戦略的スポンジさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 火曜日と水曜日と木曜日の違いを教えて下さい。
中国の五行思想によれば、水曜日は「水剋火」と言って火曜日を剋し、また「水生木」と言って木曜日を生ぜしめ、その木曜日は「木生火」と言って火曜日を生ぜしめることになっています。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、要は
「火曜日に勝つ水曜日の推しである木曜日が火曜日を推す」
ということです。
他にも金土日月と4つの曜日があるにもかかわらず、火水木の3日間だけで円環構造を成すように見えるのは意外な気もします。ただ金土日は広義の週末ではあるし、月曜日に至っては誰でも何らかの喪に服すレベルの忌み日です。実質的なウィークデーとしてはやはり火水木の3日ということになりましょう。円環を成すのもむべなるかなというものです。
しかし五行は深奥な思想なので、これでもまだ少しわかりにくいところがあります。勝ったり推したりというのは一体どういうことなのか?それを解きほぐすためにここで今一度、火水木の関係性を、あだち充による不朽の名作「タッチ」に置き換えてみましょう。40年前のマンガを持ち出すんじゃねえよという批判は尤もですが、何しろ回答者たる僕が中年なので致し方ありません。
「タッチ」のメインキャラクターは双子の兄弟である上杉達也と上杉和也、典型的すぎるヒロイン浅倉南の3人です。これを火水木に置き換えると、
火曜日→上杉達也
水曜日→上杉和也
木曜日→浅倉南
ということになります。
火曜日=上杉達也は物語の序盤において文武両道で非の打ち所がない水曜日=上杉和也に敵う部分が何ひとつなかったボンクラ中のボンクラです(水剋火)。しかし水曜日=上杉和也が全身全霊で推す木曜日(水生木)=浅倉南は最終的に火曜日=上杉達也を推します(木生火)。
もし水曜日=上杉和也が生きていたら話が変わるように思われないでもないですが、こと恋愛に関して木曜日=浅倉南は初めから火曜日=上杉達也を推していたという印象なので、どのみち同じことだったろうと断言してよいでしょう。
僕が思うに「タッチ」における特異な点は、それまで完全にトリックスターであると読者に思われていたキャラクター(達也)が物語の中盤でまごうかたなき主人公へと置き換わることです。だとすればここで改めて注目したいというかむしろすべきは、圧倒的な敵意を向けられる月曜日に比べてこれまでわりとどうでもいい立ち位置に甘んじてきた火曜日なのではないだろうか?
何しろこの視点からすると火曜日=上杉達也なくして物語全体=一週間は成立しないことになります。どうでもいい立ち位置どころの話ではありません。それは一週間を大団円へと導く要というべき曜日であり、何なら週を活かすも殺すもすべては火曜次第と言っても過言ではないのです。
とはいえどの曜日が偉いかとかそういう話ではそもそも全然ないので、質問に戻りましょう。五行思想と「タッチ」に基づく火水木の違いは、こう結論づけられます。
A. 火曜日が主人公、水曜日がライバル、木曜日がヒロインです。
火曜日、大事にしてください。
*
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その367につづく!
2 件のコメント:
何度読んでも非の打ち所がないお答えです。
> 黄色い花さん
僕もそう思います。
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