2026年9月11日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その492


ろくでなしフルーツさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. イヌの前足の肉球についてです。地面につく肉球はいいんですけれども、少し足首よりにある地面に付かないタイプの小さめの肉球は何の役に立っているのでしょうか?


前脚にある、いわゆる手根球というやつですね。たしかに一見すると何のためにあるのかわからないふしぎな肉球です。

しかしそれを言ったら僕のすね毛なんか本当に、1ミリも、まったく何の役にも立っていません。とくに僕は気づいたらいつもすねに擦り傷があるちょっと不可解な体質なので、すね毛が皮膚を守るでもなくただぼーっと生えているだけであることに憤慨しています。ふさふさ生えているわけでもなく、小人がつかんで登るにはちょっと足りないくらいなので、なおさらです。そんなことなら最初っからすべすべでいいし、だいたい多くの頭頂部で毛髪不足が問題になっているのだから、組織としての管理体制は一体どうなっているのかと批判せずにはいられません。責任者不在をいいことに、すねでそよそよしている場合ではない。

ただ僕らがまだ気づいていないだけで、なんらかの重要な意味がある、もしくは不可欠である可能性もあります。仮にすね毛が頭髪とダイレクトにつながっていたら、不要だからといって抜くわけにはいきません。頭髪も1本なくなるからです。世の中にはそれ自体に意味はないけれど、それがないと他の部分で支障をきたすものもたくさんあります。半角スペースなんかそれ単独では文字どおり虚無ですからね。

あるいは電気グルーヴにおけるピエール瀧です。電気グルーヴを電気グルーヴたらしめているのはまさしくピエール瀧である、と断言してもいいとおもいますが、楽曲の制作において彼が中心的な役割を担っているわけではありません。じっさい、楽曲だけなら石野卓球ひとりでも事足ります。しかしそれで出来上がるのは石野卓球の曲であって、電気グルーヴの曲ではありません。少なくともピエール瀧は歌が上手いとか演奏が上手いというような、ミュージシャンに求められる音楽的スキルの巧拙によってそこにいるわけではない。アイデアやパフォーマンスといった、今となっては大きく寄与するところはあるにせよ、彼に求められているのは最初から、そしてただただ、ピエール瀧であることです。

イヌ(やネコ)の前脚にあって、なくてもよさそうに見える肉球は言ってみれば肉球界のピエール瀧である、と僕は考えます。なくなった途端、着地を担う肉球が精彩を欠くことになるのはまちがいありません。何かが足りないという印象が常につきまとうことにもなるでしょう。すべての肉球が明日も愛されるぷにぷにであるためには、手根球こそがどうあっても必要かつ不可欠なのです。

でなければ、そうですね、ジムニーの背面にくっついてるタイヤみたいなものかもしれません。主要な肉球のひとつがポロッと取れてしまったら速やかに交換できる、要は予備です。


A. ピエール瀧として、もしくは予備です。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その493につづく!

0 件のコメント: