閃光に貫かれたかのような、ひざつき製菓との衝撃の出会いからかれこれ1年が過ぎようとしていたある日、主力商品の一つである雷光(旨塩味)を愛する会の会長として今も日々精力的な活動をつづけるアルスクモノイ店主akaうちの人の元に、古書店仲間である浅草橋のかみふく書房さん(@kamifukubooks)から緊急の連絡が入ったのです。「たったいへんです!城壁と雷光が……!」
ここで今一度、説明しておかなくてはなりますまい。栃木を本拠とする至高のおせんべいメーカー、ひざつき製菓の看板商品に「城壁」と「雷光」があります。城壁はひざつき製菓のアイデンティティと言っても過言ではない、今も昔も不撓のフラッグシップモデルです。そして他に類を見ないその生地を「揚げる」ことによって生まれたのが雷光であり、こちらはむしろ弟分にあたる、と言ってよいでしょう。
城壁には「金色のたまり味(しょうゆ)」と「白銀の京味(塩)」があり、同じく雷光にも「はちみつ醤油味」と「旨塩味」がありました。(あったと過去形で書いた理由は最後に触れます)
これは完全に好みの問題ですが、わが家が推し、布教しているのは雷光(旨塩味)、次いで城壁(白銀の京味)です。つまりどちらも塩味ということですね。
冒頭に登場したかみふく書房さんは以前から古書業界におけるおせんべいマイスターとして知られており、ここぞとばかりにうちの人が城壁と雷光を勧めたところ、同じく底なし沼に溺れて沈み、あれよあれよと城壁(白銀の京味)を愛する会の会長へと登りつめた人です。半径10km圏内に城壁と雷光を置いてある店がないうちと違って、彼の場合はたまたま日々の行動範囲内で手に入る環境だったこともあり、止めないと主食になりかねない勢いで今も城壁を摂取しつづけています。すくなくとも城壁に関して23区内で彼以上に愛情を注ぐ人は存在しないと言い切ってしまってよいでしょう。
わが家は今年の正月に栃木のひざつき製菓本社工場を電車と徒歩で参詣していますが
※ここまでの経緯は以下の投稿をご覧ください
2. 初詣に聖地を巡礼した話
かみふく書房さんもその後まったく同じ轍を踏んでことをしています。栃木駅から徒歩30分ですよ。
ここまでが前提です。
改めて言い直すと、雷光(旨塩味)を愛する会の会長(であるうちの人)が、城壁(白銀の京味)を愛する会の会長(であるかみふく書房さん)から、城壁と雷光に重大な異変が起きた旨の急報を受けたわけですね。
送られてきた画像を確認したところ、たしかにパッケージが新しくなっています。しかし全体としての異変はそれどころの話ではなく、とても静観できる状況ではないっぽいことから、急遽お互いにストックしてある旧バージョンと新バージョンを持ち寄って、比較検証の場を設けることになりました。それがハロウィンの晩です。
外観から確認できる違いは、以下のとおりです。
・パッケージデザイン
・内容量
・原材料
・栄養成分表示
・パッケージ裏の文言
これだけでも、かなり大幅なリニューアルであることがわかります。とりわけ、原材料に違いがある点は見逃せません。かみふく書房さんはこの時点ですでに味わいの違いを独自に検証しており、以前のほうが美味しかった可能性を懸念していたことも、ここで強調しておきましょう。
ただ目隠しで検証していたわけではなかったので、今回は公平を期すためにバージョンの新旧を伏せて食べました。果たして目隠しでも違いがわかるのかどうか、全員で食べ比べた結果が以下です。
・城壁→わからない
・雷光→わかる
そしてこれはいくら強調してもいいとおもうのだけれど、どうあれ「やっぱ美味いな……」という結論になりました。
その上で、検証した全員が当てることのできた雷光のリニューアル前後について記しておきましょう。
これはあくまで比較したから認識できたことなので、もとより良し悪しの話ではないことを前提にお伝えすると、リニューアル後の雷光は、以前よりも塩気と旨みが控えめになっている、という印象です。塩分については栄養成分表示からもわかるように城壁と雷光のどちらも明確に抑えられているものの、どちらかといえば雷光のほうがそれを感知しやすかった気がします。実際、以前の雷光を食した人のなかには、ちょっと塩気が強いかも…、という感想を抱いた人もいるようなので、その点ではよりやさしく、フレンドリーになったと言えそうです。
以前の強烈な旨みに重きを置く場合は若干物足りなく感じる可能性もありますが、裏を返せばこれは生地のおいしさがより前面に打ち出された、ということでもあります。せんべいである以上、生地の魅力を強調するのはごくごく自然なことであり、より多くの人に訴求できるポテンシャルを高めたと言うこともできるでしょう。ここには間違いなく、せんべいに対するひざつき製菓の愛と矜持がはっきりと感じられます。
したがって、以前との違いはたしかにあるものの、珠玉のせんべいであることに何ら変わりはなく、やはり全力で推さずにはいられないというのがわれわれの結論です。どうにか手に入れてぜひ一度、食べてみてください。
ちなみにこのリニューアルに伴ってかどうか、公式サイトのラインナップから雷光(はちみつ醤油味)が消えています。ただ、うちにしてもかみふく書房さんにしても推しは塩味なので、その行く末を追い求める予定は今のところありません。

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