではその舞台裏にスポットを当ててみましょう。(けっちゃんの大事にしているジャンベを最後の最後で破裂させた文字どおり破壊的なスタジオライブの模様は、主役であるタケウチカズタケのブログをご覧ください)
打ち合わせ中(坊主率75%)
オンエア中(坊主率ほぼ100%↑)
レッドブルのなかで待機中のtotoさん(坊主率0%↓)
タケウチカズタケ熱演中(瞬間最高坊主率を記録した瞬間↑)
映っている4人はおおむね坊主といって良いでしょう
名曲 "Renee Fr." 演奏中(坊主率50%↓)
SUIKA大暴れ中(坊主率33.3%↓)
似たような写真ですが(坊主率50%↑)
真ん中の人がジャンベです(坊主率100%↑)
終了後の記念写真(坊主率40%↓)
おまけ:収録中に唯一しるされたメモ(坊主率0%↓)
宇多丸さん、古川さん、小荒井さん、橋本さん、本当にありがとうございました。こんな機会はそうそうないし、タケウチカズタケを筆頭にSUIKAの面々もきっと大きく羽ばたいてくれるにちがいありません。ことによっちゃついでに僕も馬車馬からふつうの馬くらいには成り上がれるかもしれないし、だからみんな、がんばって!
ちなみに僕は宇多丸さんから「意外とデカいですね」というお言葉を賜りました。いつもいつも本当にお世話になっているのに、無愛想ですみません。
2009年9月27日日曜日
千駄ヶ谷での泡ただしいひととき
ゆうべの our bubble hour @千駄ヶ谷loop-line にお越しいただいたみなさま、本当にありがとう!地下室と呼びたくなるこじんまりとして静謐な空間は、まるでゆらゆらと水の中にいるような雰囲気に満たされていて、じつに気持ちがよかったです。プカプカと魚が泳いでいそうなかんじであった。
僕の設定ミスで数回に渡るオファーのメールを完全にスルーしていたにもかかわらず、あきらめずにフラインスピン経由でオファーをくれた西村さんには頭が上がりません。本当にありがとう。
それにしても、いまだかつてあんなにちやほされたことはありません。5、6人どころの話ではなかった!アピールしておいてホントによかった!声をかけてくれてありがとう。いい夢をみた!
期待にお応えすることはできたんだろうか…?ガ、ガッカリしたりしませんでしたか。ときどきはこんなふうにしてお会いできたらいいとおもうけど、あなたはまた来てくれるだろうか?
それからもうひとつ、僕は通っていた高校の歴史に創立以来初めてというある汚点をのこした男なので(教室の壁に落書きしたことではありません)、当時のクラスメイトとはほぼ完全に縁が切れているのだけれど、そのクラスメイトのひとりがふらりと遊びに来てくれてぶったまげました。15年ぶりだよ!
思わず「なっちゃん!」と声をかけてしまったけれど、よく考えたら僕は彼女のことを「なっちゃん」なんて呼んだことは一度もなかったことが翌日になって判明しました。僕はわりとしっかりしているように見られがちですが、一皮むくとこんなかんじの男です。いいかげんなことだな。
*
そんなわけで短い時間ではあったけれどものすごく実りの多いひとときをすごすことができました。最後までいることができなくてごめんなさい。ありがとう。ありがとう。
*
今日は our bubble hour についてきちんと書きたかったので、ゆうべのタケウ(略)ズタケ祭り@タマフルの報告は後回しですが、そのかわりその様子はまるまるポッドキャストで配信されるばかりか、ラジオよりも音質が格段に良くなっている模様です。よかったー。
だれだ!タマフルのトップページに「ポッドキャストでは聴けない」なんて書いたのは!うのみにしちゃったじゃないか!
2009年9月21日月曜日
ふくざつな気持ちで送るうれしいお知らせ
と
いうわけでこの人がいなければ小林大(略)がアルバムを出したりするなんて1000年たっても思いつかなかった寛大にして偉大なるプロデューサー、古川 耕のスーパーアシストすべりこみ企画がうっかり実現してしまったため、偏食のガキ大将タケウチカズタケがいよいよ今週土曜、TBSラジオ ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルに登場です。
が
渋谷の異端音楽レーベル、フラインスピンまわりではいまいちそのたいへんさが伝わっておりません。何しろ毎週欠かさず録音までして聴き、あまつさえポッドキャストも欠かさないのはせいぜいミス・スパンコールひとり(!)というていたらくで、その他の連中ときたらまったく、この番組がいかに若年層から熱烈な支持を受けているか、ちっともわかっちゃいないのです。
注:残念ながらその他の連中には僕もふくまれます。
タマフル出演に対する冷静な受け止めかたがミス・スパンコールの逆鱗にふれたあげく、その講釈を正座しながら拝聴する羽目になった僕の理解とそこから導き出される結論はこうです。
→タマフルはボンクラどもの玉音放送である。
となるとこれはたしかに心してかからなければならないのが当然だし、「よかったわねえ」と悠長にせんべいを齧っている場合でないのも明白です。(大袈裟でも何でもない!とミス・スパンコールは強調しています)
僕としてはカレー大好き古川Pが民放の聴取率でつねに1、2を争うモンスター番組の放送作家をつとめていることに今さら愕然とするばかりです。
なので、いいですか、ミス・スパンコールはSUIKAの面々に対し、この事態を厳粛に受け止めるよう、つよく要請する次第であります。そしていい機会だから老成したベビーフェイス古川耕の偉大さを再認識していただきたい。
それとはべつに古川さん、あの、いろいろお待たせしててすみません。
*
あらためて明記しておきましょう。
9月26日(土)TBSラジオ(954kHz)
ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル
23:00からまるまる1時間の特集枠、題して
「タマフル・秋のキーボーディスト祭り三連発!〜第1夜・タケウチカズタケと愉快な仲間たち!」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
秋ですね、秋と言えば……キーボードの季節! と勝手に決めました!
来週から3週連続、それぞれスタイルの異なるキーボーディストたちを招き、スタジオ生ライブを披露してもらいます。
その第一弾は、ソロアーティストとして、またラップとポエトリーのバンド「SUIKA」のリーダーとしても活躍するタケウチカズタケさん。
彼のソロライブを始め、SUIKAや小林大吾など、彼の仲間たちが入り乱れての賑やかなスタジオ生ライブをお届けします!
注:ポッドキャストには含まれません。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
*
問題はここからです。そして前回の話はここにつながります。その日は千駄ヶ谷でライブを予定しているはずの小林大吾の名前がなぜそこにあるのか?
タマフルでの企画が通りそうだよと聞かされてからここ2週間、もっとも頭を抱えていたのがこの状況です。
よもやのダブルヘッダーとは…。
そういうわけでライブが終わり次第、赤坂のTBSに直行することになりました。スケジュールが毎週みっちり埋まるような人気者ならともかく、1年に数回も埋まらない男の貴重な機会がこの日にかぎって重なってしまうなんて、そんな殺生な話がありますか!
僕はタマフルで1曲だけ参加します。タケウチカズタケとつながる作品といったら現状ひとつしかありません。聴いたことのある人はそんなに多くないとおもいますが、ちょっと顔出してまたすぐ帰るかんじというかまあ、オマケみたいなものです。
でもライブではそれをふくめて、できたらもう1つか2つ、新しいのをやれたらとおもっています。なのでここはひとつ ライブ > ラジオ という優先度でおねがいしたい!小林大吾よりタケウチカズタケのほうがスキだとしても!(ラジオは録音できるし…)
というか僕、作品に耳をかたむけてくれる人とふれあう機会がホントにないので、こういうときこそお会いしたいです。そしてウソでもいいからほめてほしい。
だから「ラジオなら聴いてあげないこともないけど」なんてつれないこと言わないで、せめて5…ろ、6人くらいは来てよね!
以上、現場から複雑なきもちでお送りしました。
2009年9月19日土曜日
敷居のひくいつつましやかな夜のお誘い
近所で1年にいちどひらかれる、とてもたのしみにしているお祭りなのですが(ものすごい数、たぶん100以上の露店が延々と軒を連ねるのです)、残念ながら画像は本文と関係ありません。
*
ボンヤリしてたらあっという間に1週間がすぎてしまったけれど、先日のライブに足をお運びいただいた心やさしいみなさまがた、どうもありがとうございました。あまりの不人気ぶりに絶句したお客さんもひとりふたりいたとおもいますが、だいたいいつもあんな感じなので気にせずまたいらしてください。お声がけいただいた主催者各位の顔を毎回まともに見られないことだけが胃をキリキリと締め上げますが、ウチにはさいわい富山のクスリ売りから買ったとても良い胃薬があるので、今日もなんとかそれで切り抜けています。ロッコさんゴメンね…。そしていつもありがとう。
気を取り直して26日(土)のお話をいたしましょう。1年に数回もない茶柱的ライブが今月はもう2つめです。なんだかよくわからないけど、こういうのってパタパタと重なるんですよね。そもそも小林大吾においてはライブの必要性に疑問符がつけられることも少なくないというのに(そのきもちは誰より僕がいちばんよくわかります)、しみじみとありがたいことです。
*
2009.09.26(sat)
Our Bubble Hour @千駄ヶ谷loop-line
open/start 18:00-
charge 1,000yen + 1 drink order
LIVE:
AnnaYamada / ete
小林大吾
DJ's:
run
sin(Lirico)
DJ watashikawaii
千駄ヶ谷loop-line cafe
渋谷区千駄ヶ谷1-21-6 第3越智会計ビルB1
Our Bubble Hour通信
大きな地図で見る
*
ひそやかなところでつつましやかに、という感じのイベントのようですが、あるいはそうあってほしいと僕が願っているだけかもしれません。出る(はずの)アルバムに先がけて新しい曲もやるつもりなので、よかったら秋の夜長にてくてくと足を運んでもらえるとうれしいです。(前回の投稿をサンプリングしています)
ちなみに僕の出番は19:00からです。ほめられて伸びる男なので、終わったら会場でウソでもいいから「かっこよかったです!」とか何とか、声をかけてあげてください。
しかし¥1,000 +1drink ってめちゃめちゃリーズナブルです。千駄ヶ谷loop-lineはカフェ兼ギャラリーで夜はイベント会場になる、おだやかな空間らしいので、クラブとかが苦手な人にもおすすめできるとおもいます。
せめて、ご、5人くらいは来てよね!
*
そしてなぜか、話はまだつづきます。
2009年9月18日金曜日
人生におけるアウト・オブ・バウンズ
1年くらい前の話ですけども
どういうわけか球をうまくフェアウェイにのせることができず、いまや人生のラウンドにおいて堂々たるOB(out of bounds)が確定している僕にとって、その建物はいささか敷居が高すぎるのです。「たまにはメシでも食いにこい」とめずらしく父親が誘うので足を運びはしたけれど、だからといっていつでもTシャツにジーンズで「こんちは」と気楽に顔を出せるような場所ではない。
でも会食におもむいたその日、いちばん印象にのこっているのは、じぶんと不釣り合いなその空間や、そわそわしてなんだか落ち着かない会食それ自体ではなく、むしろそのあと、つつがなく終えてホッと手洗いに寄ったときの一幕……扉をあけると、ホロ酔いで気持ちよさそうな顔をした初老の男性が、明らかに不自然な体勢で用を足していたのです。本来の位置からすると僕は正面にその人の横顔を目にするはずなのに、顔どころか体までがなぜか僕のほうを向いている。体をひねっているというか、ねじっているようにみえるわけですね。何もそんなおもしろい格好で用を足さなくたっていいとおもうけど、それまでの緊張がいっぺんにとけて、微笑ましいきもちになりました。整った身なりに品格もあるひとりの紳士がこれだけくつろいでいるのに、僕ときたらいったい何をそんなナキウサギみたいにびくびくしていたんだろう?気楽にやれよダイゴくん、緩急自在にふるまうこの大らかな紳士を見習ったらどうだ!
とおもったらあとから父親が入ってきて言うのです。「あ、支配人。ちょうどよかった、これウチの息子。DVD出してんだ」
それまでの和やかな心持ちを一撃で粉砕するあまりにも率直なこの発言に対して、僕はどう向き合うべきか?
何しろそのとき、支配人と呼ばれた紳士はまだ用を足している途中だったのだ。自己紹介においてこれほど奇妙なシチュエーションが他にあるだろうか?これがコントの一場面でないとするなら何だ?だいたいそんな状況を気にもせずに「やあこんちは」と笑顔で返すこのユニークな紳士がまさかそんな
ここではっきりさせておくべき事実は3つです。
1. 支配人はたいへんな好人物である。
2. 僕はDVDなんか出していない。
3. 父親もまた対外的には気さくな男である。
*
それでまあ、どうしてこんな話をとつぜんしたかというと、昨日おこなわれた元スーパーアイドルによる歴史的記者会見の会場がまさにこの建物だったからです。まったく人生にはいろいろな交錯があるものだとおもう。もちろんアウト・オブ・バウンズにも…いろいろある。
2009年9月9日水曜日
3ℓのカタルシスと早退する夏
課せられたノルマが達成できるかどうか、はらはらするような状況におちいっております。アルバムの話です。ものすごーくがんばってるんだけど、端からみるとウンウン唸ってるだけにしかみえないので何だかかなしい。
穴を掘ったり埋めたりする土木作業を僕が愛しているのは、やればやっただけの成果がいつも目に見えてそこにあるからです。ああ、掘ったなあ!というあの感じ、あのシンプルにして怒濤のカタルシスはそうそうない。「邪魔だから」という明快な理由で地中に埋もれた数百キロの岩をシャベルでせっせと取り除くことになった、10年前のある日の情景が今も鮮やかに思い出されます。したたるほど汗をかいては3リットルの水を浴びるように飲んだあの夏の日はいったいどこへ行ってしまったんだろう。
それにくらべて詩を書くことの地味さ加減といったら!やってられるかと放り出すことしばしばです。前頭葉が熱をもつくらいで、汗の1滴も流れやしない。
(不適切な発言がありました)
そういうわけでとりあえずはわりと元気にしています。今週末は渋谷PLUGでライブです。
わすれてた!
あと、周囲にちょっとおもしろい話が舞い込んできているのですが、僕がどうという話でもないので、それはまた追々お伝えします。偏食のガキ大将タケウチカズタケにとうとうスポットライトの当たる日が来たようです。
そういえば夏ってもう帰っちゃったんですね。一言くらい声をかけてから帰りゃいいのに。
2009年8月31日月曜日
ちゅっちゅっちゅ行動とその文化人類学
来たる10月のスイカ夜話に向けて、あの錚々たる出演者たちひとりひとりにその魅力を語らせるという、贅沢きわまりないCMが現在までに9本、Youtubeにアップされています。その9本目が小林大吾の出番だったのだけれど、SUIKAともっとも近しい出演者のくせに何も語らないといってこれがひどく不興を買っているようです。
そうでしょうね。
*
僕が知りたいのは、なぜ人は猫の気を引くときに「ちゅっちゅっちゅっ」と舌を鳴らすのか?ということです。猫はいちどだって「ちゅっちゅっちゅっ」と鳴いたことはないのに?人類でさいしょに「ちゅっちゅっちゅっ」と声をかけたのは誰なのか?それは全世界で通用したりするんだろうか?
だいたいこの「ちゅっちゅっちゅっ」に猫が興味を示す確率だってそう高くはないのです。ぷいと横を向いてあくびをされることだってある。にもかかわらずこの「ちゅっちゅっちゅ行動」が廃れそうな気配はみじんもない。猫を見かけると無意識にくちびるを突き出して小刻みにあの音を発している。ちゅっちゅっちゅっ。それが解せない。
あるいはひょっとしてこれこそが人類の失われた記憶、バベルの塔が破壊される前の共通言語だったとしたらどうだろう?太古の昔、生きとし生けるものはみなこの奇妙なサウンドを使って意思の疎通をはかっていたのではないか?
ここにいたり、わたしはかつて語られたことのない、人類が神と交わしたおそるべき契約とその秘密にたどりつくこととなったのです。それはじっさい、なんと冷たく、嘆かわしい事実だったでしょう!一抹の疑念が確信へと変わったとき、あまりのショックにいつもなら紅茶に2つの角砂糖を落とすところをうっかり4つも入れてしまい、ひどく甘ったるいきもちに苛まれたことをおぼえています。
順を追ってお話ししましょう。今から150年以上も前の1831年、アメリカの偉大なる発明家にしてモールス信号の生みの親であるサミュエル・モールスは、友人に宛てた手紙にこう記しています。「親愛なるフレッド、たしか君は猫を飼っていたね。ひとつ聞きたいんだが、猫の気を引くときに鳴らすあの
ウィー
カチャン
(テープの録音はここで途切れています)
*
ではひきつづき、階段で寝そべる平べったい生きもののようすをご覧ください。
拡大
2009年8月25日火曜日
9回表2アウトから3つめの告知
ふんふんふーんと鼻唄まじりにバイクで六本木通りを走っていたら、尋常ならざる豪雨にバチバチバチとめった打ちにされてえらい目にあいました。ある車の後ろについて走らなければいけなかったので、雨やどりもできずにひたすら打たれつづけて30分。悟りのひとつも開けそうなくらい打たれた気がするけど、じっさいにはただずぶ濡れになっただけでした。
しかし日大文理はかっこよかった。高校野球ってあの金属音がいいですよね。
*
さて、ライブの告知3つめです。これが今のところもっとも近いライブになります。9月12日、土曜日ですね。
9月12日(土曜日)
『Evidence/vol.2』@渋谷PLUG
開場18:30・開演19:30
予約 or フライヤー持参 ¥2500 /当日 ¥3000(共にドリンク代+¥500)
LiveACT
【小林大吾】
【ウチダマヤ】
【JAZZ COLLECTIVE】
予約、お問い合わせは渋谷PLUG 迄
TEL: 03-5428-9188
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フライヤーはもちろん、というかお察しのとおりです。つい数日前までは共演する方とかタイムテーブルとか、僕だけ何も知らされていなかったのですが(なぜだ)、とつぜんどさどさと情報がおりてきて大慌てでフライヤーをつくりました。当日までもうほとんど日がないのに今から刷るというのだから、のんびりとして大らかなことです。間に合うんだろうか?
しかしこのすばらしい出来!せめてこのフライヤーだけでも手にしてほしい。
とは口がさけてもいえないので、血なまぐさい喧嘩の帰りにでもふらりと足をお運びくださいますよう、なにとぞよろしくおねがいします。
いいフライヤーだなあ…。
2009年8月20日木曜日
諸事情によってバラバラと前後する告知
ある人が何でもないときにふと、「明日わたし誕生日なんです」というので、またポスターをつくりました。僕自身は誕生日というものにたいして微塵も執着がないからめったにこういうことはしないのだけれど、それでもときどき贈りものをしたいという気持ちになることはあるのです。
もちろん、よろこんでもらえるかどうかはまた別ですけど。
彼女に関するいくつかのキーワードを強引に盛りこんだら、このありさまです。
*
さて、ふたたび告知です。まるでちょっとしたアーティストのようじゃないか。
2009.09.26(sat)
Our Bubble Hour @千駄ヶ谷loop-line
open/start 18:00-
charge 1,000yen + 1 drink order
LIVE:
AnnaYamada / ete
小林大吾
DJ's:
run
sin(Lirico)
DJ watashikawaii
千駄ヶ谷loop-line cafe
渋谷区千駄ヶ谷1-21-6 第3越智会計ビルB1
Our Bubble Hour通信
*
ひそやかなところでつつましやかに、という感じのイベントのようですが、あるいはそうあってほしいと僕が願っているだけかもしれません。出る(はずの)アルバムに先がけて新しい曲もやるつもりなので、よかったら秋の夜長にてくてくと足を運んでもらえるとうれしいです。
ちなみに、もうひとつある(はずの)ライブについても近いうちにお知らせできる(はず)とおもいます。順番がごっちゃになってすみません。わざとやってるわけでもないんだけど、なんでこんなことになってるんだろうな。フーム。
2009年8月17日月曜日
KLMNOPQの7文字が意味するところ
妹の結婚祝いにポスターをつくりました。
アルファベットは "JとRの間にあるものすべて" という意味です。J と R はそれぞれ2人の頭文字であり、つまり結婚そのものを表しているわけですね。M だけ色がちがうのは、それが彼らの姓の頭文字だからです。
ちなみに彼らが入籍したのは今年の1月(!)であり、「兄はいつになったらわたしの結婚をまともに祝ってくれるのか」という間接的な催促によってこのポスターはつくられています。
ごめんよ。でも僕ら家族はそのめでたさよりも、どうやら君が今度こそ本当に片付いたらしい、ということに何より胸を撫で下ろしてるんだよ!
そして自信にあふれて頼りがいがある旦那の、じつに朗らかな人柄を見るにつけ、心から祈らずにはいられないのです。
どうか妹が彼に見捨てられませんように!
3回生まれ変わったってそんな男には2度と恵まれないぞ!
2009年8月12日水曜日
ほかの何にも増して優先される告知 その2
2009年10月17日(土)
SUIKA presents 「スイカ夜話祭り」 @下北沢 GARDEN
open 17:00 / start 18:00
HOST:SUIKA
GUEST:降神、Romancrew、STERUSS、 サイプレス上野とロベルト吉野、 イルリメ、小林大吾
GARDEN
ADD:世田谷区北沢2-4-5 mosia B1F
TEL:03-3795-1069 (12:00~21:00)
アクセス: 小田急線下北沢駅/京王井の頭線 下北沢駅南口より徒歩2分
*
前回のつづきです。わざわざひっぱってジャジャーンとやるほどのことでもないのか…と頭が冷めたのでさくさくとお話ししますけれども、スイカ夜話祭りの前売りチケットを購入する方法は、現時点で3つあります。
1. 通販
2. 渋谷Flying Books 店頭
3. その他
なぜ「その他」といういやに大雑把なくくりがあるのかというと、特典にかかわる購入方法が、「通販」と「Flying Books店頭」にかぎられているからです。よろしいですか。ここも試験に出る重要なポイントと心得なさいまし。
「通販」あるいは「Flying Books 店頭」でチケットをご購入いただくと、もれなく馬車馬謹製のキュートな缶バッジが1個と、「夜話くじ」という1枚の紙切れがついてきます。
缶バッジがコレで、
夜話くじがコレ
つまり、このくじを当日会場にお持ちいただくと、抽選で豪華景品が当たる!というひどく演繹的な寸法になっているのです!なんだかすみません。
じつをいうと缶バッジは僕も実物を手にしていないので、どんなことになっているのかよくわからないのだけれど、可愛くできてるといいですね。もうすでにお持ちの方もおられるはずです。うらやましい。
さて、だらだらと七面倒くさい手順を逐一踏んできましたが、抽選によってみごと当選したラッキーな御仁には、こんな豪華景品を用意しています。
*
1等 (3本):SUIKA rare remixies complete CD set + お好きなTシャツ1枚
2等 (20本):SUIKA rare remixies complete CD set
3等 (1名):タカツキの第2ボタン
*
ここでもまた説明せねばなりますまい。いえ、今思いついたから無断で追加した甘酸っぱい青春の3等ではなくて、「complete CD set」のことですが、これは過去無料配布したSUIKA楽曲のリミックス(タケウチカズタケ&タカツキ制作)にalbum MIX samplerやレアライブ音源を加えた全32曲、トータル2時間40分、3枚組の貴重盤、というとにかくとんでもないボリュームにまとめられたSUIKAの音源集です。読むだけでげっぷが出そうだ。
そしてここに至って僕もようやく、ほかの誰よりもはやく公開できるたったひとつの情報を提供しようと胸をはるわけですが、これら3枚のCDにはご丁寧にも馬車馬の手になるジャケットが用意されています。それがこれだ!えらいぞダイゴくん!
ちっちゃくてよくわからないけど、タグのとこにナンバーがふってあるのです。
なんとなく実感いただけましたか?こんなステキな景品が当たるので、ぜひぜひ先を争うようにして、あるいは「この鬼嫁!」と詰りながら半ベソで前売りチケットをお求めください。でないと馬車馬がむくわれないじゃないか!(本音)
ちなみに通販のページでは、夜話チケットだけがひとつぽつんと売られています。これほど殺風景なショッピングサイトは見たことがありません。ホントにこれでチケットが届くのか不安になるくらいの潔さです。じつにすがすがしい。
前売りチケット購入についての詳しい説明はSUIKA WEBにもあるので、そちらも合わせてご参照ください。
*
やれやれ!これで書くべきことはぜんぶ書いた!
それはともかく、のちのち語りぐさになるイベントであることは疑いようがないし、みんな本当に気合いを入れて準備しています。鼻血でグラフィティが描けるくらいテンションを上げていらしてください。心からお待ちしています。
あ
そうか、僕も出るんだったな…
2009年8月10日月曜日
ほかの何にも増して優先される告知 その1
おや、トラピストをさくさくかじっていたら5日もたってしまった。
のっけから説明せねばなりますまい。
(まだ開催まで2ヶ月以上あるとはいえ、もうだいぶ前から準備をすすめているだけに、まずここから手をつけないときまりがわるいのです)
スイカ夜話というのは、ヒップホップとポエトリーとほにゃららをフラスコに入れて混ぜたらボンと爆発して髪がアフロに、という外連味たっぷりのバンド "SUIKA" が数ヶ月に一度のペースで催し、毎回一筋縄ではいかないムチムチプリンなゲストを招いて、口ではとても言えないような、あんなことやこんなことをしたりしなかったりするマリリンモンローの舞い上がるスカート的イベントです。
ちがったかな。
まあでもこれを体験した夜は、みな例外なく頬を紅潮させながらムラムラと火照った体を持て余し気味に帰ることになるのだし、だいたいそんなかんじの認識でじゅうぶん間に合うんじゃないかとおもう。
今回は会場をいつもの青山から下北沢へと移し、規模がいつもの1.5倍増(当社比)になるばかりか、気合いの入り方は3倍増(当社比)くらい、糖質とプリン体を大幅にカットしたぶん、露出はやや多めでよりセクシーになり、イベント名も末尾に「祭り」がくっついています。それはもうてんやわんやです。
すでに多くのかたが、というかここを閲覧されるほとんどのかたが、というかこの際もうみんな知ってて何を今さら的な情報として話をすすめてもいいのかもしれませんが、何しろゲストの顔ぶれがただごとではありません。ここであらためて五十音順に書き出してみましょう。
・イルリメ
・降神
・サイプレス上野とロベルト吉野
・STERUSS
・Romancrew
気が引けるのでつい控えてしまったけれど、ここに僕の名前が加わります。これだけ揃えば世界征服も現実味を帯びてくるというくらいの面子です。却って空想的な印象を受けなくもない。これホントにみんな集まるの?と僕は今でもおもうし、名前だけ借りといて当日4組が病欠とか、そんなことになったりしないだろうか?
*
それでまあ、僕的にはここからがだいじなところだとおもうのでぐっと力をこめますが、今回前売りチケットがとても大きな意味合いを持っています。太字にして復唱しましょう。
今回の夜話では前売りチケットがとても大きな意味合いを持っています。
授業で言うならテストに出るポイントがここです。なんとなれば、この一夜限りの豪勢な夜のために用意された特典は、前売りチケットを手に入れるかどうかにかかっているからです。それはいったいどういう意味なのか?
あれ、夜が明けてしまった。
つづく!
2009年8月5日水曜日
告知はさておき、ハガさんとビリーパックのこと
先日、ちょっとした縁からとある女性とお近づきになる機会があって、いえもちろん合コンとかそういうのじゃなくて、あえて言うなら僕の母親とそう変わらない世代の人なんだけれど、この人がまた毎日オークション( 美術品、 工芸品、装飾品を扱うリアルオークション)に毎回欠かさず足を運ぶばかりか、ジャンルを問わずアグレッシブに入札もする、強者というかなんというか、文化的素養をたっぷりとたたえてなお品のある、とても素敵な女性なんですよね。
ありとあらゆる分野に精通しているし、彼女自身が話し好きということもあって、とにかく出てくる話がおもしろくておもしろくて、1日中でも話を聞いていたくなるのです。親戚になりたい。
そんな彼女と漫画の話をしていたとき(ここも驚いていい部分だとおもう)、会話のなかでふと「むかし、ビリーパックっていう漫画がありましてね…」というのです。(この話し方ひとつで、なんとなく彼女のもつ気品とか、やわらかな雰囲気がうかがえるでしょう?)
ビリーパック?なんか聞いたことあるな…とボンヤリおもって相槌を打っていたら「主人公がハーフで…」と言葉を継ぐのです。
「あれ、そんなかんじの設定、今の漫画にもありますよ」
「あ、やっぱりそうなの?」
「浦沢直樹の "Billy Bat" っていう漫画です」
「そう、いえね、こないだ電車の中吊りで似たようなタイトルを見かけたもんですから、これはひょっとして、とおもったんですよ」
「じゃそのビリーパックっていうのがモチーフになってるんですかね?」
「そうだとわたしはおもったんですけども」
「むかしってどれくらい昔です?」
「昭和30年前後じゃないかしら…少年画報が大好きでね」
「リアルタイムで読んでらしたってことですか?」
「ええ、ええ。わたしらなんかは漫画で育った世代でございますでしょ」
「(絶句)」
「河島光広って作家さんなんですけどね、このかた早くに亡くなってるんです」
「へー…」
「手塚治虫も河島の存在をだいぶ気にかけてたんだそうです」
「そうなんですか!」
「もうすこし長く生きてらしたらね、漫画もだいぶ変わってたとおもいますよ、もちろん手塚もふくめて」
「なんだか話がデカすぎて想像しづらい…」
「河島は手塚と並んで海外じゃすごく高く評価されてるんです」
「そうなんですか」
「でもなぜか日本じゃ全然そんなことありませんでしょ」
「僕もよく知らないのでなんとも言えないですけど」
「なんでもっとこう、スポットを当てないんだとわたしなんかはおもうんです」
「なるほど…」
「日本が誇るべき作家のひとりです、まちがいなく」
*
昭和20〜30年代に活躍し、多くの読者を獲得しながら夭折した、河島光広という漫画家の作品をリアルタイムで愛読し、現代におけるその過小評価をなげくって、そりゃさすがにちょっとした話だと僕はおもうのです。彼女の深すぎる造詣の根幹にふれたようで、しびれました。
ちなみにそのあと、「いちどだけ漫画の原作を書く機会があった」とまたびっくりするような話をしてくれたんだけど、いったいどんな人生を歩むとそんな機会が巡ってくるんだ?
「でも、こんなの読む人いないって言われて、それっきりです」
「残念だな!どんな内容だったんですか」
「黒蜥蜴ってありますでしょ」
「江戸川乱歩のですか?」
「そうそう、それのね、登場人物の性別をそっくり入れ替えたんです」
「男女を逆転させたってことですか?」
「そう、性別だけ、ぜんぶね」
舞台もスケールもちがうけど、よしながふみの "大奥" と発想は同じだ…とまたびっくりしてそう話したら
「あらいやだ、考えることはおんなじね」
「何年前の話ですか?」
「もう20年以上前の話ですよ」
「(絶句)」
「むかしの話ですから」
「歴史が変わったかもしれないのに…」
「ハハハ」
「"大奥"は手塚治虫文化賞を受賞してるんです」
「時代とぴったり噛み合うこともだいじなんですよ」
だいたい、初めてお会いしたとき、僕はこの博覧たる女性を「香水瓶の蒐集家」として紹介されているのです。そもそもぜんぜん漫画は関係なかったというか、そんなのはもう、彼女のほんの一部でしかないんだから、呆れてしまう。(香水瓶の話もすごくて、僕は香水に対する見方が180度変わってしまったくらいです)
じぶんで書いててつくづく驚くべき女性だとあらためておもいました。すごすぎる。
*
前置きくらいにして、告知のつづきを書こうと思っていたのにハガさんの話だけでこんなことになってしまった。再開したそばからいきなり脱線して戻ってこないのもどうかとおもうけど、線路なんか初めからなかったし…。
まあいいか。とても素敵な女性なんです、という話です。
2009年8月2日日曜日
小林大吾本人による謝罪会見ダイジェスト
こ、こんにちは。
大風呂敷を広げたままとじることもままならなくなったあの投稿から早2ヶ月…。全国23人(本人含む)の小林大吾ファンのみなさま、お変わりありませんでしょうか。前回までの茶番劇にいったいどう始末をつける気だったのか、すっかり忘れてしまいました。
僕はといえば、西池袋公園の片隅でぶるぶると震えながらブルーシートにくるまって寝ていたところをアンジェリカに叩き起こされ、各方面からのプロップスを劇的に失いながらも、ポッケにかろうじて残った人としての尊厳(柿の種サイズ)をティッシュにくるんで引き出しにしまい、どうにかこうにか、生き長らえることができています。
佳孝さん、poikoさん、みわさんをはじめ、逆援助さん、セレブラブさん、動物占いさん、家出さん、友達募集さん、出会い系さん(率直ですね)、精神年齢さんほか、多くの方に励ましのコメントを…(涙をぬぐう)いただき…(嗚咽をこらえる)
温かい心遣いをどうもありがとう!
あと、ケータイのアドレスが変わったから、というわりと即物的な理由でメールをくれたあみちゃんもありがとう。
また、久しく会わない数人のともだちから「何かあったの?」と心配のたよりをもらったりして、思っていた以上にブログで息災をたしかめてくれていたことも知りました。
ひとりでいることに何のさしさわりもおぼえない男なので、気づくのがいつも遅れてしまうのだけれど、もう「今部屋で死んだら白骨化する前に見つけてもらえるだろうか…」とひどく後ろ向きな想像をしていた10年前みたいにひとりではないのだなあ…としみじみ感じ入ったことです。本当にどうもありがとう。そしてすみません。(謝り癖がついてる気がする)
しかしまさか2ヶ月ひらかない間にコメント欄がこんなことになっていたとは…。
*
さて、淀んでどろどろになった過去は身勝手な都合できれいさっぱり水に流して、何ごともなかったかのようにまたニコニコとお目にかかります。崩れた石積みはまた一からこつこつ積み上げるといたしましょう。積んだそばから鬼に蹴られる賽の河原にくらべたら、こんなのはものの数ではありません。成人とはおもえないふつつかぶりがすっかり露呈して、今やはばかるところなど何ひとつなくなってしまいましたが、それでもなおお付き合いくださる寛大なみなさまには、ひとつ今後ともよろしくお願いいたします。イヤもうホントにすみません。(2回目)
毎日更新とかもう、ムリするのはやめよう。
*
そしてもちろんというかなんというか、そうでなければ意味がないのだけど、ささいなご報告とお知らせがございます。
先日じつに半年ぶりくらいに古川エグゼクチブPとお会いして打ち合わせをした(←ここがご報告)のですが、完全にエンストこいてたアルバム作業が鈍いながらもごろんとゆっくり転がりはじめました。我ながらオオカミ少年的発言だとおもうけど。
でも先週1曲できて、今週また1曲できたといえばホラ、なんとなく転がり出した気がするでしょう?1年以上1曲もつくらなかった怠慢をおもえばこれはたいへんな進捗です。待ってくれている人がいればの…話ですけども…(トーンダウン)
それから、ライブ(!)情報です。10月にあるスイカ夜話祭りはすでにご存知の方も多いとおもいますが、それとはべつに9月に2本あります。
えー!
それまでライブなんてほぼゼロに等しかったのに、ここにきていったいなぜ!?
こっちが知りたい。ふしぎなタイミングで、温かいオファーをいただきました。まだ見守ってくれている人がいるのね!
そりゃ「ライブ(!)」とびっくりマークを付けたくもなるというものです。
今日はもうなんだか長ーくなってしまったので、また日をあらためてお知らせするといたしましょう。(とくにスイカ夜話はメンバーの気合いの入り方が尋常ではないので、あんまり他人事みたいな顔をしているわけにもいかないのです)
ああ…じぶんで書いててなんだか「CDを出してる人」って自覚がちょっとだけ戻ってきました。そうか…そうだったな…。
*
あ、これ以外はとくにお知らせなんてなかった。
ではまた!
というかあの、ホントにすみません。(3回目)
2009年5月28日木曜日
ブログの所有者を探して回るブログについて (4)
<前回までのあらすじ>
失踪したダイゴくんを探しにマンションをおとずれたムール貝博士とピス田助手。いろいろあってまだ見つかってません。
「こういうのを…」
「なんですか」
「茶番と言うんだ」
「茶番の権化が何をおっしゃる」
「いったいいつまでひっぱる気なんだ?」
「大風呂敷をひろげることはできても縛ることはできない男ですからね」
「だれの話だ」
「ダイゴくんですよ」
「ああ…」
「どうでもよさそうですね」
「そんなヤツもいたな…」
「まだブログを読んでくれている人はいるんですかね」
「知ったこっちゃないよ」
「そう突き放すもんじゃないですよ」
「もともとムリがあったんだよ」
「何がです?」
「存在じたい」
「だれの?」
「ダイゴくんのだよ」
「いくらなんでも飛躍しすぎじゃないですか」
「空を飛ぶのはいいものだ」
「ふつうの人は飛べないですけどね」
「何の話だ?」
「飛躍する結論の話ですよ」
「結論が空を飛ぶものか」
「博士が飛ばしたんです」
「人の意見を風船みたいに言うな」
「博士が言い出したんですよ」
「そうだったかな」
「そうですよ」
「ところであいつは何をしてるんだ」
「宝くじ売り場の彼ですか」
「長い名前だな」
「聞いとけばよかったですね」
「黒板を持ち出して何か講義してるぞ」
「生徒はあの美女です」
「キノコだろう」
「それを言うと彼が怒るんですよ」
「地面に生えてるんだからしかたないだろう」
「もう引っこ抜いちゃいましたよ」
「たしかに引っこ抜くとキノコというより小娘にみえる」
「すっぱだかなのが玉にキズですけどね」
「だからアンジェリカに頼んだんだ」
「何を?」
「服だよ」
「あの娘の?」
「そうだよ」
「博士がそんな慈善を施すなんて!」
「おまえはわたしを何だとおもっとるんだ」
「さっき電話してたのはそれだったんですね」
「苦労した」
「そうでしょうとも」
「ちっとも話が通じんのだ」
「何て話したんです?」
「キノコの服が必要だと話した」
「そりゃ頭にくるでしょうね」
「見たままを話したまでだ!」
「適切なコミュニケーションにはオブラートってものが必要なんですよ」
「とりあえず大事な話があると言っておいた」
「だいじな話?」
「ダイゴくん捜索の全権を委任する」
「承知したんですか?アンジェリカがそれを?」
「まだ話してないからな」
「なるほど…それで合点がいきました」
「なんの合点だ?」
「こっちの話です」
「で、あいつは小娘に何を講義しとるんだ」
「彼が彼女の身柄を保護することに関しては合意したみたいです」
「ほう」
「ただ…」
「なんだ」
「彼が具体的に何を望んでいるのかそれを知りたいみたいで」
「キノコがか?」
「あの娘がです」
「キノコじゃないか」
「いいですけどね、べつに」
「宝くじは何を望んでるんだ?」
「ふつうに考えれば異性間交遊でしょうね」
「そう言えばいいじゃないか」
「その異性間交遊について説明してるんですよ」
「黒板を持ち出して?」
「そうです」
「あいつはバカか?」
「さいしょに『キス』って言ったのがまずかったみたいですね」
「中学生か!」
「で、『キスって何?』というもっともな疑問を」
「ぶつけられたわけだな」
「そのようです」
「あいつはバカか?」
「で、その説明をするわけですよ」
「ほう」
「くちびるとくちびるをかさねるのがキスだと」
「哀れな男だな」
「だいたいにおいてそういう生きものですからね」
「それで?」
「で、『それのどこが楽しいの?』というもっともな疑問を」
「なるほど。そりゃもっともだ」
「くちびるをかさねることがなぜ楽しいのか?」
「だれも考えたことがないだろうな」
「そうなんですよ」
「宝くじは何て答えたんだ?」
「『みんなやってるから』って」
「にくめない男だ」
「そこから話が入り組んでいくんですよ」
「ほう」
「『みんなって誰?誰がはじめたの?』」
「それで黒板が出てくるわけか」
「いまネアンデルタール人の花葬を説明してるところです」
「ずいぶん遡ったな」
「霊長類としての習性が愛情表現にシフトしていく過程を紐解いてるんですよ」
「気の長いことだ」
「お似合いですよ、なんだか」
「ちょっと何これどういうこと?」
「アンジェリカ!」
「いいタイミングだ」
「なんなのこの熱帯雨林」
「それはこっちが聞きたい」
「前来たときはこんなのなかったけど」
「そりゃ何だっていつも同じとは限らんさ」
「とりあえず服もってきたけど」
「助かるよ」
「キノコがどうとかってちっとも意味が」
「それは気にしないで」
「キノコはキノコだ」
「何なのキノコって」
「シイタケとかマイタケとかタケウチカズタケとかそういうのだよ」
「博士、タケウチカズタケは人ですよ」
「で、だれに着せればいいわけ、これは?」
「あっちにいるよ」
「ほら、女の子がいるだろ」
「キノコだよ」
「博士はだまっててください」
「なんかふたりいるけど」
「もう片方は気にしなくていい。あれは宝くじだ」
「宝くじ?」
「博士はだまっててください」
「何してるのアレ?」
「交渉というか講義というか」
「よくわかんないけどあの娘に着せればいいのね?」
「イエス」
「ていうか何ですっぱだかなの?」
「それを話すと長くなるんだよ」
「キノコだからだよ」
「博士はだまっててください!」
「あー!!!」
「なんだなんだ」
「どうしたアンジェリカ」
「スナーク!」
「おや」
「なんだ?」
「知り合いだったみたいですよ」
「あの宝くじとか?」
「あ、気づいた」
「逃げたな」
「待ちなさい!」
「あ、ちゃんとあの娘も連れてった」
「抜け目がないな」
「いいんですか?」
「何がだ」
「追っかけてっちゃいましたよ、アンジェリカ」
「知ったことか。どうしろっていうんだ?」
「そうじゃなくて、交代してもらうんでしょ?」
「そうだった!」
つづく
2009年5月25日月曜日
ブログの所有者を探して回るブログについて (3)
<前回までのあらすじ>
失踪したダイゴくんを探しにマンションをおとずれたムール貝博士とピス田助手。ドアをあけるとそこには鬱蒼と生い茂る熱帯雨林が広がっていた。暑苦しいジャングルをひたすらかきわけ、地面から生える美女やローカルな自販機、伝書鳩による奇妙な告知に翻弄されながら進む2人の前に、果たしてダイゴくんは姿を現すのか?
「博士ー」
「…」
「博士ー」
「…」
「あ、いた!」
「…」
「探しましたよ!急にいなくなるんだから」
「徐々にいなくなっても結果は同じだろうが」
「何してるんです?」
「スクラッチだ」
「レコードですか」
「銀はがしだよ」
「宝くじじゃないですか。あっこんなところに売り場が」
「今なら当たりそうな気がする」
「ということは…」
「こんにちは」
「人が居る!」
「売り場なんだから当たり前だろう」
「部屋のなかに宝くじ売り場があるのは当たり前じゃないですよ」
「部屋のなかに熱帯雨林があるのはどうなんだ」
「しかし何もこんなときに…」
「こんなときだから当たる気がするんだよ」
コリコリコリ
「1000円当たった」
「あの…」
「こっちははずれだ」
「博士っておっしゃいました?」
「…」
「博士!売り場の彼が呼んでますよ」
「なんだ」
「博士ですかって」
「あ、これ1000円当たりました」
「1000円ですね。ひょっとしてムール貝博士ですか?」
「はて。どこかでお会いしましたか」
ゴソゴソ
ポチリ
「わたしはダイゴくんです」
「くそ、7枚目もはずれだ」
「博士、博士」
「なんだうるさいな」
「売り場の彼がとつぜん別人格を主張し始めましたよ」
「わたしはダイゴくんです」
「いいじゃないか。誰にだって主張する権利はある」
「わたしはダイゴくんです」
「わかったわかった!あとにしてくれ」
「わたしは…」
「うるさい!」
「こういうとき博士はたのもしく見えるな」
「いいからあんたは1000円を払え!」
「いきなりみみっちくなった」
「ピス田」
「はい」
「M79をよこせ」
ガチャコン
「待ってください!」
「なんだ喋れるんじゃないか」
「喋れます、もちろん」
「さっきの声はなんだ」
「ムール貝博士がきたらこのボタンを押せと言われたんです」
「どれ?」
「これです」
「この赤いほう?」
「そうです」
ポチリ
「わたしはダイゴくんです」
「なるほど。こっちの青いのは?」
「これは押さないほうがいいとおもいます」
「なんで?」
「どうしても納得してもらえないときに押せと言われました」
「押してみよう」
「あ、やめたほうが」
ポチリ
「このいんきんたむし!」
「ぐわぁ」
「博士!」
「だから言ったのに…」
「博士!」
「…」
「ぜんぜん起きない。ものすごい破壊力だ」
「押すほうだってつらいんです」
「あれ?ちょっと待てよ」
「…」
「ひょっとしてさっきの立て札からこの売り場までが」
「500メートルです」
「ここのことを言ってたのか!」
「立て札が案内してた場所ってことなら、そうです」
「じゃダイゴくんはもうここにはいない?」
「よく知りません」
「知らないわけないでしょう?」
「知らないんです」
「でも…」
「僕はただここにいてムール貝博士を追い払いさえすれば」
「…」
「あの美女を好きにしていいって」
「そう言われたの?」
「そうです」
「あの美女って…あの美女?」
「向こうに生えてた彼女です」
「だってキノコでしょう?」
「ちがいますよ!」
「でも生えてたよ」
「生えてるからってそれが即キノコを意味するわけじゃないですよ」
「そりゃそうだけど…まあいいか」
「そういうわけなので…」
「?」
「そろそろお帰りください」
「何言ってるんだ!」
「博士もちょうど倒れたところだし」
「帰り道なんてわかりゃしないよ!」
「こっちに非常口があるんです」
「非常口があるからって…え?」
「すぐに出られますよ」
「非常口があるの?」
「お帰りいただけますか」
「ここまで来てそれはないけど、でも…」
「帰ってくれないと僕が困るんです!」
「こっちだって困ってるんだよ!」
「これじゃ何のためにここにいたのかわからない」
「ああそうか。いや彼女は好きにしていいからさ」
「あ、それなら」
「非常口があったのか…あっ」
「コーラ飲みます?」
「遠慮しとくよ。そうか、さっきの彼女か」
「彼女がどうかしましたか」
「うかつだった。彼女に訊くべきだったんだ」
「ちょっと待ってくださいよ!」
「ちがうよ、ていうか何もちがわないけど」
「話がちがうじゃないですか」
「ちがわないってば!いやちがうけど…あれ?」
「帰ってください!」
「いや彼女をどうこうってわけじゃないよ、ただ何か知ってるかとおもって」
「あ、それなら」
「でも困ったな、どうやってあの場所まで戻ればいいんだ?」
「僕が知ってます」
「そうか、そりゃそうだ!それじゃ…」
「?」
「…」
「どうしたんですか」
「いや、あまりの回りくどさに吐き気がしただけだよ。それじゃ行こうか」
「博士は?」
「大丈夫、次回になったらちゃんといるから」
つづく
2009年5月22日金曜日
ブログの所有者を探して回るブログについて (2)
<前回までのあらすじ>
失踪したダイゴくんを探すムール貝博士とピス田助手。部屋のドアをあけるとそこには鬱蒼と生い茂る熱帯雨林が広がっていた。
「博士、ハトですよ」
「マンションにハトなんか珍しくもない」
「ここが本当にマンションならね」
「降りてきたぞ」
「足になんか付いてますね」
「伝書鳩か」
「そうみたいです」
「だれだ?」
「ちょっと待ってください。えーと」
「ピス田」
「なんです」
「いや、なんでもない」
「そうですか」
「で、だれだ?」
「けっちゃんですね」
「ケイジャン?」
「パーカッショニストの高橋結子女史ですよ」
「?」
「今やほうぼうでひっぱりだこのトップミュージシャンです」
「ああ、けっちゃんか」
「知らないのにそのまま進めようとしてますね」
「気を遣ってやってるんだ!」
「そのセリフ、ダイゴくんが聞いたらびっくりしますよきっと」
「だいたい誰宛なんだそれは?」
「そりゃダイゴくんじゃないですか」
「ずいぶんのんきな通信手段だな」
「熱帯雨林とはいえ、ダイゴくんの部屋でもあるし」
「意味がわからん」
「あ、これ僕ら宛ですよ!」
「なんだと?」
「あ、そうかそうかなるほど…」
「ひとりでうなずくな、気味がわるい」
「告知なんですよ」
「ひとくち?」
「ひとくちで言うと告知です」
「なんの?」
「明日、渋谷でワンマンライブがあるんです」
「だれの?」
「けっちゃん率いるパーカッショントリオ、Asoviva! のです」
パーカッショントリオ Asoviva! ワンマンライブ
imaginary numbers vol.2 〜 108年 vs 108億光年の彼方
5月23日(土)@渋谷・7th FLOOR
開場18:00 / 開演19:00
前売¥2,000 / 当日¥2,500(ドリンク代別)
出演:Asoviva!(高橋結子、朝倉真司、中北裕子)
ゲスト:笠原あやの(cello)
「あれ?なんかCDが入ってる」
「ピス田、さっきのマックスコーヒーよこせ」
「いらないっていうから飲んじゃいましたよ」
「誰がいらないと言ったんだ!」
「あ、Asoviva! のライブ盤だ。明日売るのかな」
「ちょっとさっきの自販機まで行ってくる」
「あれ?」
「そこにいろよ」
「博士!ちょっと博士!」
「のどが渇いてるんだよ」
「見てくださいこれ」
「CDなんか興味ないよ」
「ちがうんです、ほら」
Asoviva!
「imaginary numbers vol.1/ LIVE RECORDING at Obi」
¥1,000(ライブ会場でのみ販売)
1. ダーウィン
2. 耳の洞の主人
3. 100m自由形
4. 小人から聞いた話
5. 風の紋
6. 遠い昔の
「これがどうした」
「ダイゴくんのデザインじゃないですか」
「なんだと!」
「こっちがこれだけ必死になって探し回ってるのに…」
「アイツはいったいどこで何をしとるんだ?」
「でも500m先にいるってさっき立て札があったじゃないですか」
「そこにいればいいがな」
「ここまで来てそんなこと言わないでくださいよ!」
「どうせマネキンだ」
「何のために足下のわるい熱帯雨林をこんな奥地まで…」
「出口がわからんからだ」
「そうでした」
「どのみち先にすすむしかないんだよ」
「ライブ行きたいですね…」
「ここから出られたらな」
つづく
2009年5月19日火曜日
ブログの所有者を探して回るブログについて (1)
ガチャガチャ
ギィ
「ここがダイゴくんの住処です」
「ほう…」
バタン
「なんで開けたそばから閉めるんです?」
「装備不足だ」
「装備って…マンションですよここは」
「鬱蒼としてたぞ」
「人の部屋なんてそんなものですよ」
「雑然じゃなくて鬱蒼としてるんだぞ!」
「似たようなものだとおもいますけど」
「明らかに似て非なるものだ、それは」
「さっきまで腹黒い笑顔でたのしそうにしてたじゃないですか」
「『おもしろい』と『面倒』は紙一重なんだよ」
「考えすぎですよ、だってマンションなんだから」
「密林みたいなにおいのするマンションがあるか」
「でももう、来ちゃったんだから」
「そっとしておいてやれ」
「そういうわけにもいかないんですよ」
「川底に沈んだ汚泥を今さらひっかき回してどうする」
「だったらなおさらきれいにしないと」
「なんでそんなドブさらいみたいなことをしなくちゃならんのだ!」
「環境の美化というやつですよ」
「率先して汚してきたヤツがよく使う逃げ口上だな」
「このままじゃブログの維持もままならないんです」
「質問箱があったじゃないか」
「どこから手をつけていいのかわからなくなったんでしょう」
「でくのぼうめ」
「まあまあ、あとでアレあげますから」
「アレって何だ」
ひそひそ
「しかたない。だが危険と判断したら即退室するぞ。いいな」
「ええ、ええ。おおせのとおりに」
ギィ
「ひんやりしてますね」
「困憊した現代人が泣いてよろこびそうな清涼感だ」
「湿度が100%こえてますよ」
「リフレッシュにもほどがある」
「観葉植物ですかね」
「鉈で伐採するような観葉植物にはお目にかかったことがないな」
「たしかに歩きにくいですね、ちょっと」
「ずいぶんりっぱな生態系だ」
「あっ」
「なんだ」
「小川ですよ…」
「さらさら流れてるな」
「水源はどこでしょうね」
「雨だろう」
「外、晴れてましたよ」
「関係ないさ」
「部屋のなかでカサが必要とは思いませんでしたね」
「おや、いまの音はなんだ」
「鳥の鳴き声みたいですね」
「鳥ってあんな断末魔みたいな鳴き方してたか?」
「鳥だって絶望したらあんなかんじになりますよ」
「気が滅入る」
「晴れやかだったためしがあるんですか?」
「こりゃ完全に熱帯雨林だな」
「マンションの一室とはおもえないですね」
ズゴン
ドカン
バラバラバラ
ドサドサドサ
「わあ」
「ふせろ」
「部屋の中でM79をいきなりぶっ放すなんて!」
「先手必勝だ」
「それのどこが装備不足なんですか」
「この程度の砲撃じゃ威嚇にしかならん」
「グレネードランチャーですよ」
「西部警察ならオモチャだこんなもの」
「しかも部屋があんまりこわれてない…」
「だから言ったろう」
「ダイゴくんに当たってないでしょうね」
「ああ、忘れてた」
「人ん家なのにじぶんのことでせいいっぱいですからね」
「しかしまあ当たったところであんまり意味もないだろう」
「いままで何度となくそんな目には遭ってますしね」
「やれやれ!反応を探りがてらちょっと一服しよう」
「そうですね」
「やみくもに突き進んだところでどうにもならん」
「せめて何か手がかりがほしいところですね」
「ケータイは持ってるか?」
「持ってます…でも圏外じゃないですか?」
「貸せ」
「博士のはどうしたんです?」
「こないだちょっと折檻したら無期限のストライキに入った」
「こわしたんですね」
「季節外れの春闘だ」
「こわさないでくださいよ」
「こわしたことなんかない」
「あれ?アンテナ立ってる」
「アンジェリカの番号は?」
「入ってますよ」
「そうか。ならいい」
「どうしたんです急に?」
「入ってればいい。念のためだ」
「電波は正常に入るんだ…」
「ピス田、ちょっと缶コーヒー買ってこい」
「またそんなムチャを言う!」
「ムチャじゃない、そこに自販機があるだろう」
「部屋の中に自販機なんか…ありますね、たしかに」
「ルーツの微糖な」
「部屋の間取りが気になる」
「日本は自販機大国なんだよ。おまえも好きなの飲め」
「わかりました。ルーツの微糖ですね」
「まちがってもマックスコーヒーだけは買ってくるなよ」
ガサガサガサ
チャリン
ピ
ガタン
「博士、博士」
「なんだ。あっマックスコーヒーじゃないか」
「コカコーラの自販機なんですよ」
「このボンクラめ」
「この極限状況でマックスコーヒーの過剰な糖分はきっと役に立ちますよ」
「糖尿と引き換えにな」
「博士、そんなことより」
「そんなこととはなんだ!」
「向こうに美女が生えてます」
「糖尿のおそろしさをおまえは…なんだって?」
「向こうに美女が生えてるんです」
「キノコみたいに言うな」
「でもキノコみたいに生えてるんですよ。ほらアレ」
「ガキんちょにしか見えん」
「博士にかかれば誰だってガキんちょですよ」
「だからそう言っとるんだ」
「食用ですかね…」
「広義ならそう言えなくもないだろう」
「そういうなまめかしい話をしてるんじゃないですよ」
「無視して行くわけにもいかないな。おーい。ごきげんよう!」
「どなた?」
「しゃべった!」
「挨拶はすんだ。行くぞ、日が暮れると困る」
「なんだか頭がくらくらしてきましたよ」
「だから帰るべきだと言ったんだ」
「だってまさか熱帯雨林に美女が生えてるなんて思いもしませんでしたよ」
「猛獣じゃないだけありがたいとおもえ」
「服着てませんでしたね」
「キノコが服を着るわけないだろう」
「あれやっぱりキノコなんですか?」
「知らん。興味ないよ。ダイゴくんに聞きゃいいじゃないか」
「そうだ!すぐ忘れそうになる」
「引き返そうにももはや道がわからん」
「弱りましたね」
「それに…おや」
「どうしました」
「立て札だ」
←ダイゴくんこの先500メートル
「みろ!だから面倒なことになると言ったじゃないか!」
「何を今さら…。美女が生える部屋ですよ」
つづく
2009年5月13日水曜日
彼、あるいはスマートボールの行く末 その2
カタン
ジャラジャラジャラ
「やった!15点入った!」
ポカリ
「痛い。あれ?」
「何をやっとるんだキミは」
「博士!」
「2週間もブログをほったらかしてパチンコとはいい身分だな」
「パチンコじゃないですよ!」
「どう見てもパチンコじゃないか」
「ちがうってば!よく見てよ」
「このガキんちょが何だ」
「まちがえた!」
「ホラ。ね?」
「どうみてもパチンコじゃないか」
「スマートボールですよ!」
「何に見える、ピス田?」
「パチンコです」
「この宿六ども!あのですね…」
「やどろく?」
「よくみてよ!ビー玉でしょ」
「そう見えなくもないきらいもなきにしもあらずだな」
「これをこう…はじくんですよ、ピコンて」
ピコン
コン
コン
ポコ
「…でこうやって点数の書かれた穴に入ると…」
ジャラジャラジャラ
「なぜかガラス板の上に点数分のビー玉が払い出されるんです」
「それだけか?」
「それだけですよ」
「それを延々とくりかえすだけ?」
「それを延々とくりかえすだけです」
「景品の交換もなし?」
「ないですね」
「いったい何がたのしいんだ!」
「今の僕にとってこれ以上の娯楽はないんです!」
「馬鹿げとる!」
「これ、何回か当たるだけで盤がビー玉で見えなくなっちゃうね」
「隣の人はほとんどビー玉で埋まって見えなくなってました」
「見えなくなったらどうするの?」
「見えないまま続行です」
「いったい何がたのしいんだ!」
「どのみちじぶんの意志で入れることはできないんだから同じことですよ」
「常人の理解をこえとる」
「博士に言われたくないです」
「こんなことに延々と2週間も…」
「500円あれば半日つぶせますよ」
「それにしたって他にもっとできることがありそうなものだ」
「ここは21世紀の東京に残された唯一のスマートボール専門店なんです」
「だからなんだ?」
「いま使ってるのは青いビー玉だけど、ホントは白いんです」
「…」
「白い玉をつくってた工場もすでにないし、なくしたら最後二度と手に入らないから、ビー玉で代用してるんです」
「…」
「この店じたいがシーラカンスみたいなものなんですよ!」
「だからなんだ!」
「いっぱい遊ばなくてどうするんですか!」
「うまいこと使命感と大義にすりかえたな」
「僕らにはスマートボールを文化として存続させる義務があるはずです」
「スマートボール文化を支える前に、自分の存続を気にかけたらどうだ」
「僕らはそれを忠告に来たんだよ、ダイゴくん」
「ご心配いたみいります」
「で、どうなのダイゴくん」
「何がですピス田さん?」
「アルバムだよ、進んでるの?」
「はるばる?」
「アルバムだってば」
「ああ、アレね、そりゃあ、す…」
「す?」
「進んでますとも!進みすぎちゃってもう…」
「…」
「今や空の彼方です」
「お星さまになってるじゃないか!」
「だからいまUターンしてるとこです」
「いっそそのまま宇宙の塵になってしまえ」
「いやはや、先を行き過ぎるのも考えものですよ」
「口先だけは大物だな」
「まあみててください」
「…」
「この『連勝』って穴に入れば一気に勝ち越しですよ」
「…」
「それいけ!」
「それでいいならもういいけどね、べつに」
ポコン
ジャラジャラジャラ
「ホラ!みてみて!やった!痛ッちょっといたた」
「…」
「ちょっビー玉投げないで!お店の人に…あッすみませんすみません」
*
カァ! カァ!
「カラスか…」
「きっぷのいい鳴きっぷりですね」
「天丼食って帰ろう」
「そうしましょう」
「しかしここまでひどいとはおもわなかったな」
「どう見ても負け犬なのに、なんであんなに楽しそうなんでしょうね」
「本人にとっちゃ負けに気づかないのも勝ちのひとつさ」
「同情すべきですかね?」
「とっととくたばりゃいいんだ、あんなの」
2009年5月12日火曜日
彼、あるいはスマートボールの行く末 その1
ホワンホワンホワ〜ン
「この着信音はしっぱいだな。もしもし」
「ピス田です」
「ごくろう」
「博士ですか」
「他に誰がいるんだ」
「ターゲットを発見しました」
「やれやれ!」
「ずいぶんヒゲが伸びてます」
「手間をかけさせる男だ」
「今のところ動く気配はなさそうです」
「まるで逃亡者だな。結局どこにいたんだ」
「浅草です」
「浅草?」
「浅草です」
「浅草なんかでいったい何をしとるんだアイツは」
「それが…」
「どうした」
「パチンコみたいです」
「パチンコ?」
「たぶんそうだとおもうんですけど」
「たしかか?」
「やせっぽちのヒゲメガネでした」
「そんな生きものは浅草だけでも掃いて捨てるほどいるだろう!」
「あとは…」
「なんだ」
「研ナオコの『夏をあきらめて』を口ずさんでたので…」
「ああ、それならまちがいない」
「まだ5月なのに…」
「まったくだ」
「なんだか不憫で…」
「気のせいだ」
「そうですかね…」
「しかし下町でギャンブルとはおそれいる」
「わたしも目を疑いました」
「予想外にもほどがあるぞ」
「でも昔よくやってたって聞きましたよ」
「昔っていつだ」
「10代のころはバイト代全額つぎこんだことあるって」
「どうしようもないという意味では今とあんまり変わらん気もするが」
「そうですね」
「とりあえず捕獲にいこう。今どこだ」
「おいしい揚げまんじゅう屋さんの前です」
「揚げまんじゅう?」
「ハフハフ」
「食わなくていい!だいたい仲見世に何軒あるとおもってるんだ」
「いちばんおいしいとこですよ」
「雷門のでかい提灯に貼り付いとけ!」
ガチャン
*
つづく
2009年4月30日木曜日
ブランフォード・キリギリスのサバイバル論
われながらボンヤリにもほどがあって、気がつくと危機はもうすぐ目と鼻の先に迫っているのであった。警戒度5なんてとうにすぎてひょっとするともう30くらいに引き上げられているのではなかろうか。
インフルエンザではなくて、ごくごくパーソナルな暮らしぶりの話なんだけど、これがまた逼迫どころの話ではない。バイオリンをギコギコと弾きながら悦に入っていたキリギリスのように、畑に作物をみつけると立ち止まって思案するくらいの瀬戸際まで状況は悪化しているのです。危機感というものをまるで持たない、脳天気なキリギリスに生まれたばっかりに!バカバカバカ。
昨夜はとうとう米が底をつき、しかたなく祖母の形見である古い買い物カートをガラガラと引きながら、なけなしのお金をポッケに入れてちかくのドラッグストアに米を求めに向かったのだけれど、こういうときにかぎって余計なセールなんかをやっていて、米が店頭にひと粒も残っていない。
買い物カートを引いて夜の山手通り沿いを歩く30代男性なんて、それでなくともきょうびめったに見かけないのに、お目当てのものが売り切れてドラッグストア前で呆然と立ち尽くす彼の、みじめな姿をちょっと想像してごらんなさい。
彼ははたして明日を生き抜くことができるのか?
いや、まだ池袋駅ちかくのお店は閉店前のはずだ。ここからだと20分くらい歩くけど、背に腹は代えられないし、空っぽの買い物カートをガラガラと引きながら、意を決してべつの店に向かうことにしたのです。
道すがら、おなじようにカートを引くおばあちゃんとすれちがい、そうかいま僕はこんな感じなのだな、と奇妙な共感を抱いて夜更けのネオン街に向かううつろな面持ちといったら、まるで断頭台に向かう罪人のようじゃないか。
いや、まだ希望はある!米はきっとまだ売れ残っているし、暮らしぶりだって今より悪くなろうはずもないのだ。買い物カートは空っぽだけれど、その軽さこそ、そしてそれゆえの軽快な足取りこそが今の僕にとっては唯一の身上ではないか。失うものなんてはなからありはしないのだ。すすめすすめ!
そういさましくのしのしと向かっていったら、どうも思いちがいをしていたらしくて、辿り着いたお店には無情にも冷たいシャッターが下ろされているのです。電気も落とされて、ひっそりと闇につつまれている。
絶望した!
この虚脱感を言い表すことなんて、いったい誰にできるだろう?米をもとめて、買い物カートを引きながら、欲望と権謀術数うずまく夜の池袋をさまよい歩いたあげくの果てがこのていたらくだ!
さいごの希望もしずかについえて、とぼとぼと家路につくわたくし。
*
それでまあ、結局どうしたかというと、流しの下に忘れていたわずかなモチ米をみつけておいしい中華ちまきをこしらえることができ、どうにか今日も生き長らえているのです。草木もねむる丑三つ時に、ふかふかとして食欲を刺激するいいにおいの湯気がたちこめたものだ。生きてるってすばらしい!
少年少女諸君、声を大にして言っておくけれど、基本的な料理スキルはぜったいに身につけておいたほうがいいぞ!
好むと好まざるにかかわらず、そしてまた男女の区別なく、ただ生き抜くためだけに。いやホントに。
2009年4月24日金曜日
トイレの水に月が映ることはありうるか?
床に置かれた重たい木箱の角に右足の小指をしたたかにぶつけ、ギャーともんどりうっている間にかれこれ1週間もたってしまいました。内出血で血豆ができています。
あとはまあ、山奥にひとりで住む木こりのようにもくもくと作業に明け暮れる日々です。
…とここまで書いたところで宅急便が届き、そのまま放置してさらに2日たってしまいました。われながら呆殺されているとおもう。(忙殺ではない)
*
じぶんがこのザマなのに他人の宣伝をするというのも解せない話ですが、今さらそんなことでぶつくさやってもしかたがないのでしぶしぶお伝えしましょう。今週土曜はスイカ夜話です。今回のゲストはリクオ & サイプレス上野とロベルト吉野という、まるでイチゴ大福のように一見するときわめていびつな組み合わせになっております。しかしイチゴと大福が見た目に反しておりなすラグジュアリーな化学反応とその幸福な一体感はすでにみなさんご存知のとおりです。こんなお膳立てを他のだれが企画できるっていうんだ、とひさしぶりに胸をはれる夜をご提供できると関係者一同自負しております。こぞってご来場くださいませ。
SUIKA presents「スイカ夜話」
2009年4月25日(土)@AOYAMA月見ル君想フ
「スイカ夜話」〜第14夜
GUEST:サイプレス上野とロベルト吉野/ リクオ
open18:30 / start19:00
adv.¥2,500 / door¥3,000 (drink別)
それでまあ、僕的にはここまでが前置きでここからが本題といっても過言ではないのだけど、スイカ夜話にはご来場いただいたみなさまにもれなく特製缶バッジを進呈するという古くからの風習が今もなおマイペースで息づいているのです。
今回のデザインはこれ!
これに加えて、1/7くらいの確率でこんな当たりもご用意しています。
何をどうするとトイレの水に月が映るなんてことになるのかよくわからないけど、このアイデアは、僕によるものではありません。ミス・スパンコールです。型破りというかアバンギャルドにもほどがある。もちろん冗談のつもりだったんだけど、モチーフはともかくデザインとしてとても優れているという画期的な判断でアリになりました。大好きな図案。
さらに、1/35くらいのかなり少ない確率で当たるのがこれ。
1つめのと同じに見えますが、左端の星が流れ星になっています。当たりっぽい!
さらに、つくられるかすら定かではない幻の缶バッジがこれ。
稀代のパーカッショニスト高橋結子本人によるイラスト(サインつき)缶バッジです。けっちゃんに直接「ほしいです」と直訴すれば、あるいは手に入るかもしれません。
*
たのしみいっぱい。夢いっぱい。明日への活力を満タンにしてくれる、というか入れすぎてちょっとあふれてしまうスイカ夜話は今週土曜午後7時スタートです。お見逃しなく!
*
やれやれ。
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