2026年7月3日金曜日

リリースを目前に控えてふと思い出すよしなしごと


アグロー案内シリーズの新作をいよいよ来週に迎える金曜ですが(発表が先週だったのでいよいよというほどでもない)、リリースとなると今でもふと、2枚目のアルバムである「詩人の刻印」リリースライブのことを思い出すことがあるのです。

1枚目から3年くらい経ってのアルバムで、別にメジャーでもなんでもないから、当時は本当にひっそりとしたリリースです。もちろんレーベルとしては考えうるかぎりの告知をしてくれていたけれど、今とちがってSNSもありません。リリースされること自体の情報としてはともかく、考えうるかぎり最小限の規模で行われるささやかなリリースライブの情報をどうすれば取得できたのかさっぱりわからない。仮にタイミングよく情報を手に入れたとして、行くかとなったらそれはまた別の話です。だいたい、詩人の刻印リリースに先がけてこのブログを開設したはずなのに、さっき20年ぶりくらいに確認したらどこにもリリースライブの告知がない。いったい何のために開設したんだとわれながら驚かずにはいられません。

総じて、来てくれる人は本当にいるんだろうか…と何もしてないくせに身勝手な不安を抱いていたことを今でもよく覚えています。百歩譲ってめちゃめちゃ行きたいと思ってくれる人がいたとしても、その情報に触れる確率がSNSやこのブログの存在がちょっぴり認知されていなくもない今よりも圧倒的に低かったのです。

案に相違して、リリースライブは思いのほかたくさんの人が来てくれました。といっても40人くらいの規模だけれど、そもそも着席できるのが30人以下のスペースなので、むしろ限度ギリギリだったわけですね。

もちろん、近しい人が友人を誘ってくれたりもしていたはずだし、なにぶん古い話なので僕自身の記憶が都合よく改ざんされている可能性もあります。でもそうとばかりも言えない印象は、たしかにありました。今もつづく毎年恒例の年賀状キャンペーンは、この夜の感謝から始まったくらいです。

最終的にこの「詩人の刻印」は最も多くプレスを重ねたアルバムになりました。プレスのたびにデザインを全面的に改訂しまくったので、パッケージも5種類くらいあることになります。レーベルにも、僕の手元にも、たぶん全種類はないとおもう。

いうまでもなく、あのころとは何もかもちがいます。最初から低すぎた活動頻度にしたって、さらに比べものにならないほど低い。でも活動しないと決めたことはないし、今も新たに出会ってくれる人がいて、リリースとなれば限られたごく少数でも、楽しみにしてくれる人がいる。そう確信できているのは、あの夜があったからこそです。

アグロー案内に、かつてのもどかしさは1ミリもありません。10年後に聴いて、できればこうしたかったと悔やむこともないでしょう。御大、と僕からしたらそう呼ぶほかないタケウチカズタケのおかげで、現時点で到達できる最高水準が更新され続けています。

Vol.11を最後にうっかり落命しても、悔いは何ひとつありません。楽しんでもらえますように!