2008年12月24日水曜日
なあ、せっかくのケーキが冷めちまう
気持ちだけならいつだって小麦粉まみれの荒くれ集団、ザ・フラワーズ(the flours)の貪欲な舌を心ゆくまで満たしてくれる、マーベラスなケーキ屋さんが近所に一軒あるのです。住宅街にひっそりとたたずむ、それはそれはちいさなお店でありながら、他では決してお目にかかれないキュートなオリジナルスイーツの数々と、夢のようなその味わいといったらとても言葉に尽くすことはできません。じっさい、そのへんのパティシエなんか目じゃないと掛け値なしにおもう。
→labess
先日、奇妙な成り行きから店主のミワさんといっしょにごはんを食べる機会があったのだけれど、そこでうかがったお話からはケーキが好きとかそんな表面的なことよりもむしろ、「ここにはわたしの世界がある」というような哲学と矜持がひしひしと感じられて、以来ますます好きになりました。たとえその選択が荒野であろうと、あくまでつくりたいものだけをつくってまっすぐにずんずんと進むインディペンデント精神にあふれたケーキ屋さんというのはなんだか新鮮で、じつに格好よかった。
そんなlabessがクリスマスシーズン限定でつくるケーキなら、魂のはしっこを売っぱらってでも食らいつきたい!
そういう趣旨で、昨夜は心と顔をクリームでべたべたにしてきたのです。
野次馬のかわりに野次牛と野次ぶたが
「そういえば君、来年は干支なんだってね」
「うん…そうらしい」
「たいへんだな」
「いや、まあ…そうだね、でもどうかな」
「晴れ舞台じゃないか」
「僕はあんまり目立つの好きじゃないよ」
「もったいないな!」
「そう?」
「僕は好きだけどね」
「そうだよね…似合ってるとおもう」
「…」
「…」
「代わってあげられたらいいんだけど…」
「バカ言うなよ!ぶた年なんて、格好つかないさ」
「でも君、小学校の文集で…」
「あんなのはガキの夢だよ!真に受けられちゃこまる」
「そうなのかい」
「そうとも」
「僕はパイロットになりたかったのに…」
「そうだったね」
「今じゃただの牛だ」
「だれもがうらやむ干支の一員じゃないか!」
「…」
「…」
「名誉なことだとおもうよ、でも…」
「それ以上は言っちゃダメだ。なあ、せっかくのケーキが冷めちまう」
「ケーキが冷めてるのはもとからだよ」
「え?」
「冷やして食べるものなんだ」
「そうなのか…じつはケーキなんて初めてだから」
「…」
「…」
「僕がんばるよ」
「そうとも。それでこそ僕のともだちだ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「メリークリスマス」
「ベリー…ゴメン、何だって?」
「クリスマスだよ、ベリーじゃなくてメリー」
「メリー?そうか…羊も呼べばよかったな」
「名前じゃないんだ、なんていうか祝福の…」
「要はいただきますってことだろ?それくらいわかるさ!」
パクリ
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