あしたのジョーズさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)ボクシング好きのサメが燃え尽きて灰になる不朽のパニック映画ですね。
Q. あと3ヶ月ほどで、大学生という就職猶予期間が終わり、毎日汗を光らせながら働く日々が頼んでもないのにやってきます。ムール貝博士が、そのような楽しくもないことに時間を使う際に心がけていることはなんですか。
ふむふむ、年末にいただいた質問なのでこれはつまり、この春から社会人になるよということですね。まず最初にお断りしておくと、ムール貝博士は昔も今も、楽しくもないことにあたら時間を費やすような御仁ではありません。といってまともな社会人だったためしなどついぞない僕がそれに答えるのも道ばたの草に相談するのと大差ないしどうかとおもいますが、しかしまあ他に代わりもいないので道ばたの草なりにお答えしましょう。
はっきりさせておいたほうがよさそうなのは、就業時間にかぎらず、そもそも人生は初めから終わりまで楽しくもないことに使う時間のほうが圧倒的に多い、ということです。
ゴミを出す時間もそうだし、食後に皿を洗う時間もそうだし、ほどけた靴紐を結び直す時間もそうだし、役所や病院で待たされる時間もそうだし、映画館で席について予告編が始まるまでの時間もそうだし、レジで並ぶ時間もそうだし、しゃっくりが止まるまでの時間もそうだし、信号が青になるまでの時間もそうだし、電話をかけて相手が出るまでの数秒だってその範疇に入ります。それらの対価に比べたら汗を光らせながら働く日々なんて、金のなる木みたいなものじゃないですか?
心がけもへったくれもありません。日々とは真っ直ぐに伸びる1本の単調な道であり、たとえ景色がどれだけ荒れ果てていようとそこに道があるなら僕らはただ歩みを進めるほかないのです。
そしてだからこそ、楽しいことが心の底から楽しく感じられるのだ、と改めて肝に銘じましょう。
あと、そうですね、ちょっと荒療治になりますが個人的にオススメなのは、家賃を払えなくなったり、電気・ガス・水道といったライフラインを止められる窮地にぶち込まれてみることです。かつて僕もひととおり経験していますが、一度でも経験すると当たり前の日々を当たり前に過ごせることの偉大さをイヤでも痛感させられるし、それに比べたら楽しさなど栄養素における糖分みたいな位置づけにすぎないことがよくわかります。糖分はあればひたすらありがたいものであって、ないと嘆くようなものではないのです。
道ばたの草に相談するとこうなるという典型的な回答になっているとおもいますが、訊く相手をまちがえたということで大目に見てやってください。
A. ライフラインを維持できる喜びを知りましょう。
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質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
2 件のコメント:
博士のお答えがハードモードだったので笑ってしまった。
楽しいことがあるんじゃなくて楽しむ心があるんだと思うので、楽しむように心掛ける。
> 某さん
ふふふ。たのしむ心、だいじですよね。
KBDG
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