アウストラロ尾てい骨さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 響きがかっこいいという理由だけで好きな単語を教えてください。私はバケットホイールエクスカベーターと墾田永年私財法が好きです。
これを探し集めるために休日をまるまる費やしたい話です。なんなら広く募って、一定の同意を得た単語をずらりと並べた殿堂入りリストを作りたい。
バケットホイールエクスカベーターは僕も大好きです。名前もかっこいいけど、何と言ってもあの重機版ハウルの動く城とでも言うべき尋常ならざる巨躯がいい。大きすぎてひとつの町くらいの設備は揃ってるんじゃないだろうか。病院とか、スケートリンクとかね。想像すればするほど、夢が広がります。掘削機なんですけどね。
しかしそういう話ではない。
考え始めると1週間たってもまだ考えつづけていそうな気もするので、とりあえず真っ先にパッと思い浮かんだのを挙げるなら、バージェス頁岩ですね。
それが何なのかは僕もよく知らないし、知る気もありません。世界にはそう呼ばれるものが確かにあって、響きがかっこいいというだけで十分です。とにかくそこにあってくれさえすればいいので、超絶推してるアイドルとの距離感に近い気もします。
響きはかわいいのに用途がかっこいいシチュエーションに限定される言葉もあります。猪口才なんかがそれです。たぶん捨て台詞的にしか使えないとおもうんだけど、「ぐぬぬ、おのれ猪口才な」「待って、今チョコって言った?」というかんじで剣呑なムードが一気にホワンと和らぐ印象あります。今となっては日常的に使える言葉ではないし、ホワンとなるのもしょうがないよなとおもう。
特にどうということもないはずだし単語でもないんだけど、昔から胸に刺さって抜けない棘みたいな言葉が、西高東低の気圧配置です。どうあれ耳と記憶に刻まれてしまっているわけだから、初めて聞いたときに気持ちよかったんでしょうね。おっさんと化した今でも西高東低の気圧配置と聞くと、オッと反応してしまいます。われながらちょっと気の毒なことです。
カムチャツカ半島なんかも響きが好きな単語のひとつですね。だいぶ昔から、ムカつくの代わりにカムチャツカを使えないかなと思いつづけていますが、わかってもらえない気がするので言えずにいます。「あいつまじカムチャツカ」って言うほうが自身の傷も浅く済む気がするんだけど、おそらく気のせいであろうことは僕にもなんとなくわかります。
かっこよさの基準を語感とかリズムに置くと、途端に世界が広がります。いま思いつくかぎりでは、グリチルリチン酸ジカリウム、日本道路交通情報センター、東海道中膝栗毛、ノンアルコールビールテイスト、アンデパンダン展、ペンパイナッポーアッポーペン、東洲斎写楽なんかが好きです。最後のは単語ですらないけど、それで言ったら名前なのに単語に聞こえる愛新覚羅溥儀もいいですね。
A. バージェス頁岩です。
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その413につづく!
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