2008年1月31日木曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その10
何しろ4つもあるので、前置きなしでまいります。
でべその宙返りさんからの質問、4連チャンです。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q1: スナークは飼えますか?餌はなにをあげれば良いですか?
僕がおもうに、スナークというのはいつも僕らと一定の距離をたもち、容易に近づかせてはもらえない、非常にIQの高い何かです。アンジェリカはいつも丁々発止のやりとりをチャンチャンバラバラと交わしていますが、音ばかりが聞こえて一向にその姿をみることができません。プレデターみたいなものですね。達人同士の立ち回りというのはえてしてそういうものだし、だからすくなくとも僕なんかがどうこうできる相手ではないです、おそらく。現時点ではどんなかたちをしているかさえ、さだかではない。
ただ、アンジェリカの行動をみるかぎり、彼女はスナークのことをよく知っているようです。飼っていたかどうかまではわからないけれど、かなり至近距離にいたことはまちがいありません。仮にアンジェリカがスナークをある程度まででも手なづけていたとしたら、このさい「飼える」と言ってもいいんじゃないかと僕はおもいます。
問題はエサですが…
「アンジェリカ!」
「…」
「アンジェリカ!」
「あ、ダイゴくん。なに?」
「スナークって何たべるの?」
パカン
「いたい!」
「つかまえたなら何でさっさと言わないの!」
「つかまえてないよ!質問がきたんだ」
「質問てだれに?」
「だれに…たぶん僕にだとおもう」
「なんでダイゴくんが質問されるの?」
「ちょっとね」
「ふーん」
「僕だっていろいろあるんです」
「ハハハ!」
「なんでわらうの!」
「ゴメンおかしくて」
「質問なんだけどね」
「そうだった!ゴメンなんだっけ?」
「スナークのエサってなに?」
「さあ…」
「たよりないね」
「子どもじゃないんだから、自分でどうにかするとおもうけど」
「ああ、子どもではないんだ」
「ていうか、何?なんでそんな正体不明みたいな扱いなの?」
「正体不明だもの!」
「ダイゴくん、見てたじゃない」
「逃げたとき?」
「いなかったっけ?」
「はやすぎて見えなかったよ」
「1回追いつめたじゃない」
「アンジェリカもはやすぎて見えなかったよ!」
「ああそう…めんどくさいなあ」
「前につかまえたときは?罠ならエサとかさ」
「素手」
「ああ…素手ね…そうだよね」
「イゴール!ねえイゴール!」
「なんでございましょう」
「スナークつかまえたときって何かゴハンあげたっけ?」
「そのころはまだわたくしお仕えしておりませんでしたので」
「そうだった!あれ?イゴール、エプロンしてる」
「ちょうど夕餉にとりかかったところです」
「きょうのゴハンなに?」
「今夜は子ブタの丸焼きでございます」
「まさか!」
「3匹目の子ブタです」
「レアものだ!」
「てこずりました」
「レンガづくりとは思わなかったものね」
「ねえ…あの」
「お手柄!」
「恐縮です」
「ねえ…マウスだよね?」
「ダイゴくんもいっしょに食べよう」
「いや、うん。ていうか…」
「なに?」
「いや、なんでもないです」
A: もう、子ブタの丸焼きでいいですか?
では次!
Q2: アンジェリカの好きな下着の色は?
いろいろ質問がきたけれど、もっとも意外だった質問がこれです。フーム。質問をくれたでべその宙返りさんも女性なのだけれど、ムチャなこと訊くなあ。
「アンジェリカ!」
「あれ、ダイゴくんどこ行ってたの」
「いや、ちょっと質問を」
「また?子ブタ食べちゃったよ」
「次回でいいです」
「あれレアなんだから」
「わかったよ!あのさ、…いいや、これ読んで」
「好きな下着の色?これが質問?」
「そうみたい」
「これ女の子?男の子?」
「女の子だよ」
「そっか!ウーン。オレンジかなあ」
「え?」
「ぱきっとしたオレンジが好き」
「そうなんだ」
「何?」
「いや…そうか、なんか別に突っこんだ質問でもないんだな、これ」
「なんかマズい?」
「マズくはない。一時は死を覚悟したよ」
「なんで?」
「誰を介してもけっきょく僕が訊くことになるんだ」
「まあ、そうでしょうね」
「いのちびろいした」
「ああ、それで剣道の防具つけてるわけ?」
A: ぱきっとしたオレンジ
ホッとしました。参考になりましたか?では次!
Q3: ムール貝博士の助手のピス田さんとは誰ですか?小林大吾さんですか?
ピス田さんは小林大吾ではありません。たぶんこれ、ブログの投稿者が「ピス田助手」になってるからだとおもうんだけれど、これはですね、もともと彼が小林大吾に関するもろもろの情報をアップすると言ってくれたから、こういうことになっているのです。いざ始めてみたらピス田さん別に何もしてくれないので、けっきょく僕が投稿しています。名前だけです。何しろムール貝博士の助手なので、その存在からして当てにならない。そのくせブログにはしょっちゅう顔を出すんだから、釈然としないものがあるのは当然です。すみません。
ちなみにピス田さんはこんな姿をしています。
もともとはとある諜報機関から遣わされた腕利きのスパイだったのですが、そのへんの経緯はまたお話しする機会があるかもしれません。
では最後のしつもんです!すごいボリュームだなしかし
Q4: 小林大吾さんの好きな映画を教えてください。
でべその宙返りさんはジョン・カーペンターの「要塞警察」がお好きなんですね。これ、聞いてすぐ「わかるわかる!」ってうなずく人どれくらいいるんだろう?ノルシュテインの「話の話」も好きとのことなので、僕なんかよりはるかにたくさんの映画を観てるとおもうんだけど、聞いてガッカリしないでくださいね。そういえばジョン・カーペンターって僕観たことないです。かなり異能の監督であることだけは知っているのだけれど、いい機会だから借りてこよう!
僕の好きな映画ですが、これはもう、断トツで「パリ、テキサス」です。古着屋で「Paris, Texas」と刺繍されてるジャケットをみつけて買ってしまうくらい好き。サントラに収録されたセリフの部分だけで浸れるくらい好き。ハンターの"Left, Dad."って大人びた一言が好きだし、ジェーンが鼻にかかった独特の訛りで" 'bout what?"って聞き返すとこもキュン死にする。85年の公開(だよね?)なのでさすがにリアルタイムでは観ていなくて、スクリーンで観たい観たいとおもっていたら、あるとき足立区の東京芸術センターで上映されていることを知ってあわてて観にいきました。区の施設だけあってガラ空きで、貸し切りみたいなものでもう、泣き放題というか、ウワーン!
ことこの1本に関しては、「良い映画だね」と言うことが僕にはできません。思い入れがつよすぎて、冷静に話をすることができないのです。良し悪しという相対的なものではなくて、僕のなかに絶対的なものとして居座ってしまっています。
ちょっと冷静になって「好き」と言えるのはあと、ビリー・ワイルダーの「情婦」です。「この結末を誰にも話さないでください」とエンドロールで流れた、初めての映画ですね。これ、オイディプス王の物語なみに頑強なプロットがとにかく圧倒的なんだけれど、個人的には弁護士役のチャールズ・ロートンがほんとうに魅力的で、好きなんですよね。どうしたらあんな人物が描けるんだろうといつもおもう。性格をひとつひとつ箇条書きで書き出しても、ああはならないとおもうんだよな。結末がわかってるのに、飽きないです。いまだに。
さいきん観たのでは、「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」がすごく好きでした。さいきんでもないか。「吉原炎上」も好きです。「ユメ十夜」で実相寺昭雄が監督した第一夜も好き。彼が監督したウルトラマンティガの37話「花」もそうなんだけど、和洋と新旧がさりげなくクロスオーバーする奇妙な様式美に、しびれます。だって、ウルトラマンが歌舞伎だよ!
そういえば、黒澤明の「夢」も、小林大吾の形成に一役買っているほど好きであった。
A: パリ、テキサス
すんごい量になってしまった。
でべその宙返りさんが選んでくれた1曲は、「饗宴/eureka」でした!でもこれも、あえてえらぶなら、という但し書きつきですね。ありがとう!みんなそれぞれ思いがこもっていて、感涙です。
それから彼女は「アンジェリカ」の「"鎌で刈って"のところの声が特に好きです。」という、びっくりするくらいピンポイントで好きなぶぶんをおしえてくれました。なんだか丸裸にされたきぶんです。言われてあらためて聴き直してみたんだけど、ホントに一瞬でぜんぜん違いがわかりませんでした。どうもありがとう!おそらく世界でいちばん「詩人の刻印」を聴いているFKPDこと古川さんなら、あるいはわかるかもしれません。古川さん、どうですか?
*
これ、長すぎない?
という不安もなんのその、質問箱はなかみが尽きるまでつづけます!あと、質問とは別に、ツンデレカルタ買った人いたらメールください。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その11につづく!
2008年1月30日水曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その9
私信:古川プロデューサー、古川プロデューサー。タマフルのポッドキャストは長過ぎてipodがすぐいっぱいになってしまうそうです。なんとかしてあげてください。
ipodがいっぱいになるって、いったいどれだけの容量なんだ?
*
鼻泥棒さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: 「このなかでなら溺れ死んでも悔いなし」くらいの大好物は?
これはおともだちの「アンチョビに埋もれて死にたい」という名言にもとづく質問だそうです。たしかに名言ですね。イメージとしてはジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」でしょうか。缶詰あけたらこんな感じになってるわけですね。箸でつまんでいただくことができるかどうかで愛情を測る、一種の踏み絵です。恋のアンチョビ問題。
なんか話が横すべりしたな。
僕の話ではないですが、僕の知り合いは「パンツに埋もれて死にたい」といつか話していました。もちろん女性のです。部屋中にもさもさと不特定多数のパンツをつめこんで、そこにダイブすることができるなら、おれはそこで死んでもいいと言うのです。そのとき彼はすでに2児の父親で、愛妻家であり子煩悩でもあったから、フェティッシュな欲望というよりは、お菓子の家を夢見るのにちかい感覚でキラキラと目を輝かせていたのをおぼえています。どうしようもないですね。でも、たしかに、「大好物」みたいな話しぶりだったんだよな。変わった男です。
しかしまあ、そういうことでもないよな。
僕がいちばんさいしょに思いついたのは、つまようじが刺さってる感じで豆腐に埋もれて死ぬイメージです。人肌くらいにあたためられているとモアベターですね。なにかの儀式で生け贄になったとしても、生き埋めにされる先が温かい豆腐ならあきらめられる気もする。あとはアレ、野球場くらい大きな今川焼の真ん中で、ぱたっと倒れてホカホカ死ぬなら悔いはないです。おれホント生まれ変わったら小麦粉になりたい。
「そう、まったく、われわれフラワーズ(the Flours)としてはだ」と博士は言うのです。「埋もれて死にたい食べものは何かではなくて、どの粉モノと心中するかなのではないか?」
「そのとおりです」
「末端価格が値上がりするらしいよ」
「誤解されるからやめてください」
「われわれほどヘルシーな地下組織もないぞ」
「不健全ですけどね」
「博士といっしょにされるのは心外だな」
「ピス田」
「なんでしょう?」
「かさぶたはがすぞ」
「すみません」
「せっかくだからこの際小麦粉は脇によけませんか」
「なんだと!」
「だれだ?」
「ダイゴですよ!ひどいな!」
「あるまじき発言をするからだ」
「ちがうんですよ、どのみち僕ら小麦粉になっちゃうわけでしょう」
「小麦粉になるって…ならないよ」
「言葉のあやですよ!それを選んでしまうってことです」
「だってフラワーズだもの」
「そう、だから逆にね、せっかくだし、小麦粉以外のところで」
「じゃあおれ納豆」
「えー!」
「正気か!」
「正気ですよ。好きですもん」
「お前もう明日からこなくていい」
「なんでですか!別にいいでしょう」
「いや、納豆は僕も好きですけど」
「埋もれて死ぬとなると話は別だ」
「なんで?」
「ぬるぬるしてるし」
「きもちいいよ」
「まるで試したかのような口ぶりだ」
「葬式はひらかんぞ」
「博士はどうなんですか!」
「素数に埋もれて死にたい」
「それらしいこと言いますね。食べものじゃないし」
「食べものじゃなくてもいいって書いてあるじゃないか」
「ああ、ほんとだ」
「そういえば博士、アレ好きじゃないですか」
「なんだ」
「クコの実」
「そういえばこないだ薬膳料理食べたとき、クコの実ばっかりちまちま食ってた!」
「…」
「なんで照れてんですか?」
「クコの実に埋もれて死ぬのはどうです?」
「…」
「あ、笑ってる」
「なに?このリアクション」
「こんな博士みたことないな」
「ないですね」
「あっ逃げた」
A: ピス田助手→納豆 ムール貝博士→クコの実
穀物ばっかりですね、しかし
鼻泥棒さんが選んでくれた1曲は「饗宴/eureka」です。どうもありがとう!詩人の刻印のなかで、いちばん最初に生まれたのがこの曲でした。というのもこれ、そもそもフライングブックスの3周年記念にひらかれた、宴のためにつくったものだったんですよね。だからもう、2年くらいたってることになります。この曲、すごく短いんだけど、そこが好きです。
*
さて、次回はいっきに4つの質問にお答えします。刮目して待て!
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その10につづく!
2008年1月29日火曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その8
前回を読み直したら「その7につづく!」とありました。だれも気づいてないとおもうけど、この独り相撲感はちょっとやるせないです。
*
すてきなタイミングで名古屋から!
昼下がりの団地妻さんからのおたよりです。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)刺激的ですね。
おっと。ケータイからもギリギリ読めますよ!という報告が入ってきています。ありがとう!でも読みづらそう。いちばんいいのは、学校とか仕事から帰ってきて、ひとっ風呂あびたあと、ビールでも飲みながら「博士、博士」とかそんな感じですよね。何言ってるのかよくわからないけど。
Q: この間のブログでコーヒー愛についてあったとき、思ったんですけど、大吾さんはブラックで飲まれるのですか?
何気ない会話みたいで、こういうの大歓迎です!即物的に答えれば「そうです」の一言でおわってしまうけれど、そこをこう、つむいでいくのが会話というものじゃありませんか。これこそコミュニケーションの醍醐味ですよ!
そういえばずいぶん昔、女の子の家に電話して「シャラポワさん(仮名)いらっしゃいますか」とたずねたら「いますけど」とだけ返ってきて、取り次いでもらうまでに数秒間、奇妙な沈黙につつまれたことがあります。たしかに受け答えとしては何ひとつまちがってはいないけど、でもちがうの!そうじゃないの!意を汲んでちょうだい!だって、わかりそうなものでしょう?僕は彼女と話がしたいんです!
よけいなトラウマのふたを開けてしまった。お答えしましょう。そうですね、えーと
A: そうです。
500ccのカップ(デフォルト)でも足りないくらい渇ききっているとき、半分くらい飲んでから牛乳をどぶどぶ注いで元の量に戻したりすることはあるけれど、基本的には真っ黒なままです。よく考えたら牛乳足すと750ccも飲むことになりますね。砂糖は入れません。糖分がほしいときはお菓子でとるのです。
あ、博士にもきてますね。
Q: あと、ムール貝博士は蜂蜜を入れるってきいたんですけど、それは本当ですか?
「ということなんですけどね、博士」
「ほんとだよ」
「へー」
「はちみつというか、王乳だけどね」
「王乳ってなんですか」
「ロイヤルゼリーだよ」
「博士、それははちみつと似て非なるものです」
「何しろ女王のお召しものだからな」
「だってロイヤルゼリーってべつにおいしくないでしょう」
「おいしいよ。甘いもの」
「それははちみつですよ!」
「じゃあはちみつ」
「どこまでてきとうなんだ。どれです?」
「これ」
「はちみつって書いてあるじゃないですか」
「ホントだ」
「でもなんか、シンプルな瓶ですね」
「玉川大学で買ってきたんだよ」
「大学?」
「玉川大学はミツバチ研究で世界的に有名なんだよ」
「そうなんですか」
「気のない返事だね」
「だって、他に言いようがないですよ」
「ネイチャー(Nature)誌にも載ってるよ。ほら」
「なんの記事ですか?」
「スズメバチを撃退する方法だね」
「ミツバチが?」
「そうそう。このやりかたがまたじつにえげつない」
「えげつない?」
「集団で1匹を蒸し焼きにするんだよ」
「蒸し…え?どうやって?」
「こんなかんじで」
「うわっすごいなこれ」
以下自粛
A: 本当です。
ちなみに玉川大学のはちみつも本当です。
昼下がりの団地妻(未婚)さんが選んでくれたのは、おや。前回につづいて「蝸牛の憂鬱」ですね。すごくすごく悩んでくれたみたいです。どうもありがとう!僕がアンパンマンなら顔ごとあげたい。ていねいに感想を書いてくれていて、いつくしむように読みました。元気出る!
それから、「名古屋にきたらシロノワールを」とメールにはあったのですが、これがすごく気になります。シロノワールってなんだろう?シロとあるのに、ノワール(noir)は黒だし、何が何だかさっぱりわからない。白黒ってなんだ?食べものだとゴマ塩くらいしかおもいつかないけど、飲みものっぽい気がする。
というわけなので昼下がりの団地妻(未婚)さん、サルでもわかるくわしい解説をおねがいします!
*
さて、ほぼまいにち怒濤のように更新される質問箱、メールは今宵もエサをねだる小鳥のごとく、貪欲にお待ちしています。今のところ返答率100%です。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その9につづく!(9だよね?)
2008年1月28日月曜日
ふたつあるうちの、まずはひとつめ
フラインスピンのボスの付き添いで、新宿タワレコに行きました。
そしたら、おや。「詩人の刻印」通常版にまじって、1枚だけ初回版(紙パケ)がある。すぐとなりの通常版が買われていくのに、いつまでも売れのこる初回版…。よっぽどじぶんで買おうかとおもいました。ふびんなやつだ。
*
過日サラリとふれたように、3月は2回もライブがあります。
多い。(僕には)
ひと月に2回なんてまったく、まるでミュージシャンだな!
しかも遠征とはおもわなかった。
名古屋だ!
…かっこいいフライヤーだなあ。
3/1(土)
Flying Books Night
(YEBISU ART LABO FOR BOOKS ・ cesta 合同企画)
会場:K.D.Japon
OPEN / 18:30 START / 19:00
前売り予約/¥2,500 当日/¥3,000
(*入場時に1ドリンクオーダー代¥500が別途必要になります。)
申込方法:イベントタイトル、お名前、ご連絡先電話番号、ご希望枚数を明記の上、下記メールアドレスより、お申し込みください。
info@bookmark-ngy.com
その他、 YEBISU ART LABO FOR BOOKS(052-203-8024) cesta (052-752-1109) K・D Japon (052-251-0324) でも前売り予約可です。
東京の新しいブックシーンを牽引している渋谷の古書店、Flying Booksから代表の山路和広氏を迎えてのブック・トークと、彼の主宰する「FLY N’ SPIN RECORDS」所属の小林大吾・タカツキ・タケウチカズタケの3人のアーティストによるライブを行ないます。
Flying Books : http://www.flying-books.com/
*
知っている人はとっくにご存知だろうけれど、小林大吾はライブの機会がほとんどありません。なぜかと言われても困るんだけど、とにかくない。なのでこいつァ貴重な夜です。タケウチカズタケ、タカツキといつもの顔が揃っているし、肉づきの良い時間をすごすことができるとおもうので、近隣のかたはアイツもコイツもお誘い合わせのうえ、ぜひぜひ足をお運びくださいませ。
*
ちなみにこのライブは、 Bookmark Nagoya という、いっぷう変わったイベントの一環として企画されたものです。「本と街の魅力を再発見しよう」を合い言葉に、期間中は本屋やカフェ、雑貨屋さんといった街のいたるところで本にまつわる楽しげなアレコレが予定されているんですって。読む読まないを越えたところで「本そのものをたのしむ」、じつに粋な企画です。ニクいことを考えるものだなあ。ただ街をぶらぶらするだけでもドキドキするような出会いがあるらしいですよ!恋におちたらどうしよう!
2008年1月27日日曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その7
<今日のおもな出来事>
「バイアグラいかがですか」という英文スパムメールのアドレスが「kinki-kids.com」でした。
おわり
*
平べったい1日に負けるな!
フロム大阪、たんすのかどさんからのおたよりです。(ペンネームはもともと送られてきたものをそのまま採用しています。本名じゃないですよね?)タカツキさんの音を楽しんでいたら道に迷って小林大吾に行きついたそうですが、たしかに、道に迷いでもしないとこんなとこ来ないですよね。どうもありがとう!僕は最近、彼にもこき使われています。
Q: 人間以外の生き物に生まれ変わるなら、何になりたいですか?
生きものか…とくに好きというわけではないんだけども、トカゲになって、切れたしっぽの再生過程をしげしげ眺めてみたい、という気はします。カンガルーの袋から顔を出すのもいいですね。
静止したまま微動だにしないことで有名なハシビロコウも、選択肢としてはアリです。その硬直ぶりたるや、クチバシのなかに藻が生えるほどだそうですよ。よほど思慮深いとみた。彼らのうちの何羽かがポアンカレ予想をペレルマンより先に解決していたとしても、個人的にはうなずけます。
粘菌も好きです。動物にも植物にも入れてもらえないそのどっちつかずなライフスタイルには、まるで前世からの知り合いだったかのような親しみをおぼえます。わかるよ、そのきもち!なんといっても子実体(リンク先にはカビとあるけど、カビではないので今はそう呼びません)がキュートだし、タマホコリって名前のコロコロした語感もわるくない。
ああ、これにしよう。しっくりくる。
A: 粘菌(タマホコリ)
南京玉すだれと音が似てますね。
ちなみにたんすのかどさんは、白鯨だそうです。粘菌とはずいぶん開きがあるな。
そして、追伸がありました。「答えてくれたら、二度浸け禁止の串カツ屋での食べ方攻略法をこっそり教えます。」串カツは小林大吾の好物ランキングベスト5に余裕でくいこむ食べものなので、これは聞き捨てなりません!ご指南、よろしくおねがいします!
どうもありがとう!
*
ではもうひとつ。
レモン300個分さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: お気に入りの場所はありますか?
これは質問箱その3で登場したライオネルは布団さんからも、同じ質問がきてました。うーん、これはいろんな意味にとれてなかなかむずかしい質問です。
外苑前にある「香咲」というお店は、ホットケーキが美味しくて好きです。ホームページがまた小粋ですね!SUIKAファンには馴染みのあるライブハウス月見ル君想フもこのちかくです。
そういえば早朝の青山墓地も好き。青山って土地にはなじめないけど、ここの墓地はどういうわけかホントに落ち着くのです。朝ゴハン用にパンを買ってココで食べたりすると、元気が出ます。わざわざ池袋から青山まで行って、そういうことをするくらい好きな場所です。なぜでしょうね?
えーとあとね、茗荷谷に教育の森公園というおおきな公園があるのだけれど、それにほぼ隣接して、「占春園」というふしぎな場所があります。かつては江戸の三大名園に数えられたこともあるこのエアポケットみたいな土地は、庭園というには木が茂りすぎていて、森というには規模がちいさすぎることをのぞけば、全体的にどことなくファンタジックな趣をたたえているので、歩けばうっかり物語の中に入り込んでしまったかのような奇妙な錯覚を味わうことができます。いつ行っても人がいないので、じつにしずかです。横たわる池がやけに細長くて、角度によってはアマゾンの奥地を流れる川にも見える。
ただ何ていうか、わざわざ行くようなところでもないんだよな。近くまできたからあそこで休んでいこう、とかそんな感じの場所なんだけど、ザラッとして物の怪めいた雰囲気にいつも足止めをくらってしまう。ちっとも広くないのに、歩いてたら方向を見失うようなね。
さて、レモン300個分さんの選んでくれた曲は…「女と紙屑」ですね。「じゃあ、女と紙屑」としぶしぶ書いてある感じも気にしない!どんまいどんまい!うれしいです。どうもありがとう!
でもあの、そんなにムリしないでも…。気を使わせてホントすみません。
*
気がついたら夜が明け始めていますが、質問、身も凍る今朝もお待ちしています。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その7につづく!
そろそろお知らせ関連をやらないと
2008年1月26日土曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その6
「詩人の刻印」発売からもうちょっとで3ヶ月たちますが、新宿と渋谷のタワーレコードではいまだに試聴機に入れてもらっています。これはホントにすごいことなんだって!毎日のようにCDは発売されているし、メジャーでもないかぎり、試聴できるのはほんとに1、2週間くらいなんですよね。
J-WAVE効果、すごい!
何しろ
渋谷タワレコのJ-HIP HOP ウィークリーチャートで2位ですよ!先週?かな?来週にはあっという間に圏外の彼方だとしても、話のネタにはじゅうぶんです!思い出ふえてます。ヒップホップ?
J-WAVEもタワレコも素敵だ!とくに新宿タワレコはえらいことになってて、唖然としました。ありがとう!でもちょっと恥ずかしいです。
UNDER THE WILLOWが台風の目になりますように!(他力本願)
*
しなれしなちく!さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: 博士はなんでペリカンに捕らわれてたんですか?
えーと、これはたしか爆弾で地球の1/3を吹き飛ばしたからじゃなかったかな、とおもうんだけど、どうでしたっけね、博士?
「ん?」
「ペリカンに捕われてた理由ですって」
「ペリカン?」
「バミューダ海域に浮かぶ監獄ですよ」
「?」
「人魚がいたとこですよ!」
「ああ!あのおばちゃんな」
「おばちゃん?」
「あのあと、2、3日お世話になったんだ」
「おばちゃんだったんですか?」
「煮物のじょうずな女性だった」
「人魚のはなしですよね?」
「うるさいな、なんなんだ。何しにきたんだ?」
「ペリカンにいた理由を聞きにきたんですけど…」
「はじめからそう言えばいいじゃないか!」
「言いましたけどね!ショッキングな事実にさりげなくふれた気がして…。地球を吹き飛ばしたからでしたよね」
「いや、ペリカンのときはちがうよ」
「え?ちがうの?」
「そう言ったっけ?」
「いや直接は聞いてないですけど」
「万引きしたんだよ」
「え?何を?」
「お姫さま」
「また平気でそういうことを言う!」
「事実だからしかたないな」
「シャイなハートを万引きだ」
「そうそう」
「下衆なメルヘンですね」
「200年くらい前の話だよ」
「博士いったいいくつなんですか?」
「面倒をみてたのは王女がまだガキんちょのころだけど」
「どこの国の話です?」
「それから10年くらいたって、鳩がきたんだよ」
「話が飛びすぎてぜんぜん意味がわからない」
「伝書鳩だよ。大人になって王位を継いだ彼女が手紙をよこしたんだ」
「はあ」
「いっしょにゴハンでもいかがですかって」
「何もかもが遠回りだな!」
「行ったらペリカンだった」
「だまされたんじゃないですか?」
「そうかもな。それでまあ、何しろああいうところだから、長居してた」
「そのお姫さ…王女っていうのは?」
「ペリカンでいっしょにゴハンたべたよ」
「食べたんだ!今はどうしてるんです?」
「おいおい、200年前の話だぞ!」
「そのセリフ博士にそっくりお返ししますよ」
「今はいない。でも娘がいる」
「へえ」
「キミもよく知ってる人だよ」
「え?まじで?誰?」
A: シャイなハートを万引きしたから
しなれ!しなちくさんは「蝸牛の憂鬱」を選んでくれました。票が割れてきましたね。どうもありがとう!
これで○○をプレゼントしますとかラジオみたいに言えたら良いのに、何にもなくてごめんなさい。
どうぞお気になさらず!いえいえそんな。
では次!
*
ふわふわ超合金さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)ありがとう!
おや、ふわふわ超合金さんが選んでくれた1曲も、「蝸牛」なんですね。「エイミーと尨犬を聴いたときに近い」とおたよりにはありました。エイミー!忘れてました。今度ここにも呼ぼう。
Q: ムール貝博士は頭や気分をリフレッシュさせたい時は何をしますか?
「博士、また質問が」
「ほう」
「これです」
「リフレッシュ…」
「リフレッシュですね」
「ダイゴくんはどうなの」
「僕は10時間くらいつづけて寝たらだいぶスッキリします」
「…そういう話じゃないんじゃないの?」
「そうですか?」
「貧民はみんな寝るのが好きだろう」
「貧民はよしてください。でも寝るのがいちばんですよ」
「寝たことないからわからないな」
「すっかり妖怪じみてきましたね。博士は?」
「いつもフレッシュです」
「なんで敬語なんですか?」
「ひまつぶしとはちがうんだろう?」
「それはまた別でしょうね」
「困ったな」
「なんかこう、煮詰まったときにきもちを切り替えたりとかしませんか」
「ああ!その逆ならあるよ」
「逆?」
「ひらめきがいっぺんに押し寄せるときがあるんだよ」
「こっちはそれができないからリフレッシュするのに…」
「こう、トイレが逆流するみたいな感じだな」
「なるほど…それはパニックになりますね」
「だからそういうときは一切を捨てる」
「え、捨てるの?メモもとらずに?」
「捨てるんだ。あふれた水はつかわない」
「なんか次元の高い話になってきたな」
「で、そういうときに頭を空っぽにする必要があるわけだ」
「そういうリフレッシュもあるのか…何をするんです?」
「編み物」
「編み物!?」
「アレいいよ、無心になれて」
「ヘンなとこ家庭的だな」
「数を数えるのが好きなんだよ」
「そう言われるとわかるような」
「あとはあれだな、ペンキ塗り」
「ああ、それはちょっとわかります」
「人の家の壁だけどね」
「そういうことするからつかまるんですよ!」
A: 編み物(とカミカゼ的ペンキ塗り)
ちなみに僕は高校の教室の壁に青いペンキで落書きをして、クラスメイトに尻拭いをさせた酷い記憶があります。おかげで今もみんなとは疎遠なままです。
悲しくないもん!
*
というわけで、きもち伝わる質問箱、今宵も気長におたよりをお待ちしています。
寝る前に読んだりするの、ほんとにしあわせです。みんなに幸あれ!
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その7につづく!
2008年1月24日木曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その5
<今日の主なできごと>
朝、茶碗一杯分のゴハンを床に落としました。
やりきれない。
*
クラッシュギャルズさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)男性なのに…。
Q: 今、古本屋の店頭にあったら、金に糸目はつけずに買う、という本はどんな本でしょう。
A: 美術出版社から出ていた「日本のかたち」という写真集です。
数時間かけてさんざん悩んだあげく、結局コレにしました。どんな本かというと、どうも日本固有の道具という道具をずらずらと紹介したもののようです。僕も実物にふれたことがないので、確かなことが言えません。にもかかわらずなぜ欲しがるかというと、表紙や内容の一部を見たかぎりでは、じつにシャープなデザインがほどこされているのです。いや、やっぱコレほしい!
べつにひとつにしなくたっていいようなものだけど、あえてひとつにしぼるのって、何となくそのままにしていたきもちをハッキリさせてやった!という気もしてちょっと清々しいのですよね。画像も載せたかったんだけれど、見当たりませんでした。
いまアマゾンでみたら天文学的数字が!そんなにするの!?
藤島武二が装丁を手がけた与謝野晶子の「みだれ髪」も、いきなり店頭にあったらどきどきしますね。僕が持っているのは昭和49年の復刻版だけれど、初版となるとその価値7ケタをこえるVIP待遇の古書です。実物をみたときは鼻血が出ました。でもこれはあこがれに近いものがあるので、高嶺の花のままでいいというか、糸目をつけないというのとはちょっとちがいますね。その存在を知っているだけでもうれしくなれる、僕にとっては風変わりな立ち位置の1冊といえましょう。めちゃくちゃ可愛いでしょう?とても明治のものとはおもえない。
では次!
Q: インターネットに希望はあるのでしょうか。
未来についての質問ですね。ケータイからネットにつないだこともない僕にそれを聞くなんて、かなりむちゃです。
しかし僕がこの場でこうしてクラッシュギャルズさんとささやかなやりとりを交わすことができているのは、まさしくインターネットのおかげです。これこそ希望と呼べるもののひとつだと思いませんか?
あと、希望ってどんぐりと同じで、木の下とかによくぽちぽち落ちてます。足りなければ僕がそのへんで拾ってくるのでいつでも言ってください。
クラッシュギャルズさんが選んでくれた1曲は、「三角バミューダの大脱走」ですね!どうもありがとう。ちなみにコレ、「詩人の刻印」のなかでもっとも時間のかかった曲です。その甲斐あったみたいでよかった!
*
もうひとついきましょう。
乾いた濡れ衣さんからのおたよりです。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: 「ジョシュアの話」はCD化されないのですか?
これは…「幽霊/fishing ghost」のことですね。動画でご覧になったとメールにはありましたが、よくそんなのみつけたなあ!たしかに1回だけ、読んだ記憶があります。そんな前のじぶんなんて、とてもじゃないけど観る勇気ないです。
しかしいつまでも赤面しててもアレなので、お答えしましょう。
A: 忘れてました。
その手があったか!ともおもいました。よく考えたら、「三角バミューダの大脱走」みたいなストーリーテリングを試したくて書いた最初の詩が「幽霊」だったんですよね。いま音源にするとしたらだいぶ手を加えることになりそうだけれど、そうですね、やってみます。テキスト自体は詩集「2/8,000,000」に載せているので、興味がある人は手を伸ばしてみてください。リリックは全体のごく一部で、あとはまあ読んでのおたのしみです。説明しづらいんだよな。
そして乾いた濡れ衣さんが選んだ1曲は…きた!「アンジェリカ」!でも曲というか、ほとんどアンジェリカへのラブレターでした。ありがとう!アンジェリカには、他にも質問がきているのでたのしみにしててください。彼女にたずねる僕の身があやうい。
*
というわけで質問は、月明かりのまぶしい今宵ももちろん、お待ちしています。意外と好評っぽいぞという気がしてきた!
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その6につづく!
2008年1月23日水曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その4
朝起きたら目の前の古民家の庭が、粉砂糖をふったガトーショコラみたいになってました。
*
気がついたらわりとお知らせすることが増えているのだけれど、質問箱のほうがたのしいので、どちらかというと後回しになっています。だいたい、生まれてこのかた転びっぱなしなんだから、いまさら本末転倒もへったくれもあるもんか。
と脇によけてばかりもいられないのでサクリとお話ししておくと、3月は名古屋と新宿でふたつ、ちっこいライブが決定しています。珍しいこともあるものだ!詳細はまた追ってお知らせしなくはないこともなきにしもあらずです。
しかし雪がふるとずいぶん明るくなりますね。ウチは陽当たりがよろしくないので、晴れてる日よりずっと明るい。
*
「テリーヌかとおもったらスパムじゃないか!」さんからの質問です。どうもありがとう!(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: 私はSONYユーザーなのですが、パソコンにおとすと「本(一般)」て なるんですよ。小林さんかレーベルオーナー氏の粋なはからいかと思っていましたが…一体あれは誰がどう決めるんでしょうか。
これはこないだもちょっと書いたけれど、いまだに解けない(というかそれほど気にしてない)謎のひとつです。ふしぎですね。プロデューサーの古川せんせいに話したら、「それオレ!」と意外な真相を暴露したかと思いきや、言ったそばから「ちがうかも」と語気を弱めるので、ムダに混乱させられました。もう、ハッキリしないわね、このいくじなし!好きなら好きってそう言えばいいじゃないの!
すみません。
ちなみに「1/8,000,000も同様です。」とおたよりにはありました。そうなんだ!それは知らなかったです。となるとやはり古川Pによる登録説も疑わしい。
ひとつハッキリしているのは、あの情報はあらかじめCDに登録されているものではない、ということです。つまり、CDを読みこんだソフトウェアがインターネットを通じて何らかのデータベースにアクセスしているわけですね。
ここからは推測の域を出ない話ですが、あれはおそらくビッグバン以前から営業している老舗音楽レーベル、アカシックレコード(Akashic Records)にアクセスしているのではないかと、僕は踏んでいます。何しろあそこには音楽情報だけでなく、過去から未来までありとあらゆるすべての情報が蓄積されているそうなので、そう考えてほぼまちがいないとおもう。
さて、いったい誰がどう決めるのか、という問題の核心ですが、以上の仮説に基づくならば、答えはおのずと見えてくるはずです。
A: 神様が、なんとなく
ちなみに僕もちょっと前までSONYユーザーでした。でもある朝ポチッと電源を入れたらガリガリガリガリ!と、腕のわるい歯医者みたいな音が本体から鳴りひびいて、そのままガクッと息をひきとってしまいました。断末魔の叫びっていうのは、ああいうのを言うんですね。「1/8,000,000」のオリジナルデータは、だからもう僕の手元にはないのです。
「テリーヌかとおもったらスパムじゃないか!」さんが選んでくれた1曲は「手漕ぎボート」だそうです。こんなふうにひとつひとつきもちをもらうのは、コレほんとうにうれしいんですよね。ありがとう!
質問、まだまだお待ちしています。いざとなったら自作自演も辞さない覚悟です。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その5につづく!
2008年1月22日火曜日
エビが嫌いだとあなたは言うのです
豪放磊落にみえて、その実とても繊細な感性を指先に秘める男、超絶ハウス・オーケストラ集団 A Hundred Birds の中心人物にして、ヒップホップ&ポエトリー&ほにゃららバンド SUIKA のリーダー、愛妻家、サウナ入道、エビ嫌い、タケウチカズタケの待ちわびた1stソロアルバム、「UNDER THE WILLOW -panda-」がようやく発売日を迎えようとしています。どれだけ待たされば気がすむんです、閣下!便意なら手遅れになっているところですぞ!
なんとなく思いついて書いたけど、サウナ入道って言い得て妙だな…。
なにしろ、ビートで1曲参加しただけにとどまらず、アートワークをまるごと請け負い、アルバムのキャッチコピーを考え、果てはタワーレコード渋谷店にどかんと試聴機で展開するための大きなPOP(1メートル級)までつくらされたという馬車馬的立場で深く深く関わっているため、まるで我がことのようにハラハラしているのです。そういやフライヤーもつくったよ。
なんて説明したらわかってもらえるかな。ヒップホップで培った極太のビート感覚、ハウスから引き出された壮大な音像、そしてこれはたぶんタケウチカズタケ個人の人柄によるところが大きいとおもうんだけれど、激しさと穏やかさが同居するうつくしいメロディ、それらが一体となって一皿のおでんを形づくり…
おでん?
そういうわけなので11月に書いたことをもういちど書きますけれど!
かっこよさはレザボア・ドッグス、楽しさはちんどん屋、聴けば死体もよみがえる未知の音楽体験をぜひあなたに!
タケウチカズタケ「UNDER THE WILLOW -panda-」、1月23日発売です。
もう23日か…
2008年1月21日月曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その3
きもちのこもったメールをいただいております。ありがとう!そっか、ケータイから送るのはラクちんですね。ホントにシンプルでかまわないので、お茶でものみながら気がるにお送りください。僕はケータイでネットにつないだことが一度もないのですけど(重大発言)、このページってケータイでも見られるのかしら。
ではあらためて!この企画たのしい!
闇鍋に下駄さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: 「好きと愛してるの違い」ってなんだと思いますか?
A: お付き合いをするときに使うのが「好き」です。別れを告げられそうになったときに使うのが「愛してる」です。伝家の宝刀だとおもってください。ただし、たいした効果はありません。
闇鍋に下駄さんが悩みつつも選んでくれた、お気に入りの曲は「話咲く種をまく男」です。悩んでくれてありがとう!鯖は僕も好きです。
*
もうひとついきましょう!
ライオネルは布団さんからの質問です。千葉県のかたですね。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: 最近の携帯電話にはアンテナが付いていません。私はあれがないと不安なのです。あのアンテナ達はどこへ行ってしまったのですか?
これはお答えできそうにありません。なぜなら
A: 僕のはまだついているからです。
最近のケータイにアンテナがついていないという衝撃の事実を知って恥ずかしい思いをしたのは、ついこないだのことです。そういうのはもっとはやく教えてくれないと困る。
ジャズ研に入っているというライオネルは布団さんの1曲は、「三角バミューダの大脱走」なんですね。どうもありがとう!ジャズ好きのかたに気に入ってもらえるなんて、身にあまる光栄です。みんなに自慢します。
*
さて、「フルーツポンチに入っているナタデココと寒天を確実に見分ける方法」ですが、「スプーンで掬って光にかざすのです!」というお返事をさっそくいただきました。ひよこ豆さんありがとう!なんでも、「鈍くオレンジ色に透けるのがナタデココで、そうでないものが寒天」なんだそうですよ。へー!オレンジ色なんだ!そういうの聞くとためしたくなりますね。でもフルーツポンチってどこで食べられるんだろう?タカノのフルーツパーラーならある?
*
というわけで、花びらのように毎日ちらほらメールが届く質問箱、今宵も俄然受付中です。相手が僕だとたかが知れていることもあるし、結局のところコミュニケーションがとれればなんでもよいので、形而上学的な質問から、ヒレ肉みたいにやわらかい質問まで、なんでもだいじょうぶです。
dr.moule*gmail.com (*の部分を@に替えてね)
その4につづく!
2008年1月20日日曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その2
わかってもらえてうれしい!
これだ!僕の望んでいたのはこれだ!
ひよこ豆さんからメールもらいました(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。やった!ありがとう。
博士宛の質問ですね。(ラジオみたい)
Q: 自作のパンドラの箱、博士なら何をつめる?
「サンドイッチかな」
「博士、弁当の話じゃないんですよ」
「弁当箱みたいなもんじゃないか」
「博士にとってはそうでしょうけど」
「ふつうは、ありとあらゆる災厄だろう?」
「パンドラの箱ですからね」
「じゃあ逆に希望でも入れとくか」
「それ、箱のいちばん下に入ってるらしいですよ」
「じゃ愛情」
「愛妻弁当みたいですね」
「ホラみろ!やっぱり弁当じゃないか」
「博士が言ってるんですよ」
「まあ、しかし設定上順当にいったら火薬だろうな」
「かやくごはんですか?」
「ホラみろ!やっぱり弁当じゃないか」
A: かやくごはん
おや!もうひとつ、小林大吾宛に質問が。
Q: 好きな女優さんはいますか?
これは…なんていうか、またものすごく意外な質問ですね…。
言われてパッと思いつくのは、「パリ、テキサス」のナスターシャ・キンスキーです。赤いセーターを着てマジックミラーの前に座る彼女は、なかばトラウマ的な感じで脳裏に刻み込まれています。大好きなシーンです。「ビフォア・サンセット」(サンライズではなく)のジュリー・デルピーも好き!たぶんどちらも、心にちいさな凝りを抱えながら、それをしずかに手なづけているような印象が好きなんだとおもいます。観ているぶんには、ですけども。
日本の女優さんにも好きなひとはいるのだけれど、前にサムライトループスのタカツキさんとYOGにそれを話したら2人とも知らなくて、その場で画像検索したあげく、憐れみにも似た微笑とともに「NO」をつきつけられた非常に苦々しい経験があるので、ないしょです。思い出すたびにはらわたが煮えくり返ります。
岩下志麻と夏木マリも好きです。
あの、参考になりましたでしょうか…?(なんのだ?)
ちなみにメールには「お答えいただけましたら、フルーツポンチにナタデココと寒天が両方入っていた時、双方を確実に見分ける方法をお教えします。」とありました。
…どう考えてもそっちのほうが僕の趣味なんかよりはるかにおもしろい話だとおもうんだけど、たのしいので答えをいただいたらまたここに書きましょう。こんなふうに紡がれていくなんて、提案してみてよかった。
それから、ひよこ豆さんが気に入ってくれている曲は「三角バミューダの大脱走」とのことでした。ありがとう!「詩人の刻印」はそれで性格が占えそうなくらい、人によって本当に核となる曲がちがうらしいのですよね。なるほど!なんかだんだん他人事みたいな心持ちになってきてますけど。
*
とてもとてもありがたいことに、他にもちらほらおたよりをいただいたので、少しずつお答えしていこうとおもいます。よかった、少なくともあと何回かはつづくよ!たすかった!
というわけなので、メールは今宵も絶賛受付中です。アンジェリカとか、その他の登場人物に関する質問も、本人に訊いてみます。個人的にはふだんあんまり考えないようなことを考えるのがすごく楽しいので、どうだっていいような質問がとくにうれしいです。
dr.moule*gmail.com (*の部分を@に替えてね)
その3につづく!
2008年1月19日土曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱
バイクに乗っていたらなぜか湯島天神に辿り着きました。合格祈願にアツくなるぴちぴちした受験生の群れを尻目に、すみっこの池にはった氷を石で割ったりしてました。見捨てられた子供のようだ。
*
そういえば、これまで文章をろくに綴った経験もない僕がブログをはじめようと思い立ったのは、耳をかたむけてくれるあなたとのつながりをできる限り保ちたい、というささやかな希望によるものでありました。(なんとなれば、ほっとくとホントに失踪よろしく気配を絶ってしまう男だからですが)
しかし気がつくと目が回るような長文を、しかもとくべつ役に立つとも言えないようなことばかり一方通行でたれ流している始末です。とうぜん発信とはそういうものだし、それはそれで僕としてもゆかいな気晴らしになるからちっとも問題ないんだけれど、うーん、なんというかもちょっとこう、大らかにコミュニケーションをとることはできないものだろうか?というようなウズウズしたきもちが拭えないので、きめました。
dr.moule*gmail.com (*の部分を@に替えてね)
よかったら、「詩人の刻印」で気に入ってもらえた曲をひとつ、メールで教えてください。
個人的にお返事するのはもちろんだけれど、さしさわりのなさそうな部分を抜き出して、ここでも公開したいのです。小林大吾自身や「詩人の刻印」そのものにふれる必要はぜんぜんありません。メールが届くということは少なくとも聴いてはもらえているのだし、きもちはじゅうぶん伝わります!なのでここは、シンプルにさらっと送ってもらえればばっちりです。もし公開することがあればそのときは、匿名あるいはムール貝博士にてきとうなペンネームをつけてもらえるよう頼んであります。
あと、もしできたら小林大吾とあんまり関係のなさそうな質問をひとつ書き添えてくれると、話が広がるし公開しやすくなるのでとてもうれしい。
【例】
Q: ラクダのこぶには何が入っているのですか?
A: 悪夢です。
もちろん、小林大吾に関しての質問も、そんなのがあればの話ですが誠心誠意お答えします。
静まり返ってパタッと企画だおれになることもかなりの確率で考えられるけど、そのときは察してやってください。
これでもひどくおそるおそるの提案なのです。
だいたいね!僕みんなの声を直接うかがう機会ってほとんどないんですよ!人づてに聞くばかりだし、そんなのずるい。僕だってできれば直接「ありがとう」とか「後楽園で僕と握手!」とか言ってみたいのだ。吹けば飛ぶような、じつにささやかな望みじゃないか!
ワーン!
泣くな!
2008年1月18日金曜日
キリキリとねじを巻く仕事
ところで、からくり人形に負けるとも劣らぬ繊細にして緻密な技巧がめいっぱい詰めこまれているばかりか、せっせと量産(!)までされていたにもかかわらず、マニア以外には見向きもされない不遇な機械がひとつ、ここにあります。こないだ書きたかったのはじつはこのことなんだけれど、とちゅうでくたびれちゃったんだ。
振り子時計です。
重力とぜんまいというあまりにもシンプルかつ原始的な動力で正確な時をきざむだけならまだしも、どうしたら12時に鐘を12回鳴らすなんて高等なアクションを、電気も使わずに同時進行で達成できるのだ?からくり人形もイルだけど、このコの持つ複雑怪奇なムーヴメントだって相当なモノです。だいたい何をするにも電気を食らうこのご時世においては、非電化製品というだけでなんだか潔いものがあるし、この純然たる驚異にはもっと正当な評価が与えられてしかるべきだとわたくしはおもうのであります(ここで、腕時計はどうなの、とかそんな至極もっともな疑義をはさんではいけません)。20年くらい前は電話線の微弱な電気だけでりんりん鳴らしていたアイツでさえ、気づけばコンセントがくっついて四六時中エレキをちゅうちゅう吸っているありさまだし、そりゃ電力も足りなくなるよとおもう。配線もタコ足まっしぐらです。
ああ、たしかに時計は電池で事足ります。いちど与えたらかなり長いことそれだけで生き延びてくれると、検察側も主張するかもしれません。しかしですね、数年分のエサを一度にどさっと渡されたのち、エサがなくなるまで一切かまってもらえないとすれば、犬だってやり手の弁護士を雇わないともかぎらない。でしょう?そう思えば定期的にきりきりとねじを巻く仕事も愛情溢るるスキンシップの一環というか、ゴメンそういう話ではなかった。
だいいち、振り子時計って、可愛くない。生まれながらにして白いヒゲがもさもさと伸びているようなオジイチャン的黒光りデザインも渋くていいんだけれど、どうも哀愁が先に立ってため息まじりなところもある。ちょっとでいいから、サラリとした明るさがほしい。ボーンと物憂げにひびく鐘も毎日付き合うにはおごそかすぎる。精工舎(かつてのSEIKO)をはじめとして、時計会社(?)は当時山ほどあったとおもうんだけれど、生まれた時計はどいつもこいつも貴族的な風貌をしていて、いまいち気持ちになじまない。
だから例によってまあいいや、と振り子時計のことなんてスッカリ忘れていたある昼下がりに思いがけず出会い、雷で打たれたみたいに鮮烈なショックを受けたのが、美的開拓精神をもった唯一にして無二のクロックファクトリー、「栄計舎」の振り子時計でありました。
この奇妙にしてモダン、かつ爛漫なデザインはなにごとだ!
わかりづらいかもしれないけれど、本体はグレーで、文字盤の中央が合板の地肌、真鍮製の針と数字がグリーン、さらに数字が黄色でフチ取りしてあるという、大胆きわまりないスーパークールな彩色がほどこされているのです。だって昭和の前半ですよ!星マークに「AK」の文字、という企業ロゴからもう洒脱なセンスがにじみでているし、なにより遊び心にみちてて可愛い。振り子にもキュートな装飾がほどこしてあります(栄計舎の有名な特徴のひとつ)。わざわざ「ダイヤ振り子」と名前をつけているくらい、他社にはあまりない独特のつくりです。イイぞ!とおもう。キンコンと鳴る鐘の音もかろやかで明るい。
木とプラスチックとガラス、という素っ頓狂な組み合わせも、いまとなっては新鮮です。当時はプラスチックが今みたいにあふれているわけでもなかったから、それだけで売りになったのだと、そういえば売り主がポロッと申しておりました。
性質も趣きも異なる3つの素材が渾然となじむというよりも、むしろ互いにちょっとずつ主張しているところが良いのです。いったいどこの何を見習うとこんなにポップなふてぶてしさを持ち合わせることになるんだろう?他の振り子時計にはないおもしろさ、可笑しさ、かわいらしさと、かっこよさ!というのがつまりこのへんにあるわけですね。当時あったほかの時計とくらべて明らかに異端児だし、なんというか他人とはおもえない愛着をおぼえてしまう。
ああ、こいつときたら、変わり者だな!つくづくうれしい。
そういうわけで、ウチでは掃除や洗濯といったもろもろの家事に、きりきりとねじを巻く仕事もふくまれているのです。
なんでこんなこと一所懸命書いてんだという気もするけど。
2008年1月16日水曜日
21世紀のホンダ VS 19世紀の東芝
江戸のからくり人形といえば、ヨーロッパのオートマタ(Automata)と並んで、今なお驚嘆とともに讃えられる非電気的超絶機械のひとつです。なかでも僕が見とれてしまうのは、筒から抜いた1本の矢を弓に構えてぴょんと射る「弓曳童子」なのだけれど、これは一連の複雑なアクションもさることながら、角度によっては憂いとも恍惚ともとれる淡い表情のうつりかわりや、首のかたむきといったその仕草ひとつひとつが趣きに富んで、いつまでも見飽きることがない珠玉の逸品なのです。アクションだけなら「文字書き人形」のほうが仰天するし見映えもするだろうけれど、この人形のかなめは、動きそのものよりもむしろ、動きによって醸し出された機微にあると僕はおもう。見せ物としてのポップな側面の裏で、耽美でなまめかしい世界が流し目をくれているとくれば、その魅力に抗えるほうがおかしい。世の哀れなる殿方連中がうるわしい女性に心乱されるのは、たとえば髪をかき上げるときに立ちのぼる色気のためであって、髪にふれる行為そのもののためではないのだ。アシモが雑技団の花形スターなら、弓曳童子はカサノヴァであって、両者の間にはかなしいほどのへだたりがある。人を模するという意味では同じでも、追いもとめる極みに決定的なズレがある以上、アシモは雑疑団には入れてもたぶん永遠にモテないのです。それでいいのか!と僕は口をすっぱくして言いたい。金さえあれば量産できる魅力なんて何の意味もないし、その点弓曳童子は、たぶん同じようにつくっても同じ機微は生まれないとおもう。
とおもっていたのに
だから大人の科学シリーズ「弓曳童子」は、とてもかなしい。あんなのワックだ。こうすればこうなるよという因果関係の証明だけに特化してて、そりゃないよとおもう。みんながお酒をのむのは、酔っぱらうためだけじゃないでしょう?バーのカウンターでスイーとカクテルのグラスをすべらせて、美女にプリーズとかそういうのもふくめてお酒なんじゃないの!(僕下戸なので、多少イメージが偏っています)
ちなみに「弓曳童子」をつくったのは、「からくり儀右衛門」と呼ばれた江戸の天才からくり技師、田中久重です。そんな人知らないと思うかもしれないけど、えーとここに資料が…「田中久重は日本を代表する電機メーカー、東芝(TOSHIBA)の創始者です」。
え
まじで?
それなのに「弓曳童子」を所有してるのは意外にも
トヨタ(TOYOTA)だ…。
えー!
まったく、皮肉とまでは言わないけれど、冗談みたいな話だとおもう。
2008年1月14日月曜日
それは色恋沙汰か?コーヒーか?
「好き」というきもちはしずくに似ていて、それがポツポツと溜まってまだ池くらいの大きさならいちいち愛でたりもできるけれど、すっかり満ち満ちて大海にまで広がってくると、愛でるどころか畏れに近いものさえ生まれて、ひどく語りづらくなってくるものです。有り体に言うと、好きにはちがいないんだけど、なんかもう、そういうもんでもないんだよな、ということですね。「好きですか」と聞かれて、「まあ、そりゃね」とつい返答に一拍置いてしまうのはつまり、ひとことでイエスと言えない諸々の複雑な要素を、気づけば多く含みすぎているのだ。(愛に)溺れるというのはだからじつに的を射た言い回しだとつくづくおもう。海に対して高を括ればいくら泳ぎがうまくたってあっさり溺れるのがあたりまえです。
ああ、脱線した。(案の定)
ゴメン色恋沙汰もいいんだけど、これコーヒーの話です。
すでに人生の半分をこえる年月の間、飽きもせず数日おきにせっせと生豆の自家焙煎をくりかえしてきた僕にとって、コーヒーというのはあまりにも身近すぎていまさらろくな感慨も抱けない古女房みたいなものであります。しかしキミ焙煎までせんでもええがなとおもうけど、いつの間にか何となくそういうことになっていたので、ウチではまあ、そういうものなのです。大豆用の煎り網でしゃかしゃか煎って、ふうふう冷まして、ゴリゴリ挽いて、500ccくらい入る大きなマグカップにぽとぽといれたら、がぶがぶのみます。ぞんざいな寵愛だ。
でもウチいちどに飲む量がちょっと多いから、200グラムとか買っても2、3日ですっからかんになってしまうのですよね。そんなしょっちゅう買いに行ってもいられないから自然とキロ単位で豆を買うことになるんだけど、キロ単位で豆を買ったら買ったで今度は鮮度をキープすることがむずかしくなってくるし、そんならじぶんで煎るよという、むしろ横着な性分から辿り着いた向き合いかたと言えましょう。多少は豆の良し悪しも区別がつきはするんだけど、ちぢこまった豆でもあんまり気にしないし、いいのが手に入ればワーイと素直によろこぶだけだったりして、このへんじつに大らかというか、いいかげんなものです。焙煎も15ふんくらいでさっさと済ませます。
コーヒー豆の半額セールのために学校を早退するような、いびつな少年の時分にいろいろためしてみたあげくの結論としては、「焙煎後の鮮度」さえキープできれば、だいたいどんな豆でもおいしくのめるのです。これは賭けてもいい!逆にいうと、これがキープできないのなら、どんなに高級で評判のよい豆でもぜんぜん無意味だ。真実はかわいた豆のなかにこそある。
だいたいお店で売ってる豆に「ピーベリー」とか「スプレモ」とか「No.1」とか書いてあっても、あれ味じゃなくて豆の形とかサイズのことですからね!そんなにちまちまカテゴライズして、食通の舌を何人分うならせるのか知らないけれど、コーヒーはコーヒーですよ。そうでしょう?
えーとだからなんだっけ。豆に下手なこだわりを持つくらいなら、古ぼけた安い豆でもじぶんで焙煎したほうがおいしく飲めたりするものです!という経験則にもとづいた曖昧な話。じゃなかったはずだけど、まあいいか。
あいかわらず適当だな。「好き」はどこいった?
2008年1月12日土曜日
アンジェリカ、インザけやき坂スタジオ
金曜は流れ星のようにあっという間のライブを終えて、帰宅するともそもそと布団にもぐりこみ、うなされながら3時間ばかり寝込んだあと、ふと目がさめてりんごを煮ておいたことを思い出し、小麦粉とさくさく混ぜて蒸しパンを30個以上つくりました。頭の中がぽっかりと虚ろなまま、夢遊病みたく手だけがもくもくと仕事をしているのです。知らぬ間にどっさり蒸し上がり、満足してふたたびもそもそと布団にもぐりこんで、気づいたら土曜も日が暮れている。おや、たしかさっきも夜だったような。
去年からJ-WAVEには呆れるほどお世話になりっぱなしのなか、「PARADISO」スタッフのみなさまにはまったく頭が上がりません。とくにパーソナリティの南さんはスマートな貫禄にみちてピカピカした、ほんとうに素敵な女性でありました。
そして聴いてくれたあなたには、またありがとうと伝えねばなりません。なにかしら心に残るものを供することができていたかどうかはともかくとして、短くもぜいたくな時間をすごすことができました。その代償が極度の緊張と困憊と肩こりと睡魔と虚脱感と夢遊病の3点セットくらいですむなら安いものだ。
1、2、3…ちがった!4点だ、そうそう…5点ね。安いものだ。
6点だ!わかってる、6点だとも。いや!ご…6!6!
*
それにしても、ここにきてアンジェリカの存在感がびっくりするくらい増してきた気がするけれど、あのね、あの人、わりと極道ですからね。気をつけてね。
*
小林大吾を心配そうに見守る母親のような古川耕の図
2008年1月11日金曜日
ライブの告知を忘れるブログ
どうでもいいような話のすきまに、そっと大事なお知らせをひそませるつもりが、それさえ忘れるこのていたらく。いったい何のためのブログなんだ!
1月11日(金) J-WAVE『PARADISO』内のコーナー「CAFE PARADISO」で生ライブを行ないます。 出番は15:30からで、10分間で2曲やる予定です。
http://www.j-wave.co.jp/original/paradiso/
1月11日(金) J-WAVE『PARADISO』内のコーナー「CAFE PARADISO」で生ライブを行ないます。 出番は15:30からで、10分間で2曲やる予定です。
http://www.j-wave.co.jp/original/paradiso/
2008年1月9日水曜日
アドルフ・ヒトラーの抗菌歯ブラシ
おお、ブルータス!おまえもか!と叫ぶなり、歯ブラシをばちんと床に叩きつけるこのやるせなさといったら、コーラスに泣き女をしたがえて合唱せずにはいられないのです。雨漏りみたいにどこまでも生活にしみこんできやがって、また抗菌だ!ああ忌々しい!だれか!だれか塩を持ってきておくれ!粗塩じゃなくて安いほうの塩です!うむ、ごくろうさま。
ドサー。(塩をまく音)
次!
ドサー。
むいちゃった甘栗と同じく、売り文句に「抗菌」とある日用品はことごとく、あんなものこの世から消えてなくなっちまえばいいと僕が火を吐く、宿敵のようなものであります。ファック抗菌。先日にいたってはとうとう抗菌仕様のキャッシュカードまでつくられたと聞き、絶望的な気分に打ちのめされたものです。10円玉もびっくりだ。
菌にかぎったことでもないのだけれど、なんていうかこう、雑音(ノイズ)と思わしきものはとりあえず社会から排除しておこうとするそのうすっぺらい根性が気に食わないのです。菌と言ったっていろいろあるし、悪いのもあれば良いのもある。十把ひとからげで敵と見なすようなことはどうあってもできないはずなのに、ろくろく考えもせず「まあ、一応ね」と曖昧なまま断ち切ってしまう危うさが、ゆくゆくどこにつながっていくことになるのか、考えてもみたまえワトソンくん!「菌」を「変わり者」と置き換えてみたらどうだ?
それでなくとも人間の体には免疫という驚異的、かつじつに合理的なシステムがそなわっているじゃないか?泥まみれで遊びまくる小汚い子供と、箱入りでそっと育った王子さまとではどっちが健康か、わからないとは仰いますまい!無菌室で生きるということは、イコール免疫が下がって虚弱になるということでもあるのだ。
よろしい、では100歩ゆずって虚弱も良しといたしましょう。すこやかな日々を送るために虚弱になるという逆説はいかにも馬鹿げているけれど、それも素朴な良心から生まれていると思えば、やれやれと首をふっておさめることもできる。しかしだなワッスン君。
「そんな急に発音良くしなくてもいいです」
そうした情状をさっぴいたとしても、雑音(菌)を排除したらしただけクリーンな世界になると考えるなんて、そんな直線的な話がありますか!ありとあらゆる事例と可能性をすべて考慮に入れて行動するなんてだれにもできないけれど、だからといって良きも悪しきもまるごと端折って「邪魔者は消せ」みたいな話(注1)になるなら、こんな肥大した脳みそなんてぜんぜん必要ない。みかんくらいの大きさでじゅうぶんです。まったく、チョビひげの独裁者がやってたことと何がちがうっていうんだ?
大げさだなあ!とおもうかもしれないし、僕も実際そうおもえるんだけれど、本質的には同じことです。いまもアウシュビッツが教訓として活きているのは、規模がどうあれそれが本質的に決して特異なものではないからなのだ。どんな大木もまず芽が先にあるという点で、この話が芽でないと言い切れる根拠がはたしてどこにあるだろう?だって歯ブラシが(以下略)
ああ、何しろ健全たる社会においては僕自身がある意味ノイズみたいなものなので、こういう話となると風邪をひいたネズミのごとく敏感にならざるをえないのです。
しんみり。
だからダイゴくん、君はここにいてもよいのだという、自己肯定のお話であった。
おや!もうこんな時間だ。ではさいごに昔、セブンイレブンのトイレで見かけたひみつの落書きを引いておひらきとしましょう。
炭疽菌ファッキュー!
ビフィズス菌サンキュー!
世界に対するこの軽妙にして包括的なきもちの距離感こそ、僕がつねづねこうありたいとおもうところのものです。用を足しながら人生観が変わるほどのショックをうけることなんて、そうそうない。座右の銘にしてもいい。
注1:こうした、脇目もふらず一直線に駆け抜ける100メートル走的思考のことを、ムール貝博士は「暗黒街の論理」と呼んでいます。過程がシンプルで明々白々すぎるせいか、逆に疑義をはさみづらいのだ。(そういえば博士は世界陸上をみながら「あんなに早く走ってどうするつもりなんだ?」と首をかしげていた)
2008年1月6日日曜日
東京には届かない電波にのる話
僕にとっては意外すぎるアーティスト(J-POP領域)のラジオ番組で曲をかけてもらえて、なおかつ全国ネットだというのでそれはたいへんなことだと大慌てで新聞のラジオ欄をくまなく見渡したのだけれど番組自体が見当たらず、「?」と首をかしげていたら
東京は放送されてませんでした。
さみしい。
北風がつめたい。
2008年1月5日土曜日
2008年1月3日木曜日
明治神宮のUFOキャッチャー
あけましておめでとうございます。
年が明けて真夜中に、しずしずと近所の神社へ向かうあの厳かな道のりが好きですとずいぶん澄ましたことを書きながら、ふと気が変わって今年の初詣は明治神宮のアホみたいな人波にギャーとダイブしてきました。昨日と今日では言ってることがまるでちがうというのは、僕の専売特許でもあるのであんまり気にしてはいけない。
明治神宮って、正月だけとはいえ境内にUFOキャッチャーが並んでるのですよね。こう、広場の奥に10台以上がずらずらとあるばかりか、その隣にはブランド品の当たるガチャガチャが賑わっているのです。今年一年の息災を祈願して、世俗にまみれた煩悩をすすぎ落としたそばから、歓楽街にウェルカムと相成るわけでございますな。並べるほうも並べるほうだし、やるほうもやるほうなんだけど、でも日本という国を説明するときに、この光景はじつに象徴的でわかりやすいとおもう。いろんな意味でじつにめでたい。貪婪だなあ!
その後池袋から実家のある町田まで約40キロの道のりを、元旦から二代水駒(原付)をぷるぷる駆って帰省するわたくし。246号線は国道でありながらもとくに横浜青葉のあたりが地上十数メートルの空中を走る高速道路みたいな構造になっているので、原付がそこを通過したというだけで過剰なカタルシスを味わうことができます。へんな達成感がある。
あとあんまり大きな声では言えないけれど、小島よしおを初めてテレビでみてとても大きなショックを受けました。
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(意気込みその他をいろいろ書いてはみたものの普通すぎておもしろくないので中略)
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まあいいや。
本年も前年と変わらず小林大吾ならびに、いびつな音楽レーベルFLY N' SPIN RECORDSをご贔屓くださいますよう!
がんばる。
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