2022年1月14日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その357


すみっコごろしさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 「褒め」と「のろけ」の違いはどこなんでしょう?私はパートナーを尊敬しているのと良いものは良いと言いたい方なのでパートナーの良いところを言いたい時があるのですがそれは「のろけ」でしかなく場合によっては人を傷つける事もありうるのか?と考えてしまうことがあります。大吾さんはパートナーさんのすばらしさをよく呟いておられそれがとても自然で素敵だなあと思っているのでこのどうでもいい逡巡にツッコミをいただけませんでしょうか。


僕は昔から、伴侶についてのいい話を聞くのが大好きです。ひとりのときは「ううむ、こうなりたいものだなあ」とおもっていたし、ふたりになった今でも「ううむ、こうありたいものだなあ」とおもいます。そしていただいた質問は、質問の時点ですごくいい話です。われわれを取り巻く世界に向けて、おまえらみんなちょっとは見習えと言いたい。

僕がこうした話を好むのはつまり、それを語る人が浜辺に打ち上げられたきれいな貝殻を拾う人だからです。ここにもゴミがある、ほらあそこにも、と言いがちな心と、こんな貝殻があった!と見せてくれる心のどちらがいいかなんて、考えるまでもない。ですよね?

したがってこの質問は、「いい貝殻を見せることは時として罪なんだろうか?」と置き換えることができます。罪なわけないじゃないですか?そんなことを気にしなくちゃいけない世界は切なすぎる。

とはいえ貝殻を見せて誰かがダメージを負う、もしくは激しく吐血することを心配されるなら、いちばん手っ取り早いのは話に伴侶を持ち出さないことです。

褒めることが人の長所に光を当てることだとすれば、のろけることには「それを語るじぶんの幸せ」が確実に含まれています。明らかな違いがあるとすればここです。ただし、じぶんの話をしているわけではなくても「それを語るあなたも幸せ」と認定されてしまえばそこに違いはなくなります。そして実際、そう受け止められがちです。

どれだけこちらが注意深くその両者をきちんと区別していても、相手がそれを区別しないなら結果は変わりません。これはもう徹頭徹尾、「受け止める側の問題でしかない」と心に刻みましょう。そしてその可能性がすこしでもありそうなら、聞き役に徹するか、踏みとどまることです。

ここだけの話、安田タイル工業の専務も「おまえは良い浜辺を見つけた」みたいなことしか言わないし、浜辺は基本的にどこも同じできれいな貝殻も同じだけあって流れ着いたゴミはふたりで片付けるように努めるしかないんだと何万回言ってもわからないので、僕もなるべく持ち出さないように心がけています。

大事なのは、じぶんにとってその浜辺がどう見えているかということであって、人が見てどう思うかということではありません。いい貝殻を拾ったら見せたくなるのが人情というものだし、少なくとも僕は見せてもらいたいし、いっしょにワー!と言いたいです。なのでそういうときは僕のところに来てください。昔も今も、きれいな貝殻はいつでも変わらずウェルカムです。

本当は誰だってそのはずだと、僕なんかはおもうんですけども。


A. 伴侶に関するかぎり、ほぼ同じと見なされます




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その358につづく! 

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