2021年5月14日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その326


空中飛び膝デリさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)アクロバティックな惣菜の提供で話題のデリカテッセンですね。


Q. 「こうすべき」ということが明確に分かっているにも関わらず、めんどくさかったり気分がのらなかったり、様々な言い訳を駆使して行動できずにいるとき、僕らに必要なものはなんでしょうか。毎朝自分の理想とする時間に起きることができないのですが起きるために何かいいアイデアがあれば知りたいです。


前半と後半では同じように見えてだいぶ意味合いが違うんじゃないかという気がしないでもないですが、そうですね、とりあえず前半のほうに焦点を置くと、僕の人生においては無気力がデフォルトなので、こうすべきとわかっているだけで御の字とどこかでしみじみありがたがっているところがあります。

こうすべきとわかっている状態がある種のアラートなのだとしたら、基本的には壊れていてまず鳴らない、ということですね。なのでこうすべきとはっきり自覚しているときの僕はじつに活き活きと取り組んでいるように見えるはずです。アラートが鳴るだけホントありがたい。

そんな僕からすると、「しなくちゃとわかっているけれどもめんどくさかったり気分がのらなかったり様々な言い訳を駆使してやれずにいる」くらいなら、とりあえずぜんぶ忘れてネトフリを観たりSNSで片っ端からいいねしたりマンガでも読んだりしてのんびり過ごしたらいいんじゃないかとおもいます。どのみち手をつけられないなら言い訳をしようがしまいが同じことだし、こうすべきと考えている時点で責任を自覚しているわけだから、これ以上はまじ無理とアラームが最大音量で鳴り始めた時点でイヤでも取り組むことになるでしょう。だいたい、すべきことをきちんと実行できる男なら今ごろこんなところでこんな暮らししてねえよと僕は声を大にして言いたい。

それよりもはるかに具体的な質問の後半部分に焦点を置くと、例えばうちの人もまた毎朝自分の理想とする時間に起きることができないタイプです。典型的な夜型、ということですね。この20年、毎日彼女を起こすのは僕の役目になっているけれど、声をかけてすぐに起きてきたことはかつて一度もありません。

その代わり、どうにかこうにか起きてきたときに不機嫌なこともまずありません。おはようと言うときにはいつもにこにこしています。僕はこれを本当に心の底からすごいことだとおもっていて、今では無理に叩き起こすことはなくなりました。

そしてここにこそ、人生におけるある種の真理があると今の僕は考えます。

理想とする時間にパリッと起きられるようになったら、たぶんその後の人生はより豊かに感じられるでしょう。ただし、他人に対してもそれができると考えるようになるはずです。

起きられないけれども起きたときにはにこにこしているなら、おもうように行動できない負い目は消えないかもしれないぶん、それを他人に強いることもまたないし、その笑顔がまた誰かを癒すことになるとおもうのです。すくなくとも僕はその恩恵を今まさに享受しています。

なので僕としては、どうにかして理想の時間に起きられるようになるよりも、せめて起きたときには笑顔でいられるように心がけるほうをお勧めします。なんとなれば長い目でみたときに、より多くの局面で人の心を和らげてくれるようにおもわれるからです。

起床にかぎったことではないけれど、誰にでも得意なことと苦手なことがあります。またこれに関しては、子どもができたとか酒をやめたとか、本当にちょっとしたことがきっかけでびっくりするほど簡単に反転することもあるらしいので、今のところ生活に支障が出ていないのであれば気長に見てもいいんじゃないかなと僕なんかは思います。

そしていただいた質問に立ち戻るなら、どうもこう日々うまくいかない僕らに必要なのはただひとつ、大らかな心です。たぶん胸のうちの端っこのほうに転がっていると思うので、探してみてください。


A. 必要なのは大らかな心です。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その327につづく! 


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