2007年10月11日木曜日
シルヴィア・スミスのはひれ狩り
尾ひれはわかるけど、はひれって何だ、と言ってともだちがはひれを探しに行ってしまったので、しかたなくひとりでせっせとおちゃらかホイに励んでいます。秋はさみしさが募るばかりです。
まったく、はひれなんかどこにもありゃしないんだ。
*
おいそれとは解くことのできない深遠な謎とは、たいていの場合、町を歩くサラリーマンみたいに風景と溶け込んで目立たないものです。いったん気づくとその違和感が気になって仕方ないのに、他の人にとってはただのサラリーマンにしかみえないので、ねえ、ちょっとホラ!みてアレ!ねえ、といくら注意を促してもまじめに受け取ってもらえないことがままあります。ちっちゃいことでいちいち騒ぐな、という向きもありましょうが、あいにくこっちはいちいち騒ぎたいのだ。
これは子どもがヘンな虫を見つけたからといってわざわざその死骸を持ってくる行為にすごく似ている気がするし、だとすれば「ハイハイ」とかるくあしらいたくなる気持ちもわからなくはない。しかし森羅万象をなんでもかんでも当たり前ととらえることほどつまらないことってないと僕はつよくおもう。どれだけまわりに肩をすくめられようと、そこに行く理由があると思うのなら、はひれを探して旅に出るのもいいじゃないか。
なあワトソン君。
(まったくです)
そうだ、(パチン)
ワトソン君、あれを。
Sylvia Smith / Woman Of The World
今日の画像が、つまりこれです。可愛いですね…(ためいき)。シンプルだけれどツボを押さえて華やかなファッション、自信にあふれてキュートなポーズ、セクシーでいて愛嬌のある表情、それをくっきりと浮かび上がらせるための単色背景。ばちん!と貼り付けたような堂々たるロゴが爽快です。こんなのCDサイズで眺めたってちっともキュンキュンこない!力づよく見開いて揺るがないまなざしは、計算高さというよりも理知的な精神を感じさせるし、男性に対してと同じように女性にもアピールするものがあるはずです。だってこんなに可愛いんだ!
そんなこまごまとしたあれこれを全部ひっくるめた、得も言われぬ愛くるしさを演出するとてもだいじな一要素でありながら、正体のまったくわからないカラフルな「はひれ的」物体が、これだ。
…なんだこれ?
実用品なのかどうかもよくわからない。すくなくとも食べものではないように見えるけど、それさえそう見えるというだけで断言できないありさまです。台所と居間を仕切る暖簾?てこんなのがいっぱい並んでたりしますね。よくみるとかすかにブレている気もするので、ブンブン振り回してたのかもしれない。でもそうなるとよけいに何だかわからない。仮にブンブン振り回すことがたしかだと判明したとして、それが何なのだ。
まあ、いいや。もう。
こないだ紹介したAnn Peeblesみたいに名盤と謳われるものではないけれど、これはほんとうに、声もクールな良質のレディソウルです。日本人ならみんな大好き、David T. Walker も参加しています。と言うとオッと振り向く人もいるかもしれないですね。でもたぶん、いなくてもこのアルバムの魅力はちっとも減りません。えらいのはシルヴィアなの!
シルヴィアといえばシュガーヒルの大姉御、シルヴィア・ロビンソンだし、そっちはそっちで大好きなのだけれど、いっぽうでシルヴィアと言われて僕の頭にパッとイメージが浮かぶのは、シルヴィア・スミスなのです。なんかもんくあるか。
裏面も可愛い。
*
そういえば電話をかけようとおもっていたのだ。
「もしもし、ムール貝博士ですか。はひれって何ですか」
「さよう、はひれは、たしかに、ブージャムだったのだ」
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1 件のコメント:
こ、こ、こんな所にコメントをしてすみません。
忙しい最中の大掃除的な魔力が働きまして、2010年6月の今日、2007年からの記事を読まして頂いているのですが、
まさか、はひれがブージャムだったなんて!
はひれを探しに出かけたお友達はきちんと戻って来られたのでしょうか?
気が気でなりません。
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