きまぐれオレンジ労働さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: コンクリートの研究をしています。大吾さんは、今後好きなだけ何かの研究ができるとしたら、何の研究をしますか?
僕の話なんかよりコンクリートのお話を伺うほうがよほど有益で興味深いしはるかにおもしろいとおもうんだけど、残念ながらいただいたお便りにはこれ以上のことが記されていなかったので、すべては謎のままです。残念ですね。コンクリートの研究、超気になります。
そんなに気になるならいっそこちらからメールであれこれお尋ねしたら良さそうなものだけれど、いかんせんこの質問、いただいたのが2012年です。ひょっとしたらもうこのブログをお読みでないかもしれないし、仮にお読みであってもそれはそれでなんとなくためらわれるものがあります。かえすがえすも残念ですね。なにが残念といってまず第一に僕のていたらくが残念です。
セメントに砂利と水を混ぜ合わせてゲル化したものをある種の反応によって固めるのがコンクリートだとすると、小麦粉に卵と牛乳を混ぜ合わせてゲル化したものをある種の反応によって固めるパンケーキも、あるいはその友達とか従姉妹あたりに位置づけられたりするんだろうか?
パンケーキとクレープの境目を決定づける水分の割合についてとか、パンケーキがスイーツに格上げされるには最低限どれほどの装飾を必要とするのか、といった問題なら僕もつねづね悩まされています。本来は手軽にしてフレンドリーなおやつにすぎないパンケーキでさえこうなのだから、コンクリ研究となればなおのこと、取り組み甲斐とその充実ぶりが伺えましょう。歯ぎしりするほどうらやましい。
パンケーキ原理主義における研究成果のひとつ
このごろようやく下火になってきた感のあるパンケーキの動向については思うところがないでもないのですが、いずれにしてもあまり真剣に向き合いすぎるとおいしく平らげることができなくなってしまうし、研究対象としてはひとまず脇に置いておきましょう。書いてしまったことについて今さらくよくよしてもしかたがありません。忘れてください。
ひとつ挙げられそうなのは、コップです。僕は昔からコップをみるとなんだか慕わしいきもちに囚われてそわそわする傾向があります。グラスでもガラスでも、タンブラーでもカップでもなく、あくまで「コップ」です。どうも「ガラスでできたあの形状」に僕の気を引く強烈な何かがあるらしい。サイズとか重さ、手のひらへの馴染みやすさ、ガラスの色味や厚み、底面に対する飲み口の直径の割合とか、ガラスそれ自体の質もそうですね、バカラみたいなクリスタル系にはそれほどそそられないので、コップをコップたらしめる光の屈折率とか酸化鉛の含有率、またそれらがもたらす心理的な影響なんかについても、一度じっくり考えてみたいです。
A: コップですね。
金線サイダーとは、明治末期に横浜で生まれた炭酸飲料の元祖です。三ツ矢サイダーの兄貴分にあたります。この時代のコップはガラスの質が高くないせいか、妙にたよりないところがあって親しみをおぼえるのですよね…。
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その180につづく!
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