おかげさまで「オントローロ 01」はポンと飛び出した目玉が地面に転がったところを通りがかったネコに踏まれてぺちゃんこなほどあっという間に完売と相成りました。ありがとうありがとう。まだ何らかの事情で席が空く可能性もゼロではないので、よかったらときどきチラ見してやってください。「02」の受付は週明け、13日から!
いつもは当たりさわりのない質問を当りさわりなくいなして終わるパンドラ的質問箱ですが、めずらしく喫緊とおもわれるご相談が届いたので今日はこちらを優先してお答えしようとおもいます。
冷や奴クラブさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)絹ごし豆腐を買ってきてはつつき、つついては買ってくるソフトな部活動のことですね。
Q: 私は今年で大学三年になりますが、好きな女性がいます。半年かけたアプローチは失敗に終わり、それから彼女は留学してしまいました。しかし彼女が戻ってきた今も忘れることができず、片思いもかれこれ一年半になります。未だに背丈の似た黒髪の女性を見る度に彼女を思い浮かべ、手先の血の気が引いて心拍が上がります。(中略)未練はありますが、相手の迷惑になりたくないと考えてしまい連絡も半年ほど取らなくなりました。好きという気持ちの反対に連絡はしない、会っても話せないという気持ちがあります。どうしたら解放されるでしょうか。
恋心の遣り場にお困りということですね。まるで「処方箋」を地で行くようなお話です。恋慕において「人の話が役に立ったためしなんてない」ときっぱり読み上げている僕に尋ねるのはお門違いのようですが、恋の成就ではなくきもちに整理をつけたいということであればもちろん話は変わってきます。弱っている人のSOSを見過ごすわけにはいきません。
と言ってはみたものの、では何か打てそうな手があるかというと、とくにありません。何となれば、人によって程度の差こそあれ、恋心とはそういうものだからです。苦しいし、食欲はおちるし、それでいて出口は見えないしでまったくイヤになります。好きなんだからイヤってこともないけど、のめりこむ度合いに比例して消耗するのはたしかです。つらいですね。
しかしそうしたどうにもならない原則を踏まえた上であえて申し上げるなら、「迷惑になりたくないから連絡を断つ」という考え方をまず捨てましょう。僕がおもうに、これが未練をアンプのように増幅させている最大の理由です。そもそも迷惑かどうかを判断するのは相手であって、こちら側ではありません。相手にとって最もありがたいのは「恋の話などなかったかのように普段どおり接すること」です。一見相手のことを気遣っているようで、実際には自らの独り相撲にすぎない、というやるせなくも厳然たる事実は自覚しておいてもよいとおもいます。向こうはこちらが考えるほど大層な話として受け止めてなんかいないのです。
(゚Д゚)……………。
(じぶんで一刀両断しておきながらあまりの切れ味に打ちのめされています)
しかし本当は声を聞きたいし話もしたいのにそれをムリにぎゅうっと抑えこんでいるわけだから、そりゃ未練もつのるのが当たり前です。それなら好きなときに好きなだけコンタクトをとればよろしい。ひょっとしたら今度こそ本当に迷惑がられるかもしれないけど、傷心から立ち直るためのいちばんの近道はむしろ完膚なきまでに叩きのめされることだと僕は考えます。いちばんマズいのは、「相手に迷惑をかけずに、かつ自分のダメージを最小限に抑え」ようとすることです。そんな都合のいい処方箋などどこにもありはしません。いや、あるかもしれないし、じつは最初はその方向で考えてみたのだけれど、そこまで本気ならむしろ最後まで本気のまま突っ走らないでどうする、と途中で僕の気が変わりました。
残された道は3つあります。
1. 迷惑だろうが何だろうが玉砕覚悟で最後の戦いに挑む
2. 強靭な意志で自ら断ち切る
3. 誰も知り合いのいない土地まで長い放浪の旅に出る
結果はさておき、アクションとしてだけ見れば最も難易度が高いのは 2 です。しかしどうもムリっぽい、ということで今こうなっているわけだから、これはまず除外していいでしょう。3 は物理的な距離や環境の変化が胸のざわつきを和らげてくれることもあるだろうと考えての選択肢ですが、ボロ雑巾のように打ち捨てられてからでもぜんぜん遅くないので、優先度としては高くありません。ゆえに除外です。
したがって、実質的に残されている道は1つだけ、ということになります。
ムリムリムリムリ!と首を横に高速でお振りになるかもしれませんが、僕としてはムリじゃねえよとお答えするほかありません。何かにケリをつけたかったら、ケリがつくだけのことをしなくてはならないのです。仮に暴走しすぎて死にたくなるような心境にまで達してしまったら、今度は電話番号つきで連絡をください。「死ぬようなことでは全然ない」という当たり前すぎてクソおもしろくもなんともない事実を5時間くらいかけて、なんなら豆腐の角に頭をぶつけて死んだ男の話なんかも交えつつ、懇々と言い含めようとおもいます。
最後に、恋愛においては大きな希望であり、慰めでもあるひとつの真理を記しておきましょう。それは「人の気は変わる」ということです。まず断言していいとおもいますが、彼女か、冷や奴クラブさんか、いずれにせよ最終的には必ずどちらかの気が変わります。そしてそれが、この恋の目的地です。どっちに転んでも悩まずに済むのだから、ハッピーエンドしかないと僕は信じます。ゴール目指してがんばってください。
A:
*
質問はいまも24時間無責任に受け付けています。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その217につづく!
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