ジャンヌダルいさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 某猫型ロボットのポケットに新たな道具の開発チームに配属され3つアイデアを出せと上司から命令があったらどんな道具のアイデアにしますか?
無限の夢があって悩む甲斐のあるすてきな質問です。
しかし一方で、今の僕には昔なら考えもしなかったひんやりした現実を突きつけられているような気がしないでもありません。というのも、いい年をしたおっさんはすでに「あんなこといいな、できたらいいな」とはあまり考えなくなっているからです。子どもたちと共有できるほどやわらかな夢を見るにはあまりにも多くの、それができりゃ苦労はしねえんだよ的な苦渋を味わいすぎている。
開発チームに配属されたものの一向にアイデアが出ず、年齢もあって早々にチームのお荷物として腫れ物扱いになり、誰も彼もがひそひそと自分の噂をしているように感じられ、終電を逃した駅のベンチで「こんなことならいっそ…」と思い詰める未来しか見えません。
そんな身も心も重たいリストラ間近の僕が提案したいのは、「絶賛マイク」です。
このマイクを通した発言は、どんなにしょうもないことであっても破壊的な説得力をもち、半径5メートル以内の人を強制的に同意させてしまいます。これさえあればひみつ道具開発チームのお荷物になることなく、すべてのプレゼンが圧倒的大多数の賛意を集め、リストラを回避できること請け合いです。ただあくまで同意させるだけなので、開発チームの生産性が著しく低下したあげく解体されるリスクもなくはないですが、そのへんはまあ、出世コースを邁進する優秀な同僚がどうにかしてくれるでしょう。人生の瀬戸際にある僕が考えることではない。
それからふと思いついてちょっとほしいのは「100年ボックス」です。電子レンジみたいなイメージで、中に入れたものの時間を前後100年まで操作できます。操作後の時間を新たな起点にリセットできるので、根気よく繰り返せばトータル1億年も可能です。たとえば今のスマホが100年後にどんなデバイスになっているのか、あるいはスマホに対応していると言えそうな道具を何年前まで遡れるのか、といったことが確認できます。スマホはちょっと多機能すぎて「機能をひとつに限定してください」みたいなエラーが出そうですけど。
明らかに対応するものが存在しない年代まで到達すると、中に入れたものは消えます。つまり、中に入れたものが歴史に登場する年代をある程度まで特定できるわけですね。特にいま当たり前にある料理なんかは、どこまで遡れるのか見てみたい。国民食であるカレーライスにしても昭和初期と今では作り方も味もぜんぜん違うっぽいし、今でこそおしゃれスイーツみたいなことになってるマカロンも最初は単なるクッキーみたいな菓子だったらしいですよ。
3つ目は「足の小指エアバッグ」です。タンスの角にぶつけても大丈夫、指先タイプと靴下タイプの2種類があります。
唯一の懸念はタンスという家具がこの先いつまで存在するのかという点ですが、仮にタンスが歴史から消え去ったとしても、足の小指はどうあれぶつけるものと相場が決まっているので、タンスに代わる新たな障壁が立ちはだかることになるでしょう。オーバーテクノロジーの粋を集めて、脆弱な足の小指を守ろう。
どれもこれも既出だったらすみません。こうなるとむしろ既出でないものがひとつでもあれば勝ちって感じもするな…。
A. 「絶賛マイク」「100年ボックス」「足の小指エアバッグ」の3点です。
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その425につづく!
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