2008年10月29日水曜日
ロボコップの銃はドライヤーでいいと僕もおもう
「僕らのミライへ逆回転」というどうしようもないタイトルの映画を観てきたのです。あまりにタイトルがしょうもないのでぜんぜん観る気が起きずにほったらかしていたのだけど、いやがる自分の尻をむりやりひっぱたいて足を運んだ甲斐がありました。まったく、どうして「未来」を「ミライ」にする必要があるんだ?
観る気になったのは主演のひとりにモス・デフが配されていたおかげです。ふつうはたぶん、ジャック・ブラックのほうに惹かれるんだろうけれど、ミシェル・ゴンドリーの映画にモス・デフとはまた奇妙な取り合わせじゃないか?とおもったら、BLOCK PARTYつながりだったのですね。なるほど。
純朴で気のいい好青年を演じていたせいもあって、おうちに帰ったらむしょうにBlack Star (Mos Def+Talib Kweli) が聴きたくなりました。このギャップ!
"Respiration" Mos Def + Talib Kweli feat. Common
*
話を元に戻して、映画のあらすじ。
1. モス・デフは古いレンタルビデオ店でアルバイトをしています。
2. ジャック・ブラックは、えーと別に職もなく毎日ぷらぷらしています。(まるで鏡をみるようだ)
3. ある日モス・デフはビデオ屋の店長から1週間ほど留守をまかされます。
4. 一方ジャック・ブラックは送電所の高圧電流に感電して死にかけます。
5. 九死に一生を得たジャック・ブラックはビデオ屋でモス・デフに介抱されます。
6. ビデオ屋に数人の客がきて、ビデオを借りていきます。
7. 翌日、ビデオを観た客たちが「何も映ってなかった」とクレームに来ます。
8. 店にあるすべてのビデオから映像が消去されていることが判明します。
9. 原因不明の緊急事態に頭を抱えるモス・デフ店長代理。
10. ジャック・ブラックが店にやってきて、ちょっかいを出します。
11. ビデオをチェックしながら途方に暮れていたモス・デフが何かに気づきます。
12. 「どうして君がテレビに近づくと画像が乱れるんだ?」
ハッ。
13. 「体が磁気を帯びてるじゃないか!」
高圧電流で磁化したジャック・ブラックのせいでビデオのなかの映像はぜんぶ消えました。それでも客はやってくるし、数日後には店長も帰ってきます。困窮したふたりがとった手段とは…
14. 「とりあえず自分たちで映画をそれっぽく撮っちまおう」
客が「ゴーストバスターズ」を借りにきたら、「ゴーストバスターズ」を手づくりで撮る。
客が「ラッシュアワー2」を借りにきたら「ラッシュアワー2」を手づくりで撮る。
ここからがつまり、この映画の真骨頂です。ダンボールやアルミホイル、ぬいぐるみといったそのへんのガラクタを使って、映画史上に燦然と輝く名作の数々をダイナミックにリメイクしていくのです。そういえばロボコップの銃はドライヤーになっていた。
"Let Forever Be" のビデオクリップを観たことのある人ならわかるとおもうけど、これこそまさしく、アナログの手法でデジタル技術を手玉にとることができる奇才ミシェル・ゴンドリーならではの映像魔術だとしみじみおもいます。すごい!
みんながみんな観るべきとまでは言えないとおもうけど、このきもちを共有できたらとてもうれしいというか、わかるでしょう?音楽で言うなら「名曲」よりむしろ「いい歌」というかんじであって、それらは等価値どころか、ときには後者が前者を凌駕することもあるのだ。
"Let Forever Be" Chemical Brothers
*
日曜日に催された "Open House Market" のことを書こうとおもっていたのだけれど、うっかりだらだら書いてしまったのでまた次回にいたします。まあそういつも順序良くやろうとする必要はないよな。話が前後するというなら、モンティパイソンだってそうなんだから。
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1 件のコメント:
ごぶさたしています、以前「クラッシュギャルズ(男)」で質問をした者です。
私はジャック・ブラックと映画の内容に惹かれて見ましたが(モス・デフがMCだなんて今の今まで知らなかったです)、想像以上に良かったです。
あるもの(この映画の場合は映画ですが、音楽でも演劇でもなんでも)を作って、楽しむことの原始的な形を感じました。
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