2024年5月24日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その428


ハルマゲ丼さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. いつも行くお店(例えば大阪王将)で新しいメニューを頼もうと思ってお店に入ってもいつも同じものを頼んでしまう現象の解決方法をご教示ください。


これ、僕も完全に同じですね。というか僕はそもそも同じメニューを毎日食べ続けてもさほど飽きない体質なのでいっしょにしていいのかちょっとためらいますが、しかしまあ誤差の範囲でしょう。行き慣れている店では95%くらいの確率でいつも同じものを頼みます。のこりの5%は稀に起きるエラーです。なぜエラーが起きるのかは僕もよくわからない。

しかしなぜいつも同じではいけないのか、と僕なんかは切におもいます。そりゃ毎日ラーメンとか牛丼となったらいろいろと支障もあるでしょうが、そういう話ではありません。この店に来たらこれを頼むというだけです。普通じゃないですか?

いつも同じものを頼むのは、それが美味いと知っているからです。コストに対して100%の見返りが得られると言い換えてもいいでしょう。一方で今までに頼んだことのないメニューはその見返りが未知数です。いつも頼むメニューよりも見返りが大きい可能性はもちろんありますが、大幅に損なう可能性も同じくらいあります。上回るか下回るかだけで見ればその確率は五分五分です。確実に得られる最大値を取るか、50%の確率で100%以上を期待するか、人としてどちらがいいとは言えないけれども、生物としてはリスクなしに最大値を得るほうが普通なのは間違いありません。何となれば50%の確率というのはあくまでも賭けであり、賭けに負けた場合は死に直結することもあり得るからです。いつものあの店で毎回チャーハンを食うことの一体何がいけないのか、むしろわざわざいつもと違うメニューに挑むギャンブル体質こそ是非を問われていいはずだぞ、ドン!と握り拳をテーブルに叩きつけながら僕は言いたい。

さて、自身の正当化と理論武装はこれくらいにしてもう少し客観的に考えてみると、まずこれ、じつは前提からおかしなことになっています。

考えてもみてください。ある店にいつも行くとすれば、理由はもちろん、その店が好きだからです。それが飲食店だった場合、好きなのはそこに美味いものがあると知っているからです。そしてなぜ美味いと知っているのかといえば、もちろんそれを食べたことがあるからです。もし毎回違うメニューを選べているのなら、そもそもいつも行く店にはなっていないことを自覚する必要があります。いつも同じものを頼むからこそ、いつも行く店になっているのです。

もちろん好きになったからこそ他のメニューも頼んでみたい、ということはあるだろうし、それは僕もよくわかります。実際、僕ですらそういう店はある。でも毎回同じもの、たとえばふわとろ天津炒飯と焼餃子を頼んでしまうとすれば、それがまさしく大阪王将を好きな理由だからです。

ふわとろ天津炒飯がこれだけ美味いのだから他のだってきっと美味いはずだ、と考えるのは当然だし、確率的にも理にかなっています。初めての店に行くよりも美味いと感じる確率は高い。しかし行ったら行ったでやっぱりふわとろ天津炒飯と餃子が食いたくなるので、成功率で言ったらむしろグッと低くなります。同じ理由で2つの確率を相殺しているわけですね。

いつも行く店に足を運んだ時点で勝敗は決しています。その上でなぜわざわざ新しいメニューに挑む必要があるのか、もう一度よく考えてみましょう。選ぶことができれば他の店よりもわりと高めの確率で見返りを得られるのは確かですが、行為それ自体の成功率はむしろ低い。となれば解決法はやはりひとつしかありません。


A. 行ったことのない別の店に行きましょう。




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dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その429につづく!

 

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