金属トンチキさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. いま、このメールを病院の待合室で打っています。あと1時間くらい待たされそうです。病院の待合などに限らず、時間を持て余した時(さりとて音楽をイヤホンで聞いたり、外に出る等の自由がなく、ただひたすら待つ他ない時)にしたらいいんじゃないか?という事を教えてください。
病院というのは本当にこう、じゃお呼びしますのでこれを消化しててください、という感じで時間を薬みたいに渡される印象があります。意味があるならまだいいけど、別に意味はないから困る。
欧米にはまさにこういう、本当にちょっとした時間を有効活用するための自販機があるそうです。と言っても無料なので正確には自販機じゃなくて供給機なんだけど、タッチすると数分で読める短い詩とか物語がランダムでレシートみたいな紙に印刷されて出てくるらしい。最初は空港に設置されていたそうなので、コンセプトや目的がどうあれ人生において最も不毛な、と言っても過言ではない「単なる待ち時間」に着目したのはまちがいありません。
待つ以外にどうすることもできないこの時間をスマホ以外でどうにかできないもんかなあ、という悩みは国を問わず共通である、ということですね。
しかし10分くらいならともかく、30分とか1時間となるとそういうわけにもいきません。何しろ1時間というのは、数をイーチ、ニーイ、サーン、と3600までゆっくり数えるだけの長さです。当たり前すぎてキーを打ちながら鼻水が出てしまったけど、いかに長くて退屈かわかるじゃないですか?
僕のおすすめは餃子です。
ちょっと言葉が足りなかった気もしますね。つまり、餃子をつくろうということです。
手順はそれほど複雑ではないけれども、やるとなったらそこそこ手間がかかるという点で、餃子はうってつけであると言えるでしょう。同様に時間を取られる煮物とかパンは大部分が火にかけたり発酵で結局手が空くのでいけません。とにかく手を動かし続けなくてはいけない餃子がベストです。4人分くらいがちょうどいいかな、と個人的には思います。とにかくせっせと包み続けてさえいれば、時間など矢のように飛び去っていくはずです。あとは持ち帰って焼いたり蒸したり茹でたりするだけでその日の夕飯はもうできたようなものだし、うれしいことに冷凍保存もできます。最終的にいったい一石何鳥になるのか、その恩恵は計り知れません。
病院の待合室で餃子なんか包めるわけない、と仰る気持ちはよくわかります。しかし病院の待合室で餃子を包んではいけないという法はありません。1回やったら禁止になるかもしれないにしても、まだやっていないなら大丈夫です。編みかけのセーターのようにカバンから餃子の皮とタネを取り出し、堂々と包んでいきましょう。編み物でもいいことにいま気づきましたが、とにかく餃子を包んでさえいれば、人生たいていのことはどうにかなります。
あと、これは僕もちょっと目からウロコでしたが、持て余した時間の冴えた使い方を真剣に(真剣にです)考えるだけで、1時間くらい平気で過ぎ去ります。まさに光陰矢の如しです。手ぶらでもまったく問題ないことを考えると、ひょっとしたらこれが最適解かもしれません。餃子とちがって夕飯はまた別に考える必要がありますけども。
A. 持て余した時間の冴えた使い方を持て余した時間で真剣に考えましょう。
真剣に考えた結果が餃子かよと言われるかもしれませんが、そのとおりです。
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その389につづく!
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