2019年12月25日水曜日

安田タイル工業史上最大の衝撃で閉じる2019


2019年は安田タイル工業にとってまさしく躍進の1年であったと申せましょう。

長年温めていたら火が消えたことにも気づかず冷めるにまかせていたタイル月報の発行、京都市営地下鉄駅構内におけるその大々的な掲示、



そして7月号のまま強引に年の瀬まで押し切ったかとおもいきや、つい最近になって専務が交通局方面とのやりとりを水面下で継続していたことが発覚、「次はいつ頃になりますでしょうか」「1月初頭です」と主任そっちのけで確約していて「おい」としか口のはさみようがないのですが、何と言っても最大のニュースは東京支社の落成です。


本社の所在地も定かではないのに支社が先に落成してしまうあたり、とらえどころのないタイル精神をみごとに体現した成果であったと社員一同じーんと感極まるものがありました。会社見学に訪れた人々が支社ビルを手のひらに乗せてぱちりと写真に収める夢のような光景を、生きているうちに拝めるなんてまったく冥利の一言に尽きます。

もう言うことはありません。あとはかつてないほど活発な動きを見せたこの1年を、ゆっくり温泉にでも浸かってしみじみ振り返るだけです。そうおもっていたのに、まさか最後の最後で過去最大級の衝撃が待ち受けていようとは……


世界に向けて遠吠えを!

あるかなきかの顕微鏡的零細企業、もしくは世界のミスリーディングカンパニー、安田タイル工業の年末に何かパーッとやるやつが今年も帰ってきた!2018年12月以来となる今回も、専務と社員、総勢2名の大所帯でくりだします。

※これまでの年末興行については以下をご参照ください。
→2010年
→2011年
→2013年
→2014年
→2015年
→2016年
→2017年
→2018年 前編
→2018年 後編

朝5時


いきなり京都

大所帯でくりだすと言いながら、この時点でくりだしたのは主任だけです。安田タイル工業の本社所在地ということになっている京都になぜ主任が赴いたのか……じつは専務に「なるべく小汚い格好で来い」と言われただけでなんだかよくわからないまま来たのです。旅に出るのではないのか……?


「到着時刻に合わせて出迎えてやるから大船に乗ったつもりでいろ」と前夜に頼もしいことを言っていた専務を待つこと30分……

専務登場

しかし朝5時半から行列する後方のマクドナルドのほうが気になって専務のいい笑顔が目に入りません。小汚い格好で来いと言った本人がそこそこ小綺麗なのも忌々しい。

「大船に乗るどころかいかだで漂流ってかんじでしたけど」
「だから言っただろう」
「こっちのせりふだよ!」
「大船に乗ったつもりでと言ったはずだぞ」
「あっ夢想しろってことですか」
「そうだ」
「はっはっは」
「はっはっは」

後頭部にできた大きなコブをさする専務共々、夜明け前の京都を歩き出す安田タイル工業の面々。

……とおもうそばからまた行列に出くわします。


「これは……」
「ラーメン屋だな」
「ラーメン屋に朝の夜明け前から行列!?」
「開店が6時なんだ」


なぜ6時なのか、なぜ並ぶのか、そしてなぜ朝っぱらからラーメンなのか、一から十までさっぱりわからず、到着早々にカルチャーショックを受けて困惑する主任。この時点で主任の京都に対する認識は「夜明け前からマックとかラーメン屋に行列する土地である」に上書きされています。

さらにてくてくと歩みを進め

着いたのは

京都の名物銭湯です。

「ここで汗を流していこう」
「わーい気が利く!」








長旅の疲れを、と言ってもそれは主任ひとりの話ですがともあれ癒してふたたび出発する安田タイル工業の面々。

「次は朝食だ」
「なんかめっちゃアテンドされてる」
「招いたんだから当然だ」
「そういえばなんで今回は」
「ついたぞ」



戸惑いを隠せない主任

「何このおしゃれな朝餉……」
「インスタ映えするだろ」
「僕インスタやってないですけど」

とはいえせっかくなのでとてもおいしいおしゃれな朝食を心ゆくまで堪能する主任。なんとなく釈然としない一抹の何かがないわけではないのですが、あんまり考えすぎるのもよくありません。


きりりと澄んだ空気と穏やかな青空の下、てくてく歩いて鴨川をわたります。






着いたのは趣きある1軒の、それはそれは古いアパートです。








「なんかいいかんじですね」
「ここですこし休んでいこう」
「部屋もすてきだ!」
「最悪ここが宿になる」
「え?宿?」
「宿だ」
「最悪って?」
「ギブアップしたらということだ」

陽光さしこむ古い一室のやわらかな空気につつまれて、明らかに穏やかでない一言が主任の脳にぷすりと刺さります。口ぶりからして専務の住居でないことも確かです。しかしあんまり考えすぎるのもよくありません。

さっそく寝る専務


「おい起きろ」
「ムニャリ」
「昼飯にいくぞ」
「あっもうお昼ですか」
「さわやかより美味いハンバーグをみつけたんだ」

さわやかというのはもちろん、静岡県民の心のふるさとと言っても過言ではないハンバーグレストランのことです。安田タイル工業においてハンバーグは常にこのさわやかが基準になっています。ただし基準と言っても最高峰はつねにさわやかであり、「さわやかより美味い」というのはあくまで「そう言ってしまいたくなるくらい美味い」という意味であって、本当にさわやかを超えるわけではありません。どれだけ美味かろうと頂点には永久欠番的な立ち位置でさわやかが鎮座しています。そんなわれわれが静岡県民であったことなどかつて一度もないのだから、考えてみると不思議なことです。


思い出したように「あっ」となる安田タイル工業の面々


気がつくと日も暮れて、というか撮ってあった写真がいきなり日暮れになっていたので日も暮れて、また移動を始めます。今日はたのしい思いしかしていないので、最後の晩餐を終えた死刑囚みたいなきもちがふと頭をもたげますが、あんまり考えすぎるのもよくありません。



「そうだ食料を買っていこう」
「食料?」
「自販機もないからな」
「自販機もない?」
「おい心配するな、これから行くのは楽園だ」
「いま自販機もないって言ったばかりですよ」
「なくても別にいいだろう」
「食料も自販機もない楽園……」
「この日のためにずっと準備してたんだぞ」

そう言われて初めて、主任の心にやさしい火が灯ります。「この日のために準備していた」というのは相手が不倶戴天の敵でないかぎり、100%善意の表れです。なんならサプライズと言い換えてもいいでしょう。ミニスカートのサンタさんがいっぱいいて盛大なクラッカー音とともに「メリークリスマス!」とかまず絶対になさそうにおもわれるけれども、そこはそれ、常に人の裏の裏の裏をかいてどっちが表だかわからなくなる人生を脇目も振らずにのしのしと歩んできた専務のことです。「うおおおおおまじで楽園きた!!!」も決してあり得ない話ではないと考えられなくはないと言い切れないこともないような気がしてきます。



そうして着いたのは……





山に囲まれて深閑とした物音ひとつない無人駅です。


言葉もない主任


「着いたぞ、ここだ!」

バーン!

「何も見えやしねえ」
「そうキレるな」
「ここ以外のどこでキレろというんですか」
「電気がないんだ」
「あっなんかある」
「ふふふふ」




「怖い!」
「怖くない!」
「だって廃屋が」
「どこが廃屋だ」
「どっからどう見たって廃屋ですよ!」
「安田タイル工業の本社、その社屋だぞ!」

……え?

「いま何て言いました?」
「安田タイル工業の本社ビルだ」
「専務が建てたんですか?」
「当然だ、よくみろ!」


「どっからどう見たって廃屋ですよ!」
「よくみろ、木材が新品だろうが!」
「あっ」


「メルカリでただでもらった家具を柱にしてるんだぞ!」
「ホントだ……」
「そんな廃屋があってたまるか」
「そんな新築も困りますよ!」
「屋根をみてみろ」
「?……ガラス戸?」
「星空がきれいにみえるとおもってガラス戸を屋根にしたんだ」
「でもトタンでふさがれてますよ」
「うむ……戸と戸の間から雨が滝のように漏れて諦めた」

生々しすぎる証言の数々から、これが廃屋でなく、本当に弊社の専務がゼロから建築したものらしいことが戦慄とともにいよいよはっきりしてきます。

ここで改めて釘を刺しておきましょう。弊社の支社ビルがある古書店アルスクモノイは、安田タイル工業が関わっているというただ一点のみのためにその実在を疑われている、というか実際お店で「ホラだとおもってました」と言われたこともあるくらいですが、もちろん新宿区西五軒町に実在します。

同じように、今している、そしてこれからする話も、すべて本当です。別に本当じゃなくてもたのしければいいじゃないかと言いたいきもちもあるのですが、残念ながら本当です。

話を戻しましょう。

「あれ?ちょっと待ってください」
「なんだ」
「これひょっとして不法侵入じゃないですか?」
「バカなこと言うな」
「だってこの土地、誰のですか」
「うちのに決まってるだろう」
「持ってたんですか?」
「いや、買った」
「え?」
「買ったんだ、安かったからな」


専務が

土地を


買いました



「ええええええええ」
「いい買い物をした」
「えっだって安いったって……いくらしたんですか」
「××××××××」
「めちゃめちゃ安い!」
「うむ、しかしそれにはわけがあってだな」
「そりゃそうですよ」
「うしろをみろ」


「まっくらで何もみえません」
「フラッシュを焚くんだ」


「あっ」
「撮れたか」
「なんか心霊写真みたいのが撮れました」
「なんだと」
「ほら、もう一枚には写ってないでしょ」


「まあいい、下をよくみろ」
「伐採されたっぽい木の山が……」
「これが本当に山のようにある」
「そういえば足下が土じゃなくて木だなとはおもってました」
「これを自力で処理するという条件で安くしてもらった」
「これを」
「うむ」
「自力で」
「うむ」
「処理」
「うむ」



バッカじゃねえの、と誰もが心に浮かべる一言をすんでのところで飲みこみ、「よっ大統領!」と返す主任。返しとしてはなんとなく場違いな気もしますが、こういう場合どう返すのが適切だったのか今もってわからないので仕方ありません。

「そんなわけでだな」
「そんなもこんなもないですけど」
「今夜は夜通しこの木々を燃やす」
「一晩や二晩で燃やし尽くせる量じゃないですよ!」
「燃やせるだけ燃やすんだ」

すべての疑問が氷解した今、どのみち明かりもなければ暖もないので、あとは火を焚くほかありません。そういえばずいぶん前に「焚き火は得意だったな?」「はあ、まあ好きですけど」みたいなやりとりを交わしたかすかな記憶が今ごろぼんやり思い返されます。そうかあのときから布石を打たれていたのか……

あきらめて火を熾し始める主任

18:00

19:00

20:00

21:00

それではここで、安田タイル工業が世界に向けてふと思い出したように放つ渾身のささやきをフルボリュームでお聴きください。

22:00

23:00

24:00

01:00

このあたりで専務が不意に「せっかくだから山尾三省の『火を焚きなさい』を朗読しよう」と言い出します。たしかにそんな機会があるとすればこの時をおいて他にありません。せっかくなのでヘッドフォンを装着し、フルボリュームでお聴きください。



02:00

03:00



04:00

気づけば焚き火というより火災の様相を呈していますが、これは火をキープしつづける主任とちがって特にすることのない専務があちこちから拾ってきた不燃ゴミとしての鏡を暇つぶしに並べたからです。


05:00

ここまで休みなくひたすら木々を火にくべてきたものの、5:30をすぎたあたりで主任がいびきをかき始めたと後に専務が語ります。正直まだ全体の1/30も燃やせていませんが、どうやら限界がきたようです。


♪パ〜パラララ〜(エンディングテーマ)


飽くなき探究心と情熱を胸に、安田タイル工業は今後も逆風に向かって力強く邁進してまいります。ご期待ください。

安田タイル工業プレゼンツ「安田タイル工業本社ビル上棟式」 終わり


おまけ:昼間みた安田タイル工業京都本社所在地

本社ビル近影



焚き火のあと


よく見ると写真右上、屋根の上に座卓のようなものが見えます。
「あれ、なんか乗ってますよ」
「おっよく気づいたな」
「座卓みたいですけど」
「座卓だからな」
「なんで?」
「あそこがわが社の応接室だ」

安田タイル工業本社の応接室



何かを嬉しそうに説明する専務








安田タイル工業ではみなさまからの温かいおたより、工具、重機をお待ちしております。

2019年12月23日月曜日

誰でも今すぐシンデレラになれるとっておきのレシピ


途切れることなく打ち寄せる浜辺の波のように日々ホットな話題をお届けしたり、そうかとおもえばみなさまからいただいた心温まる質問の数々と含蓄に富んだ愉快な回答で巷をにぎわせたりする夢を見ては、ハッと醒めて世界の終焉にも似た茫漠たる現状に息をのむことをかれこれ10年以上繰り返している当ブログですけれども、何はなくとも質問があってそれに答えてさえいればどうにでもなると半ば強制的に質問を徴収する形でむりやり設けたパンドラ的質問箱すら朽ち廃れ、今や鮮やかな緑色をした瑞々しいふかふかの苔に埋もれて、後世の探検家を待つ古代の遺跡のような有様です。

ブログの更新頻度を示す参考資料

しかしおもえば毎年似たような、というかほぼ同じことを更新のたびにぺこぺこと書き連ねているのだし、それが5年10年ともなればむしろここには趣きやある種の様式美があると受け止めてもいいようにおもわれます。そしてその美がいつ訪ねても厳然としてそこに在りつづけるのなら、それはやはり深い森の奥に人知れず横たわり、ただ小鳥や獣たちだけが知る神秘の古代都市と軌を一にすると認めなくてはなりますまい。
ご覧なさい、そうおもって見返すと、何とまあ美しいことか!かつて栄華を誇った都市とその日々、活気に満ちた人々の営みがありありと目に浮かぶようです。
そんな在りし日のありもしない栄光に遠く思いを馳せつつ、今年もいつもの年賀状キャンペーンをひっそりと展開いたします。


何もないのにいつもそばにいてくれる、というよりは何かあるはずと信じてくれている、もしくはどうあれ夢を持ちつづけることが大事なのだといよいよ達観の域に達したあなたに手描きの年賀状をお送りする、毎年恒例のささやかな企画です。

ご希望のかたは例によって例のごとく、件名に「シンデレラの馬車かんたんレシピ」と入れ、

1. 氏名
2. 住所
3. わりとどうでもいい質問をひとつ

上記の3点をもれなくお書き添えの上、dr.moule*gmail.com(*を@に替えてね)までメールでご応募ください。

締め切りは12月29日の日曜日です。



いちおう体面上、応募多数の場合は抽選ということになってはいますが、当選率が100%を超えたこともあるとまことしやかにささやかれるくらいなので、心配はいりません。どれだけ遠くまで見渡しても、応募するのはあなただけです。後生ですからふるってご応募くださいませ。

今年もありがとうー!

2019年9月14日土曜日

ミス・スパンコールと「アルスクモノイ」の愉快な濫觴


ミス・スパンコールの話をしましょう。

ついこないだ「わたしはいったいいつまでミス・スパンコールでいればよいのか」と抗議されたばかりなのでいささか気が引けますが、かつてこのブログでとりあえず便宜上つけただけだったはずの仮名のまま、気づけば10年以上の年月がたち、その間そこかしこでちょいちょいその名を持ち出してきたことでもあるので、やはり便宜上そう呼んでおくことにします。

ミス・スパンコールはかれこれ20年ちかく、僕が人前で声を出すようになるよりもずっと前から、いつも隣にいてたぶんこれからもいる至近距離の人です。パスワードを忘れてしまったので本人もアクセスできなくなってしまった「手漕ぎボート/helmsmam says」のMVを、こつこつと深夜のファミレスでつくってくれた人でもあります。あと、なぜかよくわからないけど、バナナに造詣が深い。

そんな彼女が、新宿区西五軒町に「アルスクモノイ」というちょっと変わった名前の古書店を開くことになりました。最寄り駅は東京メトロの神楽坂、もしくは江戸川橋になります。決してひろくはないけれど、棚に並んだ本に思いを馳せながら、カウンターでお茶やちょっとしたアルコールも飲める、居心地のよいお店です。



アルスクモノイ
東京都新宿区西五軒町10-1
03-6265-0849
営業時間 12:00〜20:00
定休日 月・火
→HP
→twitter
→instagram


いつも至近距離にいる僕としては、こうして書いている今もすこし胸にこみ上げるものがあります。

何しろ内装の工事が始まったのは今年の2月です。本来であれば春先にはオープンしていたはずの店であり、なぜそれが叶わなかったかといえば、よりによって内装工事が始まる当日、店へと向かう途中に原付で派手に転倒したからであり、救急車で運ばれたその晩に折れて骨が飛び出した右足の緊急手術、数週間の入院をへてどうにか退院したものの、のんびりしてはいられないと松葉杖でせっせと歩行中にふたたび転倒、さらに手首を骨折した結果、自力では完全に歩行不能となり、こりゃ買ったほうが早いと買ったオレンジ色のかっこいい車椅子でひと月以上生活していたからです。おかげで町を歩いていてもバリアフリーのことをよく考えるようになりました。町は本当に段差が多い。

ちなみにその事故と前後して僕も原付のチェーンが走行中に切れたり、バイク屋に預けて直してもらったその帰り道に車と接触事故を起こしたりして、2週間くらいの間に彼女の分と合わせて都合3回レッカーを呼ぶ悪夢みたいな日々でしたが、それも今となっては笑い話です。

もちろん彼女の足と手も今ではすっかり完治しています。あの時期にかけられた呪いは何だったんだろうと未だにおもう。

*

そして本当にたまたま、偶然としか言いようがないのだけれど、アルスクモノイがある町とその周辺は、僕にとって馴染みの深い土地でもあります。

というのも、最寄り駅のひとつである江戸川橋から歩いて数分のところに、亡き祖母の家があったからです。今ではきれいにリニューアルされた神楽坂の赤城神社がまだ鬱蒼として昼でも薄暗いひなびた神社だったころを知っているし、江戸川橋の地蔵通り商店街にかつてあって今はないおもちゃ屋にも思い出があります。

1枚目のアルバムに収録した「棘/tweezers」に「営団地下鉄エドガー橋駅」というフレーズが出てくるのは、そんな背景があったのです。

ただただぴったりくる物件を探して、あちこちの町を歩き回り、彼女が「何度たしかめてもやっぱりここが気になる」と決めたその最寄り駅のひとつが「エドガー橋」だったのだから、いちばん驚いたのは僕です。感慨深くなるのもそりゃむべなるかなと申せましょう。

お店のすぐそばには小学校があるのだけれど、これが父の通っていた小学校であったことも、つい最近知りました。アルスクモノイがなかったら、父の小学校がどこかなんて今も知らずにいたはずです。縁というほかありません。はるか昔から、こうなることがあらかじめ決まっていたような気さえしてきます。

*

また、同時にというかついでにというか、アルスクモノイのオープンに伴い、店内のどこか数センチ四方を間借りした安田タイル工業の東京支社、夢にまでみた自社ビルが、いよいよ落成となります。(安田タイル工業についてはこちらをご覧ください)(LINEスタンプもあります)

店内のどこかに建っています

7月中のオープンを目指していたので、先日まで京都市内の地下鉄駅構内に掲示されていたタイル月報を東京支社でも掲示する予定でしたが、もう9月なので、7月号でよければ自由にお持ちいただけます。お気軽にお声がけくださいませ。

*

ともあれいろいろあって明らかに遠回りをしすぎたアルスクモノイ(と安田タイル工業東京支社)の、いま足下にあるのがスタートラインです。どうかどうか、末永くご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

もちろん僕も自動的にここが拠点になります。というか、ちょいちょい店にいるとおもいます。アルスクモノイを検索してここに辿り着いた方は「そんで結局おまえは誰なんだ」とお思いでしょうが、気にせず遊びにいらしてね。


2019年9月3日火曜日

そういえば開幕することをブログで言わなかったSoloSoloSoloTOUR2019がぶじ閉幕したこと


この半年間、これから迎えるごくごく私的な新しい局面のために木材を切ったりオイルを塗ったりペンキを塗ったりビスを打ち込んだりとDIY作業に追われていたこともあり、てっきり済ませたとばかり思いこんでいたブログでの告知を最後までし忘れていたことにたった今気づいて言葉を失い、それならむしろ始めからなかったことにしておいたほうがいろいろと都合がよいのではないかと土壇場で逡巡したあげく「いや、たしかにここで告知はしたのだ、したのだがその後何らかの手違いでその告知エントリを削除してしまった、もしくは何かそういう質のウィルスにそこだけピンポイントできれいに消されてしまったのだ」というスマートな結論で落着したツアーが一昨日ぶじ幕を閉じたのです。


考えてみればふしぎな縁でお相伴させてもらうことになった純平さん(@junpeishiina)、カズタケさん(@KaztakeTakeuchi)との SoloSoloSoloTOUR も今年で3年目になります。

発信力に欠けたきわめて微弱な告知を敏感にキャッチしてご来場いただいた皆々さまにはなんとお礼を申し上げてよいのか、我ながら伝えられる言葉の少なさに呆れ果てるばかりですが、本当に本当にありがとう!おかげさまで今回も最後までたのしい時間をすごすことができました。



今年巡ったのはPOWERS2@川崎元住吉、THE GOOD THING aka グッシン@大阪南船場、そして初めて訪れたLUGGAGE@名古屋栄の3箇所です。

それぞれすこしずつ趣が異なる、それでいてどこもファットな雰囲気に満ちた居心地のよい空間なのだけど、とりわけPOWERS2とグッシンはろくすっぽライブ活動を行わない僕のような男を、いつも「おかえり」と両手を広げて心から迎えてくれるかけがえのないお店でもあるので、幸せここに極まれりと言うほかありません。ここでやらせてもらえて、ここで観てもらえてよかった!



忘れたころにポロッと訪れる天災みたいなスパンでライブをしていると、すこしでも耳馴染みのあるものをという気持ちが働いてしまうのでどうしても偏りがちになるセットリストはドタンバタンともんどり打って考え抜いた結果、今回こんなかんじでした。

1. コード四〇四/page cannot be found
2. 二度ふれる前に消えてなくなれ/disappear like this word
3. Interluders(working title)
4. 象を一撃で倒す文章の書き方/giant leap method
5. 手漕ぎボート/helmsman says

w/ タケウチカズタケ
1. 忘れられた処刑人
2. 注射器とカセットテープと公魚釣り
3. 棘/tweezers

the 3
1. 36th stratagem REMIX
2. 時巫女ノ森
3. Hot Water Pressure Washer


"Interluders"と仮タイトルのついた一遍は、このツアーに合わせて書き下ろしたものです。言ってみればインタールードの住人というような意味であり、いつかは形にしてみたいとつねづねおもっていたところの概念が元になっています。とくに公言していなかった気もするけれど、「小数点花手鑑」の英題として控えてあったくらいです。

ひとつの作品として完結させるというより、この先も書き足したり入れ替えたりしながらいつまでも終わらずにつづいていくような、そんなイメージで書いています。コンセプトをキープしたまま、聴くたびに言葉と情景がちょっとずつ遷移していく、そんな一遍があってもいいとおもうのです。あくまで理想なので、言うほど変わらない可能性もありますけども。


「手漕ぎボート」、「象を一撃で倒す文章の書き方」、「Hot Water Pressure Washer(exダイヤモンド鉱)」は、"角の店で見たカッコいい靴"でつながる靴シリーズ三部作ですね。たしかオントローロでは一度やったことがあったとおもいますが、このツアーで初めて三部作だったことを知った人もいたみたいなので、やってよかったです。よかったよかった。


ともあれ、現時点ではこれが今年のライブ納めということになります。東名阪でありながら仙台、福井、長野、三重、広島からいつも変わらずに来てくれる人がいたり、かとおもえば青森や島根から初めて足を運んでくれた人もいて、そのよろこびはちょっと言葉に尽くせません。

それから今回は、5年以上前に仕事で「万年塀」を検索していたらなぜか僕のブログがヒットしたという人や、LINEスタンプ「鶏肋印」から僕を知った人が、巡り巡ってとうとうライブにまで辿り着いてくれたという、紆余曲折すぎるうれしい邂逅もありました。

そんなことがあったらいいのにと淡い夢を抱いていた気はするけれど、本当にあった……!と感慨もひとしおです。僕のライブ頻度からして、これを奇跡と呼ばずに何と呼びましょう。

あらためて、本当に本当にありがとう。お目にかかれて幸せです。じゃあもっとライブやれよと言われそうですが、それはまた別の話なのでほとぼりが冷めたころに別途相談させてください。

そしてこんな僕がこうしていられるのも、カズタケさんと純平さんのおかげです。観た人はみんな例外なく実感しているとおもいますが、このお二人と並んでイベントの一端を担わせてもらえる僥倖もやはり、筆舌に尽くしがたいものがあります。あ、あり……(感極まっています)、ありがとうございました……!

SoloSoloSoloTOUR 2019、これにて閉幕です。写真がどれも中途半端だなとかそういうことを言ってはいけません。

またいずれ、そう遠くない未来に同じかたちでご挨拶できることを心から願って!

よいお年を!

味仙

2019年6月26日水曜日

安田タイル工業がタイルのタイルによるタイルのための広報紙を京都市内の地下鉄駅構内に掲示する話


お客様各位

タイル月報掲示のご案内

子鹿元年6月吉日


平素より格別のご高配を賜りタイルより分厚くお礼申し上げます。

弊社ではこれまで昼夜をおかず、寝てはタイル覚めてはタイルとことあるごとにタイルにうなされてまいりましたが、その甲斐あってか今ではやってもいない動画配信でチャンネル登録者数が100億人を突破、同じくSNSでも2.000000人を超えるフォロワー(弊社社員含む)を獲得するなど、道端にタイルのかけらが落ちていない日がないほどのいたわしい陶片インフルエンサーに成長いたしました。重ねてお礼申し上げます。

ことほどさように飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続ける弊社としましては、飛ぶ鳥を落とすだけでなく、なんなら炭火でおいしく焼きたい、焼き鳥うまけりゃビールもうまい、またその結果として世界が平和になるのであればそれにこしたことはないとの文字通り飛躍的な認識から、このたび祇園祭を見据えた6月24日から7月23日までの約一ヶ月間という長期にわたり、京都市内の地下鉄駅構内、具体的には四条駅と烏丸御池駅にて「タイル月報」を掲示することになりました。



タイルのタイルによるタイルのための広報紙として盤石の立ち位置をキープしております弊社刊行のタイル月報は、隅から隅まで埋め尽くされた圧倒的な情報量とその不正確性、また徹底して無益でありながら読みすすめるにつれて有益な気がしてこないでもないことからかねてより同業他社様の信頼も厚く、創刊以来つねに高い評価をいただいております。

とりわけ今号は

・タイルであること
・タイルでないこと
・タイルらしきこと

といつになくトピックも充実、タイルジョークも随所でつまずく出色の出来映えと自負しておりますのでこの機会にぜひ足を止めご笑覧くださいますよう、心よりお願い申し上げます。

掲示はすでに始まっているため、弊社専務に現地での確認を兼ねて記録のためのカッコいい写真を撮影してくるよう向かわせたところ





どうもカッコいいの意味をはき違えたらしく「そういうことじゃねえよ」的な写真が数枚に渡って送られてまいりましたが、ともあれこの救いがたい専務の後方にかろうじて確認できるのが件のタイル月報となります。

また先だって弊社の専務がSNSで申しておりましたように、



東京は新宿区某所に今夏オープン予定の「安田タイル工業 西五軒町支店」でもタイル月報を掲示もしくはそれに準ずる手立てを講じる予定です。床面積にして数センチ四方とはいえ、そこに行けば必ずあるのと、いつ行ってもないのとではやはり根本からして意味が違うとしみじみ感じ入るものがございます。

オープンの際にはまた改めてお知らせいたしますが、ひとまず胸の片隅にお留め置きいただければ幸いです。

今後とも弊社ならびに弊社タイル製品をご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。

敬具


安田タイル工業 代表取締役風専務


2019年5月10日金曜日

【TRINCH】初夏のうきうき五月病セールのお知らせ


こんにちは。
上から半ば強制的に押しつけられた狂乱の10連休も過ぎ、と言って語れそうな思い出もとくにないのでうつむきながら石ころを蹴飛ばしていたところへ渡りに船というか、ブログの虫干しにぴったりのお知らせです。

KBDGグラフィックの総本山、TRINCHのスマホケースが一昨日あたりから来週水曜まで、全品800円OFFになっています。太っ腹!


→TRINCH

対象期間:5月8日(水)12:00 〜 5月15日(水)18:00
割引額:スマホケース1点につき800円OFF

こんなことでもないと更新されないので今回もはりきって「テアトルパピヨンの当日券」その他、計6点を新たに追加しています。セールはまあセールとして、実際のところ新しいデザインが増えたから見て!というのがこうして更新する最大の理由です。なので見て!


国道15と7/10号線でやらかした事故に駆けつけた警官(画像左下)は、月のきれいな夜にダンプカーが突っ込んで半壊したアパート(画像右下)で事情聴取をしたのと同じ警官です。何のことだかさっぱりわからない話をするようで気が引けますが、そもそも何のことだかさっぱりわからないような話しかしていないブログなので仕方がありません。それにしてもお巡りさん、いいスタイルしてます。

しかしTRINCHって何だっけ?と眉間にしわをお寄せになるのもムリはありません。小林大吾は周囲に人が見当たらないというたいへん切実な理由からグラフィックまで手がけざるを得なくなった詩人ですが、このグラフィックの側面のみをまるごと切り抜いて独立させたのがつまり、TRINCHです。基本的にはKBDGのことなどご存じなくとも楽しめるように配慮しつつ、アルバムをお持ちの方ならそのスピンオフとしてより一層お楽しみいただけます。※

※いつものようにセール時のテキストをまるっとサンプリングしています